2012/3/14。陶磁器メーカー・マスターズクラフトによる和雑貨店『マスターズクラフト パレスホテル東京』の店内に使用する素材の検討(先日の工事現場の様子はこちら)。岐阜県瑞浪市のマスターズクラフト本社から到着したオリジナルの織部釉陶器タイルのサンプル6種で酸洗浄の実験を行った。
本来銅を主成分とする織部釉は焼成後の表面に酸化皮膜が発生してしまう。近代以降の工程では薄めた塩酸で焼き物を洗浄し、この皮膜を取り除くことで織部特有の色の鮮やかさを引き立てている。さらに最近では銅を含まない「織部風のなんとなく緑っぽい釉薬」が主流なので、こうした手間をかけることはほとんど無い。
そんなわけで、酸洗浄によってどの程度質感が変化するのか、また素人が客観的に見て酸洗浄前後のどちらの色味がいい感じなのか、試してみるというわけだ。
上の写真は酸洗浄前の織部釉陶器タイル。長さ225mm、幅30mm、厚み15mmほどのスティック形。それぞれに釉薬の厚みと焼いた窯が異なる。
上の写真が実験セット。マスキングしたタイルとステンレス皿とタイマーとサンポール(塩酸9.5%含有)。
一気にサンポール塗布。
1分ほど時間をおいて洗い流し、乾燥を経た状態が上の写真。下1/3ほどの色味の変化が明らかに見て取れる。単に綺麗になっただけでなく、質感そのものがしっとりとした深みのあるものへと変化したことに驚いた。
結論としては、左の4種類の範囲内で色の変化をつけながら400枚ほどのタイルをクライアント自ら制作して下さることに。酸洗浄有りで。