2010/8/16。東福寺境内から六波羅門を抜けて道なりに南下。ほどなく右手に光明院が現れる。東福寺塔頭(たっちゅう)のひとつで重森三玲1939年作庭の波心庭(はしんのにわ)を擁する。山門から左手に進むと無人の入口の左脇に竹筒が置かれている(こちらはモミジの葉が型押しされた入口土間のディテール)。その中に各々心ばかりの拝観料を納め、先ずは方丈の方へ上がらせていただいた。以下、写真はクリックで拡大。
上の写真は方丈手前から見た波心庭全景。白砂と苔が入り組んだ微妙な凹凸面に75の石が立つ。背後の斜面を駆け上がるサツキやツツジの丁寧な刈り込み。覆い被さるモミジ。その様子はむくむくと湧き上がり渦巻く雲を思わせる。立体的。
上の写真は方丈から書院を挟んで南側にある本堂からの全景。おそらく正面と言って差し支え無いだろう。モミジの向こう側には蘿月庵(らげつあん)と呼ばれる茶室があり、そのデザインを手掛けたのも重森とのこと。この日は下調べが足りず見逃してしまった。加えて、山門と入口前の間にあった雲嶺庭(うんれいてい)も小規模ながら重森の作。写真撮っとけば良かった。残念。
こちらは同じ位置から見た縦位置での写真。上の写真は中央組石まわりのディテール。苔のエッジに小さめの石が無数に埋め込まれ、独特の表情をつくり出しているのが分かる。こうしたやや大きめの組石が庭の北側と南側にもあり、それぞれに釈迦三尊、阿弥陀三尊、薬師三尊を表すそうだ。こちらは本堂南側からの全景。
上の写真は方丈東側の渡り廊下から見た全景。こちらはやや方丈寄りの位置から庭北側を見たところ。下は同じ位置から見た縦位置での写真。
こちらは書院から障子を通して庭を見たところ。こちらは書院の南面にある丸窓の様子。北面の欄間には左官を曲線状に空かしたユニークな意匠が施されている。
明快かつ融通無碍な構成によって生み出される変化に富んだインスタレーション。宗教的な意味合いは十分に含みながらも、この庭の眺めは全くクールで斬新だ。個人的には詩仙堂に勝るとも劣らぬ衝撃的な体験。酷暑も意識の彼方へと遠のいた。
光明院(京都観光Navi)