2010/9/12。夕刻早めに『六曜社地下店』へ。1950年開業の自家焙煎珈琲店。2代目マスターのペーパードリップをいただけるのは18:00まで。以降はマスターが兄上に交代してアルコール類の提供がはじまる。地上階の『六曜社』は1965年の開業で終日喫茶営業。以下、写真はクリックで拡大。
河原町の東側を三条から南下すると、ほどなく緑がかった陶板タイルと羽目板の造作に覆われた小体ながらも印象的な店構えが現れる。地下店への入口は左手の狭い階段を降りた先。ドアを開けると正面にコンパクトな茶色い革張りソファのテーブル席が3つ4つ。右手に同じ革張りのハイスツールを10席ほど設えたカウンターキッチン。カウンターバック上方にあるガラスケースを見れば自家製ドーナツの在庫状況が分かる。壁と天井の大部分は暗色の木造作に覆われており、テーブル席壁面のブラケットライトとカウンター上のペンダントライトでまばらに照らされた店内は昼でもぼんやりと薄暗い。戦前この場所にあった店の居抜きで開業されたとのことなので、これらの内外装は相当の年代物かもしれない。『六曜社』の名も戦前の店からそのままだそうだ。
コーヒーはその第一印象こそ控えめながらも、バランス良くどっしりとした深みのある味わい。上の写真はハウスブレンドのホットとドーナツ。
上はハウスブレンドのアイス(とドーナツ)。なみなみ注いだコップにスプーンを挿してソーサーで供される様はなかなかの男前。
上は自家製ドーナツ近景。甘さ控えめで見た目通りの素朴な食感。コーヒーとの相性はこの上なく素晴らしい。個人的にこの組み合わせはまさに理想的だ。もうほんの少し重めなものをいただきたい気分ならパウンドケーキがこれまた実に良い。
静かにしてパンチのあるコーヒーとシンプルで当たり前なサイドメニュー。廃れることの無い珈琲店のスタンダードをこれほどクールに体現する店は滅多に無い。いかにもな「レトロ喫茶」は仮面に過ぎないのだ。
六曜社地下店/京都府京都市中京区大黒町36 B1F/075-241-3026
12:00-18:00(バーは:18:00-24:00)/水休(バーは無休)
六曜社コーヒー。懐かしいです。。20年前の学生時代でもかなり古くからのコーヒー屋という風格でしたが、20年経った今も、かわらぬ風格に、京都の時間の重みを感じます。
当時、皿に載ったグラスでミルクコーヒーを飲んでましたが、アイスもホットも同じ器だったかと。また京都に行って味わいたいです。
>クマクマさん
私たちも調べてみてその歴史の深さに驚きました。名物のドーナツは何時頃からあるんでしょうね。ミルクコーヒーはまだいただいたことがないかも。グラスにソーサー付きかどうか、こんど確かめときます。