4/3。2005年11月にオープンした東京ビルディングの商業ゾーン『TOKIA』の中にある『きじ』で夕食。新梅田食堂街(JR大阪駅近くの高架下)に本店を構える創業50年あまりのお好み焼き店。新梅田シティ店と合わせてここが3つめの店舗となる。2日前にフォトグラファーの佐藤さんと一緒に来た時には店の前はものすごい行列だったんだけど、この日は平日の少し遅めの時間だったおかげですんなり暖簾をくぐることができた。
店構えは上の写真をご覧の通り小ざっぱりとして何の変哲も無い。インテリアもしかり。しかし最奥のカウンター席に案内され、オーダーしたお好み焼きの調理が始まると、この店の印象は急激にダイナミックなものへと変わる。
メニューの大部分はこのカウンタートップに嵌め込まれた巨大な鉄板で調理され、各テーブルへと運ばれる。カウンター席は言わば「砂かぶり」だ。プレミアムモルツのグラスを片手にスジぽん(牛スジ煮込にぽん酢でさっぱりと味付けしたもの)をつまみながら待つことしばし。モダン焼とスジ焼が奇麗なハーフアンドハーフとなって供された。
鶏ガラスープをたっぷり含み、ふっくらと仕上がったお好み焼きはなんともやさしい味がした。同じ大阪のお好み焼きでも、『鶴橋風月』とは全く方向性が違う。そう言えば、お好み焼きに限らず大阪の食べ物は何もコテコテ一辺倒じゃあなかったことを思い出す。むかし『川福』で食べたうどんや『会津屋』で買ったたこ焼きの味が、ふと脳裏によみがえった。
決して急がず、しかし無駄の無い手つきで、時折関西弁でやり取りしながら眼前にずらりと並んだお好み焼きや焼きそばを丁寧に調理する厨房スタッフの様子を眺めるのは楽しく飽きがこない。特に店長と思しいコック帽を頭にのせた長身の男性は、作業中にも客席にくまなく目を配り、フロアスタッフへ給仕のタイミングを実に細かく指示していることが分かった。だからと言って無闇に緊張感を漂わせているわけではなく、表情は常に柔和で、カウンターの客と二言三言そつなく会話したりもする。良く通る「おーきにー」の声が店内の雰囲気に心地良い張りを与える。
私たちが食べ終わる頃を見計らって、コック帽氏はさりげなく紙ナプキンと楊枝をカウンターの縁に置いた。いい店にはその場の調和を完璧に支配する指揮者が必ず居るものだ。
今度行った時もカウンター席に案内してもらえるといいな。
きじ・丸の内/東京都千代田区丸の内2-7-3東京ビルTOKIA B1F/03-3216-3123
11:00-15:30,17:00-23:00/無休(厨房点検の臨時休業有)
ここのお店気になってました
隣にある”つるとんたん”の明太子うどんに
はよくいってます
>hiroshiさん
美味しかったですよー『きじ』。もと関西在住者としても迷わずオススメできます。『つるとんたん』の大阪のお店には昔よく行きました。丸の内のお店にもぜひ行ってみたいです。