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都市とデザインと : 表参道・根津美術館

5/1。竹橋から表参道へ移動。根津美術館『国宝燕子花図屏風 琳派コレクション一挙公開』。2009年の新装開館以来、訪ねるのはこの日が初めて。建築デザインを手掛けたのは隈研吾建築都市設計事務所。以下、写真はクリックで拡大。

表参道突き当たりの外観は一瞬あれっ?と思うくらいに仮設倉庫風。しかし門を抜けた後、アプローチからの光景は見事だ。軒下のディテールのミニマルなこと。エントランス手前から見ても建物自体はやはり仮設倉庫っぽいが、薄っぺらい屋根を支える鉄骨柱まわりのラフな納まりを眺めるうちに、これは数寄屋なんだな、と納得。

竹集成材と砂岩、ガラスと鉄で出来たインテリアには、隈建築ならではの質感の高さと軽快さが存分に発揮されている。上の写真は1Fホールから展示室の方を見たところ。こちらは展示室手前からミュージアムショップの方を見たところ。こちらの写真左はミュージアムショップ手前の空間。その上階にあるラウンジ(先の写真右)には、ロゴデザインから着想したと思われる特徴的なかたちのベンチが並ぶ。これも竹集成材。

南東側の軒下をくぐって庭園へ。上の写真は庭先から振り返ったところ。この控えめな佇まいが建物を最も魅力的に見せる。こちらは南東側外観の近景。こちらはB1F茶室口からの見上げ。

広大な庭園はやや鬱蒼としており良くデザインされているとは言い難いものの、都心に居ることを忘れさせる野趣がインパクト大。上の写真は展覧会に合わせて咲き誇る燕子花。その向こうの池では親亀子亀が甲羅干し。さらに奥には古びた木の小舟が一艘

本館から離れ、庭園の樹々に埋もれるような姿で建つのが『NEZU CAFE』(ネヅカフェ)。手前から見ると平屋の体裁。地形を上手く利用して、裏手の地下レベルに車寄せなどの動線を隠している。ガラス越しには溢れんばかりの緑。和紙調のシートを通して店内には木漏れ日のような光が差し込む。食器類にはさりげなくエンボスで燕子花があしらわれていた。会計やサービス機能を一手に引き受けるカウンターは席数のわりに小さい。カウンター背後の扉類も和紙調シート張りなので汚れがちょっと心配。それにしてもこの贅沢な眺めの中で快適に一服させていただけるのはありがたいことだ。運営は大変そうだけど、ぜひとも頑張ってこのスタイルを守っていただければと思う。

展覧会は思いのほかこぢんまりしてはいたが、おそらく初見の『桜下蹴鞠図』(俵屋宗達工房の作と言われる)は大きな収穫だった。一見しておおらかで優雅。その実、構成といいタッチといい、極めて厳しく洗練されている。『夏秋渓流図』(鈴木其一)と『燕子花図屏風』(尾形光琳)もそれぞれじっくりと味わうことができた。凄いコレクションだなしかし。

2010年07月29日 18:00 | trackbacks (0) | comments (0)
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