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life of "love the life"

都市とデザインと : 六本木・hLam

5/4。サントリー美術館でガレを見た帰りに『hLam』(ラム)の前を通り掛った。レナウンが取り扱うイタリアのアパレルブランドのブティック。2007年4月に東京ミッドタウンとともにオープン。その時点ではさほど気に止めなかった店だが、何度かミッドタウンへ足を運ぶうちに、その印象がだんだんと強くなってきた。内装デザインはWonderwall(片山正通氏)。

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可動什器を除く全ての造作はエントランスを中心軸とする左右対称に厳しく構成されている。羽目板張りの天井とウッドフローリングの床は同じピッチで仕上がっており、この空間の持つ緊張感を一層高める。設備類の配置は完璧以上。特に空調などはデザインの重要な一部と言って良い。ファサード両側のショーウィンドウと店内中央のショーケースを形作る大きな曲面ガラスは、冷たくぬめるような質感を主張する。

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一方、表面を白く塗り潰した細かな横格子のストック、斜めに立てかけられたミラー、エントランスのドアなどの佇まいはいかにも欧州ブランドのブティック然としている。徹底して人工的な入れ物としての空間と、古風なディテールの対比を、色温度の高い間接照明が白々と浮かび上がらせる。

美しきアンビバレンスとでも言おうか、この感じは片山氏の多くの作品に共通するが、『hLam』のそれは特別計算高く、洗練されたものであるように思われてならない。

hLam

2008年06月30日 13:00 | trackbacks (0) | comments (0)

日々の生活と雑記 : 誰も本気で白熱電球を無くそうとはしない

2010年を目途に一般白熱電球の製造を中止(東芝ライテック・2008/4/14)
一般的な白熱電球の製造、販売中止について(三菱電機オスラム・2008/6/16)
地球温暖化対策への取り組み(NECライティング・2008/6/20)

ここ2ヶ月ほどの間で立て続けに報じられた白熱電球に関するメーカー各社の取り組みについてのニュースを読む際に、最も重要で、かつ一般的に見落とされがちな点は、ここで言う「白熱電球」の種類が極めて限定的であることだ。各社とも、将来的な製造中止または大幅な減産に伴い電球型蛍光灯やLEDへの代替を進めるランプ(光源)は、E26タイプの口金(直径26mmのネジ式)を持つ白熱電球のみと発表している。

電球と聞いて大抵の中高年が思い浮かべるいわゆるふつうの電球の口金がE26だ。このタイプのランプが照明の主流を占めた時代はせいぜい1970年代前半までだろう。その後、一般家庭の照明のほとんどが丸形か直管形の蛍光灯を用いる器具に入れ替わっている。私たち自身、実家では長らく蛍光灯のもとで育った。
蛍光灯を好まない家庭ではE17タイプの口金(直径17mmのネジ式)を持つミニクリプトン球を用いることが多い。このランプは一般的な白熱電球の中では最も明るくコンパクトなもので、ダウンライトやペンダントライトなど多様な形状の照明器具に用いられる。E17の電球型蛍光灯もあるにはあるが、ミニクリプトン球よりもサイズがひとまわり大きいため、代替の可能なケースはほとんど無い。

そんなこんなで、実際のところE26の白熱電球が生き残っているのはバスルームや玄関など2、3カ所程度、という家庭がおそらく大半ではないかと思う。とうに過去の遺物になりつつあるランプを今さら排しますと発表されたところで、遅きに失した感は否めない。ともかく上記のプレスリリースは何ら画期的なものではなく、場当たり的なイメージ戦略程度の中身でしかないことを、私たち一般消費者は理解しておく必要がある。

2008年06月29日 07:00 | trackbacks (0) | comments (6)

食べたり飲んだり : 下北沢・CICOUTE CAFE

5/1。午前中に青山で打ち合わせ。午後から品川で視察後、春風亭栄助独演会を見に下北沢へ移動。まだ時間が早かったので『CICOUTE CAFE』(チクテカフェ)でひと休みと軽い腹ごしらえすることに。2000年12月にオープン。駅西口を出て左手の住宅街へ。フィットネスクラブの角を右折すると蔦の絡まった小さなビルが現れる。その1Fの軒先にある素っ気無い行灯看板と、教会用の木製椅子が引っ掛けられた折りたたみ式の袖看板が目印。下北に来るのもこちらを訪ねるのもずいぶんと久しぶり。

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自販機と公衆電話の間を通り、アルミ枠にガラスのエントランスドアから店内へ。照明はかなり暗く、要所にスポットライトが2、3あるのを除き大方が小振りなペンダントライトでまかなわれている。右手に焼き菓子やコーヒー豆の並ぶ物販棚、左手にレジカウンターとキッチンを見ながら奥へ進むと、2人用と6人用の古い木製テーブルがひとつずつ。最奥左にある手洗への通路に沿って、小さな1、2人掛けのカウンター席が設けられている。椅子は看板と同様の教会用で、2人用テーブルのみ黒っぽいクッション席(もとは6人用テーブルの方がクッションだった)。壁や間仕切りは全面オフホワイトの塗装で床はモルタル。

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内装のつくりそのものは極めつけに簡潔で、店内に余分なディスプレイ的要素は何一つ見当たらない。細部に目をやると、うっすらと表面の凹凸を残した木造の柱や家具、照明器具、食器類などが、控えめながら確かな手仕事の跡を感じさせる。フードやドリンクもまた素朴で飾り気が無い。特に素晴らしいのはマフィン。さっくりとした表面にもっちりとした歯ごたえ。噛み締めれば濃厚な穀物の味がする。

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登場当時「カフェブーム以後」を象徴する店として存在感を放った小さなカフェは、8年を経た今も変わること無く淡々とそこに有り続け、次第に老舗の空気感を纏いつつあった。ここにしかない質素の美を味わいに、また近々立ち寄らせていただこう。

CICOUTE CAFE(チクテカフェ)/東京都世田谷区代田5-1-20
03-3421-3330/12:00-20:30(LO)/水休

2008年06月24日 19:00 | trackbacks (0) | comments (0)

食べたり飲んだり : 浅草・与ろゐ屋

4/27。国立能楽堂で茂山狂言を見た後、浅草へ戻って軽く食事。以前から一度行ってみたかったラーメン店『与ろゐ屋』へ。創業は1991年。

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仲見世を上り伝法院通りを右に曲がると、ほどなく蔵を模した店構えが現れる。間口は2間ほどしかなく、店内は狭い。地上階右手にカウンターキッチンがあり、客席が10ほどへばりつく。入口脇の急な階段を上ると、二階にはテーブル席が5セット。最奥にパントリーとダムウェーターが設えてある。さらに上階に従業員用のスペースがある模様。内装は至って簡素な白いビニールクロス張りで照明は蛍光灯。らーめんとざるらーめん、和風ぎょうざを注文。

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ラーメンのスープは澄んだ褐色。さっぱりとした味わいの中に、煮干と柚の香りが強い印象を残す。旨い。太めの縮れ麺にさらりとしたスープはさほど絡みはしないが、麺自体の持つ粘りある食感が良い。なるほど、この感じはまさしく「ラーメン」ではなく「中華そば」と呼ぶにふさわしい。
ざるらーめんではこの「そば」的感覚がいささか行き過ぎて、麺とスープが完全にバラバラになってしまうような気がした。おそらく好みにも寄るのだろうが、この店ではらーめんをいただくのが私たちにとって正解のようだ。和風ぎょうざは大振りで焼き上がりが美しい。にんにく不使用とのことで、食べごたえは十分ながらこれまたさっぱりといただける。

シンプルで飾り気の無い和風ラーメン。浅草の地によく馴染む。

与ろゐ屋/東京都台東区浅草1-36-7/03-3845-4618
11:00-20:30/無休

2008年06月19日 09:00 | trackbacks (0) | comments (4)

落語初心者のメモ : 落語初心者のメモ 2008年4月

4/6。三鷹市公会堂で『立川志の輔独演会』。立川志の彦さんの『つる』に続いて志の輔師匠で『みどりの窓口』。珍客の応対に次第に追いつめられてゆくJR職員、と言う展開は師匠のお得意ではあるものの、やはり緻密なディテールに引き込まれ、意外にして鮮やかな下げに思わずのけぞった。仲入を挟み、志の輔師匠で『柳田格之進』。この根多を師匠で聞くのは昨年の大銀座落語祭以来2度目。つくづくカッコいい。

4/8。紀伊國屋ホールで『第520回紀伊國屋寄席』。柳家三之助さんの『棒鱈』を途中から。綺麗で明朗。次に古今亭志ん橋師匠で『池田大介』。志ん橋師匠を見るのは初めて。子供を演じる様子が実に愛らしく、なんとも幸せな気持ちになる。続いて桂文楽師匠で『素人うなぎ』。単純な滑稽話も師匠が演じると格調高いものに。仲入後の一席は柳家喬太郎師匠で軽〜く『母恋いくらげ』。ほのぼのしてホッと一息。退場の仕方が素晴らしい。トリの桂歌丸師匠は交通トラブルで東京に戻れず、立川志らく師匠が自作のシネマ落語『たまや - 天国から来たチャンピオン - 』を代演。目まぐるしい展開とオーバーアクションを思い切り楽しんで、最後の最後にほろり。力の入った高座。ここに来てついに志らく落語を楽しむための脳内回路がカチリと繋がったような感覚が。

4/12。深川江戸資料館小劇場で『第五回 特撰落語会 ほたると白酒と権太楼』。桃月庵白酒師匠の『あくび指南』を枕の途中から。白酒師匠を見るのは初めて。繰り返しの多いシンプルな構成の根多が、細部を端正に積み重ねることで次第に奥行き深いものとなる。品があって、しかも楽しい。続いて柳家権太楼師匠で『死神』。脚色無しで真っ直ぐに聞かせる。にも関わらず心底可笑しく、最後には背筋が寒くなった。にっこり微笑むだけで見るものを幸せな心地にさせる素敵なお顔をしていらっしゃる師匠なだけに、余計に恐い。さらに白酒師匠で『突き落とし』。『あくび指南』とは打って変わって登場人物が多く場面描写のややこしい噺を、丁寧に、それでいて軽妙に演じる。
仲入の後、権太楼師匠、白酒師匠、柳家ほたるさんが揃って登場。ほたるさん二ツ目昇進の口上。続いてほたるさんで『お菊の皿』。お菊の動作が激し過ぎて爆笑。トリは権太楼師匠で『試し酒』。これまたシンプル極まりない筋書きだが、久蔵の愛すべきキャラクターが見事に際立ち、噺の世界へどっぷりと引き込まれてしまう。大盃を飲み干す場面の凄まじさは筆舌に尽くし難い。ギラつく眼光。狂気をはらんだ名演に場内は割れんばかりの拍手で包まれた。この落語は「身体で演じる」という域を超えている。感動とともに、なぜか枝雀師匠を思い出した。

415。お江戸日本橋亭で『市馬落語集』。柳亭市也さんの『道灌』に続いて、柳亭市馬師匠で『明烏』。仲入を挟んで市馬師匠で『寝床』。根多下ろしの『明烏』も素晴らしかったが、『寝床』はさらに輪をかけていい。カラリとして、味わい深い。市馬師匠の高座にしかないこの感覚は一体どうやって表すべきか。市也さんは前日が初高座とのこと。枕で市馬師匠が話されたご自身の初高座と柳家小さん師匠のエピソードが実に暖かく、心に響いた。

4/16。みたか井心亭で『寄席井心亭 数えて百五十五夜 卯月』。柳家喬太郎師匠の会。最初は柳家小ぞうさんで『がまの油』。才気あふれる前座さん。いきなり大いに楽しませていただく。立ち居振る舞いのがさつさが取れれば一気に開花しそうな予感。続いて喬太郎師匠で『百川』。百兵衛のふわふわしたキャラクターが妖怪的でいい。さらに小宮孝泰氏で『青菜』。その見事さに驚くと同時に「高座が楽しくてしょうがない」という様子が伝染してこちらまで嬉しい気持ちになる。仲入を挟んで寒空はだか先生の登場。高座と客席の狭間で窮屈そうに根多を繰り出す姿が妙に可笑しい。見上げ位置で聞く『東京タワーの歌』は格別。トリは喬太郎師匠で『宮戸川』通し。前半のラブコメ的展開と、後半のサスペンスフルな展開。その極端な対比は終演後に悪寒を覚えるほどの違和感を伴うものだった。ある意味、師匠の自作以上に喬太郎落語的だ。

4/20。三鷹市芸術文化センター星のホールで『柳家さん喬独演会』。柳家小んぶさんの『小町』、柳家喬四郎さん自作の新作『せれぶ』に続いてさん喬師匠で『百川』。先日に見た喬太郎師匠の『百川』は、ストーリー、演出的にほぼさん喬師匠の完全コピーであることが分かる。にも関わらず印象が大きく異なるのが不思議で興味深い。さん喬師匠の人間味溢れる百兵衛は最高に魅力的だが、喬太郎師匠の妖怪百兵衛も捨て難い。
仲入の後、さん喬師匠が羽織を着けずに高座へ上がられ「会場にお子様がいらっしゃるので」と予定外の『初天神』をショートバージョンで見せて下さった。これがもう絶品。動作ひとつひとつが実にリアルで可笑しいのなんの。単に面白くしようとすると父親とこまっしゃくれた息子との間柄が荒んで見えてしまいそうな噺だが、さん喬師匠演ずる父親の眼差しには溢れんばかりの愛情が感じられる。柳家小菊師匠の粋曲にうっとりした後、三たびさん喬師匠で『柳田格之進』。ずっしりと重厚。これまた比較になるが、志の輔師匠の『柳田格之進』がいかにクールにモダナイズされたものであるのかが分かった。やはりどちらも素晴らしい。

2008年06月18日 14:00 | trackbacks (0) | comments (0)

落語初心者のメモ : 落語初心者のメモ 2008年3月

3/13。東京芸術劇場小ホール2で『瀧川鯉昇 柳家喬太郎 二人会 古典こもり』。瀧川鯉斗さんの『動物園』に続いて喬太郎師匠で『転宅』。泥棒の愛すべきダメっぷりが何とも素晴らしい。次に鯉昇師匠で『明烏』。鯉昇師匠を見るのは初めて。まことに失礼ながらお顔からは想像のつかない綺麗で繊細な芸にうっとり。仲入を挟んで再び鯉昇師匠で『長屋の花見』。先とは打って変わったからりとして滑稽な貧乏ネタはハマり過ぎてもう爆笑。トリは喬太郎師匠の『綿医者』。不条理な展開とあまりにナンセンスな下げに衝撃を受ける。

3/14。連日の東京芸術劇場小ホール2で『昔昔亭桃太郎独演会 春の桃太郎』。春風亭昇々さんの『子ほめ』に続いて桃太郎師匠の『受験家族』と風間杜夫氏の『風呂敷』。風間氏の落語を見るのは初めて。桃太郎師匠による飄々とした新作と風間氏による端正な古典。この何とも不思議な対比を味わえただけでも儲け物。仲入を挟み、両氏の対談に続いて三たび桃太郎師匠が登場。演ずるはなんと『不動坊』。とぼけたくすぐりをてんこ盛りにした冒頭の展開からして、舞台は完璧なる桃太郎ワールドに置き換わっている。幽霊役が頭上にセリフを訪ねる仕草が可笑し過ぎて忘れ難い。

3/19。みたか井心亭で『寄席井心亭 数えて百五十四夜 弥生』。林家たい平師匠の会。最初にたい平師匠で『不動坊』。何度出会っても聞き惚れる完成された芸。桂三木男さんの『猿後家』で仲入。続いてたい平師匠の『文七元結(ぶんしちもっとい)』をたっぷり。これが凄まじいまでの熱演で聞き終えて思わずぐったりしたが、今後一気に進化しそうな予感のある根多。近いうちにぜひまたどこかで聞いてみたい。

3/23。三鷹市芸術文化センター星のホールで『柳家花緑独演会』。最初に柳家花いちさんの『饅頭こわい』。続いて花緑師匠で『片棒』と『禁酒番屋』、仲入を挟んで再び花緑師匠で『出来心』と『お見立て』というなんとも嬉しい盛り沢山な内容。個々の根多はもちろん素晴らしいが、何より高座から伝わるカラフルな空気が楽しく、心地良い。花緑師匠の芸は独演会でこそ最大限に生きるのでは、と考えたのは正解だった。

3/27。内幸町ホールで『WAZAOGI ろっく・おん 三遊亭円丈コレクションVol.1』。円丈師匠を見るのは初めて。三遊亭玉々丈さんの小咄の後、円丈師匠で『ぐつぐつ』。柳家小ゑん師匠による新作。円丈版は哀感をベースにえも言われぬ可笑し味を湛えた大作だった(小ゑん版はどんなだろう)。以後しばらく「ぐっつぐっつ!」がわが家で流行。
続いて春風亭栄助さん(今秋真打昇進と共に「百栄」に改名予定)が元気無く登場。こちらも初めて拝見。掴み所の無い枕に翻弄される落語通の小咄に始まって、自作の新作『古典の天使・新作の悪魔』へ。アニメ声の天使とデーモン小暮風の悪魔の板挟みに苦しむ二ツ目さん。落語の世界を落語のフォーマットで茶化し倒す。くすぐりといい流れといいあまりに見事で、大爆笑の後、半ば呆然として見送る。以後しばらく「このうつけ者!(アニメ声で)」がわが家で流行。
さらに円丈師匠で『新がまの油』。これは自作だろうか。正調の口上と、オリジナルの口上の両方が聞けて実に愉快で得した気分。仲入を挟んで三たび円丈師匠で自作の新作にして名作の誉れ高い『遥かなるたぬきうどん』。円丈師匠の高座は声の抑揚が極めて激しい。無駄にドラマティックな筋立てのシュールな根多がその調子にぴたりとはまり、ジェットコースターのように展開する。爽快。斬新。落語はここまで自由なものだったか。

2008年06月16日 13:00 | trackbacks (0) | comments (0)

日々の生活と雑記 : 新東京タワーの名称決定

新東京タワーの正式名称が『東京スカイツリー』に決まったとのこと。
新タワーの名称が決定しました。(Rising East project)

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うーん、ゆるロゴ。
以上、この話題をフォローするのはここまで。

新東京タワーの名称募集(March 21, 2008)
新東京タワー(November 25, 2006)
第二東京タワー(March 30, 2006)

ちなみに国内タワー関連では最近こんな話題も。
新『さっぽろテレビ塔』建設構想
東京スカイツリーよりも微妙に高くしたい様子。

2008年06月13日 04:00 | trackbacks (0) | comments (2)

update info, 仕事してるんです : 阿佐谷銘茶楽山新店・完成写真アップ

love the lifeの作品「Asagaya-meicha Rakuzan New Store」のページを更新しました。(Aug. 17, 2012)Worksからご覧下さい。フォトグラファーは佐藤振一さん。

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「阿佐谷銘茶楽山」はJR阿佐ヶ谷駅の近くに店を構え、長らく日本茶と海苔の製造販売を営んでいる。地域の生活に深く定着したその暖簾が、北口そばのちいさな商店街にもうひとつ掛かることになった。二代目の古川貴則氏による新店だ。近隣には煎餅店、米穀店、和菓子店などが軒を連ね、狭い道幅にしては昼夜を問わず通行量が多い。

まずは往来の流れを無理なく受け止めるため、エントランスの木製サッシを通りに対してやや斜めに置いた。そのラインに右手のカウンターショーケースのブーメラン形が呼応する。間口を最大限に開放するため、左手の棚什器は道路側を頂点に奥へと徐々に拡がる三角形とした。主に小振りなパッケージの商品を扱う業態なので、こうした不整形が問題となることはない。結果として、視線を自然に店内へと導き、多様なディスプレイに対応する至って合理的なプランが出来上がった。

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天井面には300mm余りの段差がある。右側の造作はセン柾材で仕上げ、エントランスの引戸に合わせて天井高を抑えた。主要動線のある左側にはバナナ繊維の壁紙を張り、高さを最大限に確保した。異なる素材が間接光を介して上下に重なり、斜め基調のプランと相まって簡潔な折り紙のような空間が立ち現れる。サイズのまちまちな3本のステンレス柱が、破調のリズムを増幅する。突き当たりのタペストリーミラーは店内を掛軸状に切り取り、淡色の移ろいに変換する。

バックカウンターと吊戸棚の狭間にある横長の壁面は堀切健治氏の左官で仕上げられた。ゆるやかな円弧で上下に二分されたその景色には、茶所静岡の平野から望む富士の裾野が暗示されている。

2008年06月10日 10:00 | trackbacks (0) | comments (2)

仕事してるんです : 阿佐谷銘茶楽山新店・写真撮影

5/31。夕刻、銀座『野の花司』で姫令法(ヒメリョウブ)、小手毬(コデマリ)、深山鳴子百合(シンザンナルコユリ)と河原撫子(カワラナデシコ)を買って阿佐ヶ谷へ。駅前のとんかつ店『かつ久』で腹ごしらえをしてから開店準備の進む『阿佐谷銘茶楽山新店』にお伺いした。22:00過ぎまでオーナー・古川さんと歓談後、完成写真の撮影準備を開始。

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商品ディスプレイを撮影用に整え、花を生け、暖簾にアイロンを掛けて、フォトグラファー・佐藤振一さんがいよいよカメラを構えたのが24:00過ぎ。

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つい先日まで空っぽだった空間の、あるべき場所にあるべきものが収まると、途端に店は生き生きとした表情を見せ始める。

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内装のトーンを厳しく制限したのがここでは思いのほか有効だった。商品パッケージと、空間そのものの素の造形が互いに引き立つ。

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今回店内のライティングには白熱系のダウンライトと、T6タイプ(直径20mm)蛍光灯の間接照明が併用されている。撮影にあたっては各部のスイッチを点けたり消したりしつつ、蛍光灯の色被りを防ぐためその都度フィルターを入れ替えての多重露光方式がとられた。その分、カットごとに随分と時間を要する。大きな空間の撮影ではなかなかここまでの手間は掛けられない。

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ほとんど休憩なしで作業は続き、翌朝6:30頃にようやく撮影終了。雨が降らなくて良かった。マクドナルドでコーヒーを飲んで解散。写真の仕上がりが楽しみ。

その翌日、6/2(月)に『阿佐谷銘茶楽山新店』はオープンを迎えた。お近くの方には普段使いの日本茶をぜひこちらでお求めいただければ幸いだ。量販店のお茶とは比較にならない豊かさを味わっていただきたい。

阿佐谷銘茶楽山新店/東京都杉並区阿佐谷北1-3-6/03-3330-0210
9:00-19:00/土休

2008年06月03日 17:00 | trackbacks (0) | comments (0)
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