9/26。秋雨の中、ライカ銀座店へ行ってみた。2006年4月にオープンした世界初のライカカメラ社直営店舗。内外装デザインを手がけたのは岸和郎+ケイ・アソシエイツ。
華奢なフレームを持つガラスのハコがビルの正面にはめ込まれたような外観。
素っ気ないファサードデザインに赤丸の突き出しロゴサインが良く映える。写真ではほとんど見えないが、ガラスのすぐ内側にある建築本体の柱を覆う造作には、ライカのロゴが無数にプリントされている。
ガラス越しに見た店内(写真左)。外部に面したショーケースは無く、歩道との間にはゆったりとした直方体の空間がとられ、ベンチが設えてある。設置部を切り欠いたエントランスゲートのディテールにはどんな意味があるのか気になるところ。
圧巻なのはインテリア。遠目には黒、白、赤の三色による単純な構成にしか見えない空間には、実のところ驚くほど多様な質感がちりばめられている。黒い部分だけでもガラス、木、アルミ、シルクの布団張り、と言った具合。それらは圧倒的に繊細なディテールと豊かな質感を伴い、私たちの目の前へ次々と静かに登場し、店内を整然とゾーニングする。
残念ながら透明アクリルの什器には接着施工の不十分な箇所が目立ったものの、他は完璧以上の仕上がり。照明器具や空調設備の納まりにも一切抜かりが無い。その品質の高さはライカカメラに劣らないどころか、凌駕している面さえあるのではないかと思わせる。そこを望んだ上で、初の旗艦店を日本につくり、岸氏をキャスティングしたのだとすれば、ライカの慧眼は確かなものだ。施工を手がけたのは美留土。
1Fのフロアは60平米ほど。2Fはサロンと呼ばれるスペースで、写真作品の展示が行われている。現在はセバスチャン・サルガドの展覧会『INDIA』が開催中。
コンパクトながら、随所に余裕とクオリティを感じさせる空間は、カメラ愛好家だけでなくインテリア・建築関係者にも必見だ。控えめな中にこれほどの凄みを感じさせる物販店には、滅多にお目にかかれるものではない。
ライカ銀座店/東京都中央区銀座6-4-1東海堂銀座ビル1,2F
11:00-19:00/月休
デザイン好きの心をくすぐるモノと空間 - ライカ銀座店(JAPAN SHOP)