2/25。市川平さんの計らいで『三鷹天命反転住宅』を見学。デザインは荒川修作+マドリン・ギンズ。
球形、円筒形、立方体を積み木のように重ねて14色に塗り分けた外観。一見してユニーク極まりないデザインなんだけど、それがプレキャストコンクリートやアルミサッシ(シルバー、ブラック、アンバーのフレームをわざと混ぜて使っている)の見慣れた質感、そして雨樋やエアコン室外機などのごく当たり前なパーツによって構成されているところが面白い(写真)。積み木と積み木を鉄骨のブリッジや階段で繋いだ結果生じた狭間の空間にも見応えがある(写真)。まるで巨大なジャンクアート。
9戸の住宅の各玄関にはインターホンがわざと斜めに取付けられている(写真)。軽い迷宮感覚に陥りつつ、室内へ。
カウンターキッチンが中央に据えられたリビングルームの周囲を各室が取り囲む基本プランはどの部屋にも共通している。インテリアにも建物の外観と同様のカラーリングが施されているが、ここまで色数が多いとかえって違和感が無くなってしまう。そして何より驚くのは土間を思わせる質感のコンクリート床のレベルが丸きり一定ではなく、しかも細かくボコボコと波打っていること(しかもこのラインが足裏にしっくり)。普通に暮らしているだけで足腰が鍛えられそうだ。シャワーユニットとリビングとの間はシースルー。トイレはシャワーユニットの裏側に間仕切り無しで置いてある(写真)。リビングの天井にはヒートン状の金具が無数に(かつランダムに)取付けられている。これは何かを吊るして収納代わりに使って下さい、という配慮なのだとか。
1Fの一室には荒川+ギンズの日本オフィスが入居している。幸いこの日はそちらにもお邪魔して、この住宅の実際の使用状況を拝見させていただけることに。部屋に入った瞬間、そのあまりに楽しげなシーンに思わず歓声。
天井金具の見事な活用例。写真では雑然としているようにしか見えないが、必要なものが手に届くところにぶら下がっている状況はなんだかすごく便利かも。こうなると無理矢理置かれたコピー機も洗濯機と壁のスキ間も「こんなもんか」という気になって来る(写真)。カウンターで資料を拝見しつつ、ホットワインまでいただいて、すっかり和んでしまった。
球形の部屋でクッションやブランコと戯れつつ、お子様もご満悦の様子。
機能的でカッコいいディテールを集積するのとは真逆のやり方でデザインされた集合住宅は、くたびれた心身を実にいい塩梅に刺激してくれた。しかも意外に快適だ。当日ご案内下さった皆様、貴重な体験をさせていただきありがとうございました。
三鷹天命反転住宅
荒川修作+マドリン・ギンズ(ARCHITECTURAL BODY)
こんにちわ♪
先日は途中で失礼してしまい、すみませんでした。
ほんとに堪能させていただきました。
実際に使っているお部屋、すばらしかったですね。
ほんとに意外なことに、楽しく住めそうな住宅だなぁと、見学後、感想を持った自分に驚き♪
みなみなさま、ありがとうございました。
PS
全然関係ないですが、たまたま今日、古井アニとともにl入ったメキシコ料理屋さん、かつてラブザラさんが手がけられた設計のとこでした。びっくりしたー。多くはご報告しませんが、建築付帯系のデザインはそっくりそのまま残っていたようす。今の使い方は見ないことにして、デザインは当時のおふたりの意気込みが伝わってくる感じで、さすがーと思いました。OSBの施工、きれいだねぇ。。。トイレの壁は、野井先生に捧ぐ?
>わらびさん
百聞は一見に如かず、ってのはまさにこのことですね。細部まで徹底してアンチデザインな姿勢が貫かれているところに感銘を受けました。住んでみたいですマジで。
ところで、それって吉祥寺のお店ですよね?まさかメキシコ料理屋さんになっていたとは!OSBまわりの仕事はSHIZENさん監理のもと業界屈指の大工さんが手がけて下さったものだったりします。トイレの壁はもちろん心の師匠へのオマージュ(笑)。
ふふ、吉祥寺のお店です、そうです。
アニが会社の送別会に使うお店を探しててつきあったんですが、今度、写真撮ってきますね。
OSBの壁はほんと素晴らしくきれいで、キッチン脇のエントランス部分下だけ、水が入ってちょっと腐ってたけど、あとはぴっしーーーーー。
斜めの壁と天井、床の工夫で、空間の印象がユニークに変わる感じ、おもしろかったです。
冷蔵庫現し?なのも、カウンター部分もたぶんそのままで、なかなか大胆ですな(笑)。
当たり前だけど、やっぱメキシコ料理屋より、バーのほうがいいと思う〜。せせめてメキシコバーにしてほしかったデス。
>わらびさん
あの店も出来てから5年以上経つんだなあ。なんか感慨深いです。冷蔵庫、出ちゃってましたか。キッチン狭かったかなあ。って言うかメキシコ料理やるなんて思ってないし(笑)。テキーラ!