3/30。『アメリカン』を出て地下鉄四つ橋線で本町まで。靭公園を縦断して『VADE MECVM. Showroom #2』(ヴェイディミーカン・ショールームナンバーツー)へ。2006年4月開業のギャラリーショップ+カフェ。内外装のデザインを手掛けたのはISOLATION UNIT(柳原照弘氏)。柳原氏の作品を拝見するのはこれが初めて。
店は靭公園に裏側を面した小さなビルの1Fにあり、公園から直接入ることができる。黒いフレームの大きな窓越しに、店内のすっきりとした内装がよく見える。
エントランスのすぐ脇に、窓と平行してレジとキッチンとディスプレイを兼ねたコンクリート製のカウンターが床面から直接立ち上がっている。他には、おそらく柱型を利用したものと思われるふたつの棚を除き、固定物は置かれていない。客席には学校用の椅子と机を黒くペイントしたものが十数組使われており、客の人数に応じてそれらが並べ替えられる。黒尽くめのスタッフ諸氏が入念に客席を配置するのを待つ間、店内を興味深く拝見したり、壁にプロジェクターで流されていた『おいしいコーヒーの真実』を眺めたり。この日は上映のせいもあってかフロアの状態はゆったり、と言うよりほとんどがらんとしていた。なんとも商売っ気が薄い。ゆえにショールームなのか。
これ見よがしな造作は一切ないが、空間そのもののディテールに見所がいくつもある。特にパネル材による天井造作とエアコンの納め方、照明器具の選び方などに独特のセンスが感じられる。この店のデザインテーマは、そうしたさりげないディテールが構成する空間の、容器としての佇まいにある。濃密な「がらんどう」。その在り方はまさに公園の延長であるにふさわしい。
デザートメニューは『BROADHURST'S』製とのこと。これが実に美味かった。
VADE MECVM. Showroom #2/大阪府大阪市西区京町堀1-13-21高木ビル1F奥
06-6447-1335/8:00-19:00/水休
夕刻に店を出て、阪神百貨店でいか焼き。ホテルへ戻り荷物をピックアップして新幹線で帰京。