9/12。出光美術館へ『国宝 風神雷神図屏風「宗達・光琳・抱一/琳派芸術の継承と創造」』を見に行った。俵屋宗達(生没年不詳)、尾形光琳(1658-1716)、酒井抱一(1761-1829)がそれぞれに描いた『風神雷神図屏風』が66年ぶりに一同に会する展覧会。
前半の展示は3つの『風神雷神図屏風』に詳細な解説パネルを加えて構成されている。時折ふたつの図をCG処理で重ね合わせながらの比較は分かり易く、参考となるものだった。
後半は梅、杜若、秋草などの画題において、宗達・光琳・抱一のあいだでどのような参照と展開があったのかを紹介する展示となっている。こちらも風神雷神図に劣らず充実した内容。
『風神雷神図屏風』に限って率直な感想を言えば、宗達のオリジナルに勝るものは無い。光琳、抱一とコピーを重ねるごとに描写は良くも悪くもマンガ化してゆく。それは結局のところ、光琳、抱一の風神雷神図がスタディの域内にあることを示すのだろう。
オリジナルを乗り越えて新たなオリジナルを生み出すことは、参照をなくしてはあり得ないのもまた事実。現に風神雷神図を経た上で、光琳の『紅白梅図屏風』、抱一の『夏秋草図屏風』という二曲一双(二枚一組の二つ折り屏風)の傑作が生まれている。
と、そんなことを、展覧会の前半・後半を通して見ることで明快に理解することができた。『紅白梅図屏風』を見ることができなかったのは残念だが(同じ画題で風神雷神図との関連の薄い六曲一双屏風は展示されている)、『夏秋草図屏風』の草稿が展示されているのは何とも嬉しい。実に構成の巧みな好企画だった。勉強になりました。
さて、抱一の『夏秋草図屏風』(1821)だが、ちょうど先日まで東京国立博物館・本館7室での展示が行われていた。そんなわけで、9/18の最終日に滑り込み。敬老の日ということで、入館料が無料というおまけ付き。しかも国立博物館の平常展は、一部を除いて作品の写真撮影がOK(もちろんフラッシュはNG)と来ている。おお、太っ腹。
展示室を訪れると、東京芸大の学生さんによる『夏秋草図屏風』の解説が始まったところ。資料をもらって、興味深く拝聴させていただいた。
写真の方は全部ピンボケ。無念。
この屏風絵はもともと光琳の『風神雷神図屏風』の裏側に抱一が描いたもので、1974年に保存のため分離された。その構図や画題の選択には表側との様々な符合があることが知られている。
金地に浮かぶ天上の神々。応える野の草花は銀地を背景に匂い立つ。瑞々しく、かつ装飾的で、夢の光景にも似た抱一晩年の表現は、180年以上を経た今でも斬新なままだ。
国宝 風神雷神図屏風「宗達・光琳・抱一/琳派芸術の継承と創造」
「重文 夏秋草図屏風 酒井抱一筆」 公開
あー!勝野さん達も行かれてたんですねえ。
いいですよねー
今日はお疲れさまでした。
>ぺすかさん
昨日はお疲れさまでしたー。夏秋草図屏風、ホントに最高でしたね。また見たいなあ。でも今度の公開はいつになるんでしょうか。。。