ドイツ・daab社から2006年11月に刊行された『MEDICAL DESIGN』という本に『つかさクリニック』が掲載されています。
本の内容は世界各国の医療施設や薬局の空間デザインを写真で紹介するもの。『JAPANESE DESIGN』、『BEAUTY DESIGN』、『YOUNG ASIAN ARCHITECTS』と同じシリーズです。日本で活動なさっている方では他に大石和彦建築アトリエと村松デザイン事務所が登場しています。
いろいろ有り過ぎてもうとっくに食傷気味なdaabのデザインブックシリーズですが、この本は興味深く見ることができました。特にドイツ、オーストリアの薬局や医療研修施設のデザインには優れたものが多いようです。
わずかに改善の兆しは見られるものの、日本ではこうしたジャンルのデザインはまだまだ軽視されがちです。本来最も手厚いケアが必要とされる空間が圧倒的に貧しいままであることの背景には、既存の医療産業の構造的な問題とともに、デザインと言うものが社会から浮ついた表層的なものとして扱われている状況が重く存在するように思います。その原因の多くは何よりデザイナー自身の浮ついた仕事ぶりにあるのでしょう。
デザインはお金儲けの道具としては広く認知されつつありますが、未だ社会からその価値を本当に受け入れられた存在ではないのだと思います。デザイナーにはもっともっと、精進が必要です。
MEDICAL DESIGN (daab)
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