3/16。大門で打ち合わせ、恵比寿でうどん店視察の後『ヴェルデ』でひと休み。駒沢通りをしばらく代官山方面へ。恵比寿南交差点を過ぎた右側にある自家焙煎珈琲店。開業は1981年頃と聞くが定かではない。この十数年のあいだに幾度となく前を通っているにも関わらず、伺うのはこの日が初めてだった。
ビルの1Fからくすんだグリーンのテントを持ち出したガラス張りの店構えは開放的ではあるものの一見素っ気無い。テントの下に掲げられた木製看板にはポットの絵と「自家焙煎」、「ヴェルデ」の文字。近づいて店内を覗くまで喫茶店なのか豆売り専門なのかはっきりとは分からない。
駒沢通り側中央の入口ドアから店に入ると右手前にテーブルがひとつ。そこから奥へとカウンター席が連なる。左手にはガラス面とのあいだに若干の隙間を挟んでビル構造の大きな柱があり、表から比較的良く見えるその隙間の駒沢通り側に焙煎機が鎮座し鈍い光沢を放つ。飴色に変色した壁と天井から判断するに、少なくとも20年前後を経た店であることは間違いない。棚や間仕切りは暗色の木造作。階段状に折り上げられた天井を除けば装飾的な要素のほとんど見当たらない空間は開業当時にはさぞかしクールだったろう。客層は年代も性別も人数もまちまちで、近くの人々が気軽に利用されている様子が伺える。
柱の奥側にいくつか並んだテーブル席のひとつに落ち着いて軽めのブレンドとコスタリカ、レアチーズケーキを注文。珈琲はネルドリップ。特に素晴らしかったのが中深煎りのコスタリカだ。甘味と苦味と芳香、そのクリアなこと。軽めのブレンドは驚くほど酸味が少なく、豆の香りが爽やかにひろがる。実に美味い。
店構え同様、マスター氏とスタッフ氏の応対もクールで良い。恵比寿にこんな都会的な店があることをもっと早くに知っておくべきだった。他のメニューもぜひいただいてみなくては。
ヴェルデ/東京都渋谷区恵比寿西1-20-8/03-3496-1692
10:00-20:00(日祝13:00-)/無休