10/5。小泉産業での打ち合わせの後、9/16にオープンした『ヨドバシAkiba』に行ってみた。目当ては家電とかパソコンではなく“大阪の味”だ。
まずは8Fレストラン街にある『鶴橋風月』へ。関西だと主要なショッピングモールに行けば必ずあると言ってもいいくらいにお馴染みのお好み焼き店だが、関東にはこれまでお台場、木場、横浜港北、千葉船橋の4店舗(+大和市と佐野市のFC店)しか無かった。これが都心への初出店と言うことになる。
店のつくりについては書くまでもないだろう。簡素な内装に鉄板付きのテーブルがぎっしり詰め込まれた空間は紛うこと無き『風月』スタイル。ヘンにデザインされてるよりかえって期待が高まると言うものだ。関西弁の店員さんにとんぺい焼きと豚玉モダン焼き、牛すじネギ焼きを注文。
3人の店員さんがタイミングをしっかり見計らって登場。多少具や油が飛び散ろうとおかまい無しの勢いで手際良く美しいお好み焼きを焼き上げる。途中、鰹節とモダン焼きのそばを添える担当の人の手元がちょっとおぼつかない感じだったのだが、すかさずベテランがフォロー。フロアに20枚以上はあると思われる鉄板は彼らが完全に掌握している。
肝心の味についても特筆するべきことは何も無い。まさに期待通り。安心感満点な正しい大阪のコテコテお好み焼きだ。これ以上素晴らしいことがあるだろうか。ビバ炭水化物!
鶴橋風月 ヨドバシAkiba店
東京都千代田区神田花岡町1-1ヨドバシAkiba8F/03-3526-3614
さて、『ヨドバシAkiba』のオープンを機に都心進出を果たした大阪の味がもうひとつ。それがなんと千日前に本店を構えるあの『丸福珈琲店』(1934年創業)。関西以外では鳥取に一店舗があるのみで、これが関東初出店。どこのディベロッパーかは知らないけど、実にシブいところを持って来たものだ、と驚いたが、4F家電売場の片隅にある店舗を訪れてさらに驚いた。思わずこりゃスタバかなんかですか?と尋ねたくなるような外観なのだ。
インテリアについてもおよそ大阪と同じ『丸福珈琲店』とは思えないが、それもそのはず。どうもこれは『CAFE丸福珈琲店』という新形態の店舗のようだ(大阪だと八尾西武にあるらしい)。
ミラーの使い方や切り文字を含むグラフィックの使い方など、ちょっと前に流行った関西系インテリアデザイナーの安っぽいコピーみたいでかなりイタいものがある。おそらくオリジナルと思しきチェアやテーブル、空調や照明の納まりなどを見るとお金だけはかなりかかってそうなのがさらにイタい。さらに一番イタいのはせっかくオシャレに作ったキッチン周りの計画がいかにも甘々で、資材やダスターの雑然した様子がどこからも丸見えなこと。『鶴橋風月』なら許せるが、中途半端にオシャレにしてしまったからさあ大変。
やはり関西弁の店員さんに代金を先払い。スタバ形式でブレンドとアイスコーヒー、コーヒーゼリーをトレイに受け取って、明らかに詰め込み過ぎの座席をよけながら奥のテーブルへ。おそるおそる口へと運んだコーヒー(上の写真左)は、意外や懐かしい味がした。苦みがちょっと勝ち過ぎでは、という気もするが、それなりに旨い。おお、これは確かに『丸福珈琲店』。甘味料入りと甘味料無しを選べるアイスコーヒーも、素っ気ない盛りつけのコーヒーゼリー(上の写真右)もまさに『丸福珈琲店』。それだけに店のつくりに対する違和感が余計引き立ってしまう。
一体『丸福珈琲店』は何を目指し、どこへ行こうとしているのか。スタバ?んなアホな。
CAFE丸福珈琲店 ヨドバシAkiba店
東京都千代田区神田花岡町1-1ヨドバシAkiba4F/03-3526-3614
さて、そんな『ヨドバシAkiba』なわけだが、ここはなかなか使える場所だ。何より助かるのはトイレが広くてきれいなことと、夜10時まで開いていること。広大な売場には無いものはほとんど無いんじゃないか、と言うくらいの充実した品揃え。オープン時の混雑も平日は落ち着いて、広い通路を巡りつつゆったりと買い物が出来る(8Fのレストラン街だけは時間によってかなり混むので注意)。普通のヒトが普通に快適に利用できる大型店がアキバに出来たことは喜ばしい。ただし、新星堂みたいな品揃えのタワーレコードと、書泉みたいな品揃えの有隣堂は全くの期待外れだった。
数年前、大阪梅田に進出した巨大ヨドバシも衝撃的だったが、アキバもなかなかのもの。もうちょっと頑張れば、低迷する百貨店業界を尻目にデパートの新形態を示すことだってできるかもしれないな。