壁にきれいな壁紙を貼りつけたり、天井に彫刻を取りつけたりして飾ることを装飾といい、真黒や無地で仕上げ、シンプルで時代の先端をいく素材で飾りつけられたものをインテリアデザインという傾向があるようだが、いずれにせよ、与えられた天井、壁面にいかなる仕上げをほどこしても、素材の表面を仕上げるものはすべて、ある種の装飾ではないだろうか。
空間の機能が精神的なものに訴えかけること、つまりデザイナーの心理的なものが、現実、さまざまな作業を通して、無意識のうちにも人びとに何かを訴えかけたときにこそ、はじめて新鮮な室内空間が創り出されたといえ、そこで人間と空間との積極的なふれあいがときとして生まれ新しいものとの出会いが生ずるのであろう。(原兆英)
「商店建築」No.242,1975年8月号
コーヒー&ウイスキー『タスク』記事より
発行:商店建築社