11/3。新プロジェクトに向けてインテリア、雑貨、ステーショナリーなどを扱うショップをいくつか視察。中でもデザイン的に最も感心したのが銀座松坂屋B2Fにある『finerefine』(ファインリファイン)。大手アパレルメーカーのワールドが展開するインテリアライフスタイルストア。2005年3月にオープン。インテリアデザインを手がけたのは小林恭氏、小林マナ氏が主宰する設計事務所イマ。
まずはその規模の大きさに驚いた。エスカレーターを下ると、松坂屋本館のB2Fほぼ全てが『finerefine』だ。
広大なフロアはスケールの大きな什器やパーティションによっていくつかのエリアにざっくりと、かつ明快に区切られている。造作にはルーバーや窓が多用され、視線は隣接するエリアからエリアへと自然に誘導される。床にはクルミの無垢材が敷き詰められ、白いペイントによる塗り分けが売場と動線との境界を示す。天井はほぼ全面スケルトンで、造作らしいものはほとんど無い。
什器類の多くはラワン下地にペイントを施したもの。木地を生かした優しい質感が、他の大型インテリアショップとは一線を画するこの店の大きな特徴となっている。さりげない装飾性と、什器としてのフレキシビリティを、極めてシンプルなディテールで同時に実現するデザイン手法が実に見事。
また、写真ではよく見えないが、enamel.によるグラフィックワークが要所でアクセント的な役割を果たすと同時に、空間全体に統一感を与える存在となっている点は興味深い。
全体を通して、まさにローコスト・ハイクオリティの見本のようなショップデザインだと言える。このスケールの物販店をこれほどぶれ無くまとめあげるために要する努力とセンスは並大抵のものではないだろう。大変勉強になりました。
さて、商品へと目を向けると、その価格帯は最近のインテリアショップとしてはかなり高額だ。家具に関しては10万円以下の商品はほとんど無い。100万円前後のチェストやソファが当たり前のように置いてある様子は今や新鮮ですらある。デザイン的にはクラシカルな形状に現代的なカラーリングや仕上げを施したものが多い。都心のマンション高層階にシャンデリアを吊るしてしまうような人種が好みそうなテイスト、と言ったら語弊があるか。
『finerefine』の優れたショップデザインは、その内実がコストを切り詰めたものでありながらも、バブリーな商品群を取り込んで違和感が無い。しかし、おそらくこの店を訪れる人の多くはこのショップデザインの素晴らしさに気付くことはないのだろう。
立派なインテリアアイテムを揃えはしても、空間そのものの貧しさには気付かない。この店のマーケティングがそんな人たちに向けられているのだとすれば、あまりに出来過ぎだ。
この間は楽しかったです。この小林マナちゃんは実家が近くだったり、共通の友達がいたりと、不思議なつながりです。もうしばらく会っていないのでみんなでパーティーでもしたいですねぇ。
>ライターさん
先日はどうも!『finerefine』のデザインを手がけた方とお知り合いとはびっくり!機会があればぜひともお会いしたいなあ。それまでにいくつか作品を拝見して予習しておきます。