新丸ビルのつづき。7Fは『丸の内ハウス』と呼ばれる飲食店フロア。プロデュースはheads・山本宇一さん。8店舗のインテリアはそれぞれ別のデザイナーが、共用部分のデザインはKata(形見一郎さん)が手がけている模様。
上の写真は24日のオープニングパーティーの時のもの。エスカレーターを上がると、共用部分の天井に埋込まれた大きなミラーボールがきらめき、常設されたDJブースからの音楽がフロアを煽っていた。いきなりの先制パンチに一瞬呆然とし、それから思わずにんまりとなる。この日、東京のど真ん中がクラブ、カフェカルチャーに飲み込まれたのだ。
通路からはドリンクを片手にテラスへと出ることが可能。ベンチやテーブルは固定され、建物の一部として設えられている。
テラスの東側からライトアップされた東京駅を見下ろすのはなかなか気分がいい。この5/30からは大規模な保存・復元工事がはじまるので、この簡素な屋根形状の東京駅が見られるのはあと残り2週間足らずかもしれない。2011年末には2つのドームを擁する新駅舎がお目見えする予定。
西側へと移動すると、前川國男設計の東京海上ビルディング。その向こうは皇居の森。
中華料理を提供するカフェ・ダイニング『SO TIRED』のインテリアはKata(形見一郎さん)のデザイン。カラフルなステンドグラス風のパーティションと大きな立体の店名ロゴが強烈な印象。チェアには教会用のものが用いられている。テラスから店内を見るとこんな具合。インテリアデザインと言うより、そこで飲食する客も含めてのインスタレーションと言った方がしっくり来るようなアーティスティックな空間だ。ジェニー・ホルツァー氏やバーバラ・クルーガー氏などの作品との関連を感じる。
升を思わせる照明器具が美しい『ソバキチ』のインテリアデザインを手がけたのは橋本夕紀夫氏。蕎麦を提供する居酒屋。バラバラに配置されたテーブル席を、フロア中央の立ち飲みカウンターとその周りの簡素で大胆な意匠が、見事にひとつの空間へと束ねている。
ビル内の他のフロアと同様に細い通路が多いため、ひとつのまとまったフロアとしての雰囲気はあまり感じられない『丸の内ハウス』だが、結果として生じた迷宮性を逆手にとって、路地裏のような雰囲気を作り出しているのが面白い。その最も裏手にある男子禁制のバー『来夢来人』にもそのうちぜひ行ってみたい(ヤギは行けないけど)。
山本さんにも少しだけご挨拶することができた。「やり切ったと思う」という力強い言葉が心に残る。
新丸の内ビルディング・decora、石月など(May 14, 2007)