12/14と12/19。浅草では『亀十』と並ぶどら焼きの有名店、『おがわ』を初めて訪れた。二日に渡ったのは『おがわ』に寿店と雷門店の2店があるため。開業年は不明。どちらも近くの有名鰻店『初小川』から分かれた兄弟店で、看板やパッケージにあしらわれた鰻のマークがそのゆかりを示す。そう聞くと「なるほど」とは思うのだが、通り掛って一見しただけでは何屋なのやら判断がつかない。
上の写真左が寿店、右が雷門店の店構え。どちらも立派な木戸に藍暖簾。店内の様子は歩道からはほとんど伺えない。
田原町の交差点から浅草通りを東へ進み、やや駒形橋寄りの角を右に曲がると、ほどなく右手に渋いトーンのグリーンのタイルが貼られた低層ビルが見つかる。寿店があるのはその1F。おそらく上階はお住まいだろう。ほの暗い店内には正面に小さなカウンター、右手にちいさな床の間風のディスプレイがあるだけで、その手前の空間は2、3人も立てば一杯になるくらいの狭さ。それでも和菓子店らしく整った風情に好感が持てる。
左手の壁にある品書きには何個詰めで幾ら、としか書かれていない。三角巾にエプロン姿の年配の女性店員さんに、どんな種類があるかをか訪ねたところ、小豆餡、白餡、鶯餡があるとのこと。小豆を2個、他を一個ずつ購入した。
一方、雷門店があるのは三方を高いビルに囲まれ取り残されたように佇む古い木造2階建の1F。建物は浅草通りに面しており、そばの信号を渡るとすぐの場所に寿店がある。木戸を開けると左手に縁台、右手にカウンター。店内はやはり狭く、カウンターの上には包装用の箱が積み上げられており、いささか雑然とした雰囲気となっている。どら焼きの種類は寿店と同じ。
上の写真は寿店のどら焼き三種。手前が小豆餡、その向こうが鶯餡で、いちばん奥が白餡。
上の写真は寿店(左)と雷門店(右)のどら焼き(小豆餡)の断面。サイズは寿店の方が小振り。皮と餡とのボリュームのバランスが両者では明らかに異なる。食べてみると味も大違いで、店名こそ同じではあるものの、ふたつの『おがわ』はどうやら全く別の店と考えた方がよさそうだ。
どちらが美味しいかと問われれば、寿店に軍配が上がる。その上品できめ細かな食感と豊かな風味は、『うさぎや』には及ばずとも十二分に素晴らしい。餡については、私たちの好みからすると、若干ながら砂糖甘さが強いように思われるが、やはりきめ細かで美味い。雷門店のどら焼きは、寿店に比べるとかなり素朴なつくりで、オーバーに言うとなんとなくホットケーキ的だ。それでも専門店の商品として一定のレベルには達している。
どちらの店もアトリエから浅草までの途中にあり、徒歩でもせいぜい7、8分なのが有り難い。またぜひ立ち寄らせていただこう。
おがわ寿店/東京都台東区寿4-13-14/03-3841-2359
営業時間不明(17:00くらいまで,売切御免)/店休日不明
おがわ雷門店/東京都台東区雷門2-6-4/03-3844-4748
9:30-15:00(売切御免)/日休