2/20。代官山でマンションリフォームの現場をチェックした後、Kata(形見一郎さん)が内外装デザインを手がけたカフェ『holy』を初めて訪れた。オープンしたのは2005年。
場所は駅から恵比寿方面へ少し歩いた裏手にある低層ビルの半地下フロア。ガラスと黒板が嵌め込まれた外装から薄塗モルタルのボリュームがインテリアへとそのまま繋がって行く。
天井高さはさほど無い。キッチン、WC、スタッフルームは区画左側にコンパクトに配置され、40席弱のフロアは割合ゆったりとしている。
店内奥にスリット状のガラス窓が設けてあり、隣地との間に植えられたちょっとした植栽がライトアップされている様子が見える。区画右側にある細い屋外階段のスペースも一部がガラス張りで、下りきったところに小さな木が一本。こうしたスキ間の使い方が、店内の硬質な空気感を実にいい塩梅に和らげる。
テーブルは木目調のメラミン化粧板貼。グレーのファブリック張りの木製チェアはオリジナルだろうか。
キッチンはフロアに対して完全にオープンで、キッチンスタッフの手元も洗剤も調味料も、何もかもがよく見える。潔いことこの上無し。キッチンカウンターは黒い人工大理石で、配膳スペースやカトラリー類などの収納が一体化されている。フロアから見た腰高の部分にはメニューが手書きされ、黒板的な機能も果たす。スマートで洒落ている。
角砂糖の包みにはTable Modern Serviceのロゴがあった。おそらくこの店も山本宇一さんとの関わりがあるのだろう。フードは鮪とアボカドのタルタル、イベリコ豚の自家製ソーセージ、オムライスなどを注文。十分に美味しく、値段はリーズナブル。深夜までの営業時間も嬉しい。今後は『dcb』と合わせて利用させていただこう。
過去に見た形見さんデザインの飲食店の中では最もシンプルで、骨太な印象のある空間。しかもディテールまで見事に洗練されている。もっと早く見に来ればよかった。大変勉強になりました。
holy/東京都渋谷区恵比寿西2-19-8/03-5456-3363
11:00-深夜/水休
Kata(形見一郎)
中目黒・くろひつじ(November 15, 2004)
2/16。MOKAさんご両人に連れられて渋谷・のんべい横丁へ。東京に暮らして十数年目にしてこのエリアに足を踏み入れたのは初めて。横丁の写真を撮るには事前許可が必要なのだそうだが、とりあえずクレームの類いが来るまでは載せておく。
横丁はJR山手線の高架と二列の木造長屋に挟まれた二本の通りからなる。通りは真っ直ぐに平行しており、その両端には共同のトイレ。面積、店舗数はさほど大きくはない。実にコンパクトで、シンプルな構造の横丁にはカオティックな印象は無く、むしろ合理的に整理されている。地上階にある店舗はどこもせいぜい2、3坪かそれ以下の規模。建具一枚を隔てた中では小さなカウンター周りに十人くらいの客がぎゅうぎゅう詰めで肩を寄せ合っている。ここで飲むには客の側に一定の節度が必要だ。
この日私たちが連れて行っていただいたのは焼鳥の名店として名高い『鳥重』。大串のビジュアルとその味のインパクト、三交代予約制の営業形態、思わず驚愕する勘定の安さ、などなど、この店については多くの人に語り尽くされている。
調理と接客を一手に引き受けるおばちゃんの絶妙な場の仕切りと美しい言葉使いは、小さな空間と限られた物資を最大限に有効活用するための知恵そのものだ。おそらくのんべい横丁はそうした知恵の集積で成り立っている。
鳥重/東京都渋谷区渋谷1-25-10のんべい横丁
18:00-,19:30-,21:30-(三交代予約制)/日祝休
*電話番号は原則として非公開
2/15。夕刻、丸の内『studio graphia』現場へ。
一通りの塗装仕上が終わり、ちょうど主な什器類の搬入作業が進行中だった。
オフホワイトとダークグレーに塗り分けられた空間はいよいよ明快さを帯びてきた。しかし本来ぴったりと合っていなくてはならない下がり天井のラインと通路側の正面ショーケース什器の設置ラインに20mmほどのズレがあることが発覚。どうやら天井の下地LGSが部分的にきちんと垂直になっていなかったようだ。施工担当のCAリーディング・田代さんは「一度天井を落として作り直します」とのこと。その意気や良し。
続々と到着する什器類をひとつひとつチェック。そのうちいくつかは一旦工場に引き揚げて加工し直すことに。
壁際スリット内のダウンスポット(上の写真左)は、ディベロッパー側の業者さんに上手く納まりが伝わっていなかったらしく、これまた要修正。上の写真右は腰高のショーケース什器下台。この上に後日ガラスケースが取付けられる。
サインが取付けられて少しだけ店らしい外観に(上の写真左)。下の写真右の四角錐も什器のひとつ。唐突な感じはイメージ通り。
2/12。『エットレ・ソットサス 定理に基づいたデザイン』を見た。会場であるShiodomeitariaクリエイティブセンター周辺の張りぼてイタリア街な環境デザインは目眩がしそうな酷さ。しかし幸い展覧会は予想以上に素晴らしい内容だった。
会場には十数点の家具作品と、数点ずつのリトグラフ、セリグラフが展示されている。様々なプロダクトのイメージドローイングを思わせる平面作品だけでも見応え十分だが、圧巻なのはやはりエットレ・ソットサス氏が60年代から80年代にかけてデザインした貴重な家具たちだ。
特に興味深かったのは『スーパーボックス』と名付けられたシリーズ(1966)。これらはすべて単純な直方体のフォルムを持つ高さ2mほどの収納家具で、そのグラフィカルでフラットな表面ゆえに強烈な存在感を持つ。ディテールは限りなくシンプル化され、メラミン化粧板をトメ(部材を45度で突き合わせること)で収めるテクニックが平然と用いられている。これには正直驚いた。
一方、79年以降にデザインされた家具シリーズはがらりと様相を変える。様々な形態が不思議なバランスで連なるその造形はなんともミステリアスで、いつまでも見飽きることが無い。
展覧会に添えられた前文もまた簡潔ながら心打たれるものだった。
リンクの下はその一部抜粋。
エットレ・ソットサス 定理に基づいたデザイン
SOTTOSASS ASSOCIATI
2/9。午後に丸の内『studio graphia』現場へ。塗装の下地工程が進行中だった。
床のモルタル打ちが完了し、フロアは段プラで養生(作業で汚れたりしないようカバーしておくこと)されていた。壁際にずらりと並ぶ棚什器の設置はほぼ完了。内装造作は全面パテとヤスリがけでフラット化され、白い空間ボリュームが出現。
天井面と床面とを繋ぐギザギザの金属パイプ造作も取付けられていた。溶接とメッキの仕上がりがなかなかいい感じ。
塗装下地の状態も見たところ悪くない(照明が点灯するまでは安心できないが)。ディベロッパー側工事の照明器具や空調設備などの穴あけは、ほぼ図面通りの完璧な配置。大きな心配事がひとつ減った。
店内最奥の壁を覆うナラ材の棚什器が到着。デカい。棚什器下の引出収納には一部ステンレスロッドの取手が取付けられていた。全ての取付が終わると、マップケースがずらりと並ぶようなビジュアルになる予定。
引き締まった空間にはなって来たが、造作パイプの強度、什器のメラミン化粧板の仕上がりなど細かいところが気になりはじめた。
この現場もいろいろありそうだ(って毎度書いているような)。
2/7。打合せの帰り道で『HABUTAE』と言う店を発見した。日暮里バスターミナル前のゴチャゴチャした環境の中で、黒いパネルに覆われたフラットな外観が静かに異彩を放つ。1819年創業の老舗『羽二重団子』の駅前支店として2003年2月にオープンしたとのこと。
店内は大理石張りの大きなサービスカウンターと通りに面した客席カウンター、フロア中央に置かれた変形五角の大テーブルで構成されている。天井面はサービスカウンター上から扇状にひろがるリブ造作に覆われ、床のタイル張りパターンもそのラインに呼応したもの。チェアの背には団子のマークがくり抜かれていて、なかなか可愛らしい。
テーブルにもカウンターにも高さのあるものは置かれておらず、席に着くと店内に視線を遮るものは何も無い。インテリアはその質の高さを保ちながら通りとひと繋がりになる。
いただいたのは羽二重団子(下の写真左)とHABURTAEアラカルト(下の写真右)。香ばしく腰のある団子が美味い。
羽二重団子のパンフレットを見ると、かつて(大正辺りまで)日暮里は文人の好んで集まる風光明媚な別荘地だったとのこと。今では想像することさえ難しい。今度この辺りの地図を良く眺めてみることにしよう。
お土産を購入して外に出ると、何となく日暮里の街並がさっきまでとは違う輝きを纏って見えた。いい店だ。果たしてどなたが設計なさったのだろうか。
HABUTAE(羽二重団子日暮里駅前店)
東京都荒川区東日暮里6-60-6-103/03-5850-3451
10:00-20:00(日祝-19:00)/年中無休
2/3。千葉学展を見てから築地へ移動。以前から噂に聞いていた『寿司大』本館へ。18:00過ぎに到着すると、すでに店の前には行列ができつつあるところだった。晴海通りに面したベンチで七輪にあたりながら順番を待つ。幸い2、30分で入れてもらうことができた。
店舗は小さなビルの1、2F。各階に11席ずつのカウンターがあり、それだけでフロアはほぼ一杯。ぎゅうぎゅう詰めのスツールに身体を押し込んで、店長おまかせのセットと穴子きじ焼きを注文。
ほどなく次々と登場した江戸前寿司は、店構えとは不釣り合いなほど見事に容姿端麗だった。とにかくあまりに狭く、目と鼻の先に職人さんがいらっしゃるため、さすがに写真を撮ることは断念したが、そのことが悔やまれる。ネタも仕事も素晴らしい。穴子きじ焼きの香ばしさも忘れ難い。4、50分で平らげ、大満足で勘定を頼むと二人で1万円でおつりが来た。なるほど、寒空に並んで食べるだけの値打ちは大有りだ。
さらに人形町へ移動して『志村や』で一杯。つまみにチーズと乾燥イチヂクを頼んで、こちらは二人で1800円とまた申し訳なくなるような勘定。
この日のコースは今後定番となりそうな予感。早い時間からだと『おまけや』を出発点にするのもいいかもしれない。ビバ・東東京。
寿司大/東京都中央区築地6-15-8/03-3541-3738
10:30-4:00(日祝11:00-22:30)/無休
2/3。『千葉学展 そこにしかない形式』を見に行った。展示されているのはそれぞれ建物の周辺環境までが表現された大型の模型7点。以上、それだけ。
上の写真は『Iプロジェクト』(2008・予定)の模型。来場者は森の中を移動ながらゆっくりと建物へと近づく。
下の写真左は木立の中に置かれた『八ヶ岳の別荘』(2004)の模型。右は中庭の隅に置かれた『御殿山プロジェクト』(2006)の模型。
スケールもプログラムも異なるプロジェクトは、みな周辺環境のなかでその敷地のもつ特性を千葉氏の視点で解釈することから導き出されたユニークな手法でデザインされている。立ち上がった模型をじっくり眺めても、共通のスタイルなど見当たらないし、建築家の個性も希薄にしか感じられない。むしろその点にこそ千葉氏のオリジナリティが存在する。
建築というジャンルにおいて「そこにしかない形式」という題目は素朴なもので、特に目新しさは無い。しかし「そこに建物をデザインすること」がこれほどシンプルかつ豊かに表現された展示はかつて他に見たことが無い。デザインの本質がものの見た目やスタイリングとは別の次元にあることを実感することのできる優れた展覧会だった。
ところで、ギャラリー間から徒歩圏内の六本木ヒルズ・森美術館でのイベント『日本美術が笑う』では、展示デザインを千葉学氏が手がけている。これがまた面白い空間なのだが、その話題はまた機会があれば。
千葉学展 そこにしかない形式(ギャラリー間)
千葉学建築計画事務所
恵比寿のギャラリー(August 19, 2006)
1/30。丸の内『Studio Graphia』の現場チェックの後、大手町ビル地下の『野らぼー』大手町店で昼食。『野らぼー』は千代田区、中央区に計7店舗を構える讃岐うどん店。ちょうどお昼時とあって店の前には10人あまりの行列。それでも50席のキャパシティと高回転率のおかげでほどなくテーブルに着くことができた。
実を言うと、何年か前に神田錦町の本店を訪れて以来、この店の味にはあまり良い印象が無かった。しかし、後々冷静に考えてみるとその際は午後の比較的遅くに釜玉を食べたんだった。おそらく時間も悪ければ頼んだものも悪かったのだろう、と思い再訪。
上の写真はおろしぶっかけ。本場の名店に比べるとこしやのびやかさに劣ることは否めない。それでもつややかなうどんは十二分に讃岐うどんとしての資質を備え、生き生きとしている。美味いではないか。近日中にレモンに切り替わるとのことではあったが、チェーン店でこの季節まですだちを提供している点も好感度大。
上の写真はひやあつの大。いりこの効いた出汁は風味豊かながら若干しょっぱい気も。この辺は好みの問題と言って良いかもしれない。合わせて頼んだのは煮干天と赤ちくわ天(煮干天に埋もれている)。かけうどんとの相性は実に素晴らしい。
そんなわけで、久しぶりの『野らぼー』の味はうどん好きを納得させるに足るものだった。今のところ多店舗展開が比較的近い距離内に収まっているのは、そのクオリティを保つためであると思いたい。近々本店の方にも再度伺ってみよう。
野らぼー大手町店/東京都千代田区大手町1-6-1大手町ビルB2
03-3287-0023/11:00-14:00(LO),17:00-21:30(LO)/土日祝休
怒濤の年末年始も2月に入ってようやく終息を迎えつつある。11月時点で4つあった仕事は、ひとつが完成し、ふたつが途中で無くなり、またひとつ増えた。現在は店舗と住宅の現場が同時進行中。
以下はそんな状況下で無理矢理時間をつくって見に行ったイベントなどの簡単な覚え書き。
12/12。柳家小三治独演会を銀座ブロッサムへ見に行った。教育問題を枕に会場を大いに湧かせた後の演目は『大工調べ』。与太郎の間抜けぶりが最高だ。家主との口論の場面で終了。
中入りを挟んで『小言念仏』。最初の枕がかなり長かったため、こちらは手短に。独特の間合いで十二分に笑わせていただいたが、もう少し聞きたかった気も。また別の機会を楽しみにしよう。
柳家小三治(Wikipedia)
12/16。勅使川原三郎『ガラスの牙』を新国立劇場へ見に行った。ステージは大量のガラスの破片を敷き詰めたふたつのエリアと、その周辺で展開される。以前に見た『KAZAHANA』(2004)や『LUMINOUS』(2001)に比べると、セットもライティングもつくり込み自体はシンプルだが、ガラスの反射光の使い方が実に巧み。空間全体の表情が繊細に、刻々と変化する光景を目の当たりにして思わず息を呑む。
ダンスのテンションの高さはさらに強烈だ。特に勅使川原氏のソロパートは凄まじく、空恐ろしいほど。他のパートでのマイクを通した囁き声や叫び声、ひょっとこ踊りのようなユーモラスな動きも印象に残った。
1/3。TOHOシネマズ錦糸町で『鉄コン筋クリート』を見た。果てしなく重層する背景画によって作り上げられた世界と、その中を自在に飛び回り、加速減速するキャラクターたち。これは2Dアニメの限界を突破した21世紀の絵巻物語だ。
声優陣も、Plaidによる音楽も素晴らしい。演出的には終盤クロの精神世界を描くシーンが個人的に今ひとつ感情移入し辛かったが、他のまとめあげ方は見事。原作の感動を削ぐこと無く、質の高い映像作品となっている。
しかし最後の最後に流れるアジカンは最低。明らかに蛇足で、映画を汚している。
1/8。スターパインズカフェで近藤等則 ULTRA SESSIONS 2007 VOL.1の3日目を見た。正確無比な湊雅史のドラム、自由な展開を生み出す高田宗紀のターンテーブル、そしてメンバーを煽り、轟音を繰り出すレックのベース。ジャンル分け不能なグルーブを漂い、時に金切り声を上げるエレクトリックトランペット。フロアも終止大変な盛り上がり。
この日の近藤氏は心底楽しそうだった。20年ほど前に何度かみたIMAのライブではあり得なかったことだ。彼が日本のオーディエンスに失望して渡欧し、メジャーレーベルでは作品を発表しなくなってからずいぶん経った。おそらくその間に時代は変わったのだ。
年始早々凄いものを見た。幸先いいぞ。
近藤等則(Wikipedia)
1/30。午前中に丸の内『studio graphia』現場へ。軽量鉄骨(LGS)組と石膏ボード貼の作業がほぼ終わり、全体の空間ボリュームが把握できる状況になった。
上の写真は前面通路からテナント区画を見たところ。塗装業者さんがボードの突き合わせ部分に白いコーナー材の貼り付け作業中。今後さらに造作全面に寒冷紗とパテが施され、本格的な下地作りがスタートする。
新丸ビルでは、電気や空調、防災設備などの工事は全てディベロッパー側で行われる。必ずしも内装側の意図を汲み取りながら作業をしてもらえるとは限らないので、要所で入念なチェックをする必要がある。この日は天井面の設備点検口の位置が数センチほどズレている箇所を発見。設備業者さんに修正の要望を伝えていただけるよう、シーエーリーディング・田代さんにお願いする。
2時間ほど現場に居た後、退出間際に内装仕上げの塗装色サンプルを確認。基本はオフホワイトとダークグレーで、什器類に使用するメラミン化粧板との色合わせ。こちらも要修正。
今回もデザインがシンプルなだけに、フラットな面の仕上がりと各要素の間合いとが、空間の質をほぼ決定してしまう。さて、どの辺までもって行けるか。
1/16。11月から急ピッチで設計を進めていたデザイン雑貨店『studio graphia』の工事がはじまった。場所は先日ボヤ騒ぎがあった新丸の内ビルディング内。4/27のオープンに向けて、現在ビル環境部分も含め工事の追い込みが進んでいる。『studio graphia』のテナント区画は4Fの53平米。同じフロアには物販を中心に30ほどの店舗が軒を連ねる。ビル全体の店舗数は150以上。
1/19。工事開始後最初の現場打合せ。墨出しが終わって、区画内には軽量鉄骨や石膏ボードが山と積まれていた。本格的な作業開始を控えた空間に、静かなエネルギーが充満しているように感じられる。下の写真右側はモルタル打ち前の床下配管が分電盤の位置まで延びた様子。
施工担当はシーエーリーディングの米澤さん・藤倉さんと田代さん・菅根さん。現場寸法と墨出しの状況を確認後、現場向かいのDEAN & DELICAで造作細部についての打合せ。皆さんの年齢が自分たちよりも一回り以上若いことを知って思わずガックリ。
1/12。spiralで手塚愛子展『薄い膜、地下の森』を見た。
展覧会タイトルとなったのは吹き抜けに設置された大作。直径7mの円形のスチールフレームに帆布を張り、毛糸で刺繍を施したもの。
刺繍面の下にはおびただしいボリュームの毛糸が垂れ下がっていた。フラットなパターンを描くために織られた5万本の毛糸は、造形的・空間的存在であると同時に、制作に費やされた気の遠くなるような時間と作業量そのものでもある。
他にも会場には織物を素材とする大小の作品が多数展示され、それぞれに興味をそそられた。
一見うすっぺらな情報の背後にあるものをシンプルかつ緻密な手法で暴き出すやり方は、素材の古めかしさに反して極めて現代的だ。
手塚愛子展『薄い膜、地下の森』(January 5-18, 2007)
1/1。ヤギ弟のプリウス号で空港へ向かう途中、たらいうどんを食べに行った。今回向かったのは『松乃家たらいうどん』。
どこで食べても、見た目はまったく代わり映えの無いのがたらいうどん。しかし味については店ごとに特徴がある。『松乃家たらいうどん』は濃厚なじんぞくの出汁とつややかな麺が持ち味。
うどん以外のメニューのクオリティも高い。写真左は定番の沢蟹の唐揚げ。右はこの日初めていただいたじんぞくの唐揚げ。ビジュアル的にはかなり危険な感じだが、これがなかなか美味い。
宮川内谷川の流れと、その河原に点在する店の建物群を眺めつつ、久方ぶりの味に多いに満足した。
松乃家たらいうどん/徳島県阿波市土成町宮川内字苅庭26/0120-21-4888
10:00-20:00/不定休
徳島・新見屋(January 18, 2008)
徳島・かねぎん坂野(January 3, 2006)
12/28。『きむらや』で玉子焼をいただいた後、『魚の棚商店街』でヤギの実家へのお土産を物色。1618年に始まる明石城の築城と城下の町づくりに伴って成立した商業地は、現在もその周辺に生活する人々から“うおんたな”と呼ばれ親しまれている。大漁旗を模したフラッグの舞う午後のアーケードはものすごい賑わい。
100以上の商店が軒を連ねる中で、扱われているのは多くが海産物とその加工品。獲れたての地魚が路上にひしめき、その間にこれまた大量のかまぼこやちくわなどなどが挟まった状態。
明石を象徴するキャラクターと言えば蛸。干物がずらりと吊るされた店先は、実にワイルドな雰囲気。
鰯ちくわと鯛ちくわ、それから焼き穴子の串を購入。夜になって、小雪の舞子から高速バスで徳島へ。