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落語初心者のメモ : 落語初心者のメモ 2008年7月

7/7。下北沢「劇」小劇場で『第5回 栄助・天どん会』。お二人のゆるゆるな前説に続いて春風亭栄助さんで『芝居の喧嘩』。派手なキャラが続々と登場するだけのナンセンスな展開は古典ながらまさに栄助さんに打ってつけ。さらに三遊亭天どんさん(拝見するのは初めて)自作の新作で『ひと夏の経験』。こちらもキャラ描写が主題でヘンな女性ばかりが現れる。天どんさんが気持ち悪くていい。仲入を挟んで栄助さん自作の新作で『7つのツボを押す男』。じわじわと追い込まれてゆくケンシロウ。最後は天どんさんで『妾馬』。人間的深みの全く無いどこまでもダメな八五郎が新鮮で、かえって共感。

7/10。国立劇場小劇場で『桂文珍 大東京独演会 vol.2』。林家うさぎ師匠で『手水廻し』の後、巨大な演目表を背に文珍師匠がリクエスト受付。客席から『青菜』の声がかかり、あれがああなってこうなって、、、と早口で内容をおさらいする師匠。1、2分後「あ、全部やってしもた」で会場は爆笑と拍手に包まれた。決まった演目は『七段目』、『地獄八景亡者戯』と『商社殺油地獄』。抜粋版ながら『地獄八景亡者戯』の素晴らしいこと。文珍師匠ならではの時事感覚満載の駄洒落とくすぐりにお腹を抱えっ放し。

7/11。大井町きゅりあん大ホールで『きゅりあん寄席夏特選落語会』。春風亭正太郎さんの『たらちね』に続いて柳家喬太郎師匠で『竹の水仙』。傲慢でマイペースでアーティスト肌の左甚五郎が素晴らしく魅力的。現代的な人物描写にシビれる。仲入を挟んで柳家三三師匠で『五目講釈』。こんなに時事根多満載の三三師匠を見たのは初めて。大いに盛り上がって、最後は立川談春師匠の『らくだ』。丁目の半次はもっと恐い方が好み。

7/19昼。銀座小劇場で『大銀座落語祭2008 春風亭栄助独演会』。桂笑生師匠の『表彰状』に続いて栄助さんで『浮世床』。妄想根多がどんどん膨らんで、膨らみ切ったところでサゲ。仲入を挟んで元気いいぞう先生(拝見するのは初めて)のギター漫談。これがもう震撼ものの凄まじさ。アヴァンギャルドなことこの上ないステージ後には、まるでロックコンサートを見終えたような高揚感と虚脱感。ダメ過ぎてカッコ良過ぎる中年男子。きっと明日はイエスタデイ!!最後は栄助さん自作の新作で 『マザコン調べ』の序。マキヒコの母の極悪なキャラに爆笑しつつも、空恐ろしさがトラウマのようにいつまでも残る。

7/19夜。博品館で『大銀座落語祭2008 米團治への道/可朝・鶴光二人会』。桂吉坊さんの軽快で綺麗な『商売根問』に続いて桂小米朝師匠の『青菜』。こんな噺だっけ?と思うほどの圧倒的濃厚さは師匠ならでは。さらに林家いっ平師匠(拝見するのは初めて)で『浜野矩随』。見事な熱演にもかかわらず、空々しいのは何故か。第一部の最後は小米朝師匠で『景清』。京都の木彫職人の噺。定次郎の虚勢と俗人ぶりが師匠ご自身のキャラクターと重なり、なんとも痛々しく、涙を誘う。二世であることや育ちの良さが、これほどの魅力に結びつき得るとは。やはり落語は人間力なんだなあ。
仲入を挟んで笑福亭学光師匠で『試し酒』。続いて笑福亭鶴光師匠で『竹の水仙』。軽妙にして流麗。素晴らしい。最後は待ちに待った月亭可朝師匠(拝見するのは初めて)で『狸賽』とギター漫談『出てきた男』。とびきり下品で哀愁漂う根多。逮捕の前に拝見できて良かった。

7/20。博品館で『大銀座落語祭2008 三遊亭白鳥vs旬のお笑いたち/電撃ネットワーク/昔昔亭桃太郎の「死神」』。5GAP、ハイキングウォーキング、髭男爵、フルーツポンチ、はんにゃ、狩野英孝を立て続けに。巧みな観客いじりを交えた髭男爵が抜群。さらに三遊亭白鳥師匠自作の新作で『はらぺこ奇談』。擬人化と可哀想な子供は師匠のお得意。
仲入を挟んで電撃ネットワーク(拝見するのは初めて)。花火は鳴るわ牛乳は飛ぶわで場内は悲鳴と爆笑の坩堝。体を張った変態芸で観客と博品館をこれでもかと蹂躙する。カッコいい。
仲入と掃除を挟み、花火の煙がおさまるまでの繋ぎに三遊亭かっ好さんが急遽高座へ。やっつけの小咄が大いにウケたが、『からぬけ』はイマイチ。「落語やらなきゃよかった」でまたウケる。最後に昔昔亭桃太郎師匠で根多下しの『死神』。客層が若い上に必ずしも落語を聞きに来たわけでもなく、完全にアウェイの状況で桃太郎師匠の良さが出ないまま終演。

7/24。博品館で『昔昔亭桃太郎独演会 桃太郎三番勝負 第三夜』。春風亭昇吉さんの『たらちね』に続いて桃太郎師匠で『春雨宿』。師匠のために作られた根多では、と思うくらいにとぼけた味わいの絶品。続いて立川談春師匠で『紙入れ』。絶体絶命の状況下で浮気をさらりと誤摩化してしまう女将。その凄みと色気、そして軽妙な展開の素晴らしいこと。これまでに見た談春師匠による女性キャラ中ダントツのベストアクト。仲入を挟んでお二人のトーク。互いの腹黒さが滲み出た内容に爆笑。最後は桃太郎師匠で『死神』。大銀座落語祭の時とは打って変わった盛り上がりよう。客席との一体感無しに落語は有り得ないことを痛感。桃太郎師匠ならなおさらか。

7/27。深川江戸資料館で『特撰落語会第7回 柳家喬太郎・真夏の夜の怪談噺』。柳家小んぶさんの『道灌』に続いて喬太郎師匠で『へっつい幽霊』(このときの出囃子は『怪奇大作戦』)。鮮やかで小気味良い。仲入を挟んで柳亭左龍師匠の『片棒』。荒唐無稽な葬儀プランを超ノリノリでプレゼンする長男と次男が絶品の味わいでこれまた最高。最後は喬太郎師匠で『牡丹灯籠』のお札はがしから栗橋宿まで。期待に違わぬ緻密さと生々しさを大いに堪能させていただいた。

2008年09月09日 06:00 | trackbacks (0) | comments (0)
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