31日は17時頃に細川邸(今後は『三筋亭』と呼ぶことにする)の現場へ。ホントはこの日で工事は終わるはずだったんだけど、現場はまだまだ大変な状態。先日の変更が響いて工期は明日一杯まで延長。
キッチン周りの家具造作や天井吊りの収納などの取付がほぼ終了した状態を見ると、白いクロス貼りの室内に茶色い帯がとぐろを巻いているような印象。小さな空間にしてはずいぶんとダイナミックな効果が生まれているのが興味深い。細部の納まりも上々で、全体的になかなか質感の高い空間に仕上がりそうだ。
しかしここのところ戸建て住宅の全面リノベーションや建築物件なども手がけているせいか、部分改装では手がつけられない既存箇所がどうも気になってしまう。「建具の位置や仕様を変えたかったな」とか「キッチンの中も新しくしたかったな」とか「床も貼り替えたかったな」とか。空間の全てが整合した時だけにやって来るあのシビれるような心地よい感覚はここには無い。その代わり、こうした未完成な作品では、デザインの力(ちから)の在り処がよりクリアに暴かれる。それはそれで面白い。
ここは修行の場だ。デザインする側にとっても、生活する側にとっても。
ともあれ、ラワン材をシンプルに用いたローコストリノベーション物件としては、この作品が私たちの気持ちの上でのひとつの区切りになりそうだ。次はもっとスゴいのやろう(>三筋亭のご両人)。