4/25。『虎屋菓寮』京都一条店からの帰りに近所の『加藤順漬物店』で買い物。開業年は不明。京都市内で永らく営業している店ではあるようだ。工場は西京極の陸上競技場近くとのこと。
川端二条の交差点を少し西へ。左手にカー用品店が現れたところで細い路地を上がるとすぐ正面に上の写真(クリックで拡大)の店構えが登場する。路地をさらに上がって裏から見ると下の写真(クリックで拡大)のような状態。いびつでちいさな形状の敷地いっぱいに建てられた木造二階の姿は周囲の町家とは異なりやや唐突で印象的だ。
暖簾をくぐり引戸を開けると、六畳間ほどの店先の左右の壁沿いに様々な漬物がぎっしりと並ぶ。白髪の店番氏(店主だろうか)から名物の菜の花漬け、小振りなすぐきをいただいて帰宅。
菜の花漬けは至ってシンプル。ストレートな素材の味が好ましい。口直しには良いものの、少々もの足りない気もする。対して、思いのほか素晴らしかったのがすぐき。上品な酸味にずっしりとしたコク。メインディッシュ級、と言うと大袈裟だが、そう言いたくなるくらいに味わい深い。京都名産、全国的にも稀な乳酸発酵食品であるすぐきの魅力に遅ればせながら開眼。これを皮切りにあちこち食べ比べてみよう。
加藤順漬物店/京都府京都市左京区難波町207-7/075-761-5827
8:30-19:00(日祝)/無休(正月三賀日休)
4/25。家事と仕事の合間に『虎屋菓寮』京都一条店まで散歩。和菓子店『とらや』の喫茶スペースとして2009年に開業。建築デザインを内藤廣建築設計事務所が手掛けている。場所は御所のすぐ西側。烏丸通りを一条通りで左折すると、広い間口に低い妻屋根を乗せた建物が現れる。
上の写真がその外観。左側にある蔵のような棟がギャラリーで、この日は富岡鉄斎展が開かれていた。建物の下半分を覆う白い部分は漆喰ではなく凸面状の白いタイル張り。微妙にもこもこした表情は、でっかい木綿豆腐を連想させる。
一方、菓寮の棟は高さを抑えられており外観のデザインも至って控えめ。しかしその内部には思いも寄らぬ大胆で広々とした空間がひろがっていた。
木製アーチの連続で構成されたヴォールト天井を南北端の細い鉄骨が支える様子は実に軽やか。トップライトを含む自然光と間接照明が開放感を一層引き立てる。その中に点々とアクセントを加えるコンパクトなペンダントライトは『とらや』のロゴを象ったもの。
北側の窓は庭に面しており、軒先にも席が設えられている。新緑を眺めくつろぎつつ、抹茶グラッセと菓子のセットをいただいた。
菓寮とは別に、烏丸通りに面した建物が物販棟として使用されている。こちらは改装ながらデザインはやはり内藤廣建築設計事務所によるもの。さすがに手堅く美しい(壁付サインの写真/物販カウンターの写真)。
菓寮はラストオーダーが17:30と営業時間が短いのが残念だが、考えてみればあの空間の魅力を存分に味わうには日の光が欠かせない。アトリエに籠ってばかりいないで、たまには昼間に贅沢をしに伺おう。
虎屋菓寮 京都一条店/京都府京都市上京区広橋殿400/075-441-3113
11:00-17:30(土日祝10:00-17:30LO)/元旦を除き無休
4/22。学校からアトリエへの帰り道を少し遠回り。珍しく早い時間だったので『出町ふたば』に立ち寄ることができた。1899年開業の和菓子店。河原町今出川の交差点を北上すると、ほどなく左手のアーケード下の人だかりが目に入る。大きなショーケースを手前に並べた店構えに取り立てるべき特徴は無いが、通りの反対側から建物全体を見るとなかなか立派な町家であることが分かる。この日は雨降りのおかげで行列は短め。首尾よく豆餅を購入。
甘さ控えめな少量の餡。ほどよく塩の効いた豆。それらをふわりとやわらかく包む餅。上質な要素のひとつひとつが突出せず端正に調和した味は店構え同様何の変哲も無い。いかにも真っ直ぐで、当たり前に美味い。しかしこの「当たり前」の値打ちは計り知れない。
出町ふたば/京都府京都市上京区青龍町236/075-231-1658
8:30-17:30/火・第4水(祝日の場合は翌日)休