life
life of "love the life"

落語初心者のメモ, 身体と空間の芸術 : 落語と一人喜劇

1、2月はなぜか落語を見る機会が少なかったが、今月は3本。加えてイッセー尾形の一人喜劇。

3/9。立川志らく独演会を銀座ブロッサムへ見に行った。昭和の三大名人に挑戦と銘打った高座での演目は『心眼』、『お直し』と『双蝶々』。どれも陰惨な内容の噺をどれだけ陽気に演じられるか、というのがテーマ。
志らく師匠の落語を見るのはこれが初めて。若干くぐもった言葉使いと、時折突発的に時事ネタを交えたりしながらの軽妙な話芸に独特の味わいがある。その場では大いに笑いながらも、後にはしんみりと重たい気分が残された。この感じはペドロ・アルモドバルか、北野武の映画を見た後にちょっと似ている。機会があれば志らく師匠の創作落語もぜひ見てみたい。

立川志らく

3/13。柳家花緑・林家たい平二人会を曳舟文化センターへ見に行った。
たい平師匠の演目は『お見立て』。お大尽を上手く騙そうとする喜助どんの芝居振りがみるみるエスカレートする様子があまりに見事で、お腹が痛くなるほど爆笑。たい平師匠の落語を見るのは昨年11月以来2回目だが、モダンで品格ある話芸に改めて感銘を受けた。今度は独演会を見なくちゃ。
花緑師匠を見るのは初めて。『不動坊』は以前に桂文珍師匠で見たことのある演目。両者を比較しながら興味深く拝見した。まだ独自の世界観を持つには到っていない印象ではあったが、仕草、動作の表現の仕方など抜群の演劇的上手さには見るものを引き込む力がある。今後が楽しみ。

林家たい平
柳家花緑(Wikipedia)

3/15。赤坂レッドシアターの『イッセー尾形のとまらない生活 2007 in 赤坂』10日目へ。イッセー尾形氏の公演にはここ1、2年プレリザーブに申し込んではハズれっ放し。念願かなって小さな劇場で見ることのできたステージは、想像をはるかに上回る洗練性と、アヴァンギャルドさを兼ね備えたものだった。この日最初に演じたのはムード歌謡グループ・東京ナイツの老齢のバンマス。大道具無し、BGM無し、照明効果無しの舞台にキャラクターが克明な姿を持って立ち表れ、その瞬間ステージは錦糸町のホテルのラウンジとなる。以降、数本の演目の間に幕は無く、尾形氏が舞台の脇で観客の眼にさらされながら着替えとメイクを行うことにも驚いた。なんと凄まじい喜劇か。

イッセー尾形

3/17。春風亭昇太・立川談春二人会を町田市民ホールへ見に行った。
初めて見た談春師匠は『大工調べ(上)』。高座の前にマッサージを受けて力が抜けたので、と与太郎の登場する噺を選んだそうだがどうして、凶悪で小賢い与太郎は実に個性的。長屋の大家との交渉でブチ切れた棟梁の啖呵はまさしくマシンガンのスピードと重量感。以前に小三治師匠で見たものとはまるで別物の『大工調べ』に談春落語の片鱗を見せていただいた。ぜひ独演会を見たいが、全然チケットが取れないんだよなあ。。。
昇太師匠を見るのは2度目。演目は『愛宕山』。小判欲しさに荒唐無稽な大暴れを見せる太鼓持ちのキャラクターはまさに師匠のハマり役。

春風亭昇太(Wikipedia)
立川談春

2007年03月31日 01:00 | trackbacks (0) | comments (0)

掲載誌・書籍など : Hair Salons

ベルギー・TECTUM社から2006年9月に刊行された『Hair Salons』という本に『fit』が掲載されています。

内容はタイトル通り世界各国の美容室を写真と簡単な英・仏・独文で紹介するもの。判型が大きく(B4変形くらい)ビジュアル的にはかなりの迫力がありますが、解像度の低い写真でも平然とでっかく引き延ばしてしまう辺り結構大味な感じです。掲載作品については洗練性より個性と言うか勢いを優先している選んでいる様子。全体的に濃ゆい印象がかえって新鮮です。

おそらく大いに好みの分かれる内容かとは思いますが、ところ変われば編集者のセンスも空間デザインのトレンドも決して一様ではないということを実感できる本。世界は広いです。

Hair Salons (amazon.co.jp)
Hair Salons (amazon.com)
TECTUM

2007年03月29日 07:00 | trackbacks (0) | comments (0)

掲載誌・書籍など : MEDICAL DESIGN

ドイツ・daab社から2006年11月に刊行された『MEDICAL DESIGN』という本に『つかさクリニック』が掲載されています。

本の内容は世界各国の医療施設や薬局の空間デザインを写真で紹介するもの。『JAPANESE DESIGN』『BEAUTY DESIGN』『YOUNG ASIAN ARCHITECTS』と同じシリーズです。日本で活動なさっている方では他に大石和彦建築アトリエ村松デザイン事務所が登場しています。

いろいろ有り過ぎてもうとっくに食傷気味なdaabのデザインブックシリーズですが、この本は興味深く見ることができました。特にドイツ、オーストリアの薬局や医療研修施設のデザインには優れたものが多いようです。
わずかに改善の兆しは見られるものの、日本ではこうしたジャンルのデザインはまだまだ軽視されがちです。本来最も手厚いケアが必要とされる空間が圧倒的に貧しいままであることの背景には、既存の医療産業の構造的な問題とともに、デザインと言うものが社会から浮ついた表層的なものとして扱われている状況が重く存在するように思います。その原因の多くは何よりデザイナー自身の浮ついた仕事ぶりにあるのでしょう。

デザインはお金儲けの道具としては広く認知されつつありますが、未だ社会からその価値を本当に受け入れられた存在ではないのだと思います。デザイナーにはもっともっと、精進が必要です。

MEDICAL DESIGN (daab)
MEDICAL DESIGN (amazon.co.jp)
MEDICAL DESIGN (amazon.com)

2007年03月28日 04:00 | trackbacks (0) | comments (0)

暮らしの道具たち : 三笘修の帯留

3/16。スパイラル・マーケットのイベントで陶芸家・三笘修氏の帯留を購入。

070325_mitoma_obidome.jpg

ストイックなフォルムと鈍い光沢のある質感がいい。

三笘修の陶器(September 22, 2006)

2007年03月27日 20:00 | trackbacks (0) | comments (0)

都市とデザインと, 食べたり飲んだり : 表参道・POISSON D'AVRIL

3/16。午前中に青山で打合せ。早めのランチを摂ってからスパイラル・マーケットの脇で開かれている帯留のちいさな展示会へ。移動中に気になる喫茶店を見つけたので、引き返して立ち寄ってみることにした。

エントランスは青山通りに面したビル1Fの、階段室のようなスペースの奥にある。看板はごくごく控えめで、注視しないと何の店がどこにあるのか分からないほどだが、赤いラインで描かれた魚のマークだけは記憶の片隅に残っていた。そう言えばずいぶん前からあったような。
壁に連なった魚のマークをたどると、サッシュレスガラスの向こうに柔らかい自然光の差し込む白い空間が現れた。表からは全く想像のつかない端正な店構え。

070316_poissondavril02.jpg

店名の『POISSON D'AVRIL』(ポアソン・ダブリル)は四月の魚(フランス語でエイプリル・フール)という意味だそうだ。オープンは2004年3月。

通路はキッチンカウンターを回り込むかたちでL字型にとられており、その中ほどに一枚ガラスの大きな窓がある。向こう側は隣のビルとの狭間。白くペイントしたコンクリートブロックで囲われた中にウッドデッキが敷かれ、ちいさな庭となっている。ウッドデッキの高さは客席カウンターの天面に揃えられ、ガラス越しに感じられる空間のひろがりが心地良い。黒いカウンタートップに庭が写り込む様子がまた実にいい景色。この日たまたま展示されていた藤波洋平氏の平面作品も、その柔らかな風合いが店内の印象にマッチし、上手く引き立て合う存在となっていた。

070316_poissondavril01.jpg

最奥は白い壁をくり抜いたような羽目板張りの凹みとなっており、集成材のベンチが設えられている。その手前にはテーブルと黒いプラスティックチェア(KartellのMaui)。モノトーンと素材の使い分けがなんとも絶妙。造作のディテールの美しさ、施工精度の高さにも思わず唸らされる。デザインを手がけたのは藤岡新(プラッツデザイン)氏とのこと。

070316_poissondavril03.jpg

メニューはほぼ珈琲、紅茶類とケーキのみ。丁寧にいれられた珈琲は十分に満足できる味わい(堀口珈琲で指導を受けられた模様)。軽く上品でなおかつしっかりとインパクトのある自家製ケーキは文句無しに素晴らしい。食器類のセレクトについてはそのセンスこそコンサバティブではあるが、良いものを妥協無く選ばれていることは明確に伝わる。

物静かな女性オーナーによる真っ当で清楚な喫茶店。ぜひ末永く繁盛してほしいが、できればあまり人に教えたくないような気もする。青山にあって今時貴重な、宝物のような店だ。

POISSON D'AVRIL/東京都港区南青山5-1-25-1F/03-3499-0867
10:00-19:00(土12:00-19:00)/日祝休

2007年03月24日 18:00 | trackbacks (0) | comments (2)

日々の生活と雑記, 都市とデザインと : graniph上野

3/16。『森谷延雄展』から京成線で上野へ。丸井の無印良品に寄ってから御徒町方面へ歩く途中『graniph』の前を通り掛った。

070310_okachimachigraniph.jpg

近年全国で展開されているTシャツショップ『graniph』の店舗には、簡素ながら風合いのある好感の持てるデザインが施されたものが多い。肝心のTシャツのデザインについては、グっと来るものはさほど多くはないのだが、ついつい訪れては買い物をしてしまう。

この上野店は中層ビルのちいさな一角に白く潔い空間を切り取っている。アメ横の混沌の中で浮き立つ様は、さながら街の句読点と言ったところ。こうして建具が開放され、店内が屋台のように通りと一体化すると、春はもうすぐそこだ。

graniph

2007年03月23日 03:00 | trackbacks (0) | comments (0)

都市とデザインと : 没後80年・森谷延雄展

3/10。佐倉市立美術館へ『没後80年 森谷延雄展』を見に行った。

森谷延雄(1893-1927)は昭和の最初期に家具デザイナーグループ『木のめ舎』を主宰した人物。ドイツ表現主義に啓発された独特の造形センスによって、黎明期にあった日本のデザインシーンに大きなインパクトを与えている。『木のめ舎』の活動は森谷の夭逝に伴い最初の展覧会のみで閉ざされてしまったが、そのメンバーは家具研究グループ『型而工房』へ移り、そこに在籍した豊口克平から『工芸指導所』を経て、やがて剣持勇らを代表格とするインテリアデザイナー第一世代へと繋がる潮流が生まれた。

そんなわけで、私たちもいちおうインテリアデザイナーの端くれであるからには、やや遠方ではあるがこの展覧会はぜひ見ておかなくてはならない。ご先祖様の墓前に詣でるような気分で京成電車に揺られる身となった。

正直なところ展示のボリュームにはさほど期待はしていなかったのだが、会場に着いてみるとその内容は思いのほか充実したものだった。東京高等工業学校(現在の東京工業大学)での作品に始まり、清水組(現在の清水建設)在籍時に手がけた様々なインテリアの写真と家具の実物、ヨーロッパ留学期に残した膨大な家具実測図、帰国後に手がけた博覧会施設のデザイン、とここまででやっと第一会場。

070310_sakura_nobuomoriya.jpg

森谷特有の清廉かつ詩的でどことなく乙女チックなデザインは、第二会場の冒頭で一気にそのピークを示す。帝都復興創案展のための家具スケッチ(1924)は、あえて実用性よりも着想の豊かさに重きを置いた連作。現代の目で見ると、不思議なことにインテリアデザイナー第二世代の境沢孝、あるいはポストモダンとの時空を超えた感性の繋がりを感じずにはいられない。

上の写真は第11回国民美術協会展に出品された3つのモデルルーム『家具を主とせる食堂書斎及寝室』(1925)に関する展示の一部。左が「鳥の書斎」の肘掛椅子で右が「ねむり姫の寝室」の腰掛。写真撮影は許可されていなかったが、このコーナーにはもうひとつ、展覧会のメインビジュアルに用いられた「朱の食堂」の肘掛椅子が展示されている。これらはBC工房によるリプロダクト。森谷のデザインをリアルに伝える展覧会のハイライトだ。家具のアップはこちら。脚や肘掛部分の控えめな装飾が印象的。

続く展示室には京都帝国大学(現在の京都大学)のインテリアと家具(1925)、聖シオン会堂の家具(1926)などが並び、森谷の最後の仕事となった『木のめ舎』の家具(1927)へと連なる。バウハウスもモダニズムも日本ではほとんど知られることの無かった時代に「安くて而も芸術上誤りの少ない家具を作り出して見たい」との思いから生まれた数々の木工家具は、どれも至って簡素なもの。その細部には森谷の研ぎ澄まされた感性と遊び心が漲り、胸を打つ。森谷は『木のめ舎』の展覧会準備中に倒れ、その初日を見ずに33年の濃密な生涯を終えている。

没後80年 森谷延雄展

2007年03月22日 01:00 | trackbacks (0) | comments (0)

食べたり飲んだり : 入谷・キッチンよしむら

3/9。午前中に代官山でマンションリフォームの完成・引き渡しの後、一旦アトリエへ戻るついでに近場でランチを摂ることにした。訪れたのは入谷の洋食店『キッチンよしむら』。開業は1953年。

070309_iriya_yoshimura01.jpg

入谷交差点から言問通りを浅草方面へ少し歩くと、ほどなく店は見つかった。看板は半壊状態で、古びたサンプルケースの中身はいい具合に日焼けした状態。店の正面の半分くらいはそのサンプルケースで塞がっていて、通りから中を伺うことはほとんどできない。あらかじめ評判を見聞きしていなかったらまず足を踏み入れようとは思わないであろうデンジャラスな店構え。

自動ドアをくぐると、すぐさま右手の細い階段を2Fへ上がるよう促される。1Fの大半はキッチンカウンターに占められ、もとはカウンター席として使われていたであろうスペースはすっかりパントリーと化していた。2Fには20席ほどのテーブルセットが割合ゆったりと設けられている。内装の古び具合はかなりのもの。おそらく開業当時から50年あまり、改装を重ねながらこの建物でずっと営業を続けて来たのだろう。窓際に落ち着いてビーフシチューとエビフライを注文。

070309_iriya_yoshimura02.jpg

このビーフシチューがなんとも素晴らしかった。とりわけドミグラスソースの深みとコクは驚嘆に値する。優しくまろやかな、正しい洋食屋の味わい。牛肉も野菜も嬉しくなるくらいにボリュームたっぷり。

070309_iriya_yoshimura03.jpg

エビフライの豪快な盛り付けには思わず顔がほころぶ。これまた食べごたえ満点。一緒に頼んだロールパンはペリカン製。大満足の洋食を久しぶりに堪能させていただいた。

考えてみれば、洋食店が新しくオープンしたと言う話しは最近ほとんど聞くことがないように思う。「日本における洋食」という料理様式は今後ますます希少化しそうだ。特にこうした庶民的な洋食専門店は、もしかするとそのうち無くなってしまう運命にあるのかもしれない。残るは高級洋食とカフェ飯、みたいな二極化した状況が避けられないとすれば、実に残念なことだ。

幸い私たちの生活圏内にはまだこうした洋食店がいくつも残っている。『キッチンよしむら』にもまた近いうちに足を運ばせていただこう。今度はハヤシライスかメンチカツあたりかな。

キッチンよしむら/東京都台東区入谷1-5-2/03-3872-0907
11:00-15:00,17:00-20:30(LO)/水休

2007年03月13日 18:00 | trackbacks (0) | comments (0)

ちょっといい風景 : 湯島天神・梅まつり

3/3。午後過ぎに湯島天神の梅まつりへ。

070303_yushimaumematsuri02.jpg

歩いて来れる距離にも関わらず、ここを訪れるのは初めてのこと。残念ながら梅はほとんど咲いていなかった(おそらく散ってしまったのだろう)が、建物のそこら中に梅をモチーフとする装飾が散りばめられているのを眺めては感心。境内中央の社殿(上の写真)は総桧造りの壮麗なもの。建て替えられたのは1996年とのこと。どうやって消防法をクリアしたんだろう?と思ったら、ホームページでその辺のことが少し触れられていた。20世紀末の都会のど真ん中に木造の社寺建築が新築されるとはなんとも素敵だ。

070303_yushimaumematsuri01.jpg

お参りを済ませ、梅よりも焼きそばソースのにおいの勝る人混みの境内から早々に退散。『うさぎや』でどら焼きを買ってから『ラパン』で一息ついた。

湯島天神

2007年03月07日 03:00 | trackbacks (0) | comments (0)

暮らしの道具たち : MUJIの消臭スプレー

先日ルミネ新宿の無印良品で購入した消臭・除菌スプレー。

コンパクトなサイズと素っ気無い外観(ちょっと爆発物っぽい)が気に入って以前から使っていたんだけど、一年くらい前から店頭でもネットショップでも見かけなくなっていた。どうやら久しぶりに復活したようだ。これでファンシーな柄や妙ちくりんな商品名の踊る消臭スプレーを使わなくてすむぞ。やれやれ。

070302_mujideodorantspray.jpg

一般的な消臭剤のデザインの酷さにもほとほと困るが、無印良品のラインナップの不安定さも大いに困ったものだ。消耗品は極力無印良品では買わないよう心掛けてるんだけど、この消臭スプレーだけは今のところ他に選びようが無い。

無印良品/消臭・除菌スプレー 180ml

2007年03月06日 10:00 | trackbacks (0) | comments (2)

仕事してるんです : studio graphia・中間チェック

2/23。夕刻、新丸ビル内『studio graphia』現場へ。内装造作・家具工事がほぼ完了したことに伴う中間チェック。クライアントのマークス・高城会長と阿部さんも立ち会い。

070223_studiographia01.jpg

いちおう什器類は図面通りに並べられたものの、ディベロッパー側工事の遅れのため、照明やコンセントの電源は相変わらず供給されないままの状態。エアコンのパネルもまだ付かないまま。

070223_studiographia02.jpg

モノトーンで整理された空間に微妙なノイズをもたらす鋭角的造形、というテーマがイメージ通りに達成されたことだけは確認することができた。

070223_studiographia03.jpg

造形としては上手く行った四角錐の什器だが、ガラス棚がどうにもグラグラし過ぎる。こりゃ作り直しかな。ショーケース内に仕込んだホワイトのスポットライトは、高城会長の希望でグレーカラーのものを特注製作して付け直すことに。

070223_studiographia04.jpg

もうひとつ「これはマズいよね」と高城会長がおっしゃったのが区画右側のフロア環境工事部分とテナント工事部分の見切。白いテナント工事壁に茶色い環境工事垂壁が無理矢理入り込んでいるように見える。設計時に調整期間が全く無かったため止むなくそのままにしておいた箇所だが、たしかに妙ちくりんな納まりには違いない。一同腕組みして、どうしたもんか、と唸る。

設計者が変更の要望を出したところで「退去時に現状復帰するならテナント工事で変更していいですよ」とマニュアル通りの対応をされるのがオチなので、マークス・阿部さんからディベロッパー営業サイドを通して話しをしてもらうことに。

幸か不幸か、4月27日のオープンまで時間はたっぷりある。
この現場、あと一波乱、いや、二波乱くらいありそうだ。

2007年03月05日 03:00 | trackbacks (0) | comments (0)

オルタナ系日本茶 : 碁石茶

2/21。昨年末の帰省時に吉野川ハイウェイオアシスで購入した碁石茶をようやく試してみた。原料となる茶葉の生産農家はただ一軒、製造者は二軒のみという阿波番茶よりもさらに希少な国産発酵茶。乳酸発酵の前にカビ発酵の工程があるのが製造上の最大の特徴。そのルーツは中国・雲南省から東南アジアにかけてのエリアにあるようだ。

070221_goishicha01.jpg

上の写真が碁石茶の茶葉。パっと見、国産茶とは信じ難いビジュアル。酸味と甘味の混じった海藻のような香りがする。

070221_goishicha02.jpg

煮出すと薄い金色に。出たては極めて上品で爽やか。柑橘類を思わせるほのかな酸味が漂う。思ったよりおとなしいな、と思いつつ飲み進むと、茶葉を嗅いだ時に感じた海藻の甘味が徐々に蘇り、冷めるに連れてまったりとしたコクを咥内に残すようになる。飲みはじめと飲み終わりの印象がこれだけはっきりと異なるお茶は他に味わったことが無い。実に豊かで、意外性のある体験をさせていただいた。

かつて(おそらく茶道が流布する以前の)日本のお茶は、現在からは想像もつかないような、複雑でひろがりのある味覚世界を形成していたのだろう。碁石茶を飲むと、そんなことを想像せずにはいられない。

2007年03月03日 04:00 | trackbacks (0) | comments (0)

掲載誌・書籍など : 大統領特赦(下)

3/1発行の新潮文庫新刊『大統領特赦』(ジョン・グリシャム著/白石朗訳/原題『The Broker』)下巻カバーにlove the lifeの撮影した写真が使用されています。帯の下に隠れてますけど、機会があれば書店で手に取ってご覧下さい。

070302_thebroker.jpg

写真は一昨年のイタリア出張時に撮影したものです。残念なことに関連プロジェクトは途中消滅してしまいました。で、今年1月になって、小説の舞台となるボローニャの夜景写真を探しておられた新潮文庫装幀部の大森さんが、このブログをご覧になって、あっという間に掲載が決定。世の中面白いこともあるもんです。

肝心の小説はまだ読んでいないのですが、『評決のとき』や『ペリカン文書』の作者による新作とのことで、なんだかとても面白そうですよ。

大統領特赦(下)(新潮文庫)

大統領特赦(上)(amazon.co.jp)
大統領特赦(下)(amazon.co.jp)

2007年03月02日 08:00 | trackbacks (0) | comments (4)

仕事してるんです : studio graphia・意匠パイプなど

2/20。代官山から丸の内へ移動。『studio graphia』現場へ。

070220_studiographia01.jpg

懸案だった下がり天井の作り直しが終わり(写真で見ると先日とほとんど変わらないが)、再度塗装工事の仕上げが行われているところ。

070220_studiographia02.jpg

棚什器側の天井にはギザギザの意匠パイプが取付られていた。自分でデザインしといてこう言うのもなんだが、唐突な存在感が面白い。しかし奇麗に付いたものだと感心。

070220_studiographia03.jpg

区画右側には共用通路に面した大きなガラス面が出来ていた。ガラス面に平行するスライディングウォールの設置も終わって、主要な工事はこれでほぼ完了。しかし細かな手直しはまだけっこう残っている。

それにしてもディベロッパー側工事の遅れが心配だ。いったい照明はいつになったら点灯できるようになるんだろうか?エアコンのカバーパネルも付いてないし。

2007年03月01日 00:00 | trackbacks (0) | comments (2)
back|mail
copyright