9/13。初台・東京オペラシティアートギャラリーで『鴻池朋子展』を見た後、自家焙煎珈琲店『リブレ』を初めて訪れた。
場所は甲州街道を南に渡り商店街を少し逸れたところの川跡(玉川上水旧水路初台緑道)沿い。近づくと枯草色のテントを掲げたガラス張りの店構えを通して中の様子がよく見える。間口は二間と少し。入口正面に5席のカウンターがあり、道側に小さなテーブル席がふたつと実にコンパクトな店内。白いクロスで仕上げた明るい内装はいたって簡素なつくりで飾り気が全くない。カウンター左側のレジ脇の席に落ち着いて見渡すと、辺りにホコリや曇りは微塵もなく、全ての機材がきれいに整列している。切り盛りを一手に引き受けている女性店主氏が、いかにこの店を大切になさっているかが伝わり、自然と背筋が伸びた。水代わりに出されるのは薄めのアイスティー。バックカウンターのガラス越しに大きなロースターが顔をのぞかせる。ブレンドとマンデリン、シフォンケーキとチーズケーキを注文。
豆をたっぷりと使ってペーパードリップされた珈琲の味もまた曇りが無い。クリアでバランスに優れたブレンドも、香り豊かなマンデリンも美味しくいただいた。パウンドケーキはふっくらとした質感で味わいはさっぱり。大きなサイズに反してすんなりと胃袋に収まる。チーズケーキ(上の写真)は一転、食感も風味も実に濃厚だ。どちらのデザートも珈琲と合わせた際の印象がしつこくないのがいい。
なるほど、この味と、外の緑とがあれば、他に余計なものは何も要らない。店主氏の静かな笑顔に見送られて、爽やかな気分で初台を後にした。こんな店を近所にもつ方々は本当に幸運だ。
リブレ/東京都渋谷区初台1-36-1/03-3374-1727
11:00-20:00/月・最終日休