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都市とデザインと : 東京都庭園美術館

6/10。東京都庭園美術館を初めて訪れた。1933年に朝香宮邸として完成した鉄筋コンクリート造2階建て。後に公邸や迎賓館として使用されていた建物を1983年に美術館として公開。主に公的なエリアのインテリアデザインはアンリ・ラパンが、プライベートなエリアのインテリアデザインと全体の建築設計は宮内省内匠寮工務課(権藤要吉)が手がけている。

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素っ気ないほど直線的でシンプルな正面外観。写真では小さ過ぎて見えないが、通気口の鋳造レリーフが控えめながら可愛らしいアクセントとなっている。そしてエントランスをくぐると、いきなりルネ・ラリックによる大判の型抜きガラスレリーフがお出迎え。

そこから先にひろがるのは怒濤のアールデコ空間。直線と正円によって切り分けられた展開面に贅を尽くした装飾物が整然とはめ込まれている。中でもラパン自身のデザインによる次室の巨大な白磁オブジェと、ラリックによる大客室と大食堂の照明器具は見事。力の抜けた造形がアール・デコの典型と言うべきセンスを感じさせる。また、内匠寮のデザインした階段から2階ホールへと続くインテリアも素晴らしい。階段手摺やラジエーターグリルなどに用いられた金工やブロンズの造形にはアール・デコと和風文様とが絶妙に入り混じり、一種独特な、かつ完成された世界観が醸されている。

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そんなこんなで、この建物の魅力はインテリアデザインに尽きると言ってもいいくらいなんだけど、残念ながら撮影は不可。外観の写真でお茶を濁しておく。

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さすがに庭園美術館と言うだけあって、整備の行き届いた広大な芝生はなかなか気持ちのいいものだ。庭だけの利用であれば200円で入場することが出来る。

上の写真に見える2階ベランダには内田繁氏デザインのチェア(『Feb.』の布張バージョンかな?)が並べられていた。時代を超えた取り合わせに何の違和感も無いことが、私たちにとってはかえって印象的だった。

東京都庭園美術館

この日見た展覧会は『北欧のスタイリッシュデザイン フィンランドのアラビア窯』。製造工程の様子を紹介するビデオはそこそこ面白かったが、展示物の内容は「やはり九州の窯は格段に凄いな」ということを再確認するにとどまるものだった。アラビアのブランドロゴに一喜一憂するタイプの人向け。

しかしまあ、この美術館には何を持ってきたところで展示がハコに負けてしまうのが落ちだろう。

2006年06月16日 06:00 | trackbacks (0) | comments (0)
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