7/8。渋谷・桑沢デザイン研究所に内田繁氏の展覧会「DANCING WATER - ミラノ’07作品展」を見に行った。展示内容は実に盛り沢山で、インテリアデザイナーの展覧会としては破格に見応えのあるものだった。
駐車場のスペースを利用したと思しい会場に入ると、いきなり3つの茶室が登場。手前から『受庵』、『行庵』、『想庵』(1993)。奥側2室の外観写真はこちら。
茶室の中にも入ることができた。上は『受庵』の内部。外形は単純な直方体だが、メッシュの透かせ具合が部分ごとに異なることから微妙な奥行き感のある空間が生まれている。『行庵』の内部は和紙に覆われている。閉ざされ、フラットで柔らかな光に満たされた空間はある意味最も茶室らしいもの。ヴェネチアンガラスやデコラティブな金属器を交えた茶道具が違和感が無くコーディネートされているのが面白い。『想庵』の内部にはランダムなメッシュが木漏れ日のような影を落とす。座して眺めるのもいいが、立ち上がってあちこち見回すのも楽しい。
透明のビニールシートに一輪挿しをあしらった『フラワー・スクリーン』(2004)を向こう側にまわると、ゆらゆらと波打つような光を背景に、ガラスの幹と枝をもつ樹を白い毛むくじゃらの生き物が取り巻いていた。これらは2007年のミラノサローネに出品されたインスタレーションで、それぞれに『ダンシング・ウォーター』、『グラス・ツリー』、『ムー』という作品名が付けられている。ひとつひとつサイズやかたちの異なる『ムー』は、腰掛けることもできるオブジェとも家具ともつかない作品。意外と安定感があり、このままセットでどこかに常設してあっても良さそう。
左側の赤いベンチと右側の黄色いソファは2003年にコトブキのためにデザインされたロビー用ファニチャー(『アルフィー』、『ソー・イン・ラブ』)。
上の写真左は『想庵』の裏にあった『ツリー』(2001)。木漏れ日のもとは樹を模した照明器具だった、という仕掛け。
写真右の小さなテーブルのシリーズは、それぞれ高さや形状、サイズの異なる天板に、部材の共通する三本脚のパーツを組み合わせたもの。年代・作品名は不明だが、この展覧会で内田氏が示したマスプロダクトと少量生産品、家具とオブジェのあいだに向けてのデザインアプローチが象徴された作品であるように思えた。このテーブルは『ムー』の兄弟なのだ。
90年代以降の内田デザインが、どこから来てどこへ向かいつつあるのかを俯瞰することの出来た貴重な展覧会。見ることができて本当に幸運だった。
帰り際、近著『普通のデザイン』を購入したところ、内田氏の似顔絵の金太郎飴をおみやげにいただいた。この春に内田氏が受賞された紫綬褒章のお祝いなんだそうだ。これまた大変有り難い。でも恐れ多くてとても食べられそうにないなあ。
内田繁「DANCING WATER - ミラノ'07作品展」
う。終わってしまった。。。。残念ス。
「ムー」、かわいーむー♪ ほしーむー♪
その前身のスツールもすてきだぁ。
それにしても。
ライター仲間の意見を耳にするたび、
内田さんのデザイン評価がイマイチ、正当でない気がするのが、スゲー悲しいです。
せめて学校の学生さんたちが、まっとうに感じてくれることを願う!
あ、間違えた。スツール→テーブルだった。
8月、福岡のイツパラッツォに泊まってくるです!
なんか知らんが、安かったので(笑)。
レストランとバーがありますが、バーは違う人のですね?
チェックしといたほうがいいポイントがあったら、教えてくだされ♪
>わらびさん
可愛かったよー『ムー』。あの薄気味悪さは明らかに意図的にデザインされたものだと思います。あなたにはぜひ見てほしかったなあ。。。
最近のデザインシーンでは、誰にでも分かりやすいデザインばかりが持ち上げられる傾向が強まってるような気がします。特に日本のデザインの大勢は「子供じみた」デザインかもしれません。いい大人としてはけっこうつまんないですよね。
そう言う意味で、内田デザインのある種「大人っぽい」世界を広く世間一般に分かってもらうことは難しいし、簡単に分かった気にならないでほしいとも思います。だいいち私たちにもまだ良くわからない(笑)。
内田先生のデザインには、熱く、静かな心持ちで接したいですね。ジャズでも聞きながら(家具の作品名に因んで)。今時そんな見方ができるがゆえに内田デザインは重要であり、楽しいものなんだと思います。
イル・パラッツォ情報、了解です。またメールしますね。
はじめまして!
内田繁氏の「DANCING WATER 」というワードを目にして・・・
こちらにつながりました。
(ご承諾いただく前に、茂木健一郎先生の掲示板に貼り付けてしまいました。)
誠に申し訳ありません・・・
ところで今、新宿高島屋にて、内田さんの作品が観られるようです。
(千住博・湯浅法子・内田繁の「風・水・光 和楽な露地」三人展9月25日まで)
ではまた~お邪魔いたしました。
>風待人さん
はじめまして!こちらへのリンクは全くの自由ですのでどうぞお気になさらずに。新宿高島屋でのイベント、ぜひ足を運んでみたいですね。情報を大変ありがとうございます!