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珈琲の美味しい店 : 阿佐ヶ谷・ドゥ・ワゾー / 吉祥寺・武蔵野珈琲店

3/25。吉祥寺で打ち合わせの後、珈琲名店探訪に。最初は聖地・『もか』に行ってみたんだけど残念ながら店休日(火・金)。

続いて向かったのは『武蔵野珈琲店』。場所は丸井の脇道(プチ竹下通りみたいなところだ)沿いにある雑居ビル2F。外から伺う限りでは美味しい珈琲の飲める店があるようにはとてもじゃないが見えない。ビル中央の階段を上り、右手にある入口(下の写真左)までたどり着いてもまだ不安な感じだったが、ドアを開け、年配の女性の落ち着いた応対に接してホッと一安心。

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漆喰の壁。ダークな染色の木製造作。スタンドライト主体の控えめなライティング。小さな店内は、その昔、この店のオーナーが修行なさったと言う『アンセーニュ・ダングル』を彷彿させるつくりと珈琲の香りで満たされていた。店の最奥にある大きなガラス窓際の小さなテーブルに着くと、さっきの通りが手に取るように見下ろせる。特等席の気分。ブレンドとドゥミタスを注文。店内中央のカウンターで白髪のマスター氏がネルドリップ。出てきた珈琲もやはりその出自を伺わせる深い味わいだった。パンチはあるが、その効き方が『アンセーニュ・ダングル』よりも緩やかに思われるのは、珈琲の味がそうなのか、それともこの店の雰囲気がそう感じさせるのか。
すっかり満足して会計を済ませ、割引券を受け取る。店を出る時のマスターと先の女性の笑顔がなんとも柔和で、心に残った。いい店だなあ。また行かねば。

武蔵野珈琲店/東京都武蔵野市吉祥寺南町1-16-11-205
0422-47-6741/11:00-23:00/無休

そして3/28。代々木で打ち合わせの後、中央線で阿佐ヶ谷へ。北口を出て中杉通りを北上すること10分ほど。左手に『カフェ・ドゥ・ワゾー』が現れる(上の写真右)。キューブ型のアクリル看板に小さなロゴ。ガラス張りのエントランス越しに黒いベストのマスター氏が見える。鉢植えの植栽にさえ目をつぶれば、それはもう極めてクールな佇まい。
店に入ると、そこはカウンター席とテーブルがふたつだけの小さな世界。本当はカウンターでマスターのお手前を拝見したかったんだけど、一杯だったので仕方なく奥のテーブルへ。その脇にガラス張りの焙煎室。大きな焙煎器が鎮座している。
あらためて店内を見渡すと、年期は感じられるものの(オープン後20年ほど経つらしい)、明るくスッキリした印象。看板同様、シンプルなインテリア(カウンター内のオーブンの置き場所に要注目)。和洋を取り混ぜた花がいくつも置かれているのだが、これがどれもちゃんとした生花であることに驚く。さらにお冷やを一口飲んでますます期待が高まった。水が美味い。よく見ると氷が手割りであることに気づく。
ハワイ・コナとブレンドのフルシティ・ローストを注文。少し離れたところからでも実に丁寧にネルドリップするマスターの様子が伺える。そして出てきたのは衝撃的な珈琲だった。豆も煎り方も全く別な2種の珈琲ではあるが、この店の目指す味の方向性は明白だ。とてつもなくクリアでまろやか。豆の持つキャラクターが香り立ち、舌にダイレクトに伝わる。一点の濁りも無いこの洗練度は、東京の珈琲店ではこれまでに体験したことが無い。フルシティ・ロースト・ブレンドの均整の取れた味わいも素晴らしいが、ハワイ・コナの独特な芳香も捨て難い。さらにフルシティ・ロースト・ブレンドをドゥミタスで注文してみると、これまた想像以上に強力。まさに絶品。
マスター氏(『十一房珈琲店』で修行なさったと聞く)は見るからに職人気質な方で、注文が立て込むと離れた席まで気が回らなくなる傾向はあるが、肝心の仕事には一切抜かりが無いどころか丁寧過ぎるくらい丁寧だ。それでいて新聞や雑誌を読みながら思い思いの時間を過ごす常連客と思しい人たちの醸し出す雰囲気は和やかで、この店を求道的な珈琲店ではなく地元のカフェとして成立させているように思えた。

福岡・『珈琲美美』に比肩しうる店をついに見つけたぞ。なんだか中央線沿いに引っ越したい熱が高まってきた。

CAFE DEUX OISEAUX(カフェ・ドゥ・ワゾー)/東京都杉並区阿佐谷北4-6-28
03-3338-8044/12:00-23:00/木休

2005年03月30日 12:13 | trackbacks (0) | comments (0)

珈琲の美味しい店 : 銀座・ランブル / 南千住・バッハ

3/15。カレーで腹ごしらえの後、珈琲の名店をはしご。

勝野は大のコーヒー好き。しかし、東京にやってきてからかれこれ10年が経つと言うのにまだ足を運んだことの無いコーヒーの名店は多い。この日巡った2件はまさしく名店中の名店との呼び声高い『CAFE DE LAMBRE』(カフェ・ド・ランブル)と『Cafe Bach』(カフェ・バッハ)。

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先ずは南千住。地下鉄駅前の歩道橋を越えてすぐの大きな道路に沿って浅草方面へ。泪橋の交差点を過ぎてさらに少し歩くと右手に『バッハ』(上の写真左)が現れる。1968年オープン、72年から自家焙煎を開始したという。
この辺りはいわゆる山谷と呼ばれる地域。大阪で言うと西成みたいなもんだけど、昼間歩いてる分には特に身の危険を感じるようなことは無い。と言うか、道の広さに対して人や車の通りがやけに少ない。「こんなところで客が来るのかしら?」と思いつつ自動ドアから入ると、3、40席くらいの店内は驚いたことにほぼ満席状態だった。この店は地元に愛されている。
内装・外装を含め、店のつくりは言及するまでもない代物だが、カウンターバックにずらりと並んだコーヒー豆のガラス瓶にはしっかりとスポットライトが当たっている。見事に粒の揃った美しい豆。店に立つ4名ほどのスタッフはみな若いが、無駄の無い動きはまさにプロフェッショナルのそれだ。
カウンター席の一番奥でバッハ・ブレンドとカフェ・シュヴァルツァーを注文。バッハ式と呼ばれるオリジナルのペーパードリップがこの店の特徴のひとつ。バッハ・ブレンドは実に香り高く、豆のもつふくよかな甘みがふわりと口の中に広がる。他には余計な味も香りも一切感じない。とてつもなくストレートでクリアなコーヒーだ。一方カフェ・シュヴァルツァーは深入りの豆から抽出された濃厚なコーヒー。豆のうまみとクリアな苦み。一緒に出される小さなグラスに入ったソーダ水と交互に飲めば何度でも新鮮な味わいが楽しめる。これはなんと合理的な供し方か。
続いてリースヒェンと苺のショートケーキを注文。リースヒェンは冷たい濃縮コーヒー。これが凄かった。クリアなコーヒーにとろりとした舌触りとほのかなカラメルの風味が相まって、官能的な味わいを醸し出す。苺のショートには突出したところは無いが、コーヒーの楽しみを邪魔しないシンプルさに好感が持てる。
生豆の香りとうまみだけをストレートに味わえる店。洗練の極み。また行かねば。

Cafe Bach(カフェ・バッハ)/東京都台東区日本堤1-23-9
03-3875-2669/8:30-21:00/金休

地下鉄で銀座へ移動。『ランブル』は首都高速にほど近い東京三菱銀行の裏手にある。創業はなんと1948年。現在の店舗は隣店の火災に巻き込まれて移転した後のものらしいが、すでに十二分に古びていい感じの店構え(上の写真右)。看板には「珈琲だけの店」と書いてある。オーナーの関口一郎氏は自前のエージングルーム(コーヒー豆をわざわざ何年も寝かせて味がさらに良くなるのを待つ)まで所有する求道者のような人物と聞く。
店内に入るとBGMがJ-Waveだったのにはちょっと面食らったが、壁・天井にラワン材を多用した内装はすっきりとしたつくりながらも味わい深い。カウンター前に設えられた椅子は足掛けから張り出した軸に固定されている。この軸と座面がともに回転するのが面白い。よく出来ている。
二十数席ほどのちいさな店を切り盛りするお二人はご夫婦だろうか。常連と思しき年配の男性客に少々気後れしつつ、カフェ・ノワールとドゥミ・タッスを注文。こちらはネルドリップ。香り、甘み、酸み、苦みの全てがはっとするほど鮮やかなパンチ力満点のコーヒー。ドゥミ・タッスのまろやかさと味わい深さはまさに珠玉。オリジナルのドゥミ・タッス用カップは取手が無いのが特徴的。念入りに抽出する間にコーヒーが適温に冷めるため、取手は必要ないのだ。
さらにオリジナルメニューのカフェ・オ・レとマサグランを注文。マサグランは小さなグラスで供される濃くて冷たいブラックコーヒー。こちらも予想通りの逸品だったが、意外にも私たちが衝撃を受けたのはカフェ・オ・レの方だった。そのままでも絶妙なバランスのコーヒーにミルクが加わるわけだが、そのバランスが崩れるのではなく別の地点に見事に着地した感じ。しばらく堪能したところで一緒に供される砂糖とナツメグのパウダーを少し加えれば、その素晴らしいコクと風味が2度楽しめる。文句無しに過去最高のカフェ・オ・レだった。
コーヒーの全てを味わい尽くすことのできる店。また行かねば。

CAFE DE LAMBRE(カフェ・ド・ランブル)/東京都中央区銀座8-10-15
03-3571-1551/12:00-22:00(日祝12:00-19:00)/無休

2005年03月18日 04:59 | trackbacks (0) | comments (0)

食べたり飲んだり : 五反田・カレーの店うどん

050315_curryshopudon.jpg3/15。久々の新規開拓。五反田での打ち合わせのついでに前から行ってみたかった『カレーの店うどん』で遅めのランチ。名前は“うどん”なのにメニューはスープカレーという不思議なお店。
場所は山手通りと目黒川のあいだにあるマンションの1F。黄色いひさしと置き看板はそこそこハデだけど、店内はこの上なく簡素なつくり。カウンターキッチン以外は何も無いに等しい。

この時はカッコいい女性ひとりがてきぱきと切り盛り中。白い蛍光灯の薄明かりの下で『春の夜カレー』と『ポークカレー』をいただいた。スパイシーでスッキリさらりが際立つ鮮やかな印象のカレー。特に『春の夜カレー』はセロリとアスパラの醸す風味と季節感に思わずはっとさせられる。ホームページといい、パっと見はものすごくゆるゆるだが、その実曖昧なところの全くない直球勝負の店とみた。また行かねば。

カレーの店うどん/東京都品川区西五反田2-31-5/03-5434-2308
11:30-21:00(月・水のみ15:09-17:55休憩)/日祝休

2005年03月16日 13:14 | trackbacks (1) | comments (0)

都市とデザインと : 西麻布・le bain

3/4。ビッグサイトでJAPAN SHOPを見た後で西麻布に移動して『le bain』(ル・ベイン)へ。リラインスの扱うバス・トイレタリー用品ショールームを中心に、ショップ、ギャラリー、共同住宅などが集まった施設。建築設計は内田繁+スタジオ80が手がけ、そのオフィスもこの建物の中にある。

通りに面した白くてフラットな外観にさわやかなイエローのサインボード。その脇にあるエントランスをくぐると池のある中庭。ショップとギャラリーがそこに面している。梁のデザインと立体的な空間構成が印象的。外観といい実に簡素な仕様ながら不思議に暖かみを感じさせる建物だ。

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目当てのショールームはショップの中央にある階段を降りたB1フロア。上の中庭にある池の底面はトップライトになっていて、水のゆらぎが壁一面に投影される。高い天井に広い通路、オフホワイトとガラスの空間に世にも美しい水栓やシンク、バスタブなどがずらりと展示される様子はまるで美術館(写真左上/右上)。圧倒的なスケールと完璧なライティング。光壁のあしらわれた水栓の展示スペース(写真左下)や水回りアクセサリーなどの展示スペース(写真右下)に見られる薄いイエローやブルーの色使いは紛れも無い内田デザインの記号。
下の写真は水栓展示スペースの全景。ほとんどベンチと言っていいくらい大振りなサイズの赤いスツールが5台、花びらのようなかたちに配置されていた。

050304_lebain03.jpg

le bain/03-3479-3841
東京都港区西麻布3-16-28
11:00-19:00/月休

2005年03月06日 02:40 | trackbacks (0) | comments (0)

暮らしの道具たち : 剣持勇/笹(sasa)

展覧会などいろいろと話題が出たところで我が家にある剣持デザイングッズについて書いておこう。佐藤商事で現在も生産されている(デザインされたのは1965年)カトラリーのシリーズ『笹(sasa)』。

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一見してなんでもない至ってフツーのカトラリーだと思われるかもしれないが、さにあらず。デザインに興味のある方ならその細部にじっと目を凝らしてみて欲しい(他の写真はこちら)。頭部のスッキリとした丸み。ぎゅっと絞り込まれた細い首。そこから柄の端部に向かって広がる直線的なラインはバシっと切り落とされるようにして終わる。虚飾を排し、有機性にも幾何学性にも偏ることのないフォルム。実に清廉かつ優美ではないか。
先細りの柄を手に取ると、思いのほか角ばったエッジと厚手のステンレスによる適度な重みが印象的だ。なるほど、この感覚は具合のいい箸を持った時のものに近い。そこで私たちははっと気づく。これが剣持の言う“ジャパニーズモダン”かと。

もうひとつ、重要なことはこのカトラリーが極めて機能的だと言うこと。手に持ったときも皿に置いた時にも、その重量バランスの良さは抜群。ナイフ(このフォルムがまた素晴らしい)の切れ味も、フォークの刺さり具合も、スプーンの口当たりも申し分ない。
残念ながら佐藤商事の商品としてはまったく目立たない存在ではあるが、この『笹(sasa)』は間違いなく剣持勇の代表作であり、デザイナーズカトラリーの代表格として今後さらに注目されるべきプロダクトだと思う。引き合いに出して申し訳ないが、正直、柳宗理氏デザインのカトラリーとは比べ物にならないほど使いやすいんだこれが。

剣持勇という巨星(OZONE)
ジャパニーズモダン 剣持勇とその世界

2005年03月01日 18:43 | trackbacks (0) | comments (0)
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