10/13。ジェニー・ホルツァー展を見てから蔵前で整体。夕食は浅草で。浅草では『大昌園』、『本とさや』などに並ぶ有名焼肉店『金楽』を初めて訪れた。場所はたぬき通りの南側。
かなり古そうな木造の店構え。ちょっとあり得ない場所に業務用の大型冷蔵庫が置いてある。暖簾をくぐり、丸きり家庭的なアルミサッシの引戸から店内へ。時間が比較的早かったせいか、店内は割合空いた状態。2名と告げると店主と思しい年配の男性が1Fの右半分を占める座敷中央のテーブルを指差した。
無事座ることができて、若干ザマスな眼鏡の女性(奥様だろうか)に飲み物を注文。店内を見回すと、入口側に恐ろしく急な階段があるのが分かった。私たちの後に2Fへ通された客は、その手前で脱いだ履物を手に持って階段を上がってゆく。道路境界線上の冷蔵庫といい、なかなかいい感じにデンジャラス。
ほどなくハラミ塩2人前が登場。分厚い。テーブルに埋込まれた遠火の七輪でじっくり網焼きしてから一口。味付けは極めて控えめだが、濃厚な肉そのものの風味がひろがる。これはまるで旨味の塊だ。
続いて上カルビとホルモン、ミノ(全てタレ/1人前)。脂分の少ないホルモンとさくさくのミノ、そしてさっぱりと上品なタレに、素材そのものの味を重視するこの店の姿勢を確認。上カルビの味付けだけはやや濃いめ。赤身の旨さが勝っていたので、これはこれでアリだろう。
続いてキムチとタン(タレ/1人前)も注文。タンはやはり分厚く、歯ごたえはさっくり、それでいて頬張ると見事な弾力。さらにハラミ(タレ/1人前)を追加。これまた控えめかつ効果的な味付けが肉の旨味を引き立てる。
ふと気付けば店内はほぼ満席。開けっ放しの入口の外には順番待ちの姿も。やはりこの辺りではかなりの人気店のようだ。
皿が空くと店主氏が片手を差し出すので「はいよ」と渡す。愛想は無いし、日本語はあまり得意では無さそうだが、たまに客の冗談に意外なボケで応えたり、予約して来た人の席が無くなっていて眼鏡の女性に叱られたりしているのを見ると、なかなか魅力的な人物に思えて来る。
最後に注文したテグタンの素晴らしさにも驚いた。どう見ても(食べても)ユッケジャンクッパなんだけど、それはこのさい置いとこう。鮮やかな辛味を豊かな風味が優しく包み込む逸品だ。
肉の持つ野性味とクオリティをシンプルに、かつ最大限に堪能できる店。雰囲気とサービスは庶民的だが、値段も庶民的なのが嬉しい。ハラミ史上最強。
金楽/東京都台東区浅草1-15-4/03-3844-3357
12:00-23:00/第2火休