7/16。武蔵野美術大学で展覧会を見た後、阿佐ヶ谷で途中下車して『カフェ・ドゥ・ワゾー』で珈琲豆購入。さらにその後、以前から気になっていたギャラリー・カフェ『西瓜糖』(すいかとう)に寄ってみた。
写真がピンボケで残念。
ガラス張りのファサード。看板周りはステンレス張り。入口ドアの真正面に立ちふさがるようにして大きな“ロ”の字型のアクリル行灯。床はドットパターンの黒いラバーシートで、店内のカラーリングは全てグレートーンで統一されている。細部の味出し加減から判断するに、完成後かなりの年数を経ているように思われるが、その前を通ると一瞬ギクっとするくらいにクールなデザイン。
で、ステンレス張りのテーブル(このステンレスの納まりが実は結構凄いことになっている)に着いてコーヒーとホットワインとバターケーキを注文。店内に入ると、入口の大行灯のおかげで外からの視線はほぼ真正面からのみとなることがわかる。天井には普通球のダウンライトとともにレフ球の巨大なウォールウォッシャーダウンライト(壁面に光を当てるタイプのもの)が埋め込まれ、客席左右の壁面に展示された作品を控えめに(しかし確実に)照らし出していた。外部に対して放つ緊張感とは裏腹に、この空間にはまさしく展示作品と通り沿いの木々をリラックスして眺めるためのお膳立てが揃っている。行灯の下部は書棚になっていて、美術雑誌がぎっしり詰まっていた。スパイシーなバターケーキを美味しくいただきつつ、しばし休憩。
この日展示されていたのは大平奨氏のペインティング。デジタルパターンを思わせるクールな筆致と美しいグラデーションが見事に空間との相乗効果を醸し出していた。ちょうどご本人が展示替えの準備中であったため、私たちは早めにおいとますることにした。
帰り際に店主ご夫妻に「このお店はどなたがデザインされたのですか?」と訪ねてみたところ、とても丁寧に説明していただくことができた。『西瓜糖』のオープンは1979年。内外装デザインは建築家の清水まこと氏。ふくだ氏が15年間営業された後を大町夫妻が引き継がれたのだそうだ。「椅子以外はほとんど出来た時のままですよ」とのこと。
25年以上もの間、オーナー2代にわたって愛される超モダンなギャラリー・カフェ。こんな素敵な話は滅多にあるもんじゃない。
西瓜糖/東京都杉並区阿佐ヶ谷北1-28-8
03-3336-4389/11:00-23:00/火休