2/3。『千葉学展 そこにしかない形式』を見に行った。展示されているのはそれぞれ建物の周辺環境までが表現された大型の模型7点。以上、それだけ。
上の写真は『Iプロジェクト』(2008・予定)の模型。来場者は森の中を移動ながらゆっくりと建物へと近づく。
下の写真左は木立の中に置かれた『八ヶ岳の別荘』(2004)の模型。右は中庭の隅に置かれた『御殿山プロジェクト』(2006)の模型。
スケールもプログラムも異なるプロジェクトは、みな周辺環境のなかでその敷地のもつ特性を千葉氏の視点で解釈することから導き出されたユニークな手法でデザインされている。立ち上がった模型をじっくり眺めても、共通のスタイルなど見当たらないし、建築家の個性も希薄にしか感じられない。むしろその点にこそ千葉氏のオリジナリティが存在する。
建築というジャンルにおいて「そこにしかない形式」という題目は素朴なもので、特に目新しさは無い。しかし「そこに建物をデザインすること」がこれほどシンプルかつ豊かに表現された展示はかつて他に見たことが無い。デザインの本質がものの見た目やスタイリングとは別の次元にあることを実感することのできる優れた展覧会だった。
ところで、ギャラリー間から徒歩圏内の六本木ヒルズ・森美術館でのイベント『日本美術が笑う』では、展示デザインを千葉学氏が手がけている。これがまた面白い空間なのだが、その話題はまた機会があれば。
千葉学展 そこにしかない形式(ギャラリー間)
千葉学建築計画事務所
恵比寿のギャラリー(August 19, 2006)