2012/4/16。『マスターズクラフト パレスホテル東京』C工事引き渡しの前に青山にある商環境デザイン物件を駆け足で視察。
最初に『Found MUJI』青山(2011)へ。無印良品のスタッフが世界各地で発見、もしくはコラボレーションした生活用品が販売されている。場所は青山通りと骨董通りの交差点近く。店舗は無印良品1号店(1983)をリニューアルしたもの。内外装デザインは以前に引き続きスーパーポテト(杉本貴志氏)が手掛けている。上はその店構え。こちらにある写真と比較すると、開口部などはそのままに、主に素材とサインだけが変更されていることがよく分かる。
1、2Fのフロア構成や階段の位置、什器の構成にも大きな変更は無い。ただし、売場は1Fをギャラリー、2Fをショップとしてその性格が明確に二分されている。特に1Fは以前に比較して陳列量が格段に少ない。個々の商品の特徴とバイヤーの意図がしっかりと伝わるだけでなく、木材を贅沢に用いたインテリアと相まって、無印良品ならではの世界観が存分に表現されていた。
2Fに上がると1Fの商品を種類、数量ともにぐんとボリュームアップされた状態で見ることができる。以前の状態に近いのは2Fの方だが、古い人間には1Fの印象の方がむしろ懐かしい。青山3丁目店が無くなってしまった今、コンパクトながら極めて無印良品らしい無印良品が、この地に帰って来たことが意味するものは大きい。
続いて『Cafe & Meal MUJI』南青山(2011)で朝食兼昼食。こちらも内外装デザインはスーパーポテト。場所は骨董通り沿いの小原流会館向かい。上はエントランスを入ってすぐのベーカリーの様子。瓶詰めやポリプロピレン収納ケースを用いたディスプレイ、保存瓶のシャンデリアにモノクロ写真のウォールグラフィック、質感の高い木製什器などの抜かり無い構成は、同系列店のデザインボキャブラリーがほぼ完成されたことを伺わせる。今後はこの南青山店のように『Cafe & Meal MUJI』単独での出店も増やしてゆく方針のようだ。こちらは店内奥窓際のカウンター席からフロア越しにデリカウンターの方を見たところ。この日いただいたプレートはこちらとこちら。
上は『Costume National Aoyama Complex』(2011)。内外装デザインはエンニョ・カパサ氏(Costume National デザイナー)と岡山伸也氏が手掛けている。ブティックとギャラリー、バー、オフィスとゲストハウスの複合施設。骨董通りから小原流会館の信号を曲がってグラッセリア青山の脇道を奥へ進むと右手に白い建物が現れる。
岡山氏は60年代後半から活動する関西インテリアデザインの重鎮。境沢孝氏やアレッサンドロ・メンディーニ氏とのコラボレーションでも知られる。ここでのデザインは岡山氏としては極めてミニマルな部類に入るが、ファサードのガラスに面して天井から吊るされた、高さ・幅ともに5m以上はあろう幾何学模様を描くハンガーパイプは圧巻だ。これだけのサイズの平面的な造作が振れ止めなしで支持されていることは、実際に目の当たりにしてもすぐには信じ難い。最奥の壁面からランダムに突き出した無数のガラス棚の施工も非常に美しい。
Costume National Aoyama Complex
通りに戻って農林水産省共済組合南青山会館の角を左へ曲がりしばらく進むと右手に『Carina』(2009)が現れる。1Fの子供服を中心に2F、B1Fの3フロア(それぞれ45平米ほど)で構成されたブティック。建築設計は妹島和世建築設計事務所。ファサード(上の写真)全面を覆うのはアルミのエキスパンドメタル。大きめのカッティングが青海波を思わせるパターンを描く。こちらはエキスパンドメタルの穴から内側をのぞいたところ。右側にペアガラスのスクリーンが見える。残念ながらこの日のちょうど翌週に閉店されたとのこと。中も拝見しておけば良かった。
通りを突き当たりまで進んで右折。表参道へ出ると右手に『Comme des Carcons』青山店(上の写真)。1999年に川久保玲氏、フューチャーシステムズ、河崎隆雄氏がデザインした内外装をリニューアルしてこの日の前々週末に再オープンしたばかり。ファサードの曲面ガラススクリーンから青いドットが無くなって透明に。インテリアはモノトーンとなった。
できれば『Utrecht』にも伺いたかったが定休日。また次の機会に。