10/15。代官山、西麻布での打ち合わせ後、六本木で乃村工藝・須賀さんと待ち合わせ。『さかなのさけ』へ。
この店、もとは大阪は船場にあった人気店。その頃に私たちも何度か伺ったことがある。出汁の味が効いた奥様の無国籍居酒屋料理。そしてマスター・田中秀嗣氏のセレクトによる珠玉の日本酒たち。その見事過ぎる競演にシビれた喰道楽者は数知れず。まさに伝説の店だ。
六本木に移転オープンしたのは昨年11月。大阪時代を含めてかれこれ15年ほどのおつきあいになる須賀さんとお会いするのを機に、遅ればせながら足を運んでみることにした。そう言えば船場の『さかなのさけ』に最初連れてってくれたのも須賀さんだったなあ。
雨と手ブレのせいで程良く酔っぱらった感じの写真になってしまったが、上の写真が『さかなのさけ』の店構え。場所は六本木交差点から高速の右側を赤坂方面へ進み、4つめの角を曲がった細道沿いにある雑居ビル1F。六本木一帯の開発から取り残された激シブなエリアにあたる。格子から漏れる暖かい光に誘われるがまま店内へ。カウンターの中には船場時代と変わらぬ真剣な表情で料理に打ち込む奥様と、これまた変わらぬユルいムードで接客するマスターの姿があった。
カウンター上の吊り戸棚からいくつもぶらさがったちいさなレフ球のペンダントライトはなんとなく市場の活気を彷彿させる。それらの造作は店内最奥のガラス面を抜けて屋外へと連なり、客の視線はそこに置かれた鉢植えへと自然に向かう。さらに向こうには奥の建物か道路の擁壁と思しきコンクリート面があり、鉢植えとともにライトアップされている。屋外をそのまま床の間化してしまう発想がユニーク。また、カウンターは店先から奥に向かって少しずつ細くなっていて、店内奥に2人掛けのハイテーブルを置けるスペースを作り出す。贅沢なものはどこにも無いが、全てに渡って気配りの行き届いたデザインに感心した。空間を手がけたのはTAU設計工房とのこと。
肝心の料理はと言うと、これがもう素晴らしいの一言。全部が全部船場時代と同じ、と言う訳ではないものの、クオリティの高さは全く変わらない。船場には無かったエビスの生にはじまり、関あじとあおりいかの造り、砂肝味噌煮込み、えび豆腐辛味炒め、豚角煮、野菜サラダベトナム風、などなど一気にいただく。どれもこれも関西人なら感涙必至の味だ。さらに日本酒をグラスで数種類。余計な升など使わず試飲形式で少しずつ何種類も飲ませてもらえるのが嬉しい。締めはそうめん中華風と赤だし。デザートにカラメルアイスクリームまでいただいてもう大満足。
他の客が引けた後までゆっくり過ごさせていただいてからお勘定を頼むと、代金まで船場時代と変わらないことに驚いた。東京での生活が長くなった私たちには相対的に以前より安くなったようにさえ感じられる。これは実に有り難い。「東京は家賃は高いけど、何でも受け入れてくれるから住みやすいしオモロいですよ」とのマスターの言葉が印象に残る。なんだか今後は船場時代以上にお世話になりそうな気がするな。
さかなのさけ/106-0032東京都港区六本木3-8-3
03-3408-6383/17:30-24:00/日・祝休
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