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life of "love the life"

研究活動のご連絡 : 元浅草勉強会 10 のお知らせ

2/21(日)の14:00から『元浅草勉強会 10』を開きます。

第一期勉強会最終回のお題は『いま見るべき東京2010 - インテリアデザイン危機遺産ガイド』です。インテリアデザインのライフサイクルは元来短いもの。特に東京都内の商環境に至っては、3年保てば十分、5年保てばラッキー、10年保てば老舗の仲間入り、と言っても言い過ぎではないでしょう。良質のインテリアデザインは、それが完成した時点で直ちに「危機」にあるのです。
ショートレクチャーでは幸運にも完成後10年以上、古くは70年以上を生き延びた東京都内に現存する商環境の中から、選りすぐりのインテリアデザイン、建築デザインを一挙に紹介します。作品が集中する中央区、千代田区、港区、渋谷区の4つのエリアをメインに、散策時の疲れを癒してくれる珈琲やお茶の美味しいお店、さらにはデザインを愛する者ならぜひとも詣でておきたい名作の遺構や跡地も地図情報に織り交ぜてリストアップ。いま見ておかないと本当に手遅れになるかもしれない貴重なデザイン遺産の数々を仮想ツアーしてみたいと思います。
そうした商環境が永く愛され続ける理由は果たして存在するのでしょうか。また、その理由はこれからのインテリアデザインが進化を続けてゆく上で、何らかの手がかりとなり得るでしょうか。

お題はなんだか難しそうですが、いたってアットホームで、ちいさな勉強会です。今回は有り難い事に告知前にご予約をいただいており、すでに残席僅少ではありますが、デザインにご興味がお有りの方ならどなた様でも、どうぞお気軽にお申込み・ご来訪下さい。

先月お知らせしました通り、love the life主催の勉強会第一期は今回で終了となります。第二期の勉強会はこの初夏頃からの開始を構想中。詳細が決まりましたらあらためてご報告させていただきます。

ティータイムにお出しするオルタナ系日本茶は「月ヶ瀬紅茶」(2009/奈良・800 for eats)などを予定しています。


元浅草勉強会 10
ショートレクチャー担当:love the life(ヤギタカシ・勝野明美)
テーマ「いま見るべき東京2010 - インテリアデザイン危機遺産ガイド」

・日程  :2010年2月21日(日)14:00より
・場所  :love the life アトリエ(住所などはこちら
・お茶代 :一般 1000円,学生 500円
・各回定員:だいたい5名様くらい(申込先着)。
・申込方法:メールでどうぞお気軽に。
      ご参加日、お名前、ご連絡先、ご参加人数、
      一般・学生の区別をお知らせ下さい。

元浅草勉強会の概要はこちら

2010年02月10日 06:00 | trackbacks (0) | comments (0)

旅に出てきました : 帰省ツアー 2009-2010・6-9日目

昨年12/29。『ふつうの家01』で起床。高速舞子バスターミナルから明石海峡大橋を渡り、淡路島を縦断。大鳴門橋を渡って四国に入り徳島駅に到着。

現地エージェント(ヤギの弟)のプリウス号で伊予街道を東進し、安宅の交差点を右折。少し進んだ左手の路地に自家焙煎珈琲店『とよとみ珈琲』がある。前年に続き二度目の訪問。

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ブレンド(上の写真)とコスタリカとエスプレッソ焼きドーナッツのプレーン鳴門金時芋のタルトを注文。ドリップコーヒーのすっきりした味わいもさることながら、やはりここはエスプレッソの美味さが際立つ。そしてこの日予想外に素晴らしかったのが鳴門金時芋のタルト。上品な素材の滋味を引き出し、見事に高めた逸品。じんわりしみじみ美味い。

とよとみ珈琲徳島県徳島市末広2-1-42/088-655-8052
8:00-20:00(日祝-19:00)/水休

12/30。阿波市にあるヤギの実家から現地エージェント(ヤギの弟)のプリウス号で東へ。板野郡上板町『岡田製糖所』でお土産を購入。鳴門市大麻町の『森陶器』は休み。残念。徳島市内へ移動して伊予街道を東進。佐古二番町の交差点を左折し、JR佐古駅を右手に過ぎて田宮街道に出たところを右折するとほどなく『アアルトコーヒー』に到着。2006年オープンの自家焙煎珈琲店。赤茶の木格子と木建具、白地に細い書体で店名を記した看板の店構えは控えめで上品だ。豆売りをメインとする小さな店内には、奥の販売カウンターを除き、こまごまとした可動家具だけが設えられている。

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窓際のテーブルで中深煎りのアアルトブレンドと深煎りのアルヴァーブレンドなど、続いてマンデリンとコロンビアを注文。やや煎りの浅いアイノブレンドもあるらしい。どれも極めて綺麗な珈琲。優しく飲みやすく、良く制御されているが、悪く言えば平坦な印象を受ける。個人的には物足りない。しかし、こうした珈琲を好む層が幅広いのもまた事実だろう。

アアルトコーヒー/徳島県徳島市南田宮2-3-111/088-632-9088
10:00-19:00/日休

佐古二番町の交差点へ戻って再び伊予街道を東進。佐古一番町の交差点を右折すると、眉山の麓に『いのたに』が登場。『広東』と並び徳島ラーメンの元祖的存在とされる店。古いタイル張りのビルに大きく簡素な赤いテント。アルミ色のサッシが並ぶまるでガレージのような店構えだが、一切の虚飾を排し整然とした佇まいは独特の風格さえ感じさせる。店内に入ると木目調の合板張りの壁に囲まれたいかにも「食堂」と言った風情のフロアに大きなコの字形の島カウンターが2つあり、中央に食券の販売機。奥の厨房に煙突付きの丸釜が3つ鎮座する様子は壮観だ。

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中華そば肉入りを生玉子付きで注文。水のコップにレンゲが乗って出てくるのがニクい。茶色い豚骨醤油出汁は見ての通りの甘辛さ。ところが意外にも後口は至ってさっぱりしている。柔らかめの中太ストレート麺は次第に出汁や具と渾然一体に。生玉子を混ぜればカオスはさらに深まる。なんとも不可思議な美味さ。なるほど、これが徳島ラーメンの典型か。

いのたに/徳島県徳島市西大工町4-25/088-653-1482
10:30-17:00(売切仕舞)/月休(祝日の場合は翌火休)

再び田宮街道へ戻って自家焙煎珈琲店『アッタロード』へ。先ほどのルートで言うと、『アアルトコーヒー』の手前並びにある。オープン年は不明。こちらへは2008年に移転されたとのこと。黒いガルバリウム鋼の波板に覆われた戸建住宅に木板張りの庇。それを境に1F部分はオフホワイトの左官で仕上げられている。大きなガラス窓越しに見えるカウンター席がなければ、そこが店であるとは分かり辛いくらいの控えめな構えだ。ドアを開けるとフロア左側は豆の袋に占領されており、最奥に焙煎機が鎮座。右手にあるL字形のカフェカウンター内には様々な抽出器具がずらり。白壁に赤茶の木造作の内装はほぼ資材に埋もれている。基本的には豆売りの店で、席はカフェカウンター手前と先ほどの窓際のカウンターとにそれぞれ3つ4つあるのみ。

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この日はカフェカウンターに張り付いて、26歳の若マスター(焙煎歴は10年以上になるとのこと)から色々とお話を伺った。「スペシャリティじゃなくてもパンチのあるコーヒーを提供したい」との言葉通り、ネルドリップで供されたお薦めのストレートコーヒー2品はどちらも骨太でそれぞれに個性の際立った鮮やかな味わい。ひとつはモカ・イルガチョフだったが、これが素人の情けないところで、もうひとつを忘失してしまった。ブレンドとブラジルをお土産に購入。今後はぜひとも通販にも取り組んでいただきたいところ。何しろ美味い上に実にリーズナブル。現時点のドリップコーヒーにおける個人的徳島ナンバー1店だ。

アッタロード/徳島県徳島市南田宮3-2-44/088-632-1157
9:00-19:00/不定休

夜は阿波市土成町の『新見屋』でたらいうどん。宮川内谷川の渓谷にへばりついた野趣溢れる雰囲気とじんぞく出汁。例年通りながらやっぱり美味い。

12/31。午後から年越しの食材の買い出しに同行。合間に阿波市阿波町『ドルチェ』へ。橅養街道沿いのスーパー『アワーズ』斜め向かいにあるジェラート店。砂利敷きの駐車場の片隅に山小屋風板張りの店舗がある。入るとすぐにカウンターショーケース。その奥にキッチン。左側にテーブル席がいくつか。その奥に繋がった離れにも大テーブルが2つ3つ置かれている。

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敷地内の植栽はほとんど手入れをされておらず荒れ放題なのが残念だが、この離れから裏手にひろがる田園と四国山脈の風景はなかなかに素晴らしい。真ん中に高越山を眺めつつ、ゆずと鳴門金時芋、牛乳と南瓜のジェラートをいただいた。濃厚な風味に外れ無し。のどかな良い年末。

ドルチェ/徳島県阿波市阿波町大道北190-1/0883-35-3912
10:00-19:00/火休

紅白を見て1/1。阿波市市場町の若宮神社で初詣を済ませ年越し蕎麦。明けて高速鳴門からバスで神戸入り。三宮『マウンテンコーヒー』でボリュームたっぷりのミックスサンドとフルーツワッフルに満腹しつつ、神戸空港からスカイマークで帰京。

2010年02月07日 16:00 | trackbacks (0) | comments (4)

旅に出てきました : 帰省ツアー 2009-2010・5日目

昨年12/28。神戸市垂水区『ふつうの家01』で起床。午後から山陽電鉄に揺られて新開地へ。先ずは商店街を北上し、アーケードの中ほど右手にある自家焙煎珈琲店『松岡珈琲』を訪ねた。開業は20年ほど前と聞く。

華奢な木製サッシの店構え左側にはガラス張りの焙煎室。右側のドアから店内へ入ると通路を挟んで左手にキッチンカウンター、右手の壁沿いに小さなテーブル席が並ぶ。カウンター側フロア中央奥寄りにある間仕切りを挟んでやや大きめのテーブル席が3つほど。その右側にはWCと上階への階段があるようだ。内装はオフホワイト基調に暗色の木造作。オリジナルと思しいチェアの大づくりな木彫りの装飾が特徴的。いかにもくたびれた箇所や資材などがやや雑然と見える部分もあるが、長年大事に使い込まれた様子が伺える。この日はふたりのおばちゃんがそれぞれキッチンとフロアを担当し、奥から時折年配の女性が現れては焙煎室へと向かっていた。

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ブレンドとコロンビアとタマゴトーストを注文。サイフォン抽出の珈琲、特にコロンビアの鮮やかさには思わずたまげた。極めて庶民的な雰囲気や客層にすっかり油断させられていただけに衝撃は倍増。分厚い卵焼のはさまったタマゴトーストは香ばしく贅沢な食感で美味い。虚飾ゼロの知られざる名店。お見それしました。

松岡珈琲/兵庫県神戸市兵庫区新開地1-1-8/078-577-6376
9:00-19:00/不定休

新開地を抜け、北側の湊川エリアへ。こちらの商店街はユニークな2層構造を持つ。2階部分を所々デッキで接続しながら延々ゆるやかに蛇行する姿は、冷静に良く良く見るとかなりの壮観だ。下の写真は商店街の中ほど(少し南側の写真)。

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西側棟は商店街の反対で公営の駐車場に隣接し、高台(天井川だった旧湊川を明治期に埋めたもの)に貫入しながら面的にひろがる。その上に乗っかるのは湊川公園と公営住宅と兵庫区総合庁舎。さらに商店街を抜けると傾斜地にへばりついて編み目状に形作られた路地にそのままアーケードをかぶせたような別の商店街があり、メインストリート以上の賑わいを見せている。『はらドーナッツ』の本店があるのもこのエリアだ。なるほど、これが「神戸の台所」。カオティックで実に楽しい。

散策後、再び新開地商店街へ戻り『松岡珈琲』近くの交差点を西側の路地へ。道なりに進むと突き当たりの角地に『アキラ』がある。1965年開業の喫茶店。2005年頃から珈琲を自家焙煎なさっていると聞く。店内に入ると右手にテーブル席。左手にある多角形のカウンターキッチンにやや強面のマスター氏が控える。光天井を持つ白い箱に所々渋いグリーンの面と四角錐形のブラケットライトをあしらった内装は明るく清潔。おそらく80年代あたりに新装したものだろう。全体にスクエアな印象の強い中、奥に一面だけジャングルと動物が絵本調のタッチで描かれた壁があるのが面白い。

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ホットとミックスジュースとホットケーキを注文。艶やかな表面を持つホットケーキはあらかじめカットした状態で供される。時間の無い中で一服したい向きには親切なサービスに違いない。ミックスジュースは完璧なるスタンダード。珈琲も大量抽出ながら決して悪くない。さりげない気遣いを高いレベルで継続する姿勢に頭が下がる。

アキラ/兵庫県神戸市兵庫区水木通1-3-14/078-575-3102
8:00-21:00/第3,4木休

新開地を離れて元町まで徒歩移動。元町商店街を花隈駅辺りで南の路地へ入ると右手に『元町ケーキ』が現れる。1946年開業のパティスリー。店内に入ると正面にカウンターショーケースがずらりと並び、その奥に工房。路地に面したセルフ形式の簡易なカフェスペースが左手にある。内装はパティスリーとしては至ってシンプルで飾り気が無い。

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この日は店内で『ざくろ』をいただいた。ざくろとは言っても果物ではなくケーキの名前で、この店の看板商品。両手でめりっと割ったようなスポンジに苺をひとつ乗せたビジュアルはちょっと笑えるくらいに素朴かつワイルドだ。食感は夢のように軽く、ごくシンプルな素材の風味だけが濃厚にひろがる。美味い。

元町ケーキ/兵庫県神戸市中央区元町通5-5-1/078-341-6983
8:30-19:00/水休

再び商店街に戻ってしばらく元町方面へ進むと左側でお茶の試飲を勧める店が『放香堂』。間口の大きな店先に物販カウンターを並べ、左手では焙じ機が良い香りをたてる。

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こちらは江戸後期に京都に創業した茶商。神戸には1868年(明治初期)から店を構えている。同時期には珈琲の販売も手掛けており、店頭で振る舞っていたとのこと。珈琲が広く一般に提供された例として、これは日本で最も早いものとされる。現在は日本茶のみを扱うが、実は珈琲好きには聖地の一つと言って良い場所だったりする。記念写真撮影後、煎茶と焙じ茶を購入した。

放香堂/兵庫県神戸市中央区元町通3-10-6/078-331-3117
9:30-18:00/水休(祝日の場合は営業)

商店街を離れて花隈公園の交差点からJR高架下の商店街(モトコー)へ。しばらく元町側へ進むと左側に『グリーンズコーヒーロースター』がある。2005年オープンの自家焙煎珈琲店。ふた葉のマークの看板を右に見ながら黄味掛かった壁の中ほどにある赤茶のドアを開けて店内へ。入口階は全て物販と焙煎スペースで占められている。右手にカウンター、その奥に焙煎その他の作業スペースがあり、入口左手すぐの螺旋階段を上るとカフェ。おそらくパティスリーの居抜きと思われる店内は高架下の空間を生かしながらも綺麗に仕上げられている。内装はオフホワイト基調にざっくりした木造作。意外な天井高と相まって、プライベートとも開放的とも言える独特の居心地の良さを持つ空間がひろがる。

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中深煎りのグリーンズブレンドと中煎りパナマを注文。サイフォンで供する珈琲にはどちらも骨太なインパクトがある。それでいて後味は実にすっきり。時間が無く2品しかいただけなかったのが残念だ。また伺わねば。

グリーンズコーヒーロースター/兵庫県神戸市中央区元町高架通3-167
078-332-3115/11:00-18:30LO/火休(土日祝は豆販売のみ)

2010年02月05日 05:00 | trackbacks (0) | comments (0)

旅に出てきました : 帰省ツアー 2009-2010・4日目

昨年12/27。須賀さんご夫妻にご同行いただいての大阪市内視察。先ず目指したのが『バーンホーフ』。2003年オープンの自家焙煎珈琲店。マスター氏は田口護氏(バッハ)の指導を仰いだ人物と聴く。

JR大阪環状線を野田駅で降りて高架脇をしばらく福島駅方面へ。高速道路との立体交差を見上げつつ信号を渡ると、高架下右側に『バーンホーフ』のエントランス。白壁にスチールサッシを嵌めた店構えはすっきりとして落ち着きがある。向かって左側のガラス越しに焙煎室。手前のワークカウンターではスタッフがハンドピックに勤しまれていた。右側には「B」の字を象った正方形の看板。中央の自動ドアから店内へ。

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左にレジカウンターと焙煎室、右に物販スペースを見ながら奥へ進んで客席へ。通路を挟み左側にはゆったりとしたカウンター席があり、その突き当たりにキッチン。右側にはベンチシート式のテーブル席が一列にずらり。至って明快なフロア構成となっている。天井は割合高い。オフホワイトの箱に飴色のカウンターや棚などの木造作、黒レザーのベンチシートに間接照明を配した内装も、店構え同様さりげなく質感は高い。

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ブレンドと栗のケーキ(上の写真)、パナマとフレンチトーストを注文。珈琲は鮮やかな豆の風味とバッハ系らしいキレが見事なペーパードリップ。ケーキ類の味もなかなかのもの。若いスタッフの明るい応対に気分は晴れやかだ。趣味の良い設えと申し分ないサービス。これほどのカフェには滅多にお目にかかれるものではない。近所にあったら確実に通うだろう。野田周辺の方々が心底うらやましい。

バーンホーフ/大阪府大阪市福島区吉野1-14-8/06-6449-5075
10:00-20:30/不定休

地下鉄で四ツ橋へ移動して四ツ橋筋を北上。新増一丁目南の交差点を左折し、しばらく行くと右手の高層ビル1Fに『日月餅』新町店の控えめな店構えが現れる。ISOLATION UNIT(柳原照弘氏)が内外装デザインを手がけた和菓子店。オープンは2008年。

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大きな木製サッシの引戸から店内へ入ると、フロア中央にコンクリート製の大テーブル。壁面はモルタルで仕上げられ、単一素材から掘り出したような空間となっている。商品ディスプレイに接客、イートインなどの主な機能要素は大テーブルひとつに集約されており、小さな空間ながら最少限の要素が余裕を持って配置された様子に窮屈さは無く実に潔い。要所に見られる床や躙口を彷彿させる設えは空間に象徴性と華やぎを与えている。ただミニマルなだけには終わらない奥行きを感じさせるデザインだ。

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黒豆大福とラズベリー大福(上の写真)、抹茶ぜんざいをいただく。特に黒豆大福が秀逸。次回は草餅と、品切れだった塩大福をいただいてみよう。

器や備品のセレクトも含め、装いには一切の隙がない。引き替えに運営上苦労なさりそうな点はいくつか見受けられるが(収納の無いWCなどなど)、目先の実利に流されず見栄にこだわるのも上方らしい商いのやり方だ。ぜひとも頑張って維持して頂きたい。

日月餅 新町店/大阪府大阪市西区新町1-17-17/06-6536-0805
10:30-19:00/無休

下って長堀通りを西へ。西大橋の交差点でなにわ筋をさらに南へ。西労働基準監督署前の交差点をさらに西へと進み、ひとつめの信号を左折すると『ヴェーク』にたどり着く。女性オーナーがほぼ一人で切り盛りする2008年オープンの自家焙煎珈琲店。こちらもまた田口氏直系の店で修行をなさった方とのこと。焙煎室を左に見ながらドアを開けると右側に数席のカウンター。左側奥にテーブル席がいくつか。小さなフロアで焼き菓子までをこなす様子はいかにも手狭で大変そうではあるが、白い箱にナチュラルな木造作の内装は明るく清潔に保たれている。

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ブレンドドミニカを注文。柔らかな輪郭の中に芯の通ったところを感じさせる珈琲。特に浅煎りのドミニカの風味豊かさには驚いた。これは他のメニューもさぞかし、と大いに期待はふくらんだものの、さすがにこの日は水分を採り過ぎてお腹いっぱい。またの機会とさせていただくことにした。

ヴェーク/大阪府大阪市西区南堀江2-13-16/06-6532-7010
9:30-18:30/火休

堀江の変貌ぶりを見ながら地下鉄の難波駅へ。黒川勉氏デザインの『ローリーズファーム』が健在で嬉しい。O-CATはもうダメらしいと伺う。梅田からJRで垂水まで。梅田駅周辺の開発ラッシュの凄さには驚愕した。ヒルズとミッドタウンとサザンテラスをいっぺんに作ってるみたいだ。景気いいじゃないか大阪。これがとどめとなってしまわないことを心から祈る。

そして『ふつうの家01』に初の宿泊。使われている様子もやっぱりふつうだ。必要十分。これで良い。

2010年02月01日 19:00 | trackbacks (0) | comments (0)
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