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落語初心者のメモ : 落語初心者のメモ 2009年10月

10/16。日本橋社会教育会館で『人形町市馬落語集』。柳亭市楽さんで『天災』。柳亭市馬師匠で『巌流島』、続いて『親子酒』、仲入り、市馬師匠で『王子の狐』。のどかなトーンの根多が続いて会場はほんわかした雰囲気。絶品は先代小さん師匠もお得意だった『親子酒』。酔っ払い親子がチャーミング過ぎる。幸福感満点。

10/19。練馬文化センター小ホールで『柳亭市馬立川談春二人会』。柳亭市楽さんで『鮫講釈』、談春師匠で『牡丹灯籠 - お札はがし』、仲入り、笑福亭鶴瓶師匠で『オールウェイズお母ちゃんの笑顔』、市馬師匠で『らくだ』。情念の塊のようなエピソードを、伴蔵、お峰の夫婦のやりとりに焦点を当てつつ、滑稽かつドライに描写してしまう談春師匠。それがかえって登場人物の業の深さを印象づける。鶴瓶師匠はお得意の私落語。さらりとスピーディーな展開に爆笑を詰め込んで最後にほろり。市馬師匠の「らくだ」を通しで拝見したのは初めて。師匠ならではの軽快な展開に半次の極悪さが際立つ。幕切れはなんとも爽やかで、心晴れ晴れとした終演。

10/23。練馬文化センター小ホールで『ふたりのビッグショー』。柳亭市也さんで『出来心』、寒空はだか先生のスタンダップコメディー、柳家喬太郎師匠で『中華屋開店』、仲入り、柳亭市馬師匠のデビュー三十周年口上、柳家さん弥さんで寿舞『九段の母』、市馬師匠で『淀五郎』。口上で涙に声を詰まらせる喬太郎師匠。さらに、はだか先生の落研時代の高座名・大詰亭冷奴(おおつめていひややっこ・字は確証無し)が判明。個人的にツボだったのは喬太郎師匠。中華屋開店を目指す心理学者とその助手、心理学者をストーキングする女子大生とその執事・長谷川の4人が繰り広げる不条理劇。サブカルにハマったことのない層には理解し難いであろう喬太郎ワールド。そして完璧なる古典落語的サゲ。終演後「中華屋開店、どう思う?」と言った会話がそこかしこから聞こえて来たのが面白かった。高度な実験性と洗練性。まさに問題作。市馬師匠は流麗な芝居噺にうっとり。

10/28。なかのZERO小ホールで『落語教育委員会』。柳家喜多八師匠、三遊亭歌武蔵師匠、柳家喬太郎師匠の刑事ものコントに続いて柳家小太郎さん(前座名・小ぞう)で『時そば』、喬太郎師匠で『錦の袈裟』、仲入り、歌武蔵師匠で『植木屋娘』、喜多八師匠で『棒鱈』。小太郎さんのポテンシャルを再確認。しゃくれ顔の小男が妙にフェミニンな仕草を見せるのが気持ち悪くて良い。喬太郎師匠は与太郎のキャラクターが独創的で愛らしい。歌武蔵師匠は間抜けな植木屋夫婦の凄まじい暴走ぶりに爆笑。喜多八師匠もいつに増してアグレッシブで痙攣的な語り口が大いに冴える。

10/29。浅草橋区民館で『鳥越落語会』。春風亭昇吉さんで『道灌』、春風亭一之輔さんで『提灯屋』、柳家喜多八師匠で『鈴ヶ森』、仲入り、林家花さんの紙切り、喜多八師匠で『片棒』。昇吉さんは古典の方がお得意の様子。江戸っ子口調が板に付いている。初めて拝見した一之輔さんは聞きしに勝る達者な高座。端正な容姿とクールな語り口から透けて見える腹黒さが実にいい。花さんの高座は俗曲の師匠に通じる客あしらいと紙切りの組み合わせがユニーク。こりゃ新しい。二日連続で拝見の喜多八師匠は今日も軽妙かつアグレッシブ。『片棒』の息子の丸っきり適当で能天気なキャラクターと、心底弱り果てて死にそうな旦那。このギャップが可笑しいのなんの。

2009年11月10日 00:00 | trackbacks (0) | comments (0)
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