今日の文化は、多数の人たちのものになってきつつある。そして芸術家は壇から降りて、肉屋の看板を製作する心構えをしなければならないのだ。芸術家は、ロマン主義の最後のぼろ衣を脱ぎ捨てて、群衆の中の一人の人間として活動的になり、今日の芸術、材料、製作手段の中に湧き出るようなものでなければならない。その天賦の美的感覚を失うことなく、周囲の人たちが期待している要求に、能力をもって謙虚に応じられるようになるべきである。(ブルーノ・ムナーリ)
芸術としてのデザインより。
(著:ブルーノ・ムナーリ/訳:小山清男/ダヴィッド社)