3/4。銀座で『life/art '05』と『トード・ボーンチェ「KARAKUSAの森」』を見た後、『MIKIMOTO Ginza 2』を視察。2005年12月にオープンした宝飾品店、パティスリー、レストランなどの複合ビル。建築デザインは伊東豊雄氏。
薄いパールピンクの直方体に無数の不定形な開口を穿ったファサードは巨大化した海洋生物を思わせる。どこまでも継ぎ目の無い外観は、周囲の建物に比較して圧倒的にフラットでシンプル。その上品な佇まいは事前の予想を覆すものだった。
構造は鉄板コンクリート(構造設計は佐々木睦朗構造計画研究所)。2枚のスチールプレートの間にコンクリートを充填し、薄く頑丈な外壁を自立させている。200平米ほどのフロアに構造柱は一本も無い。この特殊な構造技術がビルの存在をグラフィカルでありつつ彫塑的でもある不可思議なオブジェと化している。
インテリアデザインは凡庸で極めて内部装飾的。伊東氏のアトリエで手がけられたものではないだろう。建築がこれほど革新的で魅力的なだけに実に残念だ。