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life of "love the life"

身体と空間の芸術, 都市とデザインと : 展覧会行脚のメモ 2008年2月

2/3。リトルモア地下で『DECOTORA 田附勝写真展』。小さなスペースにデコトラとそのドライバーたちの写真がぎっしりと並べられていた。それらは単純な生々しさをフレームの外に捨て置き、造形と色彩の完璧なる構成として新たなダイナミズムを獲得し、視覚を鷲掴みにする。田附(たつき)氏と被写体との距離感が絶妙だ。写真集、買わなきゃ。作品点数をもっと絞り込んでサイズの大きなプリントを主体にした方が、展示としてはより成功したかもしれない。

2/7。みつばちトート8studioで『naho ogawa / my life as a (petit) jetsetter #3』。バッグ屋さんの店先に、ナホさんの手描きイラストを切り抜いたボードが天井から無数にぶら下がった様は実に楽しく、キュートで、壮観。イラストの題材はバンコク、台北、ニューヨークの旅のワンシーン。首が疲れるまで眺める頃には、なんだかどこか遠くへ行きたい気分になっていた。
六本木に移動してギャラリー・ル・ベインで『深沢直人「木の椅子とテーブル展」』。新作椅子は一見シンプル極まりないフォルムが事も無げに身体にフィットし、違和感が無い。違和感が無いどころか、あまりの手触りの良さにうっとりするくらい。新作テーブルとの相性も完璧。これはぜひセットで欲しい、と思ったものの、そんなお金は無いし、だいいち置き場所が無い。マルニ木工の定番家具「地中海シリーズ」と「ベルサイユシリーズ」をリファインした椅子のシリーズは、深沢氏の志向する造形を間接的ながらかえって明快に示すものとして興味深い。本来のキャラクターをかろうじて留めるところまでディテールを取り除かれた猫足の椅子は、まるでその装飾性のみで存在するかのような軽やかさを感じさせる。

2/10。戸栗美術館で『鍋島 - 至宝の磁器・創出された美 - 』。17世紀半ばから18世紀半ばにかけて隆盛した鍋島の名品を一気に、かつ大量に見ることができた。何よりグラフィックデザインとしての格調の高さと洗練性に思わずため息が漏れる。精緻な絵付の技術は全て手描きであることがにわかには信じ難いほどだ。見応えがあり過ぎてぐったり。でもくたびれた分以上の収穫があった。
その後、神楽坂へ移動してラ・ロンダジルで『ハウスの革モノと金モノ』ハウスと言うブランドで先ず頭に浮かぶのは当然靴。その次に多分バッグ。しかしここで私たちの目に留まったのは革と真鍮のパーツを組み合わせたちいさなオブジェの数々だった。折り紙を思わせる素朴さと、素材の持つ確かな存在感。手のひらに乗るくらいのサイズに増満さんの造形センスがしっかりと込められている。犬のオブジェを一匹飼うことに。

2/14。ギャラリー現で『倉重光則展』。倉重氏は1960年代末頃から活動するライト・アートの第一人者。蛍光灯やネオンを用いたミニマルなインスタレーションで知られる。ここで見ることができたのは、ちいさなギャラリーの長方形の壁3面を縁取るようにして設置された赤、青、黄のネオン作品と、2点のドローイング。ネオンの縁取りはそれぞれ一部が欠落しており、その不在が見る者の意識を作品をとりまく空間そのものへと誘導する。カッコいい。

2/22。ギャラリー・エフで『トーマス・ボーレ「ちび陶」』。詳細はこちらの記事で。

2/28。SCAI THE BATHHOUSEで『横尾忠則の壺』。アーティストに転身してからの横尾氏の作品は全くのノーチェックで、申し訳ないことに見もしないうちに勝手に醒めていた、と言うのが正直なところ。初めて実作の前に佇んで、その巨大な画面から放たれる形容不可能な禍々しい魅力に圧倒された。絵画とコラージュをシームレスに混在させる手法は極めて巧みで、洗練されたものだ。物語を予感させる象徴的でミステリアスなモチーフの狭間に、群衆が細かく描かれてるな、と思って近づくと、その顔は全て白黒写真の切り抜き。背筋に悪寒が走った。

2008年03月16日 05:00 | trackbacks (0) | comments (0)
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