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都市とデザインと : ユーハイム 千駄ヶ谷店

8/29。国立能楽堂へ茂山狂言を見に行く前に時間が空いたので、以前から行かねばと思っていた『ユーハイム』千駄ヶ谷店でお茶。1988年オープンのレストラン&カフェ。インテリアデザインを手掛けたのはカザッポ&アソシエイツ(植木莞爾氏)。書籍では作品名を『レストランユーハイム イン津田ホール』などと紹介されている。場所は千駄ヶ谷を出ると右手目の前にある津田ホールの地下。

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チェーン店でしかもできたのが20年以上前、ということからコンディションにはあまり期待していなかったが、インテリアの状態はかなりオリジナルに近かった。特にエントランス右手のカウンター席まわりはほぼ往時のまま。イエローの地にビアンコの大理石を散りばめたテラゾタイルも健在だ。上の写真はエントランス左手のカウンターショーケース前からカウンター席越しにテーブル席のエリアを見たところ。

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カウンター席を反対側から見ると上のような具合。赤味掛かった木の内装を背景に、ミガキのステンレスによるショーケースやカウンターチェアのマッシブな造形が映える。天井には完成時には無かったスポットライトが増設されていた。二箇所にある光天井の光源色が違ってしまっているのはなんとも残念だ。

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客席はL字に曲がりながらさらに奥へと続いている。こちらは白い塗装とダーク色のウッドフローリングの空間。上の写真はテーブル席のエリア手前から最奥を見たところ。天井に並ぶ逆円錐型の掘り込みはインパクト大。しかしその中に取り付けられたシーリングライトは完成時とは似ても似つかぬものだ。テーブルとチェアもオリジナルではない。

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上の写真左はテーブル席エリア床ステップ部分のディテール。左手の床に取り付けられたステンレスのバーは壁に家具がぶつかるのを防ぐためのもの。こうした細かな心配りとヘビーデューティー性は植木デザインならでは。壁にある小さな丸い照明器具は点灯していなかった。写真右はカウンター席チェアのディテール。西洋甲冑を連想させる重厚さとふくよかなフォルム。ハイチェアながら座面はたっぷり。高齢の方が好んで陣取っておられる様子だったのが印象に残る。

テーブル席奥に向かって左手のパントリー(写真左)もまたピカピカのステンレスによる造形が特徴的。ただ、ショーケースともども現在はあまり有効に活用されておらず、物置に近い状態になってしまっていた。他にも間接照明が消えてしまっているところがあったりと荒れた使用状況が目立つのは、デザイナーとしても客としても重ね重ね残念でならない。とは言え、貴重なデザイン遺産が曲がりなりにも維持されていることは素晴らしい。今のうちにオリジナルの状態へと完全復活させられれば、ユーハイム(創業100周年とのこと)も津田塾大も株が上がるというものじゃないか。たぶん。

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バウムクーヘンとカプチーノをいただいて、いざ能楽堂へ。振り返ってエントランス(写真右)を見ると、嬉しいことにここも完成時の写真で見たままの姿だった。ステンレスフレームの華奢なゲートに赤いファブリックのサインがエレガントな旗印を思わせる。

ユーハイム 千駄ヶ谷店/東京都渋谷区千駄ヶ谷1-18-24 津田ホール
03-3401-1357/11:00-22:00/無休

ユーハイム
ユーハイム(Wikipedia)

2009年09月18日 04:00 | trackbacks (0) | comments (0)
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