10/30。にしすがも創造舎で維新派『ろじ式』。
にしすがも創造舎は廃校となった中学校を再利用した施設。劇場手前に当たる元の校庭には「ろじ式のろじ」と言う名の屋台村が出現していた。上の写真はその入口あたり(ろじ近景)。
「ろじ」を抜けたところには屋台村と劇場とカフェを接続する木製デッキの「露地」。その間に人の背丈を超える大きさの幾何学的なオブジェがいくつか。
周囲に高層マンションが建ち並ぶ中、ぽっかりあいたクレーターのような空間には、まるで別の星にでも降り立った気分にさせる幻想的な光景がひろがっていた。
パフォーマンスは劇場内の比較的小さなステージに標本箱を模したキューブ状の造形をぎっしり整然と配置した可動セットの中で行われた。維新派をマイク無しの生音の中で観るのは初めてのこと。ラップよりもミニマルミュージックに近い関西弁の羅列が時にユーモラスに、時にクールに、言葉のゲシュタルト崩壊とともに劇場を満たす。
これと言ったスペクタクルの無い淡々とした展開も、数年に一度しか維新派を見る機会の無い私たちにとってはかえって新鮮だ。数十人のパフォーマーによるダンスとマスゲームの中間的な動作は、ここ数年洗練味を増しつつある維新派作品の中でも随一の完成度であるように思われた。日本人の貧弱でアンバランスな身体でしか表現できない研ぎ澄まされた感覚。それはノスタルジックでも未来的でもある。