1/2。東京国立博物館は平常展無料観覧日。国宝室に長谷川等伯(1539-1610)の『松林図屏風』(しょうりんずびょうぶ)を見に行った。6曲1双の紙本墨画。
禁止マークの表示されたものを除き、ここでは写真撮影がほぼおとがめなし(当然ながら、フラッシュや三脚の使用など明らかに人迷惑な行為は不可)。『松林図屏風』も撮影OKだった。実際にはこれだけの大作(高さ1568mm、伸ばした状態での幅7120mm)の全景を人が居ない状態で撮るのはまず無理とは言え、なんとも太っ腹で嬉しい限り。
遠目には霧に消え入る静謐な松林が極めて写実的に表現されているように見えるが、近づくとその筆遣いは意外なほど激しい。生々しく描かれているのは「松」ではなく「大気」なのだ。
上は斜め右からの写真。
上は斜め左からの写真。できれば広間にぽんと置いた状態で、自然光の変化とともに、もっと様々な角度から眺めてみたいところ。優れた屏風絵はそれ自体平面であると同時に、その可動性ゆえ空間を劇的に変貌させることの可能な道具でもある点が面白い。
限りなく疎な物性で空間を意味付けること。私たちにも等伯のような表現ができるだろうか。
日本人の「無い」ことで表す空間感って好きです。
ヨーロッパやイスラム圏は「もの」で囲んで空間を作るじゃないですか。
等伯のような空間の感じ方は、
日本文化のよいところだと思います。
>ぺすかさん
不勉強なもので、この屏風を見るまで等伯のことは全く知らなかったんですが、いやはや、もの凄い作品でした。等伯の他の作品もどこかで見る機会があればなあ。