2/21。昨年末の帰省時に吉野川ハイウェイオアシスで購入した碁石茶をようやく試してみた。原料となる茶葉の生産農家はただ一軒、製造者は二軒のみという阿波番茶よりもさらに希少な国産発酵茶。乳酸発酵の前にカビ発酵の工程があるのが製造上の最大の特徴。そのルーツは中国・雲南省から東南アジアにかけてのエリアにあるようだ。
上の写真が碁石茶の茶葉。パっと見、国産茶とは信じ難いビジュアル。酸味と甘味の混じった海藻のような香りがする。
煮出すと薄い金色に。出たては極めて上品で爽やか。柑橘類を思わせるほのかな酸味が漂う。思ったよりおとなしいな、と思いつつ飲み進むと、茶葉を嗅いだ時に感じた海藻の甘味が徐々に蘇り、冷めるに連れてまったりとしたコクを咥内に残すようになる。飲みはじめと飲み終わりの印象がこれだけはっきりと異なるお茶は他に味わったことが無い。実に豊かで、意外性のある体験をさせていただいた。
かつて(おそらく茶道が流布する以前の)日本のお茶は、現在からは想像もつかないような、複雑でひろがりのある味覚世界を形成していたのだろう。碁石茶を飲むと、そんなことを想像せずにはいられない。