1/12。spiralで手塚愛子展『薄い膜、地下の森』を見た。
展覧会タイトルとなったのは吹き抜けに設置された大作。直径7mの円形のスチールフレームに帆布を張り、毛糸で刺繍を施したもの。
刺繍面の下にはおびただしいボリュームの毛糸が垂れ下がっていた。フラットなパターンを描くために織られた5万本の毛糸は、造形的・空間的存在であると同時に、制作に費やされた気の遠くなるような時間と作業量そのものでもある。
他にも会場には織物を素材とする大小の作品が多数展示され、それぞれに興味をそそられた。
一見うすっぺらな情報の背後にあるものをシンプルかつ緻密な手法で暴き出すやり方は、素材の古めかしさに反して極めて現代的だ。
手塚愛子展『薄い膜、地下の森』(January 5-18, 2007)