Love the Lifeの最新作「Masters Craft Sakura Tower Tokyo」の完成写真をアップしました。Worksからご覧下さい。フォトグラファーは佐藤振一さん。
品川駅の西側に点在するプリンス系ホテルのひとつが2013年にリニューアルオープンを迎え、それまでホテルの直営だった地上階のスーベニアショップが新たにテナントとして改装された。デザインにあたって、ホテル側は既存のストアフロントと照明を含む電気設備の現状維持を条件とした。また、クライアントは移設可能な造作を主体とする売場構成を要望していた。
フロアの北側は共用通路に面し、南側には大きなガラス面がある。その向こうには斜面を覆うツツジの植え込みが連なり、さらに被さるようにしてサクラやモミジの木々が植えられている。手入れが行き届いているとは言えないが、季節の移り変わりを感じるには十分な設えだ。以前の店では什器とカーテンによって遮られていたこの庭が、私たちには大きな手がかりとなった。
私たちは低めのステージをフロアに点在させ、そのうちいくつかに細いフレーム状の造作を組み上げることで、商品展示に必要な機能の全てを賄うことにした。こうして共用通路から屋外へ、ひと繋がりの眺望を確保することができる。植え込みを山並みに見立てれば、店はさながら借景の枯山水だ。一面ブルーグレーのフロアと黒い塊状のステージは波間に浮かぶ神山を象徴する。レジスターまわりはウォームグレー2トーンの特注タイルで仕上げた。この市松パターンは東福寺方丈庭園などに見られる井田の表現から引用されている。左右対称を基調とした全体のレイアウトは、村野・森建築事務所による細やかな環境設計を素直に反映したものだ。
木々の緑を背景に、様々な和雑貨が次々に視界へと現れる光景は、私たちの想像を越えて楽しく華やかなものだった。金色にきらめく破れ格子のフレームは「蓬莱の玉の枝」を連想させる。
9/11。高輪「マスターズクラフト さくらタワー東京」現場へ。商品陳列が進む中、電話まわりの配線のやり直しや花入の取り付けなど。残工事を一通り片付ける間にもう夕方。ホテルにチェックインして「ナイルレストラン」で夕食後、再び現場へ。フォトグラファー・佐藤振一さんと合流して完成写真撮影。朝9:00まで12時間じっくりと。
以下は残念ながら佐藤さんの写真ではなく、合間に私たちが撮ったもの。
明け方に撮影したファサード正面。こちらはやや斜めから見たところ。密度の低い黄金色のフレームが、空間を分割しつつ奥の庭園へと視線を繋げる。
エントランスから見た未明の店内全景。床材はブルーグレーのリノリウムシート。墨流し調の表面を海に、点在する漆黒の什器を島に見立てる。八海・四島の枯山水としてのインテリア。
エントランスからやや右側(南西角方向)を見たところ。こちらは明け方に撮影したその近景。こちらはさらに近づいた様子。
エントランスから右側(西方向)を見たところ。破れ格子と間接照明を背負ってディスプレイが浮かび上がる。こちらは壁付什器全体を斜めに見たところ。
西側壁沿いに南側を見たところ。フレームの谷間から覗く明け方の庭園。
店内奥(南側)には、中央にある建物の柱を挟んで、ランダムな配置の角パイプで支えられた真鍮のステージが並ぶ。上の写真はその西側。庭園の築山へと連なるひな壇状の什器構成。こちらは東側。こちらは南西角の様子。ストックの扉を兼ねたミラー面が窓際の風景を映す。
エントランスから左側(東方向)を見たところ。
北東角・会計カウンターまわりの全景。市松のタイルはマスターズクラフトのオリジナル。こちらはやや斜めから見たところ。こちらは袖壁部分のディテール。こちらは上部のフレームを見上げたところ。
会計カウンター・荷物置部分のディテール。グレーのタイルには細かな青海波が描かれている。見た目は繊細だが、屋外や床にも使用できる表面強度を持つ。
一輪挿の花入もマスターズクラフトのオリジナル。上は南側中央・建物柱面の花入(近景)。花は銀座「野の花 司」で買って勝野が生けたもの。こちらは会計カウンター上の花(正面)。こちらは共用通路に面したショーウィンドウの花。
この店のために作成された2つの花入。右が南側中央・建物柱面に、左が共用通路側ショーウィンドウに取り付けたもの。錆びた金色と墨色のテクスチャー。
佐藤振一さんの撮影風景。こちらは撮影用に什器から間引いた商品を共用通路に並べた様子。この日は意外と商品の移動が少なくて助かった。
佐藤さんに撮っていただいた完成写真は年内に公開の予定。仕上がりが楽しみだ。
高輪「マスターズクラフト さくらタワー東京」は9/14にオープンを迎えた。
9/4。高輪「マスターズクラフト さくらタワー東京」現場へ。
店名サインが付いた。先日貼ったエントランス上部のステンレス面にカルプ文字。こちらはフロア北西角から見た店内全景。
フロア北東角・会計カウンターの意匠パイプ取り付けが完了。什器と同じ25mm角パイプのゴールド色メッキ。売場への出入口には自在扉が付いた。
エントランス脇のショーケースにステージの取り付けが完了。黒いスウェード調人工皮革張り(拡大写真)。ショーケース内にはLEDスポットライトが2灯。
上は南側窓に面して新しく作った腰壁の拡大写真。間接照明の当たった状態でよく見ると所々ビニルクロスの浮いていることを発見。ここに来て残念ではあるが、再度下地処理の上でビニルクロスを張り直すことに。工事引き渡しまであと2日。
9/5。引き続き「マスターズクラフト さくらタワー東京」現場へ。
商品が一部到着し、ひとまず廊下に積まれた状態。
養生シートがすべて剥がされ、クリーニングを終えた店内正面全景。前日に南側窓のブラインドの取り付けも完了。腰壁との間に、庭園を細長く切り取る寸法。こちらは先ほどと同様にフロア北西角から見た店内全景。
フロア北東角・会計カウンター前から見た店内全景。黒い塊と、黄金色の破れ格子が、間接照明を境にして積み重なる。こちらは南西角からの店内全景。こちらは南側中央から会計カウンターの方を見たところ。こちらはフロア中央から見た東側全景。
全ての造作が完成した会計カウンターまわり。翌日は工事引き渡し。
9/6。「マスターズクラフト さくらタワー東京」現場へ。関係者が揃っての工事引き渡し。若干の補修や追加工事は残ったものの、幸い大きな問題は無く手続きは終了。早速商品や事務機器のセッティングに取りかかることとなった。
上はフロア南東角と南西角の2ヶ所にあるミラー面のディテール。ミラーはストックスペースの扉を兼ねており、房はその取手となる。京都の伝統工芸士さんに作成していただいた房に真鍮の玉を追加した。こちらは取り付け前の房全景。
14日のオープンに向けて、気の抜けない準備期間がもうしばらく続く。
9/3。高輪「マスターズクラフト さくらタワー東京」現場へ。
島什器(フロアに点在させる什器)の設置が始まった。写真は昼休みの様子。中央にキューブ型の島什器を10台並べてステージに。その脇で昼食を摂る大工さん。
さらにそのまわりに4台の島什器を配置。中央のステージ上には別バーツのひな壇。こちらはエントランスからやや左側を向いたところ。
夕刻前にほぼ全ての什器の組立が完了。
南東角から見た店内全景。
東側からまっすぐに見た店内全景。黄金色の破れ格子が織重なり空間全体を分割する。こちらは西側什器群の近景。
西側什器群の間から南側庭園を見たところ。島什器は上部フレームのトップが2.2mになるものと1.4mのものを各2台制作。視線の動きを発生させ、店内の散策を促す。
カルプ文字(発泡ウレタン製切文字)の店名サインが到着。
いつもの現場全景。エントランス上部にあったガラス面がステンレス板で塞がれている。先ほどの店名サインはこの中央に取り付ける。ようやく店らしくなってきたところでこの日の作業は終了。工事引き渡しまであと3日。
9/2。前日に続いて高輪「マスターズクラフト さくらタワー東京」現場へ。
依然、ごった返したフロアの端々で作業が進行中の様子。タイル工事が終盤に入り、目地の施工が始まっている。大工さんは家具の組み立てを開始。
電気屋さんは間接照明の取り付けを完了。先日の間接照明ボックスにシームレスライン(DNライティングの商品名/両端まで発光する細型の蛍光灯)が収まった。こちらにごっそり集められているのはパッケージから取り出されたスポットライト本体。ランプの取り付け後、天井の既存配線ダクトに設置される。
西側壁付什器の地袋(下部収納)を細かく調整する大工さん。
先ほどの地袋に金物の上部フレームを取り付けた状態。什器背面に金ピカの破れ格子が現れた。こちらは斜め方向から全体を見たところ。
タイル工事が完了。市松パターンに覆われたマッシブな会計カウンターが出来上がった。
タイル張りの近景。グレーのタイルには細かな青海波のパターン。空間に小紋を纏わせる。こちらはタイル表面の拡大写真。
壁付什器の概形が組み上がったところでこの日の作業は終了。工事引き渡しまであと4日。
9/1。「マスターズクラフト さくらタワー東京」現場へ。
共用通路側から見た現場全景(北→南方向)。金物什器、木工什器、タイルなどがすでに到着している。
設置を翌日以降に控え、フロアに積み上げられた什器類。
什器類のエアパッキンや養生シートを外した様子。現場は一挙に金ピカ状態に(他の金ピカ写真その1/その2)。
主な木工什器は黒いメラミン化粧板仕上。ほとんどが地袋(下部収納)としてその上に金物什器を乗せて設置される。
タイル工事が始まった。水を使わない屋内の表面仕上なので、旧来の下地モルタルによる施工ではなく、石膏ボードにボンドを塗ってそのままタイルを貼り付けてゆく。こちらはマスターズクラフト本社から届いたオリジナルのタイル数百枚。手づくりの工程が多いため、コンディションのバラつきが表面や側面の仕上がりによって細かく分類されている。個々のタイルの状態を見ながら、適材適所で貼ってゆかなくてはならない。
タイルの見分け方をタイル屋さんに説明する現場監督・瀬戸本さん(コラボデザイン)。
この日のタイル工事はこの辺りまで。会計カウンターの表面やそのまわりの壁が全てこうしたオフホワイトの市松パターンとなる。こちらは会計カウンター内部の様子。白いメラミン化粧板仕上。
この日最も主要な作業は大工工事。上は窓際(南側)の腰壁に間接照明ボックスが取り付けられた様子。こちらはショーウィンドウ(北側共用通路に面する)とオフィスの間に引戸を取り付ける大工さん。
18:00頃にこの日の作業を終えた店内全景(北→南方向)。こちらはレジ台の前辺り(北東角)から見たところ。
ふたたび共用通路からの現場全景。工事引き渡しまであと5日。
8/30。「マスターズクラフト さくらタワー東京」金物什器の仕上がりをチェックするため制作工場へ。場所は関東方面ではなく大阪府門真市。
工場内全景。広大な面積に金属加工機械や資材が整然と並んでいる。手前に見えるのが今回発注された金物什器類。
工場の専務氏から熱心なご説明をいただく勝野。金属の加工時に注意すべき点、国内メッキ業界の現状などを伺うことができて大変勉強になった。
壁付什器の背面パネルとして使用されるパーツ。高さ1600mm。今回の什器の金物部分はほぼすべてこうした金色のメッキで仕上げられている。
エアパッキンに覆われ出荷を待つパーツたち。
ショーケースのフレーム。高さ1200mm。こちらは浴衣類のディスプレイに使用されるハンガーパイプ。
プレート状の金物の曲げ加工に使用される大型機械。左手の端末で動作プログラムを行う(こちらはロッド状の金物の曲げ加工用)。その振る舞いは、武骨な外見からは想像できないくらい、実に滑らかで繊細だ。
8/20。「マスターズクラフト さくらタワー東京」現場へ。C工事(テナントの造作や設備の工事)が始まった。
共用通路側から見たサッシ全景(北→南方向)。既存のガラス全面が養生シートで覆われている。
店内に入って窓側を見たところ(北→南方向)。造作だけでなく、既存の設備を含め、ほぼ全てが整然とした左右対称のテナント区画。商業建築設計におけるさりげなく、しかし明確な美意識。工事前にこうしたことを感じる物件は滅多にない。
店内西側から東側を見たところ。薄茶の石膏ボードが先日のA工事で新設された共用部とテナント区画の間仕切り。電話をかけているのは今回の現場監督・コラボデザインの瀬戸本さん。
B工事(テナント側から共用部の業者さんへ依頼する設備工事)で新設したエントランスまわりのダウンライト(4灯)。やや暗めではあるが、今後のランプ交換が可能なLED器具を採用している。同じくB工事での一部配線ダクトの移設も完了。こちらはA工事で撤去されたものを流用している。
C工事は墨出し(新設造作の設置位置を現場に下描きする作業)がほぼ完了。上の写真では床に什器の設置位置が描かれているのが分かる。壁の痛んだビニルクロスは色味や質感を合わせたものを新しく張り直す。
タイルとメラミン化粧板のサンプルを現場に並べたところ。細かな青海波のパターンが描かれた150角のタイルはマスターズクラフト製造のオリジナル品だ。
7/22。「マスターズクラフト さくらタワー東京」現場へ。A工事(共用部の造作や設備の工事)の開始に伴い、既存店舗の内装造作が全て撤去されたテナント区画をチェック。
東側から西側へのテナント区画全景。はじめて見るがらんどうの状態。床はコンクリートむき出し。天井は設備工事のため一部撤去されている。
先ほどとは逆に西側から東側を見たところ。共用部の壁下地となるLGS(軽量鉄骨)が立ち上がり、テナント区画の形状と面積がこれにてほぼ確定。盆が明けたら間もなく着工だ。
そんなわけでデザイン作業は大詰め。上の写真は8/6。使用する内装仕上材を検討中の様子。床用のリノリウムシート、壁・天井用のビニルクロス、什器用のメラミン化粧板や金物など。
8/13。大阪・中津にあるタチカワブラインドのショールームへ。上の写真は南側の窓面に用いるスクリーンの素材を検討中の様子。質感や光の透け具合をチェック。
6/18。「マスターズクラフト さくらタワー東京」現場へ。岐阜県瑞浪市の陶磁器メーカー「マスターズクラフト」が手掛ける和雑貨店。2002年の 品川プリンスホテル、2012年のパレスホテル東京(2012)に続いて、3度目のお手伝いをさせていただくことになった。
品川駅高輪口から徒歩数分のホテル「ザ・プリンス さくらタワー東京」外観。村野・森建築事務所(現・Murano Design)設計の建物は、簡潔で整然とした全体に可愛らしいディテールを控えめに散りばめたインテリアが特に魅力的だった(当時の写真はこちら)。現在ホテルはリニューアル工事中で、これらの造作は既に存在しない。
マスターズクラフトの入居するテナント区画正面外観。この時点ではホテル直営の雑貨店が営業中だった。
今回の設計条件は古い商業施設ならではの厳しさだ。退店時には現状復帰が原則なわけだが、照明器具や空調設備、天井やサッシなど、写真で見ることのできる造作は什器類を除いてほぼ全て既存品。基本的にはいつでも撤去可能な置式の造作のみでほぼ全てのデザインを完結させる必要がある。こちらは区画内西側から東側を見た全景。
区画内北東側から南西側を見たところ。南面には大きな窓がある。
南側窓から外を見たところ。築山を覆うツツジの植え込み、さらに被さるモミジとサクラ。什器とレースカーテンに遮られていたこの眺めが、今回の私たちのデザインの発端となった。
こちらは共用通路側サッシ、エントランスドアのハンドル。こうした細部を含め、村野事務所によるデザインのさりげないエレガンスに応えるものができれば幸いだ。
7/2。「ふつうの家03」現場へ。内外装がほぼ完成。まだ庭の工事が半ば未満だが、翌日のクライアントへの引き渡しを控えて、一旦記録写真を撮っておくことにした。
南西側・道路からの外観。「ふつうの家02」と「ふつうの家03」のデザインを同時進行するにあたって、私たちが最も大事にしたかったのが、住宅密集地の真ん中に大文字山東峰を望むこの風景を生み出すことだった。稜線とふたつの屋根が響きあう。こちらは同じ方向からのやや近景。
南側・テラスの柱と踏石と一二三石。
西側から見た軒先のディテールと桜の街路樹。こちらは西側正面外観。
南西角・玄関外観。
中央・主室を東側から見た全景。キッチンカウンターと北山杉丸太を真ん中に据えた、コンパクトながら開放感のある最大高さ4mほどの室内。来客対応を重視したほとんどカフェのような設えだが、実のところ、本当の特等席はキッチンの内側だ。庭が完成すれば、古材のカウンター越しの眺めは格別なものとなるだろう。こちらはキッチンカウンターを正面から見たところ。こちらはカウンター内を東側から見た様子。
中央・主室を西側から見た全景。
同じく西側からやや南向きに開口部を見たところ。こちらは天井を見上げた様子。
キッチンカウンター中央に埋め込まれた三日月形の千切。
北西角・和室から主室の方を見たところ。
和室南側の収納正面。下にあるランダムな配置の角材は飾りであると同時に収納を支える構造でもある(角材のディテール)。こちらは和室入口から奥側を見たところ。
南東角・玄関を主室側から見たところ。
玄関踏石まわりのディテール。
東側・屋根裏から主室を見下ろした様子。こちらは西側・屋根裏から。主室の照明は円弧形の欄間から上方への間接照明と、北側壁付のカップボードから下方への間接照明のみ。
東側・屋根裏から西側・屋根裏を正面から見たところ。
西側・屋根裏内観。こちらは東側・屋根裏内観。
旧宅の古材を再利用したコースター。十字に水切の溝を入れて冷たいコップが付着するのを防ぐ。こちらは北東角・洗面室と主室の間にあるWC。こちらは南東角・バスルーム。
住宅としての本当の完成は庭が出来てから。半年ほど経ったらぜひ佐藤さんに写真を撮っていただきたいと思う。楽しみだ。
6/19。「ふつうの家03」現場へ。
主室中央にカウンターがやって来た。長さ3.6mほど。食卓と作業台を兼ねる。こちらはキッチン内側から見たところ。
西側から見たカウンタートップ。以前の邸宅から引き継いだ古材を加工して用いた。強い縞柄の木目が独特な風合いの松。
カウンター中央・大黒柱付近の近景。3ヶ所の継ぎ合わせ部に月形の千切り。
6/21。南西角・玄関に暖簾掛が付いた。棒は煤竹。
6/26。主室の間接照明が点灯。
南側・開口上部の間接光で天井を、北側・カップボード下部の間接光でキッチンカウンターを照らす。主室の照明はこれだけ。想定通りの十分な明るさが得られた。
西側からの主室全景。正面にある梯子は天井裏へ上るためのもの。こちらは西側に置いた梯子越しに南側開口部を見たところ。
欄間から漏れる間接光をテラス側から見たところ。
主室中央・カウンターに側板を取り付ける大工さん。キッチン側には手洗が取り付けられている。こちらは主室東側・WCに横長のミラーが取り付けられた様子。狭い空間に開放感を少しばかり。
南東角・バスルームはタイル張りやコーキングの作業を終え、シャワーヘッドや水栓類の取り付けも完了。コンパクトながら長湯仕様。
6/17。「ふつうの家03」現場へ。完了検査に立ち会い。とは言え、検査後も一部の内装造作や外構はまだ工事中。「完成」はもう少し先だ。
南西角・玄関の建具が出来上がった。照明器具の取り付けもほぼ完了。こちらは引戸を開けて玄関内を見たところ。意匠柱は先月の打ち合わせとは異なる位置に(横堀さんごめん)。
玄関を主室側から見たところ。ミニマムな結界の空間。
外構では道路から玄関までのゆるやかなアプローチが出来つつある。南側の石垣もかなり形が整ってきた。
主室では障子張が行われていた。息の合ったお二人の作業は実に小気味良く、あっという間にどんどん仕上がってゆく。
障子と畳の入った北西角・和室の様子。こちらは和室内から主室側を見返したところ。
和室南側の様子。収納であり、床であり、またそのどちらでもない場所。
主室北東角の屋根裏に付けたちいさな障子。
水廻りもほぼ完成に近づいた。上は設備や建具の取り付けを終えたWC。こちらは北東角・洗面室。南東角・バスルームはタイル張までが完了。
主室東側全景。作業を終えた経師屋さんは何事も無かったかのように現場を綺麗に片付けて帰路へ。かっこいい。
経師をほぼ終えた主室南西側全景(縦位置の写真)。
大判の障子越しのやわらかな透過光。
6/8。「ふつうの家03」現場へ。
いつもの現場全景。左官工事はいよいよ大詰め。テラスの立ち上がり部分がほぼ仕上がっていた。こちらはテラスを東側から見たところ。
テラス南東角のディテール。細かな砂利入りのコンクリートを欠き落してラフに仕上げていただいた。コーナーは丸く。建物のシャープさを際立たせようという寸法。
左官屋さんの道具の一部。これらのコテを使い分けて様々なテクスチャーが生み出される。こちらは基礎とテラスの接する面を入念に仕上げる左官屋さん。
主室ではキッチン壁面のタイル目地を施工中。上の写真は白い目地モルタルを塗り込んでいるところ。この後、スポンジでタイル表面の余分な目地モルタルを拭き取って仕上げる(作業の様子/仕上がり近景)。
室内各所で経師屋さんが寒冷紗とパテの施工中。石膏ボードやベニヤなどの下地をフラットに整えて壁紙張に備える。
玄関の踏石を定位置に運ぶ造園屋さん。3人掛かりで慎重に。こちらはクレーンを使って南側石垣を施工中の様子。
南西角の軒先と桜の枝先。
6/10。テラス立ち上がり部分のコンクリートが概ね乾いていい具合。
南西角・玄関では先日置いた踏石のまわりに仕上モルタルが施された。こちらは玄関床の全景。
先日施工した下地に和紙壁紙を張る経師屋さん。こちらは北西角・和室。中央にあるのは壁紙に接着剤をまんべんなく塗るための道具。こちらは和室南側の収納下部に壁紙を張る経師屋さんと現場監督・瀬津さん。ここには間接照明が入るため、見えないところまで丁寧に。
中央の主室東側で経師屋さんと左官屋さんが同時に作業中の様子。
北東角・洗面室入口引戸上部のディテール。内装もいよいよ最終段階。白く引き締まったインテリアが表れてきた。
6/5。「ふつうの家03」現場へ。
いつもの現場全景。手前に砕石を積んだトラック。南側・テラスや西側・玄関まわりの外構左官工事が急ピッチで進む。
西側外観。コンクリートブロックが立ち上がっている。こちらは南側正面外観。
基礎とコンクリートブロックの間に砕石が詰められた様子。
屋内では主室北側・キッチンのカップボードはほぼ取り付け完了。向かって左側には冷蔵庫とエアコンの収納スペース。
南東角・バスルームの壁は簀子状の木下地までが出来上がった。こちらは入口ドアまわりの様子。
6/7。屋内の木部を植物性ワックスで仕上げる塗装屋さん。
主室北側・キッチンのレンジフードの取付位置を検討する竹内工務店・瀬津さん。クライアントのうち一方の身長が私たちよりかなり高いので、代役になっていただいた。
南東角・バスルームの壁は先日の木下地の上にモルタルが塗られた状態。
西側道路境界の石垣を丁寧に組み上げる造園屋さん。
コンクリートミキサー車が現場到着。こちらはその作業風景。作業直前のテラスはこんな状態。砕石の上にワイヤーメッシュ。そこにコンクリートを流し込む。
下地やコンクリートの様子を見ながら入念に作業する左官屋さん。大きな棒状の道具で表面をならし、コテで綺麗に仕上げる(工程その1/工程その2)。
テラスと玄関の上面には一二三石をまばらに散りばめる。こちらは作業中の瀬津さん。コンクリートに余計な跡を付けないよう、足場板を渡した上でひとつひとつ石を置いてゆく。私たちがやるとどうしても規則的な間隔で石を配置してしまいがち。それではつまらない景色になってしまうので、主立ったところは彼の感性にお任せした。
厳しい目で自作をチェックする瀬津さん。
西側道路の桜からの木漏れ日。この梅雨の日差しはまるで真夏のようだ。
6/1。「ふつうの家03」現場へ。窓の外側への面格子の取り付けがほぼ完了。建物の外観はこれでずいぶんと落ち着き、完成形に近づいた。
南側・正面外観。こちらはいつもの位置からの現場全景。
西側道路から先日据えられ三角石と桜の木ごしに建物を見たところ。建物の西側に面格子は無く、向かって右側の開口部が仮設の扉で塞がれた玄関、左側が和室の掃出窓となる。こちらは南西角・玄関窓まわりの面格子を正面から見たところ。
室内では主室北側・キッチンカウンターの設置がほぼ完了。
カウンタートップの白い人工大理石を念入りにクリーニングする業者さん。現場にはレンジフードとバスルームのハーフユニットも到着し、取り付けを待つばかり。
6/3。南側・テラスや西側・玄関まわりの外構左官工事が始まった。上は南側・テラスと庭の境界上にコンクリートを流し込んだところ。
ダイヤモンドカッターと集塵機を使ってコンクリートブロックを切断する職人さん。これを先ほどのコンクリートの上に並べてテラスの下地にする。
南東角・バスルームへのハーフユニットの設置が完了。浴槽から上の壁面は後日キッチンと共通のタイルで仕上げられる。こちらはハーフユニットの近景。キッチンにはカップボードが到着。後日、キッチンの壁面に取り付けられる。
5/27。「ふつうの家03」現場へ。
東側の屋根裏から見下ろした主室全景。北側・キッチンの防水モルタルとカウンター置台の左官工事が完了している。大工さんは窓の外側に取り付ける面格子を制作中。
キッチンカウンター置台の近景。造作取付とタイル張の準備はこれでほぼ万端。
北東角・洗面室の壁下地も完成。内装は仕上げを待つばかり。
外構工事が本格的にスタート。高さ調整を終えて固定された南側・テラスへの沓脱石。
西側・道路境界には段差吸収のための石垣が組まれつつある。今回もチェーンブロック付きの三又が大活躍。こちらはその近景。
5/29。西側・道路境界にある桜の脇に大きな三角の石が立てられた。表札代わり。
主室内では先日部材を切り終えた面格子の組立が。塗装も同時進行中。
5/20。「ふつうの家03」現場へ。内装下地が一段落して家具工事が始まった。
南西角を主室側から見たところ。玄関と和室の家具が背中合わせになる箇所の下地が組み上がりつつある。こちらは以前この場所にあった邸宅から取り外した地板を新しい和室で用いるために加工している様子。
地板の取り付けの様子。4人掛かりで慎重に。
地板がぴったり決まったところで、意匠柱の場所を決定。収納家具の下部構造を兼ねる。何種類かの角材を勝野の感覚でランダムに配置。
5/25。遂に仮囲いが外れた現場全景。大文字山東峰とふたつの屋根の描くラインがイメージ通りに呼応して感無量。
東側からの外観。吹付塗装の仕上がりは上々。いい塩梅の利休鼠。
南西角・軒先。雨樋の取り付けもさりげなく完了している。
南西角・玄関。収納家具の下地がほぼ出来上がった。こちらはその収納上部の意匠柱の取り付け位置を検討中の様子。私たちをクライアントに紹介して下さった横堀さん(中央)も参加。
北西角・和室。こちらの収納家具下地もほぼ完成。その中に分電盤を取り付ける電機屋さん。足下を先日の地板と意匠柱が支えている。こちらは意匠柱まわりの近景。
和室入口から掃出窓と西側道路越しに隣家の方を見たところ。
主室東側を見たところ。正面はハーフユニットの設置を控えたバスルーム。
5/16。「ふつうの家03」現場へ。外装の吹付塗装仕上が始まった。
いつもの現場全景。木部を残して建物ごとステルス機っぽいダークグレー(もしくは利休鼠)で塗り潰されつつある。
塗装屋さんの出で立ちはほぼグラフィティアーティスト。
取り付け前の玄関敷居。御影石に真鍮レール。こちらはその取り付けをほぼ終えた南西角・玄関の内観。収納造作の土台となるコンクリートブロックを施工中の左官屋さん。
西側へ向かっての主室全景。北側・キッチンのエリアではFRP防水の作業中。こちらは材料となるグラスファイバー。一斗缶にはポリエステル樹脂が入っている。
防水箇所にグラスファイバーを貼り、その上にローラーで樹脂を塗り固める。この工程を壁面下部と床面に行うことで、シームレスな防水層が出来上がる。
東側へ向かっての主室全景。壁の白い部分はタイルの下地となるケイカル板(珪酸カルシウム板)。
突き当たりにある格子の向こう側はこんな状態。洗面室・WC入口手前から南側を見たところ。通路部の天井は既にヨシベニヤで仕上げられている。
5/1。「ふつうの家03」現場へ。
外装下地のモルタル塗が進行中。こちらはコーナー部。この状態からさらにフラットに仕上げてゆく。
北西角・和室の様子。ヨシベニヤの天井がほぼ完成。こちらは北東角・洗面室の様子。まだどこも下地の状態。
日が変わって上の写真は5/9の現場全景。
外装下地のモルタル塗はほぼ完了。こちらはコーナー部。かなりシャープになった。後日、吹付塗装を施す。こちらは南西角・玄関まわりの様子。建具枠までが出来上がっている。
東側からの主室全景。格子を制作中の大工さん。
主室北側・キッチン壁面の様子。タイルや壁紙で仕上がる部分は石膏ボードで覆われつつある。こちらは北西角・洗面室の様子。
キッチン床下地には飲食店仕様の防水処理が施されている。モルタル表面をコテ押さえで入念に仕上げる左官屋さん。
北西角・和室の入口まわり。引戸上部に半円形の下地が出来つつある。こちらはそのディテール。
格子は東側の洗面室やWCと主室との間仕切りになる。ピッチは20mm。奥行90mm。
格子の取り付けの様子。しっかり養生しておかないと。
4/17。「ふつうの家03」現場へ。
ダークグレーの屋根が仕上がった。ガルバリウム鋼板縦はぜ葺き。
軒先のディテール。重厚な梁と相まって、屋根の軽さと薄さが強調される。お隣の「02」とは色調を揃えつつも敢えて対照的な印象に。
外装の下地は木摺り板張りまでがほぼ完了。吹き付け塗装の下地のそのまた下地。
南側ほぼ正面からの外観。大きな円弧で切り抜かれた欄間が登場。
大黒柱越しに東側を見た室内全景。壁の断熱材張りが完了(主室北側壁面の様子)。床の断熱材もほぼ施工を終えた(主室北側床面の様子)。
主室天井はヨシベニヤで綺麗に仕上がった。
アルミサッシ建具の取り付けも完了。上の写真は北西角・和室の様子。
主室内から見た欄間。直線基調の空間にあって、控えめながら張りのある曲線を描く。いい塩梅。
1/22。「ふつうの家03」現場へ。主要構造の中間チェック。
上は西側道路から見た写真(いつもよりやや近景)。屋根は防水シート張まで出来上がった。
東側から開口部を挟んでテラスと主室を見たところ。アルミサッシ枠の取り付けがほぼ完了し、内装下地の工事が始まっている。
南西角・玄関の辺りから東側を見たところ。突き当たりの天井の下はWC、洗面室、浴室。先の写真と見比べると、主要造作は大黒柱を中心とした左右対称に近いレイアウトであることが分かる。
やや南東から見た主室全景。大黒柱の下にはキッチンカウンターが配置される。
南側開口部のディテール。黒いアルミサッシ枠の内側に障子枠。
構造設計担当のS3 Associates・田中さんと施工担当の竹内工務店・瀬津さんの打ち合わせの様子。仕口から補強金物までを細かくチェックしていただく。
2012/12/29。「ふつうの家03」現場へ。
先日の上棟に引き続き、この日は屋根下地の垂木の取り付け作業。すでにこの日の工程は概ね終了し、屋根にはブルーシートがかけられた状態。
南側軒先を見上げたところ。垂木の先端は全て水平にカットされている。こちらはフロア中央から西側を見たところ。天井の下には玄関と和室が出来る。
大黒柱周辺の屋根下地見上げ。
フロア中央で脚立に登って西側を見たところ。主室は現在見えている棟木や垂木をそのまま表しにする。仕上がりの最大高さは4mほど。
フロア中央から南側を見たところ。こちらはほぼ全面が開口部となる。
年が変わって、上の写真は2013/1/10の工事現場。
フロア西側から東側を見上げたところ。軒下はすでに杉板で仕上げられている。室内側の天井は構造用合板の下地までが出来上がった。
北西角・和室から南東側への全景。工程はそろそろ内外装下地へと移行する。こうしたフレームだけの眺めはあっという間に見納めだ。
2012/12/25。「ふつうの家03」現場へ。
南側の庭にクレーン車を乗り入れて一気の上棟。様々な材木が押し寄せては組み上げられてゆく。
先日京北で加工された構造材たち。
軒を支える丸柱にはあらかじめ束石を取り付けておく。
で、クレーンで吊り上げて定位置へ。大工さんのジェスチャーを確認しながら、素早く正確に部材を運ぶクレーン運転士さんの美技には驚くばかり。
南側中央・リビングルームからキッチン側を見たところ。中央に北山杉丸太の大黒柱。
キッチンから大黒柱越しに南東方向を見たところ。
軒の梁を木槌で叩いて柱と接合する大工さん。
庭から見た南側正面外観。大方の部材が組み上がった。お隣の「ふつうの家02」とは異なり、「ふつうの家03」はシンプルな妻屋根の平屋となる。
上棟なった「ふつうの家03」を前に佇む竹内工務店社長。向こうには「ふつうの家02」。
この一連のプロジェクトで最も重視したのは、「02」の高さを抑え、「03」の南側を空白の庭として残すことだ。やがて仮囲いが撤去されれば、この住宅密集地の真ん中に、大文字山東峰へのゆったりとした眺望が現れる。
お山の上には夕暮れの月。
2012/12/17。「ふつうの家03」構造材手刻みの現場などを見学。竹内工務店社長のご厚意で京北地区にあるいくつかの施設をご案内いただいた。
嵯峨野から車で30分ほど。右京区の山あいにある京北森林組合加工センターは国産材専門の製材工場。
その一角にある倉庫前で作業中の大工さん。「ふつうの家03」の構造材はここで加工された後に現場へと運ばれる(「02」もそう)。
製材を終えて積み上げられた部材の数々。
もう一枚。こうしたシャープなエッジは手刻みならでは。強度的にも機械によるプレカットに比べて優れた点は多い。ただし大工さんの腕が熟練していればの話し。
山積みの角材。こちらにもう一枚。
倉庫内の様子。美しく製材された北山杉の丸太がずらり。こちらには長さ20m級の木材がどっさり。
製材所の外観。杉の丸太組による大きな建物。隣地には別組織の「京北プレカット」があり、機械によるプレカット加工を行っている。こちらは集成材の大架構。
嵯峨野までの戻りに「京都北山杉の里総合センター」にも立ち寄らせていただいた。上は展示ホールの様子。中央に見える床柱の展示コーナー足下には、この地域にある「菩提の滝」で採取された丸太磨き砂が敷かれている。
北山杉の高級丸太はこの砂を用いて素手で磨かれる。これは古くから女性の仕事だったのだそうだ。上はその様子を記録した写真展示の一部。
上は「京都北山杉の里総合センター」の裏山。人手の行き届いた杉木立は実に美しい。
嵯峨野へ戻って電車を乗り継ぎ現場へ移動。足場が組み上がった状態。軒の柱基礎には束石が仮り置かれていた。
基礎南側中央にはリビングルームから軒下のテラスへの大きな踏石が。「ふつうの家02」と同様、こうした石材は以前この場所にあった邸宅から引き継いでいる。
2012/10/19。「ふつうの家03」現場へ。
西側からの基礎全景。奥の仮囲いは「ふつうの家02」。東隣の敷地で4ヶ月あまり遅れての着工となった。施工担当はこちらも竹内工務店さん。こちらは南東角から見た基礎全景。
北西角の近景。ベタ基礎の下地となる範囲に割栗石を突き固め、そのまわりに捨てコンクリートが打設された状態。北側には設備配管が立ち上がっている。こちらは南西角の近景。軒を支える基礎のコンクリートがすでに施工された状態。
11/13。南西側からの基礎全景。割栗石が防水シートで覆われ、基礎コンクリートの型枠と配筋が出来上がりつつある状態。中央は打ち合わせ中の現場監督・谷口さんと平塚さん。
11/28。西側からの基礎全景。コンクリートの打設が完了した。奥に見えるのは外装工事を終えた「ふつうの家02」。こちらは南西角から見た基礎全景。
北東角から見た敷地全景。西側前面道路はちょっとした桜並木となっている。
12/13。南西角から見た敷地全景。上棟を控えていよいよ足場の組立が始まった。初冬の大文字山東峰を背景にふたつの現場が並ぶ。こちらは南東側から見た敷地全景。
2012/12/20から22の朝にかけて「ふつうの家02」の完成写真撮影。クライアントご家族のお引っ越しを直前に控え、室内外で残工事が行われる中をかいくぐり、撮れるところだけをどうにか撮り切ろうという強行軍。
和室の床にはクライアントからお借りした軸と花器。勝野が山帰来と柚子をあしらった。
フォトグラファーはいつもお世話になっている佐藤振一さん。今回は4×5のカメラと8000万画素のデジタルバック(Phase One社製)のセットをメイン機に、NikonのD800(関連サイト:その1/その2)をサブ機として使用。アナログからデジタルへの以降後、あの佐藤さんをしてようやく「本来の自分に戻った」と言わしめたマニアックかつ最強のハードウェア群。
以下の写真は残念ながら勝野とヤギが撮影したもの。
東側中央・玄関からリビングルームを見たところ。
南側中央・リビングルーム全景その1。
リビングルーム全景その2。夜の写真はこちら(その1/その2)。
リビングルーム天井見上げ。
南東角・和室全景その1。
和室全景その2。
玄関南側「なんちゃって」にじり口から和室をのぞいたところ。
北側中央・WC。
北西角・個室2全景。
西側中央・個室1全景。こちらは南西角・主寝室全景。
南側庭からリビングルーム越しに和室を見たところ。建物の東側全景はこちら(その1/その2)。
佐藤さんには庭や外構の工事が落ち着いた春頃に再度撮影にお越しいただく予定。正式な完成写真は初夏の公開となる。
2012/12/15と16の二日間、「ふつうの家02」のオープンハウスが行われた。
和室まわりなどにガラスの入っていない箇所があったり、照明がまだ点かなかったり、外構はまったく出来ていなかったり、と言った状態ながら、クライアントのお引っ越し前にお披露目できるチャンスが他になかったためとりあえず。そんなわけで私たちはほとんど告知をしなかったが、施工担当の竹内工務店さんに様々なご紹介をいただきつつ、一日の陽の移ろいをゆっくりと確認することができた。上は16日の昼下がり、南側中央・リビングルームの様子。
12/17。外構工事がスタート。上は南東角からの外観。和室の雨戸が閉まった状態。建物まわりの犬走りと道路境界部分の型枠と配筋が施工されているところ。
東側中央・玄関まわりの様子。こちらは道路境界部分。玄関内部・北側の壁には曲がった木の手摺が取り付けられた。部材は以前の邸宅から引き継いだもの。
電気工事もようやく仕上げ段階。上はインターホンの細かな取り付け位置を現場監督・谷口さんと打ち合わせ中の勝野。
夜も更けた頃にリビングルームの間接照明が点灯した。構造補強用の火打梁とともにヨシベニヤの天井が柔らかく浮かび上がる。広さ12畳ほど、高さ5m弱の室内のあかりはこれだけで十分。あとはダイニングテーブルの予定場所にペンダントライトがひとつあるだけだ。
昼夜の光がきまると、内装屋としての仕事を果たせつつある実感がようやく湧いてほっとする。
12/18。前日に出来た型枠と鉄筋にコンクリートが流し込まれた。上は玄関まわりの様子。
こちらは南側の様子。奥の職人さんはコテ押さえの作業中。
道路境界部分には小さなステンレスプレートの標識が埋め込まれた。上の黒い矢印の標識が東側前面道路が将来拡張された際の境界。下の赤い矢印の標識が現在の境界を示す。
12/11。「ふつうの家02」現場へ。木製建具の設置工事が始まった。
南東角からの外観。和室の障子枠と縁側の掃出窓枠が納まった状態。
東側中央寄りから和室内を見たところ。細かな縦横線の織り重なり。
東側中央・玄関とリビングルームの間に取り付けられた欄間のディテール(リビングルーム側からの全景)。以前の邸宅から引き継いだもの。こちらは北西角・個室2の様子。個室1、主寝室、WCにも和室と同様に変則的な縦繁の猫真障子が取り付けられた。
室内壁の左官工事はすでにほぼ終了。和室や玄関が藁入りの聚楽壁に(拡大するとこんな質感)。上は和室の床の様子。月形の飾り窓が品よく納まった。
玄関の飾り棚。こちらは「なんちゃって」にじり口を含む玄関南側の壁面全景。
北側中央・WCには陶製の手洗器が取り付けられた。
夕刻。先ほどの欄間の下にもようやく障子が付いた。建具屋さんの肩越しに見えるのは左官屋さん。玄関と勝手口床の墨入モルタルの下地を施工中。
日が暮れて、庭から眺める和室の様子はまるで宝石箱のようだった。これもまた工事中だけの儚い光景。
12/13。先述の墨入モルタルが仕上がった。
個室2にある吊戸棚のルーバー(中にエアコンが納まる)を取付中の建具屋さん。この現場では収納類の扉も建具屋さんの仕事。こちらは南西角・主寝室の収納まわり。
先のルーバーを電動鉋で細かく調整中の建具屋さん。こちらは勝手口とリビングルームの間の三枚引戸。不便と言えば不便だが、あえて庶民的な京町家の風情を引用した。
南東角・和室の縁側には雨戸が取り付けられた。上部に通気用の無双窓。北側中央・洗面室では洗面台の設置が完了。
12/14。引き続き建具工事。この日も夜間までの作業となった。上は東側中央・玄関越しにリビングルームを見たところ。玄関引戸の格子は住宅としては割に細めの15mmピッチ。
畳の設置が完了した和室。これで建物としてはどうにか全体的にかたちにはなった。ガラス工事や電気工事など、細かな作業を数多く積み残したまま、翌日から2日間のオープンハウスへ突入する。
12/7。「ふつうの家02」現場へ。
西側と北側の開口部への格子の取り付けが完了。同じ側の軒には雨樋も。
南側と北側の軒への簾掛けの取り付けも完了。
室内では壁装クロスの施工が始まった。主な居室の壁は土佐和紙で仕上げられる。上の写真は南側中央・リビングルーム。下地となる石膏ボードの継目などにパテ処理をした状態。
土佐和紙クロスに糊付をする経師屋さん。
土佐和紙クロス張りの様子。
北西角・個室2のクロス張りはすでに完了。
12/8。全ての壁装クロス張りが完了。リビングルーム全体が優しくすっきりした風合いに包まれた。
キッチン手前の天井からペンダントライトが吊り下げられた。直径50cmほどの大きな球体がこの部屋にはちょうど良いアクセントとなる。
12/3。「ふつうの家02」現場へ。クライアントのお引っ越しを年内に控え、外構を除く全工程がいよいよ大詰め。
朝靄の大文字山東峰と建物の西側全景。ジョリパット(汎用左官材)が塗り終わり、だいぶ落ち着いた外観となった。こちらは南東角から見た道路越しの全景。
北東角からの全景。ガス配管工事が進行中。
同じ方向から見た方形屋根のディテール。晩秋の空とゆるやかなむくりのライン(東側正面/南東角)。
造園屋さんの作業が始まった。先ずは各出入口への沓脱石の設置。上は南側中央・リビングルーム用の大きめの石をクレーンで引き上げているところ。
「なんちゃって」にじり口用の石をチェーンブロック付きの三又で引き上げているところ。丸太を三本束ねただけの道具だが、これが職人さんの手に掛かると実に目覚ましい威力を発揮する。この後、台車に乗せて定位置へ移動。こちらはひとまず沓脱石の設置を終えた玄関と「なんちゃって」にじり口の様子。外構に使用される自然石や石灯籠は、ほとんどが以前この場所にあった邸宅から譲り受けたものだ。こちらは東側の庭で使用予定の三和土(たたき)のサンプル。一通りの沓脱石を設置後、主に玄関まわりの高低差の処理方法について造園屋さん、現場監督・谷口さんと打ち合わせ。
建物内では塗装作業が進行中。木地仕上げの部分にオイルステイン(クリア)を塗装しているところ。建物中央・キッチンまわりのボリュームにはセンの突板が短冊張りされている。こちらは設置を終えたキッチンカウンター。こちらは東側玄関と和室の角にある電話台。夥しい配線の束がぶら下がった棚上段には近々分電盤がやってくる。
キッチンと西側中央・個室1との間の廊下天井(セン突板)を小気味良い手つきで仕上げる塗装屋さん。
南東角・和室の木造作もほぼ完了している。床には北山杉天然絞の丸太と月形の飾り窓。仕上げはまだこれから。
和室天井のディテール。ヨシベニヤに竹の装飾。こちらは床・飾り窓まわりのディテール。ラスボード(グレーっぽい部分)の部分は藁入りの聚落壁となる。こちらはフロア中央・掘りごたつのディテール。
東側中央・玄関脇にはちいさな飾り棚。
主に西側の開口部に取り付けられる木格子。かなりの大きさ。
南西角・主寝室のクローゼットまわり。扉を除く造作はほぼ完了した。こちらは南側窓脇のちいさなワークデスク(耳付きのトチ材)。こちらは内装をほぼ終えた北側中央・WCカウンター(こちらもトチ材)まわりの様子。
夜間までの作業となる日が多くなってきた。皆様どうぞご安全に。
10/29。「ふつうの家02」現場へ。大工工事もそろそろ佳境に差し掛かろうとしている。
外壁は下地モルタルを塗り終えた状態(南西角の拡大写真)。この上にジョリパット(汎用左官材)が施される。こちらは下地窓の様子。
東側中央・玄関と勝手口にはラワン合板の仮設引戸が取り付けられた。こちらは敷居石のディテール。白御影に真鍮レール。
南東角・和室の縁側もラワン合板でひとまず塞がれている。
縁側軒と和室欄間下地のディテール。こちらは南西角・主寝室と南側中央・リビングルームの間に建具枠が取り付けられた様子。こちらはすでに施工を終えた北東角・ユニットバスルームを北側中央・洗面室から見たところ。
作業の合間に黙々と継手を修練する若い大工さん。
作業台に並ぶ鉋の数々。
11/2。特別な床板や家具天板に用いる材木がやってきた。以前この場所にあった旧家の部材と、竹内工務店社長お薦めの木を贅沢に使わせていただく。
東側中央・玄関から南東角・和室への入口となる「なんちゃって」にじり口の地板は旧家の古材(マツ)。その施工中の大工さんと現場監督・谷口さん。こちらは取り付けがほぼ終わった状態のディテール。
北側中央・WCにはトチの手洗カウンターが取り付けられた。小さいながらも予想以上に面白い場所が出来そうだ。
10/19。「ふつうの家02」現場へ。外装下地と内装工事のチェック。
秋晴れの大文字山東峰と西側全景。外壁が防水シートとワイヤーラスで覆われている(南西角の拡大写真)。
南側中央・リビングルームの天井には仕上げのヨシベニヤがほぼ貼り終わっていた。こちらは北側のキッチンの方を見たところ。
キッチン側からのリビングルーム天井見上げ。こちらは頂部の拡大写真。天井の折目には後日化粧材が施される。
黙々とキッチンのウッドフローリングを施工する若い大工さん。こちらはまだ床が下地の状態のキッチンから東側・玄関/勝手口を見たところ。
玄関の天井にもヨシベニヤ。北西側・個室1と2の天井も同様に仕上がった。こちらは天窓まわりの拡大写真。
玄関開口部左上角の様子。建具枠と欄間と下地窓。
北東角・ユニットバスルームを施工中の様子。こちらは北側中央・WCの傾斜した天井に換気扇が取り付けられた様子。
ふたたびリビングルームに戻って南西側見上げ。今後内装仕上げ進むに連れて、異形の天井がより一層強調されてゆくだろう。
10/4。「ふつうの家02」現場へ。内装工事が緩やかに進行中。
南側中央・リビングルームの様子。木工作下地が石膏ボードに覆われ、天井の不整形な造作がはっきりと表れつつある。
仕上材の施工に備えて天井面を実測する現場監督・谷口さん。
南側窓際にあった間接照明とカーテンボックスのディテール覚え書き。
リビングルームとキッチンの境。床下から各種設備配管が床から顔を出す。
東側中央・玄関の上に葦詰め打ちの欄間が取り付けられた。大文字山東峰のかたち。
北側中央・洗面台の三方を囲む窓。
敷地南東の大きな店舗が無くなり更地になっていた。おそらく何分割かされて宅地になるのだろう。今のうちしか見られない角度からの建物遠景。
9/5。「ふつうの家02」現場へ。この日の工程は軽量断熱材の吹き付け。
現場西側の様子。停車中の工事車両には断熱材の原料やコンプレッサーなどが積み込まれている。
南東角和室。この辺りはすでに断熱材の吹き付けがほぼ完了。縁側や開口部などは薄いビニルシートで養生されている。庭木や仮囲いが影絵のように見える。こちらは同じく和室の北東角を見たところ。
和室屋根、南東角の近景。
和室から北側に向かって屋根を見たところ。玄関の吹き付けがほぼ終わり、作業は北東角浴室へと移っていた。
浴室での作業の様子。防護服を着た職人さんがスプレーガンで材料を薄く吹き付けると、みるみるうちに発砲して膨らんでゆくのが面白い。こちらはその近景。
作業風景の動画。
南側居間の屋根を見上げたところ。垂木の下に内装下地が組まれている。ここではその隙間に断熱材を充填し、仕上が施される。こちらはキッチンと個室1との間の廊下から屋根を見上げたところ。主要な電機配線や空調配管はすでに設置が完了している。
個室1天窓の様子。上部にアクリル板とガラス瓦。構造用合板の四角い筒は天井の中に収まる。
和室縁側の下地窓。
現場監督の谷口さんと打ち合わせ中の勝野。炎天下。
8/13。「ふつうの家02」現場へ。この日の工程は外装下地など。
西側から見た現場全景。いぶし銀に仕上がった屋根を覆うのは淡路産の万十瓦。かすかな「むくり」が大文字山東峰との相性をより高めている。方形屋根にむくりをつけるのは異例のことらしい。
東側からの全景。ゆるやかな曲線がより分かりやすい視点。
南西角の軒先。外装の開口部がかたちになり、サッシが取り付けられた。
同じく南西角。下から基礎、水切りの金物、外壁下地。右はサッシ枠の取付部。
南西角の主寝室から見た内観。内装工事も徐々に同時進行。床の下地は概ね出来上がった。
南東角の和室と居間の床見切部。構造用合板の下に吹き付けタイプの軽量断熱材が充填されている。
北東角の浴室と洗面室の様子。床下配管がほぼ完了。
南側の居間から南東角の和室の方を見たところ。内部の空間ボリュームがはっきり捉えられるようになるのはもう少し先だ。
7/9。「ふつうの家02」現場へ。この日は屋根の下地工事の続き。
夏空と大文字山東峰とブルーシートに覆われた屋根。家の四方にはグリーンのメッシュで仮囲いが施された。
南側、居間予定地から屋根を見上げたところ。現場はさながら青いサーカステントだ。
南東角、和室予定地辺りから西側を見たところ。軒の垂木の上に杉の野地板が取り付けられた。
南西角軒先のディテール。軒裏は源平(赤味と白太が混じった状態)の表情がそのまま仕上げとなる。
加工済みの野地板が立てかけられた居間予定地東側。
7/18。屋根下地の工程がさらに進行。野地板の取り付けはほぼ全て完了。内外壁の下地組が始まっていた。
居間予定地から屋根を見上げたところ。やがて野地板は断熱材と内装仕上で見えなくなる。
耐震補強金物いろいろ。
この日は建築確認の中間検査も行われた。緑のヘルメットが検査官さん。黒いTシャツは瀬津さんから現場監督を引き継いだ谷口さん。奥の赤いTシャツは設計協力をいただいている建築士の冨田さん。
6/25。先日上棟した「ふつうの家02」現場へ。
この日は屋根の下地工事。
垂木の取り付けが進み、方形屋根の概形が明らかになってきた。大文字山東峰に呼応するその姿を目にして、しばし感慨に浸る。私たちの仕事はもう半分は終わったようなものだ。つくりたかったのはまさしくこの風景に他ならない。
南側中央、居間予定地から作業を見上げたところ。
北東角の屋根下地。こちらは隅木端部のアップ。こちらは屋根西側に整然と並ぶ垂木の様子。
垂木と母屋の接合部アップ。金属のベルトで固定されているのが分かる。
南西角の垂木を隅木の仕口へと接合する大工さん。
屋根下地を南西角辺りに上って見下ろしたところ。
方形屋根の頂点仕口を上から見た珍しい写真。この2枚は現場監督の瀬津さんに撮っていただいた。
梅雨空に備えて屋根全体をブルーシートで覆い、この日の作業は終了。
6/23。先日基礎工事を終えたばかりの「ふつうの家02」現場へ。
この日は一気に上棟まで。
到着した現場ではクレーンがフル稼働中。主要な柱を建て終え、梁組が大詰めとなっていた。
上は敷地西側からの全景。写真手前に積まれた材木を取り付け位置近くまで運び、待ち構えた大工さんが受け取る。
この日の大工さんたちの勇姿。命綱無しの大胆かつ繊細な作業がスピーディーに進行する様子は見飽きることが無い。
上は南東角辺りからの全景。主要な構造材を一通り組み上げ、小屋組(屋根の骨組)の工程へ移行したところ。フレームのコーナーから隅木が顔を出す。
上は材木の仕口(しぐち)いろいろ。なんとも複雑で面白い。どの仕口がどの部分に当たるのか、私たちにもよくわからない。いちいち確かめたいところではあるが、仕事の邪魔になるだけなのでぐっとこらえておく。「ふつうの家02」の構造材は通常の機械によるプレカットではなく全て大工さんの手刻み。写真右下は屋外に面する柱を支える白御影の束石(つかいし)。
そうこうしているうちに小屋組の概形がほぼ出来上がった。早い。上は南側から北側への見上げ全景。
上は小屋組の頂点部分を見上げたところ。「ふつうの家02」は完全な正方形の方形(ほうぎょう)屋根を持ち、四方からの隅棟が中央の一点で交わる。
梅雨空の間隙を突いての作業は滞り無くほぼ完了。東山の新緑と北山の桧との対比が美しい。
祝上棟。
6/8。2年越しの準備期間を経てこの春にようやく着工した『ふつうの家02』現場へ。場所はアトリエから地下鉄と徒歩を合わせて30分あまりの京都市内。施工は竹内工務店さんが担当する。この日は基礎工事の確認。
上はほぼ真東向きに見た『ふつうの家02』基礎配筋全景。500平米ほどの宅地を2分割して一方に120平米ほどの平屋を建てる。周辺は山あいの住宅密集地。元々あった木造邸宅が解体されたことで、空の臨める場所がぽっかりと出現した。
上は東の前面道路側から敷地内を見たところ。建物は若干の駐車スペースを残して幅4m弱の道路に近接する。
上は南東角辺りの近景。土の上に割栗石を突き固め、防湿シートで覆った上に鉄筋が配置されている。後日型枠を施した上にコンクリートが流し込まれ、布基礎が出来上がる。こちらは南西角辺りから見た全景。
6/20。布基礎が姿を現した。こちらは南東角辺りから見た全景。
上は南西角辺りから見た全景。
上は南東角の近景。この上に京間4畳半の和室が施工される。中央にある正方形の凹みは掘りごたつ部分。
Love the Lifeの最新作「Masters Craft Palace Hotel Tokyo」の完成写真をアップしました。Worksからご覧下さい。フォトグラファーは佐藤振一さん。
この和雑貨店は大手町の老舗ホテルの中にある。2012年に建て替えられたビルは、和田倉噴水公園に南側を面し、都心のビジネス街には珍しく開かれた眺望のあるエリアに位置している。とは言えオフィス棟の地下フロアにあるこの店にとっては、そうした好立地もほとんど無関係と言って差し支えない。
デザインに先立って、私たちはクライアントである岐阜県瑞浪市の「マスターズクラフト」本社とその周辺地域を視察することができた。真夏の緑深い山並みと、清涼な川筋の合間ごとに、陽当たりの良い集落が断続的に現れる様子は、都会暮らしの人間にとって新鮮さと懐かしさの入り混じった不思議な感覚をもたらすものだった。曲がりなりにも皇居とはつかず離れずの場所にあるちいさな店に、もしもこの温帯の森を寓意的に再現できたなら、それもあながち無意味ではないだろう。
先ず私たちは、フロア奥のふたつの垂直面を占める木製棚什器のディテールを、最も入念にデザインした。連続する鋭角のフレームが間接光を背負って浮かびあがる姿は、東濃の木々と山々の形象を、至ってシンプルにパターン化したものだ。売場中央の天井面には14本のポール造作を固定した。グレートーンの微かな陰影を伴う角材の木立は、店内の奥行きと高さを強調する。会計カウンター背後の壁面を覆う短冊状のタイルは、陶磁器メーカーである「マスターズクラフト」の出自をさりげなく表すものとなった。淡く明るい色調で構成されたインテリアに、織部釉だけが深く鮮烈な色を差している。
2012/4/16。午後から『マスターズクラフト パレスホテル東京』現場へ。C工事完了に伴うクライアント、設計者、施工者が揃っての引き渡し手続き。
施工担当のイカハタさんから各所の取り扱い方法について説明を伺いつつ、工事の仕上がりをチェック。上は共用通路のエントランス正面から見た売場全景。中央にマスターズクラフト・五嶋社長、清水店長とイカハタ・五十畑社長。左寄りに勝野と緊張の面持ちのイカハタ・菅野さん。こちらは共用通路のエントランス左側から店を見たところ。手前角にあるガラス張りの白い空間はショーウィンドウ。こちらはフロア右奥から見た売場全景。
フロア右側壁沿いの什器使用方法を説明する菅野さん。ハンガーパイプは棚板と同じダボ穴を利用して取り付け・取り外しと高さ調整ができる。
フロア左奥から見た店内全景。照明・電気機器の説明書を受け取る清水店長。
エントランスから意匠ポールとステージ什器ごしにフロア正面奥を見たところ。壁の塗装の仕上がりを細かくチェック中の様子。
今回は予算の都合上、私たちが工事現場へ足を運んだ回数はいつもに比べて随分と少なかったが、幸い五嶋社長からは設計、施工の両面で高い評価をいただいた。イカハタさんほか、施工チーム各社の皆さんの臨機応変で丁寧な対応に感謝。
エントランス左脇から見た売場全景。
エントランス正面からフロア左側を見たところ。
エントランスから正面に見た売場全景。壁際の間接照明(光源はシームレスライン蛍光灯)にはダウンライト(光源はLED)よりもやや色温度の低いもの(黄色味の強いもの)を選び、奥行きの印象をより深く強調している。
こちらはフロア左側、レジカウンターまわりの様子。こちらはレジカウンター脇から見た売場全景。モノトーンと明るい木地の空間に、織部釉の陶器タイルだけが色を差す。余白の多いデザインのどこかで、森のイメージを見つけてもらえたなら幸いだ。
岐阜県瑞浪市の陶磁器メーカー・マスターズクラフトがプロデュースする和のセレクトショップ『マスターズクラフト パレスホテル東京』は来週5/17(木)にオープンを迎える。
Masters Craft パレスホテル東京・引渡前最終チェック(2012/4/5)
Masters Craft パレスホテル東京・什器チェックなど(2012/3/30)
Masters Craft パレスホテル東京・内装下地工事(2012/3/23)
Masters Craft パレスホテル東京・織部釉酸洗浄実験(2012/3/14)
Masters Craft パレスホテル東京・B工事中間チェック(2012/3/2)
2012/4/5。朝から『マスターズクラフト パレスホテル東京』現場へ。翌々日にC工事(ほぼ)完了を控えて、クライアントへの引き渡し前の最終チェック。
床、壁、天井の内装仕上はすでに完了し、工場制作の造作物がこの日一気に設置された。そのため最終チェックとは言っても現場のカオスぶりは最高潮。まさに修羅場の様相。
こちらはフロア右手奥と正面奥に取り付けられたばかりの棚什器。それぞれ背側の上下に間接照明を備える。写真左上はフロア右手奥の可動棚什器。写真右上は下部の間接照明ボックス。タペストリー加工されたガラスのカバーをダボで受けて光源をほとんど遮ること無く拡散させている。写真左下はフロア正面奥の固定棚什器。こちらは前面を緩く傾斜させている。写真右下はその上部のディテール。
棚什器の上部壁面にはセン柾目の突板を短冊に割いて貼り付けた(上の写真)。ホワイトのオイルステインを拭き取って仕上げている。間接照明に控えめで優しい質感が加わった。
上の写真はエントランスから正面奥の壁と天井面を見上げた様子。天井には先日工場で見た14本の意匠ポールが取り付けられている。それぞれにオイスルテインでグレートーンの微妙な配色を施した。棚什器背面の三角フレームと相まって、ひとつの風景が出来上がる。下の写真はエントランス左脇から畳間の方を見たところ。
こちらの写真左上はフロア右手奥にある畳間。ディスプレイと浴衣のフィッティングに用いる変形一畳のスペース。左手にフックを兼ねた意匠ポール。正面奥の壁は幅1200mm、高さ3mほどの大きなミラー張り。元はガラス店から始まったイカハタさんの施工技術が発揮されている。写真右上はフロア左手奥の様子。織部釉陶器タイルの壁の前にレジカウンターが設置された。その前にごろんと置かれているのはこの付近に取り付けられる意匠ポール。写真左下はレジカウンター右脇の壁面見上げ。倉庫と売場の境目にあたる。セン柾目突板短冊貼の面とPB下地AEP塗装(ホワイト)の面、スチール下地メラミン焼付塗装の横格子のディテール。写真右下は先日制作段階をチェックしたショーケース。ガラスと照明器具、スエード調人工皮革張りのステージが取り付けられた完成品。
上の写真左は前々回の現場で取り付けられた壁埋込の棚什器に最終仕上げのラッカー塗料を吹き付けているところ。写真右は意匠ポールの取付が終わって概ね落ち着いたレジカウンターまわりの様子。
上は塗装工事の大詰めの様子。わずかな傷や痛み、塗り損じを見逃さず、丁寧にタッチアップを行う塗装屋さんの勇姿。
そんなこんなで、夕方までに工事はほぼ完了。上はこの日最後にフロア右手から見た店内全景。こちらはフロア左手からの見返し。一部什器の設置、追加や補修の作業を除けば、あとはクリーニングを残すのみ。
Masters Craft パレスホテル東京・什器チェックなど(2012/3/30)
Masters Craft パレスホテル東京・内装下地工事(2012/3/23)
Masters Craft パレスホテル東京・織部釉酸洗浄実験(2012/3/14)
Masters Craft パレスホテル東京・B工事中間チェック(2012/3/2)
2012/3/30。朝から『マスターズクラフト パレスホテル東京』現場へ。
到着するとフロア左手の床の上にクライアント工場によるオリジナルの織部釉陶器タイルがずらりと並べられていた。先日の実験を受けて400枚ほどのタイルすべてに酸洗浄が施されている。手仕事ならではの色合いのバラつきを生かして、配列の美しさを考慮しながら、一枚ごとの場所を勝野が決定。
下の写真は並べ方が決まった後に一部タイルのカットを行っているところ。現場に持ち込まれた工具では切断面の仕上がりが今ひとつ良くないことが分かったため、作業はこの後工場に持ち帰って行っていただくことになった。
午後からは施工ご担当イカハタさんの車で埼玉県草加市の塗装工場へ移動。最終工程の前に木工作什器類の状態をチェック。
今回の什器の主要部分にはセンの無垢材と突板(柾目)が併用されている。上の写真中央に集められているのは壁付の棚什器たち。背面にあたる部分の独特なフレーム形状が持つ意味合いについてはまた後日。
上は棚什器各部のディテール。独立したフレームを最少限のビスで繋ぎ木栓で隠している(写真左)。フレームにいくつか開けられた穴は可動の棚板を支えるダボをネジ止めするためのもの(写真右)。
上は可動の棚什器(写真左上)と意匠ポール(写真右上)。棚什器の隣におられるベージュの革ジャンにグラサンのイカす兄貴が五十畑社長。写真左下が意匠ポールのディテール。60mmの支柱に15mmの枝が各4本刺さっている。写真右下は支柱上面の様子。全部で14本のポールがこのネジ穴で天井面に固定される。
こちらはエントランスの左右両脇に置かれるステージ什器。下段がメラミン化粧板貼で上段がセン材。写真左下が下段上面2ヶ所にある配線カバー。写真右下が上段角のアップ。木口に無垢材、上下面に突板が貼られた様子。
こちらはフロア中央左手に置かれるショーケース。メラミン化粧板貼の本体にガラスケースが取り付けられる。写真右はガラス固定用の溝。こちらはエントランス正面に並べられるセン材のステージ什器たち。写真右は下部引出のディテール。前板の下端を斜めにカットして手じゃくりにした様子。
そしてふたたび現場へ。フロア左手最奥の壁面に先ほどのタイルが、カットの必要な部分を除いて、ほぼ貼り終わっていた。いい景色になりそうで一安心。
こちらの写真左上はこの日の天井の様子。照明器具の取付がほぼ完了している。店内のダウンライトの光源は全てLED。写真右上は壁沿いの間接照明ボックス。こちらの光源はシームレスライン(蛍光灯の一種)。二種の異なる光源が店内に奥行きを与えてくれることを期待。写真左下はミラー貼りを残してほぼ仕上がった壁面の様子。写真右下は先ほどのタイル面下にあるカウンター什器のディテール。上段引き出しと下段扉の間に什器の継目が目立つ。後日メラミン化粧板を貼って隠していただくことに。
床面の一部にはすでに仕上げのリノリウムが貼られはじめている。内装も工場制作物も、いよいよ完成形が見え始めた。次に来た時が山場だな。
Masters Craft パレスホテル東京・内装下地工事(2012/3/23)
Masters Craft パレスホテル東京・織部釉酸洗浄実験(2012/3/14)
Masters Craft パレスホテル東京・B工事中間チェック(2012/3/2)
2012/3/23。『マスターズクラフト パレスホテル東京』現場へ。この日は内装下地がほぼ仕上がった状態でのチェック。
上の写真はエントランス左手奥からの店内全景。壁・天井のLGS(軽量鉄骨)が組み上がり、PB(プラスターボード)も概ね貼り終え、空間の正確なボリュームを容易に想像できる状態になった。すでに天井には照明器具や空調設備取付のための穴が開けられ、点検口も取り付けられている。調整の甲斐あって、割合整然と並んで見えることに一安心。写真中央奥に山積みされているのは取付前の固定什器類。
上の写真は棚什器を取り付ける直前の様子。先ずは3台の什器をぴったりと連結。
そして壁の凹みに埋め込んで固定。設計上は店内側へ75mm出っ張らせる予定だったが、下地寸法に思いのほか余裕があったためその場で30mmに変更。こちらは取付後の拡大写真。棚板を差し込むためのリブ自体がデザイン上のアクセントとなる。木工作下地ラッカー塗装仕上。
上の写真はエントランス右手奥天井のディテール。スリット部分の上面に光源を取り付けて間接照明にする。ギリギリまで近づいて覗くと光源がわずかに見えそうだったので、天井面のPBを少しだけ伸ばしてスリット幅を狭くすることにした。こちらは下側の間接照明ボックス。設置方法についてはまた後日。
上の写真はエントランス右手奥壁面の一部(左が腰高の部分で右が上部の見上)。壁の下地は最終的にPBとケイカル板(薄グレーの部分)を貼り重ねて表面とする。ミラーや羽目板が埋め込まれるところはPBのまま。
上の写真はエントランス左手奥の工事の様子。天井のPBエッジに樹脂製のコーナー材を取り付けているところ。ちょうどこの下が会計カウンターとなる。その右手が倉庫、左手がショーウィンドウへの入口。その上部にあるルーバーは防災用の排煙開口。
上の写真はエントランス右手奥からの店内全景。中央に小さく見えるのは倉庫奥の分電盤取付の作業を見守る現場監督・AYAKA様。
Masters Craft パレスホテル東京・織部釉酸洗浄実験(2012/3/14)
Masters Craft パレスホテル東京・B工事中間チェック(2012/3/2)
2012/3/14。陶磁器メーカー・マスターズクラフトによる和雑貨店『マスターズクラフト パレスホテル東京』の店内に使用する素材の検討(先日の工事現場の様子はこちら)。岐阜県瑞浪市のマスターズクラフト本社から到着したオリジナルの織部釉陶器タイルのサンプル6種で酸洗浄の実験を行った。
本来銅を主成分とする織部釉は焼成後の表面に酸化皮膜が発生してしまう。近代以降の工程では薄めた塩酸で焼き物を洗浄し、この皮膜を取り除くことで織部特有の色の鮮やかさを引き立てている。さらに最近では銅を含まない「織部風のなんとなく緑っぽい釉薬」が主流なので、こうした手間をかけることはほとんど無い。
そんなわけで、酸洗浄によってどの程度質感が変化するのか、また素人が客観的に見て酸洗浄前後のどちらの色味がいい感じなのか、試してみるというわけだ。
上の写真は酸洗浄前の織部釉陶器タイル。長さ225mm、幅30mm、厚み15mmほどのスティック形。それぞれに釉薬の厚みと焼いた窯が異なる。
上の写真が実験セット。マスキングしたタイルとステンレス皿とタイマーとサンポール(塩酸9.5%含有)。
一気にサンポール塗布。
1分ほど時間をおいて洗い流し、乾燥を経た状態が上の写真。下1/3ほどの色味の変化が明らかに見て取れる。単に綺麗になっただけでなく、質感そのものがしっとりとした深みのあるものへと変化したことに驚いた。
結論としては、左の4種類の範囲内で色の変化をつけながら400枚ほどのタイルをクライアント自ら制作して下さることに。酸洗浄有りで。
2012/3/2。早朝の新幹線で大手町『マスターズクラフト パレスホテル東京』現場へ。2002年4月オープンの『マスターズクラフト 品川プリンスホテル』からほぼ10年にして新店のお手伝いをさせていただくことになった。
この日はC工事(テナントの内外装工事)着工を控えたB工事(テナントの設備工事)状況の中間チェック。内装監理 、B工事担当業者の方々とC工事担当のイカハタさん、勝野の4者が揃った。今回のC工事責任者はイカハタ社長ブログでお馴染みのAYAKA様(上の写真右・黒っぽいヘルメット)。現場をご一緒するのは初めて。どうぞお手柔らかに。上の写真はエントランスから見て区画右側奥からの店内全景。柱形などでやや入り組んだフロアは45平米ほど。対して天井の仕上がり想定高さは3mと高い。
上の写真は区画中央奥からエントランスを見返したところ。ガラス張りのファサード(店舗正面)はA工事(ビル共用部分の工事)の共通仕様ですでに施工済み。サッシがやや煩いのが残念だ。こちらはエントランスドアのフロア埋込ヒンジの取付ディテール。テナント側のA工事フロアレベルは共用通路から100mm下がっており、その分をC工事で床上げする。こちらは区画中央から右側を見たところ。イカハタチーム打ち合わせの様子。こちらは区画左側からエントランスを見たところ。中央で光っているのは工事用の仮設照明器具。
上の写真は区画左側奥のテナント分電盤設置位置チェック中の様子。
上の写真は区画左側から天井スラブ下を見上げた様子。ここはテナント最下階のB1Fでもとりわけ空調・電気設備が密集した場所。おかげで小さな店内には不釣り合いな数の点検口を設けなくてはならない。設備配置の事前調整には少々手間取った。
上の写真は共用通路側から見たファサード。このフロアの物販店エリアではエントランス上部に付いたテナント看板(拡大写真)もA工事による共通仕様。ステンレスプレート抜文字に乳白アクリルを裏当てした内照式サインとなっている。
上の写真は共用通路全景。全体を養生シートで覆われた状況から完成形を想像するのはまだ早いが、どうやら物販店エリアとしてはかなり控えめ(良く言えば上品)な仕上がりになりそうな予感。はてさて。
いくつか確認事項を残してひとまずB工事中間チェックは終了。その後、新丸ビルに移動してイカハタチームとC工事の詳細について打ち合わせ。山種美術館ほかを視察後、その日のうちに帰京。
love the lifeの作品「Ordinary House 01」のページを更新しました(Aug. 17, 2012)。worksからご覧下さい。フォトグラファーは佐藤振一さん。
「ふつうの家 01」は神戸市垂水区中部の高台北側を造成した住宅地にある。建築面積はおよそ60平米。敷地いっぱいに立ち上がった木造2階建の外観は、左官仕上げの白い箱に片流れの屋根を乗せただけの簡潔なものだ。1Fは大部分を南側の傾斜地に面したひと続きの和室+LDKに充て、残りにその他のユーティリティと駐車場を配置している。2Fには中廊下を挟んで3世代4人の居室を振り分け、1F和室の直上にあたる南側にテラスを設けた。2Fのトイレには妻屋根を模した天井と階段室に面する小窓を開けた。この「家のなかの家」は、家族のつながりの象徴として生活動線の中心に配置されている。
室内は大部分を白いクロスで仕上げ、床面と建具まわり、2Fの天井面はそれぞれ木地を生かして仕上げている。キッチン、洗面台まわり、ユニットバスルームには既成のシステムを用いた。そられの部材やパーツは単純で機能的な形状のものだけを選び、色は白またはシルバーに限定した。意外なことに、こうした至極「ふつう」の選択は国内メーカーのカタログスペック上かなりイレギュラーであり、入念な手続きが必要とされた。
ただ丁寧にデザインされただけの質素な住まいが、出来上がるに連れて不思議に安らかで軽やかな佇まいを得てゆく様子は、私たちにとって興味深いものだった。この家は、生活者の多くがさもあたりまえであるかのように甘受させられている商品住宅の奇矯さからも、建築家やデザイナーの志向する建築らしさからも、無縁の彼岸にあるのかもしれない。
10/11に神戸入り。10/12は『ふつうの家01』オープンハウス。ご来訪下さった皆様、大変ありがとうございました。おかげさまでとても嬉しく楽しい一日となりました。
10/13から10/15までの3日間は『ふつうの家01』の完成写真撮影。一年ぶりにスーパーストレートフォトグラファー・佐藤振一さんの登場。
すっかり片付いた室内。上の写真は1F南西角和室から北側LDKを見通したところ。前々日に御徒町・Woodworkさんに製作していただいたハードメープル接ぎ合わせのダイニングテーブルが届いた(拡大写真)。
上の写真は逆にLDKから和室を見返したところ。障子を閉めるとこんな具合に格子の箱となる。縁無しの畳と天井の目地が呼応する。
撮影は連日朝から夕方まで続いた。上の写真はLDK夕景。
上は南側の土手から外観を撮影する佐藤さんの勇姿。右の写真下方は今回アシスタントを勤めて下さった近藤さん。小さな建物をじっくりと入念に撮っていただいて有り難い限り。
上の写真は2F居室昼景。先日と大体同じ場所から撮影。クリア仕上げのシナ合板と白いクロスの空間。
外観から間取り、ディテールに至るまで、まったくもってニュートラルな「ふつうの家」に違いないと思うのだが、ご覧いただいた方の多くから「全然ふつうじゃないよ」と言われるのが不思議でならない。世間の「ふつう」とは一体何なのか。
この家の周囲を埋めつくすように立ち並ぶ「ショートケーキ住宅 (C)石山修武氏」の類いも、あるいは「デザイナーズなんたら」と称するものも、私たちには到底「ふつう」であるとは思えない。
10/16。若干の残工事はあるものの、『ふつうの家01』はひとまず完成引き渡しと相成った。
10/5。神戸市『ふつうの家01』現場へ。内外装の仕上げがほぼ完了。
2F南西角テラスに手摺がついた。大工さんがアルミ部材をカットして組んだだけ。安価で丈夫。
玄関引戸がようやく完成(上の写真左)。しかし塗装の状態も立て付けも悪くとても日常的に使えるものではない。ここに来て残念ではあるが、後日作り直しとなった。上の写真右は南東角駐車スペースの竪樋。
この日は施工監理担当のじょぶ・奥西さんとともに前庭の植栽を購入。早速植え込んでいただいた。お忙しいところいろいろとお手数をお掛けして恐縮です。
内装もクロスが貼り終わり概ね仕上がった。上の写真は1F南西角和室からLDKを見たところ。真っ白な空間のなかで、所々現れるナチュラルな木の部材がアクセントとなる。こちらはLDKから北東角の洗面室の方を見たところ。こちらは和室(左)とキッチンカウンター内から駐車スペースの方を見たところ(右)。照明を点けるとこんな感じ。
10/6。一応の完了検査とダイニングテーブルの受け取り。
上の写真は1Fキッチンから南西角の和室の方を見たところ。障子を閉めるとこんな状態に。こちらは浴室と洗面室。外装、内装、浴室とブラケットライトは全て同じ外見のものに統一してある。
やや遅れていた2Fの内装もようやく全貌が明らかに。上の写真左は南西居室から北西居室を見通したところ。右は逆から見たところ。ペンダントライトが思いのほか良い感じ。こちらは2F北東角の和室。やっと障子がついた。こちらは2F階段脇のWC。なかなか落ち着いた空間に。
9/19。神戸市『ふつうの家01』現場へ。ようやく足場が取れて外観の全貌が現れた。
上の写真は南西側から見たところ。白くて小さくて四角くて質素。ただそれだけの家。こちらの写真左は南東側から見たところで、右は2Fテラスを見上げたところ。ジャングルジムのような吊り造作は物干竿を屋根から支えるためのもの。
内装の仕上げも急ピッチで進行中。上の写真は1F南西の和室からLDKを通し見たところ。クロス張りに備え、石膏ボード目地のパテ埋めが行われている。右手では玄関引戸まわりの塗装工事。こちらの写真左はキッチンカウンター脇丸柱まわり、右は階段脇収納まわりの様子。
上の写真左はキッチンにようやく取り付けられた換気扇まわりのディテール。右は北東の洗面室。三面鏡と収納付きの洗面台が設置完了。キッチンと同様、苦心のセミオーダーの甲斐あって、既製品にしてはまずまずのおさまり。
上の写真は2F南西居室から北西居室を通し見たところ。家具工事も大方片付いて、クロス張りの待機中。大工さんはテラス手摺のアルミ部材をカットしている。こちらの写真左は2F南西居室入口から中廊下、WCまでを通し見たところ。右は2F北東和室。
階段には手摺が取り付けられた(上の写真左)。外構の工事も一気に進められている。メーター類(上の写真右)の位置調整がうまく行かず、一部が目地に被ってしまったのが残念だ。インフラ系の業者さんの仕事は無意味に杓子定規で、最後はやり逃げっぽくなることが多い。以後重々気をつけねば。
love the life が設計・監理を担当した神戸市垂水区の住宅の竣工が近づいています。来る10/12にオープンハウスを開催させて頂けることになりました。「ふつう」の施主のニーズに「ふつう」に応えた「ふつうの家」。「ふつう」であることの美しさを目指した質素な住まいの試行例をご覧ください。どうぞお気軽にお越しの上、ご意見、ご感想などいただければ幸いです。
・日時:2009年10月12日(月・祝)11:00-16:00
・場所:兵庫県神戸市垂水区美山台
工事の進行の様子はこちらからご覧下さい。
詳しい作品解説をこの下に掲載させていただきます。
9/5。神戸市『ふつうの家01』現場へ。
1F西側リビングルームにキッチンがほぼ据え付け完了。晴れてLDKの様相に。既製品のなんてことの無いキッチンだが、その「なんてことの無い」を実現するためのサイズやパーツのオーダーにやたらと骨が折れた。デフォルトの仕様には必ずどこかしら痛痒があり、その変更には間違いなく不条理な制約がつきまとう。特注品を設計した方が作業的にも精神衛生的にも遥かに楽だ。一般消費者がいかに奇妙で使い勝手の悪いキッチンに甘んじているかを改めて実感。
2Fでも建具・家具造作の製作が大詰め。いよいよ全工程が仕上げに突入する。上の写真は北西角個室から南西角テラス方向を見たところ。
上の写真は2F北東角和室の天井見上げ。シナ合板目地張り。床の隅にツガ材の意匠柱(写真左:全景/写真右:上部ディテール)。
外壁のほぼ全面を覆う左官仕上げはすでに完了。足場の内側にはニュートラルな白い箱が出来上がっている。その全貌を伺うのは次回出張のお楽しみ。
8/11。神戸市『ふつうの家01』現場へ。
内装下地の工事もいよいよ大詰め。PB(プラスターボード)貼りが進行中。写真は1F北西角のリビングルーム。カウンターの下地が組まれ、キッチン側とリビング側とに二分された。
上の写真左の白いパネルは外装仕上げに用いられる左官のサンプル。白く、フラットできめ細かな質感。写真右は階段。あらかじめ集成材で組み上げたものを取り付け。はしごで上り下りしなくてすむのがありがたい。
上の写真はすべて階段まわりのディテール。左上から時計回りに、踏面、天窓見上げ、手摺と2FのWC窓まわり、2F和室の窓まわり。狭いながらもなかなか表情豊かな場所になりそうだ。
上の写真左は1Fキッチンカウンター脇の丸柱。ウレタンで養生中。右は2FのWC天井。ずいぶん昔にどこかで見たことがあるようなデザイン。
上の写真は1Fキッチン越しにリビングルーム、和室を見たところ。全体の空間ボリュームが確認できるようになるまであと少し。
7/24。神戸市『ふつうの家01』現場へ。
外装のモルタル下地がほぼ工事完了。足場の向こうにグレーの面が立ち上がり、よりスッキリとした箱形が現れた。後日、これに仕上げの左官を施す。
上の写真左は玄関から1F南中央の玄関から東側の駐車場を見たところ。右は2Fテラス南西側の壁。どちらも天井パネルの取り付けまでが終わり、ほぼかたちになった。
上の写真左の中ほどに2本並んでいるのは前回に取り付けられていた丸柱と、新しく取り付けられたステンレスの手摺パイプ。2Fの建具枠の取り付けもかなり進んだ。写真右は北東角和室の出入口引戸まわり。
家具造作の工事も進行中。上の写真左は1F中央の電話台まわり。右は2F南東角個室の収納まわり。いよいよ細部の造作が佳境に入る。
7/2。神戸市『ふつうの家01』現場へ。内装の下地組が進み、建具の現場制作と取り付けが進行中。外装下地もそろそろ最終段階。
写真は1F北西角のリビングルーム。左側にあった臨時搬入口がふさがり、天井の下地組がほぼ出来上がった。床にはウッドフローリングが貼り終わり、養生が施されている。
1F南西角から北東方向を見たところ。中央に和室角の丸柱。その左がリビングルームで、右が駐車場。透湿防水シートの模様が「そばぼうろ」みたいだ。
和室丸柱の上部と障子の溝。美しい大工仕事。
外壁と基礎の間にある通気口。
2Fの天井には内装用のOSBが張られた。
6/18。神戸市『ふつうの家01』現場へ。
内外装の下地と設備の工事が進行中。アルミサッシの取り付けはほぼ完了。
写真は1F北西角のリビングルーム。横長の窓が上下に連なった最奥にキッチンカウンターがやって来る。作業をなさっているのは電気屋さん。照明やコンセントの配線がかなり進んだ。
1F北東角ではユニットバスルームの設置がほぼ完了。写真右寄りにあるベージュの箱がその外観。
写真左がユニットバスルーム内観。ふつうの、真っ白の、安価なお風呂。これをオーダーしようとすると、ラインナップから品番から、こんがらがったことになるのが住設メーカーの不思議のひとつ。確認してひとまず安心していると、リビングルームではキッチンフードの換気配管の設置が始まった(写真右)。
写真は2F南西角のテラスから室内側を見たところ。割合贅沢な開口部になりそう。
電気工事と内装工事を直前に控えた2F室内はすっかり片付いた状態。いま、ここでしか見ることのできない木組みの光景は、なんだか幻の森のようだった。
6/5。神戸市『ふつうの家01』現場へ。
内外装の下地工事が進み、南側道路面から北側斜面への片流れ屋根を持つほぼ直方体の概形が姿を現しつつある。
2F北側の主寝室と和室を見たところ。アルミサッシの取り付けも進行中。
上の写真左が2F、右が1Fの階段まわり。狭いながらもそこそこ明るい空間にはなりそうだ。各階のトイレが近接するため、1F天井には配管がいろいろと。
1F北西角のリビングルームを見たところ。左ハイサイドライトの下は隣の空き地からの搬入口として当分開けておく予定。逆に南側を向くとこんな感じ。リビングルームに和室が隣接する。
そうこうしているうちに、2Fの外壁下地がずいぶん出来上がって来た。上は二枚目の写真の角度違い。窓の向こうにはジェームス山ふもとの住宅地がひろがる。
5/22。神戸市『ふつうの家01』現場へ。上棟を翌日に控え、敷地の周囲に足場が組まれていた。コンクリート基礎の上には大引、根太、床板の合板、それから雨よけのビニールシート。
5/23。まずまずの好天。午後過ぎに再び現場へ。2階までの構造が、まさしくこつ然と姿を現した。一日で軸組をやってしまうと聞いてはいたものの、そのスピードとクレーンの大きさに気分が盛り上がる。盛り上がりついでに勝野転倒。ヒザと鼻柱を負傷し、職人さんに余計な心配をかける事態に。
恐縮しつつ、2階へ上がったりしてみる。北側斜面を見下ろすとなかなかの眺望が広がっていた。頭上では職人さんたちは命綱も着けずに15cmほどの幅の梁をすたすた移動しながらてきぱきと部材を組んでゆく。その姿は実にカッコいい。気持ち良さそうだなあ。しかし自分がやることを想像すると足がすくむ。とても無理だ。
部材の包み紙には「祝新築」、「家運繁栄」の文字。
ずっと見ていたくなるようなダイナミックな光景ではあったが、これ以上お邪魔にならないよう夕方前に退散。この日のうちに屋根の合板下地までが出来上がった。
5/7。昨年から数えて十数度めの神戸出張。『ふつうの家01』現場へ。3/14に施工契約が済み、4/23に着工、この日は地盤改良工事がほぼ完了した状態。
現場は傾斜地の北面を造成した住宅地。長さ6.5mのコンクリート杭が100平米の敷地に全部で30本ほど打ち込まれた。
頭のやや潰れた杭が整然と並ぶ様子はなんだか古墳のようだ。
love the lifeの作品「Asagaya-meicha Rakuzan New Store」のページを更新しました。(Aug. 17, 2012)Worksからご覧下さい。フォトグラファーは佐藤振一さん。
「阿佐谷銘茶楽山」はJR阿佐ヶ谷駅の近くに店を構え、長らく日本茶と海苔の製造販売を営んでいる。地域の生活に深く定着したその暖簾が、北口そばのちいさな商店街にもうひとつ掛かることになった。二代目の古川貴則氏による新店だ。近隣には煎餅店、米穀店、和菓子店などが軒を連ね、狭い道幅にしては昼夜を問わず通行量が多い。
まずは往来の流れを無理なく受け止めるため、エントランスの木製サッシを通りに対してやや斜めに置いた。そのラインに右手のカウンターショーケースのブーメラン形が呼応する。間口を最大限に開放するため、左手の棚什器は道路側を頂点に奥へと徐々に拡がる三角形とした。主に小振りなパッケージの商品を扱う業態なので、こうした不整形が問題となることはない。結果として、視線を自然に店内へと導き、多様なディスプレイに対応する至って合理的なプランが出来上がった。
天井面には300mm余りの段差がある。右側の造作はセン柾材で仕上げ、エントランスの引戸に合わせて天井高を抑えた。主要動線のある左側にはバナナ繊維の壁紙を張り、高さを最大限に確保した。異なる素材が間接光を介して上下に重なり、斜め基調のプランと相まって簡潔な折り紙のような空間が立ち現れる。サイズのまちまちな3本のステンレス柱が、破調のリズムを増幅する。突き当たりのタペストリーミラーは店内を掛軸状に切り取り、淡色の移ろいに変換する。
バックカウンターと吊戸棚の狭間にある横長の壁面は堀切健治氏の左官で仕上げられた。ゆるやかな円弧で上下に二分されたその景色には、茶所静岡の平野から望む富士の裾野が暗示されている。
5/31。夕刻、銀座『野の花司』で姫令法(ヒメリョウブ)、小手毬(コデマリ)、深山鳴子百合(シンザンナルコユリ)と河原撫子(カワラナデシコ)を買って阿佐ヶ谷へ。駅前のとんかつ店『かつ久』で腹ごしらえをしてから開店準備の進む『阿佐谷銘茶楽山新店』にお伺いした。22:00過ぎまでオーナー・古川さんと歓談後、完成写真の撮影準備を開始。
商品ディスプレイを撮影用に整え、花を生け、暖簾にアイロンを掛けて、フォトグラファー・佐藤振一さんがいよいよカメラを構えたのが24:00過ぎ。
つい先日まで空っぽだった空間の、あるべき場所にあるべきものが収まると、途端に店は生き生きとした表情を見せ始める。
内装のトーンを厳しく制限したのがここでは思いのほか有効だった。商品パッケージと、空間そのものの素の造形が互いに引き立つ。
今回店内のライティングには白熱系のダウンライトと、T6タイプ(直径20mm)蛍光灯の間接照明が併用されている。撮影にあたっては各部のスイッチを点けたり消したりしつつ、蛍光灯の色被りを防ぐためその都度フィルターを入れ替えての多重露光方式がとられた。その分、カットごとに随分と時間を要する。大きな空間の撮影ではなかなかここまでの手間は掛けられない。
ほとんど休憩なしで作業は続き、翌朝6:30頃にようやく撮影終了。雨が降らなくて良かった。マクドナルドでコーヒーを飲んで解散。写真の仕上がりが楽しみ。
その翌日、6/2(月)に『阿佐谷銘茶楽山新店』はオープンを迎えた。お近くの方には普段使いの日本茶をぜひこちらでお求めいただければ幸いだ。量販店のお茶とは比較にならない豊かさを味わっていただきたい。
阿佐谷銘茶楽山新店/東京都杉並区阿佐谷北1-3-6/03-3330-0210
9:00-19:00/土休
5/26の夕刻に『阿佐谷銘茶楽山新店』の現場引き渡し。これにて店の管理は施工監理担当のイカハタさんからクライアントの古川さんへ移り、開店準備がいよいよ本格化する。工事は一通り完了。若干の補修作業と残工事を残すのみとなった。
翌27日に合羽橋のオクダ商店で花手桶と柄杓を購入。その足で阿佐ヶ谷へ。
店ではちょうどイカハタ・竹内さんと武田さんが補修工事の作業を終えようとしていた。お二人に補修の追加を少しばかりお願いし、ついでにダウンライトの微調整もしていただく。
おかげで左側壁際の棚什器の上が一気に華やかになった(上の写真左奥)。前日にはカウンターショーケースの内部と足下の間接照明も点灯(上の写真右)。店の床レベルが道路面から30cmほど上がっているため、外から店内を見た時に足下の照明が想定以上に効果的だった。
店内奥にはステンレスの飾り柱が取り付けられ、棚の先端を支える。突き当たりの壁はバナナ壁紙とタペストリーミラーで仕上げを切り分け、足下に墨入モルタルを立ち上げた。その手前のローチェスト上には芋きん型のクッションが2つ(上の写真左)。
エントランスゲートの左内面にはステンレス切文字の店名サインが取り付けられた(上の写真右)。
先日施工されたカウンタバック壁面の飾り壁は乾燥が終わって落ち着いた表情に。
懸案となっている天井面のバナナ壁紙の継目は、貼り直しの甲斐があって引き渡しの時点では見事に目立たなくなっていたのだが、一日経って見るとまた継目が浮き出てしまっていた(写真ではほとんど分からなくはなった)。竹内さんはオープン前に再度貼り直し(これで4回目)に挑戦して下さるとのこと。その他、大きなところではエントランスゲートへの暖簾の取り付けが残っている。
5/24。黒門亭に栄枝・栄助親子会を見に行くも満員札止。意気消沈しつつ『うさぎや』でどら焼きを買って『ラパン』で昼食。台東デザイナーズビレッジの一般公開を覗いてから『阿佐谷銘茶楽山新店』現場へ。
エントランスゲートの左官工事がちょうど終盤に差し掛かっていた。ダークグレーのジョリパット(アクリル系汎用塗壁材の商品名)を割肌に仕上げる。細かなテクスチャーなどは左官職人の堀切氏におまかせ。やや大きめの骨材を混ぜ、調色に硝煙(墨入モルタルと同じ)を用いることで独特の深みが得られた。
仮設の引戸がようやく撤去され、道から店内の様子が伺える状態に。ガラス面にはオープニングセールのポスターが貼られた。通行の人々の多くが足を止めてゆく。
ガラス工事がほぼ完了。カウンターショーケースと給茶カウンターの外形が出来上がった。ケース内の照明はまだ工事中。
店内の間接照明は点灯した状態で見ることができるようになった。空間のイメージもいよいよ最終形に近い。
夕刻になり、カウンターバック壁面の左官工事が始まった。下地材を施し(写真左)、エントランスゲートよりも骨材の細かいジョリパットを薄塗りしてゆく(写真右)。上の写真は塗り終わったジョリパットにコテ跡を付けているところ。最初はほぼフラットな仕上げに留める予定だったが、少し表情を付けていただけるよう要望した。堀切氏から提案していただいた2種類の手法から細かくランダムなうねりのような仕上げを選択すると、ものの1、2分でみるみるうちに美しいコテ跡が出来上がった。驚くべき手早さに一同呆気にとられる。
上の写真左はその左官仕上げのディテール。円弧の下にあたる部分にコテ跡をつけ、上はフラットなままとした。
店内では先日から懸案のバナナ壁紙の貼り替えも同時進行中。綺麗に仕上げていただけるよう経師屋さんの背中に祈りつつアトリエへ引き揚げた。
5/23。ギャラリー間で杉本貴志展を見てから『阿佐谷銘茶楽山新店』現場へ。
工場製作の什器類が一度に設置され、店内の様子はがらりと変わった。手前にカウンターショーケース。右手に吊戸棚。その下にバックカウンターがある。左手には壁付きの棚什器。天井のダウンライトも取り付けが完了し、点灯。完成時にはさらに間接照明が加わる。
イカハタ・竹内さんと武田さんは奥の垂壁下端にコーナー材を取付中。
什器の仕上がりはほぼ文句なしの素晴らしさ。物販店では内装から家具工事に段階を経た途端に問題が山積みとなり、ストレスがぐんぐん溜まってゆくことがままあるが、今回は安心して肩の荷が下りた気分にさえなった。こんなことは初めてかもしれない。
店内間仕切りには行灯サインが埋込まれた(上の写真右)。ああでもない、こうでもない、とイカハタ・清原さんと何度もディテールを調整していたのはほんの1、2日前。その甲斐あってこちらも上出来。
上の写真左は養生シートの剥がされた店内間仕切り角の飾り柱。直径90mmのステンレスパイプ。上の写真左は壁付き棚什器の途中に差し込まれたカラーステンレスの一輪挿し。先端に試験管が嵌め込まれている。
いよいよもう一息。
5/21。14:00過ぎに『阿佐谷銘茶楽山新店』現場へ。
エントランスゲートに下地パテ処理が施された。ちょうど金物屋さんが水返しを取り付けているところ(上の写真左)で、邪魔になりそうなのでしばらく近くで待機。ほどなく15:00となり、作業休憩時間中に金物屋さんから『うさぎや』のどら焼きを分けていただく。ありがたや。
その後、クライアントの古川さんがいらっしゃったので、店内最奥壁まわりのディスプレイ用フックの取り付け位置をその場で決定(上の写真右)。
上の写真では分かりにくいが、店内左側の壁と天井が壁紙で覆われた。これで内装の仕上はほぼ完了。
使用した壁紙はバナナの廃木繊維を原料とする機械漉き和紙(上の写真左)。独特の繊細な光沢が美しい。上の写真左は先日工事が行われた床の洗い出しの様子。こちらも控えめながら質感の高い仕上がりとなって安心した。後日表面にワックス掛けを行う。
壁紙の継目が目立つ部分が一カ所天井にあった(上の写真)。一度貼った壁紙に大きな斑があったため貼り直した箇所とのこと。間接照明のあたる部分だけにこれは気になる。全体が綺麗に仕上がっているだけに、余計に残念でならない。極力目立たなくなるよう補修を依頼。
5/18。朝から『阿佐谷銘茶楽山新店』現場へ。日差しが強い。
この日は床の左官工事を一日で仕上げる。最初に自然光で墨入モルタルの色を確認。上の写真手前左にいらっしゃるのはクライアントの古川さん親子。勝野は三社見物仕様の出で立ち。
続いて店内で墨入モルタルに混ぜる小砂利の密度を確認。少しまばらな印象だったので、手の空いている全員でバラバラと砂利を投げ込む。このくらいかな?となったところで、残りの部分は左官職人の堀切氏にお任せする。堀切氏は目分量でざーっと一気に砂利を投げ込むが、その密度は的確で、しかも砂利の配置は私たちが投げ込んだところよりも明らかに自然で美しい。一同目を丸くしてうーむと唸る。一流の左官職人の手はまるで魔法使いのようだ。
下地モルタルの上にばらまかれた砂利をコテで適度に押さえつけ(上の写真)、
その上を一度全面墨入モルタルで覆う(上の写真)。ベニヤ板で体重を分散させながらの作業。
墨入モルタルを打ち終わると、それをブラシ状の道具で掻き出して表面を磨きつつ小砂利をあらわす作業に移る。最後まで見ることができなくて残念。イカハタ・竹内さんと堀切氏にご挨拶して15時前に別の打ち合わせへ。
浅草へ戻ったのは17時過ぎ。結局三社見物はあまりできなかったが、私服の談春師匠とすれ違った。高座で拝見する以上に大柄な印象で、迫力と有り難みは神輿並み(ちょっと大袈裟)。『キッチンイナバ』で夕食を採ってアトリエヘ戻る。
5/17。午後遅くに『阿佐谷銘茶楽山新店』現場へ。
天井や壁面の練付合板(ねりつけごうはん/薄くスライスした木材を合板の表面に貼り付けたもの)仕上げが佳境を迎え、現場は前日までとは打って変わったごった返しぶり。ちいさな空間のほとんど半分くらいが練付となるため、あちこちで作業が平行するとほとんど足の踏み場も無い。
上の写真は天井面の仕上の見切り部分。左が練付、右が塗装となる。紐(ひも)と呼ばれる細い木材(ここでは5mm角)で合板の切断面を隠す。
エントランスの木製サッシの取り付けも完了(上の写真左)。重厚なつくりの割に控えめな存在感。意図した通りのイメージに満足。
夕刻が近づくに連れて雲行きが怪しくなって来た。エントランスゲートの雨仕舞がまだ完了していないため、イカハタ・竹内さんと武田さんは急いで養生用のブルーシートの準備(上の写真右)。
店内の左半分は後日に和紙張で仕上げる。材料取りの関係上、和紙のピッチと練付のピッチが異なるため、練付合板の継目は極力目立たぬようぴったり突き付けていただく必要がある。どうぞ綺麗に仕上げて下さい。。。と祈りつつ次の打ち合わせへ。
5/16。アトリエでの作業後、夕刻に『阿佐谷銘茶楽山新店』現場へ。
この日の主な工程は電気配線とエアコンの取り付け。作業はすでに終了し、現場はひっそりとしていた。いつもながらイカハタさんの現場は片付けが実に綺麗に行き届いており感心する。
照明器具取付用の丸い穴が天井に開けられた。エアコンは下吹き出しのコーナータイプを一台エントランス側に設置し、店内奥へ送風する方式とした。ひとまず本体のみ取り付け、後日天井面と同色に塗装したカバーパネルを施す。
一部私たちの指示不足があり、エントランスの軒下ダウンライトの位置と、換気扇の位置が微妙に意図と違っていた。イカハタ・清原さんに電話で変更を依頼。翌日早くからは天井や壁を練付合板(薄くスライスした木材を合板の表面に貼り付けたもの)で仕上げる作業が行われるところだった。取り返しのつかないことにならずに済んで助かった。
5/15。午前中に別件の引き渡しを終えて一旦アトリエに戻り作業。15:00過ぎに『阿佐谷銘茶楽山新店』現場へ。
LGS下地にケイカル板が貼り終わり、店構えの外形がほぼ出来上がっていた。脚立に上った金物屋さんはゲート造作の上に取り付ける水返しの寸法を検討中。既設のシャッターが隠蔽され、道路と店を仕切るものが無くなってしまったので、イカハタ・竹内さんと武田さんは工事中にとりあえず現場を塞いでおくための引戸を仮設中。
店内の石膏ボード貼もほぼ完了。いつもならこの段階で完成形がほぼ想像できるが、今回は全体に占める家具・什器類のボリュームが大きく、それらが搬入されると空間の印象は丸きり違ったものになりそうだ。
他の金物工事に先行して、オフィス間仕切壁のコーナーにステンレス製の丸柱が取り付けられた(上の写真左)。まだ白い養生シートに覆われた状態。エントランスから見て左側の壁からは棚什器取り付けのための下地パイプと棚下照明用の電源コードが突き出している(上の写真右)。
上の写真はエントランス側の天井を見上げたところ。やがて店内を支配する斜めのラインが、徐々にその姿を現しつつある。
5/12。アトリエで作業後、夕刻遅めに『阿佐谷銘茶楽山新店』現場へ。
下地コンクリートが打ち終わり、エントランスからのフラットな床ができた。この日の工程は主な内装部分のLGS(軽量鉄骨)下地組。
最終的な床の仕上はグレートーンの小砂利を混ぜた墨入モルタルの洗い出しとなる。上の写真左は実際に使用する砂利のサンプル。サイズと色味を確認。
上の写真右は店内最奥の床。主要な造作の基準線がそこかしこに描かれている。現場監理担当のイカハタ・竹内さんによる墨出しは正確で美しい。今回のプランには微妙な斜めのラインが各所に現れるため、ちょっと不思議な交わり方をしたラインが多い。
施工状況を詳しく確認後、さらにイカハタ・清原さんと近くの喫茶店で打ち合わせ。建物自体の歪み、家具・什器の製作上の問題などが判明するとともに、細かな変更の必要がいろいろと生じて来た。
あたふたとアトリエへとんぼ返り。何度となく描き直した図面を、またも穴のあくほど眺めながら夜中に作戦を練る。今回は工期に全く余裕が無いため、何事にも即決が求められるわけだが、瞬発力に欠ける私たちの頭にはどうしてもこういう時間が必要だ。
それにしても眠い。
5/8。2月から調整とデザインを進めて来た『阿佐谷銘茶楽山新店』が着工を迎えた。この日の作業は既存内装の一部解体。
場所はJR阿佐ヶ谷駅からほど近いちいさな商店街沿いの木造店舗付住宅1Fで、なんと『ひねもすのたり』のとなり。堀部安嗣氏と面識は無いが、恥ずかしいものは作れない。
建物の築年数ははっきりしない。おそらく50年以上は経っているだろう。わずか26平米ほどの店先ではかつて肉屋、豆腐屋、美容室、空調設備工務店など様々な業種が営まれたそうだ。もとは長屋の一部だった様子で、左右の外壁の下地から隣接箇所を切り離した様子がうかがえる。コンクリート土間の入口側に割合急なこう配が設けられており、最上部には道路から30cmほどの高さがある。
上の写真は屋外テントと前面サッシを取り外し、解体業者さんの軽トラを店内に乗り入れた状態。テントの撤去跡の壁が予想外に痛んでおり、今後どう補修すれば良いものか少々悩ましいところ。
上の写真は店内の既存天井を解体した状態。白いビニールクロス張りの既存壁面に新しい床仕上レベルまで1mの墨出しラインが引かれている。幸い天井高さには余裕があり、最大で2.6m程度が確保できる。奥側に耐力補強を兼ねた間仕切りがあり、その向こう側にトイレとミニキッチン。今回そちらはそのままバックヤードとして使わせていただく。
上階の床裏には今ではほとんど見ることのない碍子配線が放置されていた。
久しぶりに味のある現場だな。
『阿佐谷銘茶楽山新店』は日本茶と海苔の専門店。オープンは6/2の予定。
love the lifeの作品「Alternative」のページを更新しました(Aug. 18, 2012)。Worksからご覧下さい。フォトグラファーは佐藤振一さん。
「オルタナティブ」は自由が丘の外れの低層ビルの2Fにあった。「和食」を「日本人が発想する料理」と再解釈し、創作されたユニークな料理を楽しむことができる店だ。周辺の住宅地の合間には高級スーパーや家具店、パティスリーなどが点在し、ブランド化された街の北のエッジが形成されている。
工事の始まる前に特に印象的だったのは、南東角のサンルームに頭上から差し込む穏やかな自然光だった。通りに面した開口部はほとんど無い。私たちはこのプールの底のような場所を手がかりに、近隣の浮ついた雰囲気から切り離された特別な場所をデザインできるかもしれないと考えた。琳派による水流の表現、あるいは絵巻の場面転換に用いられる霞のようなものがぼんやりと頭に浮かんだ。それらはおそらく金地銀地の鈍い光に包まれた「濃密な余白」のイメージだったように思う。
フロアはその中央にある50cmほどの段差で二分されていた。私たちは片側にレセプションとキッチンを、もう片側に客席を単純に割り当て、さらに客席をタペストリー加工の強化ガラスで曖昧に分節した。ベンチシートの上部には間接照明を施し、客席全体を鍵型に包む光の面を構成した。動線上には緩やかなカーブを描くステンレスパイプをいくつか配置した。階段状のディスプレイ台を持つレセプションカウンターにはひと塊の黒いボリュームを与え、茶釜やレジスターなどの機能を埋め込んだ。これらの造形には光琳の「松島図屏風」の波間と岩場のイメージが引用されている。
Waves at Matsushima | Ogata Kôrin (Museum of Fine Arts, Boston)
11/9。大阪から須賀さんご夫妻が来訪。これは滅多にない機会、とばかりにオープンしたての自由が丘『alternative』へと問答無用でお連れした。ディナーコースをいただくのは私たちも初めて。
本日の魚介のグリル(上の写真左上)はホタテとイカ。刻んだ梨と一緒にいただく。ドリンクにはプレミアムモルツ生の後、〆張鶴の純米吟醸を4合ボトルで。
コンソメの茶碗蒸し(写真右上)の具はフォアグラ。白いのはカリフラワーのピュレ。本日の魚のお刺身(写真左下)はムツとブリ。絶品。本日の碗物(写真右下)は金目。極めつけに上品な出汁。金目の食感も素晴らしい。
フランス産鴨胸肉のポワレ(上の写真左上)はまさしくコンテンポラリー鴨葱。お食事(写真右上)は鮭のまぜご飯と原木しめじの味噌汁。どちらもワイルドでインパクトのある品。
本日のデザート(写真左下)はピスタチオのアイスクリーム。コースを通してのボリュームは十二分。食後には香り高い阿里山金宣(写真右下/台湾茶)を何度かお替わりしつつ、ゆっくりと過ごさせていただいた。大満足。
シンプルかつ骨太な味わいの料理は、どれもオーナーシェフ・渡辺さんの人柄を思わせるものだった。特に最初の一皿は、北海道出身である渡辺さんのルーツと、この店のコンセプトである「オルタナティブな日本食」を同時に表明するものとして感慨深い。用いられる器もまた一見してシンプルながらその実ユニークなフォルムを持つものが選ばれており、さりげなく料理を引き立てる。
さて、love the lifeのデザインは少しばかりでも渡辺さんのお役に立てただろうか。その点についてはぜひ実際に訪ねた方のご判断をいただければ幸いだ。12日からはランチコースも始まっているので、まずはどうぞお気軽に。
alternative(オルタナティブ)/東京都目黒区自由が丘 2-3-16-2F
03-3725-6730/12:00-14:00,18:00-23:00(LO21:30)/日祝休
23時前に代官山へ移動。『dcb』へ。いつ来ても心地よく、時間の経つのを忘れる店。久方ぶりの長く楽しい夜となった。
そして、11/10夜に再び『alternative』へ。翌日の朝にかけて完成写真の撮影。
上の写真は明け方にサンルームを撮影中のフォトグラファー・佐藤振一さん。すでにお疲れの様子。全部を撮り終わった頃には10時を過ぎてしまった。ぐったりと疲れ果てた状態で『アンセーニュ・ダングル』で珈琲の後、解散。
11/5。未明にアラタメさんから『alternative』屋外サイン用POPのデータが到着。プリントアウトして台紙に貼り付け、POP用のスタンドと一緒に紙袋に入れて、ひとまず横須賀線とバスを乗り継ぎ鎌倉の別件現場へ。
15時過ぎに資料写真の撮影と現場採寸が完了し、小町通り外れの『cafe vivement dimanche』で食事と珈琲。横須賀線と東横線を乗り継いで自由が丘『alternative』に着いたのは18時頃。
POPをセッティングしてしまえば、あとは特にすることはなかったが、イカハタ・清原さんが様子を見にくると言うので少し待つ。
すっかり片付いた店内は、来客を迎えるばかりの状態。テーブルクロスは先日まで敷かれていたリネン素材ではなく、厚手の白いものに交換されていた。おそらくサイズに問題があったのかもしれない。“オルタナ系和食”という前例のない形態のレストランだけに、運営スタイルを確立することは容易ではない。オープン後もしばらくは試行錯誤が続くだろう。
清原さんが到着し、キッチンを含め一通り店内をチェック。郵便ポストの位置(大家さんのご指定。これが大変使い辛い)、エントランスドアの強風対策(建物に着いていたドアをそのまま使用。強風で若干バタつく)と言った施工とは関係のない共用部分での懸案事項を除けば、あとはほぼ問題無し。キッチンに漂う美味そうな出汁の香りに俄然食欲が湧く。作業途中、お店のスタッフの方に烏龍茶をいただいた。上品な甘味と香りにほっと一息。
翌11/6に自由が丘『alternative』(オルタナティブ)はオープンした。今後は客として訪れることになる私たちとしては、料理はもちろん、店をどう使っていただけるのかを拝見するのもまたひとつの楽しみだ。さて、いつ頃お伺いしようか。
10/31。午後一番に自由が丘『alternative』へ。
テーブル天板とチェアの交換が完了。木部の染色が木目を生かした薄いホワイトに変更された。ようやくイメージ通りの仕上がりに。
客席全体の印象もぐっと引き締まった。いろいろあったが、キノシタ・西村さんには最後まで良心的なご対応をいただいたので良しとしよう。
WCも完成。天井にステンレスの装飾パイプ。手洗台は黒い塊に白くて丸いボウル。
上の写真左はWCのドアサイン。16時頃からは屋外サインの設置作業が始まり、20時頃に完了。写真右は2Fのエントランスサイン。傘立兼用。
上の写真は1Fの専用階段サイン。配線モールを綺麗にカバーできるだけの予算が無かったのは残念だが、サインそのものは言うこと無しの仕上がり。今回は装飾パイプなどを含め、ややこしいステンレス造作が割合多かったが、金物屋さんの仕事は実に見事でスマートだった。サイン類のフォント製作とレイアウトは全てアラタメさん。
キッチンとサンルームの間のガラス窓にタペストリー加工調のフィルム貼り。エントランス脇の消防突破口上部にも間接照明の写り込み対策として同様のフィルム貼り。その他諸々の細かなフィルム貼りや塗装面のタッチアップなどは全てイカハタ・清原さんが直々に片付けて下さった。
レセプションカウンターとキッチンのコールドテーブルの入れ替えが完了。ビアサーバの収納部分に熱がこもるため、両開扉の片側を取り外し。後日、ここには客動線からの目隠し用のステンレス造作を取り付けることになった。
領収証用の店名スタンプを納品。予約席用のサインを組み立て。
オープンに向けて、私たちのお手伝いできることも残りわずか。
10/29。夕刻にアラタメさんと自由が丘『alternative』へ。オープン準備で大忙しのオーナーシェフ・渡辺さんに時間をいただき、メニュー表とホームページのデザインに関する打ち合わせ。
レセプションカウンターに中国茶器が飾られていた。可愛い。
DM、ショップカード、名刺など、アラタメさんにデザインをお願いしていた印刷物は27日に無事店へ到着。私たちはこの日初めて完成品を目にすることができた。モニターやダミーで見ていた印象をはるかに上回る素晴らしい仕上がり。
DMの拡大画像はこちら(表/裏)。オープンは11/6(火)に決定した。
18:00頃にキノシタ・西村さんが到着。木地染色に問題のあったチェアを新しいものに全交換。満足のゆく色に仕上がった。LED間接照明のアクリルカバーがトータルで3mmほど延びてわずかに浮いていたので、イカハタ・清原さんに補修を依頼。
10/26。15時過ぎに自由が丘『alternative』へ。照明計画をサポートして下さったmuse-Dの鈴木さんと八木さんがしばらく後に到着。ユニバーサル型ダウンライト(光の向きを変えられる天井埋込式照明)の微調整をしていただいた。
1時間半ほどかけてじっくりと調整。おかげでバシッとフォーカスの合ったようなシャープな雰囲気が出た。
クッションのセッティングが終わり、サンルームもようやく落ち着いた。夜はスタンドライトと間接照明だけではちょっと暗いかな、と気になっていたが、思いのほかいい具合。
照明の調整中にフォトグラファーの佐藤さんも到着。撮影スケジュールやフィルムサイズなどについて打ち合わせ。今回は予想されるカット数が多く、かなりの時間がかかりそうなので、店のご迷惑にならないよう定休日前の深夜から朝方にかけて撮ることになった。
仄かなグリーンに染まったモノトーンの空間を、ゆったりと間合いのとられた座席に掛けてぼんやり眺めていると、まるで水墨画の襖絵に囲まれているような心持ちがした。これで完成だ。
10/25。午後一番から自由が丘『alternative』の現場引き渡し。これをもって物件は晴れてオーナーシェフ・渡辺さんの管理下となる。いちおうその前に主な関係者での最終チェックは一通り行ったが、これまで足繁く現場に通ってその都度イカハタ・清原さんに細かく変更・修正の要望を伝えていたため、ほとんど何の問題もなく儀式はあっけなく終了。
LED間接照明にタペストリー調アクリルのカバーが被せられ、光の質がずいぶんと柔らかくなった(以前の写真と比べると如実に分かる)。幸いアクリルの継目は全く気にならない。清原さんがボックスにぴったりの寸法にアクリルをカットした上で、小口(切断面)をミガキ仕上げにして下さったのが功を奏したようだ。有り難い。
そうこうしている間にも食器、食材、備品など、運営物資が続々と到着。テーブルに漆の椀が並び、レセプションカウンターに茶釜が置かれると、店内の様相は急激に和風へと収束しはじめた。不思議なものだ。
コールドテーブルの入れ替え作業は31日に行われることになった。ついでにキッチン内の板金の補修も行っていただけるようホシザキ・川田さんに依頼。屋外のサイン(看板)もその日に取り付けられる予定。若干の補修作業を清原さんにお願いして、私たちは備品類の買い出しへ。
10/24。午前中から渋谷で『alternative』のための運営備品類の買い出し。14時頃に自由が丘の現場に到着。
この日のLED間接照明は白色だった。これまた悪くない。
客席ベンチシート下の化粧板仕上げがキノシタさんの手配で予定より一日早く行われた(上の写真左)。サンルームのベンチは壁や家具と同色のホワイトに再塗装。いやースッキリした。なんとなく部屋が広くなったような心地がする。これで工事らしい工事は全て完了。
その後、工事途中にキズや汚れのついた塗装面の気になる箇所にマスキングテープの切れ端をぺたぺたと貼り付けてチェック。イカハタ・清原さんと塗装業者さんに補修を行っていただく。今回は『dcb』と同じ業者さんに手がけていただいた甲斐あって、間接照明の当たる面の仕上がりを含め、内装塗装についてはほとんど言うこと無しの素晴らしい仕上がりだった。
16時頃に現場を離れ、ふたたび買い出しへ。21時過ぎにアトリエに戻ると、ちょうどキノシタ・西村さんが可動家具の再制作のための塗装色サンプルを届けて下さったところ。朝までに返事をするとお伝えする。
22時過ぎにイカハタ・清原さんから電話。この日から店内に入った運営スタッフの皆さんの要望で、レセプションカウンター内にある冷凍冷蔵用のコールドテーブル(テーブル型冷蔵庫)と、キッチン内にある冷蔵専用のコールドテーブルを入れ替えることになったそうだ。
どうやらこの現場もギリギリまで落ち着きそうにない。
10/23。午後遅くに自由が丘『alternative』現場へ。
この日のLED間接照明はオレンジ色だった。悪くない。
客席北面(写真奥)と東面(写真右)のベンチの設置がおおよそ完了。シート下のボックス部分の化粧板仕上げは25日に行われる。座り心地は上々。
可動家具(チェアとテーブル)も仮搬入された。こちらは先日のトラブルをふまえて木部を作り直し、29日に交換される予定。
850mm角のテーブルは実にゆったりとして具合がいい。営業時にはオーナーシェフ・渡辺さんの選んだリネンのクロスが掛けられる。
レセプションカウンターには装飾パイプの最後の一本が仮止めされた(上の写真左)。サンルームには大テーブルが搬入され、天井のテント地とブラインドが取り付けられた(上の写真右)。結局この日の午前中までかかったキッチンの工事も、ほぼ問題無く完了していた。
16時から保健所の検査。レセプションカウンター内の手洗シンク用のソープディスペンサーを固定するように言われたことを除いて、全く問題無く短時間で終了。29日には営業許可証が発行されるとのこと。心配無いとは思っていたが、やはり急に肩の荷が下りたような気持ちになった。
空間を構成するパズルのピースはこれで全て揃った。工事もあと残りわずか。
10/22。午後遅くに自由が丘『alternative』現場へ。
先日の写真と比べると間違い探しのようだが、東側(写真右側)壁面に装飾パイプが取り付けられた。午前中にクリーニングが一通り終わり、現場はピカピカに。
上の写真は東面装飾パイプの全体像。まだ仮止め中で所々テープで固定されている。ほぼ客席部分を縦断するサイズの大きな曲線がなかなか気持ちいい。
その下にある白いレザー張りのチェアは、前日にサンルームのベンチの塗装時に起こったトラブルをふまえて、この日急遽キノシタさんに届けていただいたもの。脚など木製フレームの塗装色にやはり赤みが強い。工場への確認をお願いしたところ、木地の色味ではなく塗料に赤が少量混じっているとのこと。それでは話と違う、と言うわけで、テーブル天板も含め全ての可動家具を作り直し、オープンまでに交換していただくことにした。
養生シートがすべて剥がされ、レセプションカウンターの不整形な黒い塊と、装飾パイプによる鋭利な曲線の厳しく対峙する様が、ようやく全貌をあらわした。
レセプションカウンターの上面越しに客席の方を見るとこんな感じ(上の写真左)。塊を円弧の連なりが抉り、装飾パイプのラインがそれに呼応する。
キッチンでは前日の緊急ミーティングで洗い出された残工事がようやく少しずつ片付きはじめた(上の写真右)。
イカハタ・清原さんと屋外に設置する店名サインについての打ち合わせ。その後新宿へ移動し、店内で使用する運営備品類の買い出しを行った。なかなか思うようなものが見つからず、いくつかは持ち越し。
23時過ぎにホシザキ・川田さんの携帯メールでキッチンカウンターの配線孔まわりの写真が届く。続いて24時頃に板金業者さんから確認用のスケッチがファックスで到着。
翌日は保健所の検査なんだが、大丈夫だろうか。
10/21。午前中に自由が丘『alternative』の現場からイカハタ・清原さんから電話。サンルームに前日取り付けられたパイン集成材のベンチ座面に染色を施したところ、イメージとはかなり異なる赤みの強い色調になってしまったとのこと。
写真左が午前中の状態。うーむ、これは赤いな。。。以前に塗装色サンプルとしてホワイト染色の可動家具の端切れを業者さんにお渡ししていたのだが、その地色を忠実に再現して下さったのが仇となったようだ。行き違いが重なった。
急遽その上からホワイトの塗装を上塗りしていただいたのが写真右の状態。ましになったような、なっていないような。先日に施工された墨入りモルタルの床は素晴らしくいい感じなんだけど。
熟考の結果、ベンチはペイント系の塗料でホワイトに塗り潰すことにした。集成材の表情がほとんど見えなくなってしまうのは残念だが、突板をベースにしたホワイトペイント、あるいは化粧板のホワイトよりも、集成材をベースにしたホワイトペイントの方が質感的には数段上ではある。これも贅沢と言うものだ。デザイン的にはかえってすっきりまとまるだろう。24日に再塗装の予定。
客席サービス用のワゴンが到着した(上の写真左)。コンパクトで可愛らしい仕上がり。上の写真右はエントランス脇壁面の様子。天井と突き当たり壁の装飾パイプが間接照明に浮かぶ。
もし可動家具(チェアやテーブルなど)の染色もベンチと同様に赤みが強く仕上がっているとすれば、マズいことになる可能性が大きい。キノシタさんに電話を入れ、念のためチェアとテーブル天板をひとつづつ翌日現場に持ち込んで頂けるよう依頼。
また、キッチンをチェックしたところ、ステンレス造作・家具の細かな工事が一向に進んでいない気がする。ホシザキ・川田さんと板金業者さんに電話。日曜日の夕方とあって、ご両人とも自宅でご家族とおくつろぎのようではあったが、急遽現場にお越しいただく。隅々まで残工事チェックをし終えた頃には時刻は21時をまわっていた。
上の写真は夜のサンルーム。
10/19。夕刻に自由が丘『alternative』現場へ。
客席腰高のフルカラーLED間接照明が点灯した。写真は淡いグリーンに発光した状態。コンパクトなコントローラーひとつで簡単かつ自在に調色・調光することができる。使い勝手は最高。これで取り付けがもっと楽なら言うこと無かったんだが。
床にグレーのカーペットが敷き詰められ、いよいよ内装は完成に近づいた。
上の写真はL字に連続する間接照明のコーナー部分。キセノンとLEDの光の交錯がうっすらとグラフィカルなパターンを描く。
レセプションカウンターには人工大理石の天板が取り付けられた。巨大な硯石のような質感。写真は職人さんがコーナー部分を溶接しているところ。
18時頃に左官職人さんが到着。サンルームの床に墨入りモルタルが塗られた。1時間あまりの作業で見事な床が完成。翌日の昼間にはほぼ乾くとのこと。どんな表情を見せてくれるのか、楽しみだ。
エントランス脇の消防突破口への間接照明の写り込みの処理についてイカハタ・清原さんと相談。避難誘導灯の取り付け位置を調整。
厨房機器と可動家具の工程が遅れている。特に客席ソファの取り付けがうまくゆくのか、どうも心配になって来た。頑張れキノシタさん。
10/18。夕刻に自由が丘『alternative』現場へ。
客席上部の間接照明(アドバンテージキセノン)が付いた。光のまわり具合がいつも以上にスムーズだ。最後まで粘って考えた甲斐があった。配線工事の難しかった特注LEDシステムも電気工事業者さんの工夫のおかげでおおよそ設置完了。こちらの点灯は明日以降となる。
エアコンの吹出口、給排気口の取り付けもさりげなく完了。
先日仮止めされた装飾パイプの上に間接照明の光源がかすかに写り込む。これは予想外ではあったが、おかげでパイプの存在がより一層生き生きとして見える。このままにしとこう。
客席とレセプションまわりの家具類の設置もこの日大部分が完了。黒い階段状のレセプションカウンターと、装飾パイプの関係が想像通りに出来上がった。写真奥のクローゼットまわりの家具も設置完了。キッチンではワインセラーまわりの家具が設置完了。現場監督のイカハタ・清原さんもこの日は実作業でてんてこ舞い。
階段脇のスピーカーボックス兼ディスプレイ台はほとんど現場作業で制作された(上の写真左の白い箱状の家具)。家具職人さんの見事な手際に感心。WCの手洗カウンターも設置完了(上の写真右の黒いかたまり)。その上の造作にはこの後すぐにミラーが取り付けられた。
オーナーシェフの渡辺さんに主にキッチンのつくりを確認していただきつつ、ホシザキ・川田さんを含めての打ち合わせ。その後、近くの『Paul Bassett』で引き続き印刷物に関する打ち合わせ。ダイレクトメール、ショップカード、名刺などのデザインが最終決定。ふたたび現場に戻り、家具類と間接照明の細かな納まりについて若干の変更を依頼。
あちこちで細かな作業が同時進行したため、この工事中で最もグチャグチャな現場となったが、作業が終わると家具業者さんは一通り掃除整頓して撤収。仕事場の綺麗な職人さんは腕がいい。
10/17。夕刻に自由が丘『alternative』現場へ。
前日の客席サッシにガラスが入った。
間接照明以外のライティングはほぼ全て取付けられ、点灯状態に。
客席北側の壁には装飾パイプが仮止めされていた。壁際に近づくとこんな感じ(写真左)。エントランス脇壁際の装飾パイプ(写真右)は取付完了。
キッチンでは厨房機器の設置がほぼ完了。巨大なカウンターや冷蔵庫が割合余裕を持っておさまった様子を見ると、なかなか充実した作業環境であることが実感される。客席と同じダウンライトを使用したこともあって、なんだかとてもムーディーなキッチンになりそうな予感。やり過ぎたかな。
上の写真左はエントランスからキッチンを見たところ。タペストリー加工のガラスを通して人の気配が伺える。写真右はサンルームから窓を通してキッチンを見たところ。ここは既存のガラスの上にタペストリー加工調のフィルムを貼る予定だが、なんとなくこのままの方がカッコいいような気もする。要相談。
懸案だったWC配線孔の目隠し方法、キッチンとサンルームのブラインド品番と納まり、キッチンの水栓位置などについてイカハタ・清原さんと打ち合わせ。
店内をしばらく眺めていると、連続するガラスのパーティションが、まるで大きな障子のように見えて来た。
10/16。午前中に自由が丘『alternative』現場へ。
客席のサッシ枠が取付けられた。このステンレス枠に後日タペストリー加工(サンドブラスト+フッ酸処理)を施した強化ガラスを嵌め込み客席をふたつのエリアに分ける。
キッチンでは長尺ビニル床シート貼りが進行中。袖壁には仕上げのステンレス板が貼られ、青い養生シートで覆われていたが、見付部分の納まりが打ち合わせと違っていたため板金業者さんに修正を依頼。電気工事業者さんとキッチン内のコンセントプレートの仕様についての最終確認を行う。
照明器具が到着(上の写真左)。午後から取り付けが始まる。
WCでは既存の黒いタイルの上に150角の白いタイルを貼る作業が進行中。天井の塗装色と照明器具品番の指定にミスがあったので変更をお願いする。また、手洗カウンターのちょうど上に建物の電源配線の都合上ちいさな開口(上の写真右の四角い穴)がどうしても必要であることが判明。うーん、これはいかん。。。どうしたものか。
最終形に向けて、徐々に空間全体のフォーカスがぴたりと合いつつあるが、その分、細かな問題が気になりはじめた。これから一週間ほどは気の抜けない日々が続くだろう。
10/12。15時過ぎに自由が丘『alternative』現場へ。職人さんはちょうど休憩中。
塗装工事がかなり進んだ。一気に白く、明るい空間に。
上の写真左は垂壁造作の付いたサンルーム。不整形な建物のおかげで苦労はしたものの、なんとか納まりそうな状態に落ち着きつつある。
写真右は客席からレセプションを見たところ。エントランス脇の壁面(ドアの向こう側)は寸法とコストの都合上、増し貼り(古い壁面を残したまま新しくボードを貼って仕上げること)にしたが、古い壁面の施工が極めて悪く、よくよく見ると微妙に全体が波打っている。消防突破口や間接照明との絡みが心配だ。
次週からは家具造作や厨房機器が続々と搬入される予定。工事はいよいよ山場。
16時に駅前に戻ってアラタメさんと待ち合わせ。『alternative』用の印刷物の打ち合わせを『Table Modern Service』の窓際の席で。DMのラフ案をiPod touchで見せてもらった。こりゃ便利だ。
10/10。午後過ぎに自由が丘『alternative』現場へ。
塗装工事が始まった。この日はボードの継ぎ目やビス跡を埋めるパテ塗りの段階。
レセプションから客席へと至る階段のコンパネ(コンクリートパネル)下地がほぼ完成。後日仕上げのカーペットが敷かれる予定。
キッチンとレセプションの一部の床下地もほぼ完成。配管が隠れ、全体がフラットになった室内はぐんとコンパクトな印象に。これらの床下地はこんな風にフレキシブルに高さ調整のできる樹脂脚をベースにパーティクルボードを乗せ、さらにその上にコンパネを敷き詰めることで出来上がっている。
上の写真はキッチンの出入口脇にある店内照明スイッチの取り付け位置の様子。みっちりと等間隔にスイッチプレートが並ぶ予定。電気工事業者さんの力作。
上の写真はキッチンからエントランスの方を見たところ。
いつもならここまで空間ボリュームがしっかり見えてくると、かなり出来上がったと感じるところなのだが、今回はまだその感覚が無い。思い描く最終形と、目の前にある空間の輪郭が、微妙にぴったりとは合わない感じ。おそらくこの違和感は、家具や造作類がパズルのピースのように空間に嵌め込まれてゆくに連れて、徐々に消えてゆくのだろうと想像される。
どうやらこの店はいつもとは異なるやり方でデザインされているみたいだ。私たち自身気付かないうちに。
10/6。午後過ぎに自由が丘『alternative』現場へ。
前日からボード貼が始まり、だいぶ整った空間になってきた。上の写真はほぼPB(石膏ボード)貼の終わった客席。
上の写真はレセプション奥から客席側を見たところ。ボード貼の業者さんがキッチンの壁・天井用のケイカル板(繊維混入ケイ酸カルシウム板)をカットしている。
ケイカル板張りのキッチン内は上の写真のような具合に。PBとの外見の違いがなんとなくお分かりいただけるかと思う。
サンルームのボード貼もほぼ完了。ここはこれから取り付けの始まる木工造作の分量が多いため、最終形にはまだほど遠い。
上の写真左は先日調整をお願いしたサンルーム・キッチン間の開口部ディテール。養生テープにイカハタ・清原さんのスケッチ。写真右は形状変更をお願いした客席の間接照明ボックス。どちらもバッチリ納まって少し安心した。
10/4。16時頃に自由が丘『alternative』現場へ。翌日から始まるボード貼に備え、LGS(軽量鉄骨)下地組が細部の調整段階に入っていた。
間接照明ボックスの取り付けもこの日ほぼ完了。
上の写真左はエントランス脇の壁際。右は最初の全景写真奥の右コーナー部分のアップ。天井・壁の際、または腰高の位置にある合板の造作が間接照明ボックス。
上の写真は客席からレセプションの方を見たところ。青い養生シートを巻かれた装飾パイプが大きな曲線を描く。床と天井とで固定するため、今回は下地の段階で取り付けておく必要があった。
上の写真左は装飾パイプが床に刺さっているところのアップ。直径16mmのステンレスパイプが2本束ねられている。右はレセプションとキッチンを区切るドア。ヒンジの見え方がちょっと気になる。さてどうしたものか。
天井の間接照明の光源が見え過ぎてしまいそうだったため、ボックスの形状を若干変更。消防突破口まわりの造作納まりを変更。サンルームとキッチンの間の開口部に納まりの悪い箇所が出たため若干の下地調整。
上の写真はイカハタ・清原さん、厨房機器担当のホシザキ・川田さん、電気工事業者さんと勝野での作戦会議の様子。
10/2。午後一番に自由が丘『alternative』現場へ。前日からLGS(軽量鉄骨)による内装造作の下地組が始まっていた。
サンルームを除く店内の下地組はすでに概形を伺える状態。
先日取付けられたエアコン本体にダクト類が繋がり上のような状態に。キングギドラ的迫力。
上はキッチン床下の設備配管。こちらもほぼ設置完了。
レセプションとキッチンの間にできる新設のサッシやドアの寸法、設備点検口のサイズや配置、家具造作について、イカハタ・清原さんと打ち合わせ。建築躯体の形状にかなり狂いがあるため、毎日が細かな変更の連続だ。
上は職人さんがLGSをぶった切っているところ。
現場には次第に緊張感が充満しつつある。
9/26。午後過ぎに自由が丘『alternative』現場へ。午前中にエアコンの本体が取付けられ、ようやく天井高さがほぼ確定できる状態となった。
上の写真でイカハタ・清原さんの頭上に見えるのがエアコン本体。でかい。低い。
ここから4本のダクトを客席の吹出口へと繋ぐ。うち1本のダクトは分岐してエントランス脇の吹出口へ。本体は吸気口を残して天井内に隠蔽される。
こちらはキッチン内のカセット式エアコン。天井スラブ下に露出した上階用の配管類を避けてこの位置になった。排水・給湯配管に若干の水漏れを発見。内装工事が本格化する前に直して頂けるようビルオーナーさんに依頼。
ちょうど木工担当の大工さんが現場にいらっしゃったので、クローゼットまわりのディテールについて打ち合わせ。この後、厨房機器担当のホシザキ・川田さんが打ち合わせに来られるとのことだったが、清原さんに最新の図面を託して私たちは別の現場へ移動。
客席の天井は事前の想定よりもほんの少し高くできそうだ。良かった。
自由が丘のレストラン物件『alternative』が9/21に着工。解体工事に始まり、23日から墨出し。24日に現場のチェックと打ち合わせを行った。
場所は八雲三丁目交差点にほど近い学園通り沿い。『ザ・ガーデン自由が丘』は斜め向かいと言って良いくらいの距離で、『モンサンクレール』もすぐそばにある。好立地ではあるが、駅から歩くと品の無い高級車がぶんぶん通るわりには道幅が狭く、ストレスを感じることは否めない。
グリーンのタイル張りが特徴的な低層ビル(築24年くらい)の専用階段を2Fへ上がったところが今回の現場。通りから店構えは全く伺えない。周辺の浮ついた空気感を遮断し、隠れ家的な空間を作るには最適な条件と言える。100平米ほどのフロアは約50cmの段差を持つ2つのエリアに分かれており、低い方のフロアは通りから離れたサンルームとひと続きになっている。
正確な建築図面が残っていないため、解体後に寸法や納まりを調整しなくてはならない箇所がかなりあちこちに生じた。施工を担当していただくイカハタ・清原さんと打ち合わせしながら、半ばその場で即興的に設計しているような感覚に。多少の調整はどこでも付き物だが、これほどの現場は久しぶり。天井の細かな高さ設定については、後日、空調機器を実際に吊ってみながら決定することになった。厄介なことも盛り沢山だが、その分楽しみなことも多い現場になりそうだ。
この日は左官屋さんが現場に入り、フロアの一部にあった凹みを埋める作業中。
既存の床タイルを残したまま施工するため、墨出しは上の写真左のように養生テープを併用しながら行われた。写真右は清原さんがその場で描いた階段造作の納まりスケッチ。
今のところオーナー・シェフの渡辺さんからは和食をベースにしたコース料理がメニューの中心になるとお聞きしている。私たちが多大にリスペクトする人物が創作の腕を振るう店だけに、一消費者としての楽しみも膨らむ。自由が丘にかつて有りそうで無かったゆとりの感じられる空間を提供したい。東京に越したばかりの頃、およそ4年間を過ごした街へのささやかな贈り物になればと思う。
オープンは11/6の予定。
現在新宿・リビングデザインセンターOZONEで開催中のイベント『布&トートバッグマーケット』で、勝野屋(love the lifeのプロダクトレーベル)が手拭を販売しています。普段Webでしかご覧いただいたり購入していただくことのできない勝野屋の手拭を、実際に手に取ってチェックしていただけるチャンスです。会期は6/2(土)、6/3(日)と6/9(土)、6/10(日)の計4日間。すでに初日が終了してしまいましたので、残りは本日を含む3日間です。
7Fのエスカレーター脇にひっそりと小さなブースを構えています。はっきり言って、けっこう寂しいシチュエーションです。お近くにお越しの際には、冷やかしでぜんぜん結構ですので、どなた様もぜひぜひお気軽にお立ち寄りいただけましたら幸いです。
love the lifeの作品「Studio Graphia Marunouchi」のページを更新しました(Aug. 25, 2012)。Worksからご覧下さい。フォトグラファーは佐藤振一さん。
「スタヂオグラフィア 丸の内」は2007年に東京駅のすぐ西側に竣工した新丸ビルの4Fにある。50平米あまりの店内では、自社製品のステーショナリーを中心に、バッグや時計、書籍など、デザイン性の高い商品が幅広く扱われている。
私たちはクライアントが主として紙製品と紙媒体を扱う企業であることに着目した。紙の原料は木材チップからなるパルプであり、木材は山林から生まれる。私たちはプランを進める上で、フロアの突き当たりに壁一面を覆う木製の雛壇什器を据えることを最初に決めた。その形状とスケールは、共用通路に対する明確な正面性を生み出すと同時に、山林の姿を暗示するものとなる。
店内は共用通路から向かって左側の白いインテリアと、右側のダークグレーのインテリアとに大きく二分されている。左側では間接光が均質なひろがりを強調し、右側では狭角のダウンライトが陰影を際立たせる。また、クロームメッキのスチールパイプによる折線形の造作が左右それぞれに異なる姿で配置されている。これと言った機能を持たないふたつの要素が、スクエアな空間に破調をもたらしながら向かい合う構図は、俵屋宗達の画として多くの人々から親しまれる「風神雷神図屏風」の二曲一双の姿を参照したものだ。それは山林を取り巻く万象の寓意に他ならない。
風神雷神図屏風 | 俵屋宗達 (京都国立博物館)
love the lifeの作品「MOTTAINAI Tsushima」のページを更新しました。(Aug. 30, 2012)Worksからご覧下さい。フォトグラファーは佐藤振一さん。
「MOTTAINAI」は循環型社会の構築への貢献を基本理念に、商事会社が中心となって展開するエコプロダクトのブランドだ。この店は同ブランド初の実験店として、愛知県津島市の大型商業施設1Fにある三層吹抜の空間に仮設された。会計処理や事務作業は近接するサービスカウンターで行うため、店としての造作は商品ディスプレイと少量のストックのみで成立する。その体裁は一般的な物販店よりむしろパビリオンに近い。
古来より木曽、伊勢にほど近い尾張の要衝であった津島湊ゆかりの素材として、私たちは桧の間伐材に着目した。現在日本では国産木材の消費量の低下による森林資源の荒廃が進行している。国産木材の積極的な活用例を示すことは、ブランドの理念を直接具体化する手段となる。
店舗の外形には設置面積22.3平米、高さ3mの直方体のボリュームがそのまま立ち上げられている。フレームは桧の節有120mm角材で、上面の梁はランダムに組み上げた。フロアとディスプレイウォールにも桧の節有材を張り、什器類は桧の間伐材チップを原料とするストランドボードで仕上げた。ディスプレイウォールに付属したローステージの上面はガラス張りで、内部には桧の残材チップが敷き詰められている。
各造作のデザインには雨や水流、水たまり、また木々の幹や枝、木漏れ日の暗喩を込めた。それらを各部の間接照明が引き立て、上方のアーム式ライトがフロアにフレームの影を落とす。これらは総体として理想的な森林の環境を象徴し、循環型社会の有様を寓意的に表している。
4/27の朝10:00。新丸ビルの『studio graphia』に先立って、もうひとつの仕事がオープンを迎えた。伊藤忠商事などが中心となって展開するMOTTAINAIブランドの実験店舗。現在のところプレス発表ではMOTTAINAIショップと称されているが、今後他にも出店する可能性があるため、とりあえずここでの作品名は『MOTTAINAI津島』としておく。プロジェクトが始動したのは2月初頭。一気呵成の特急仕上げとなった。
店舗は東海圏の大手スーパーマーケット『ヨシヅヤ』津島本店にある3層吹き抜けの空間に22.5平米の仮設ブースとして設置されている。上の写真は4/25の完成後引き渡し時の状況。奥で商品ディスプレイの作業を行っているのは伊藤忠・高津さんと立巳物産・矢野さん。
節有りの桧角材によるフレームに桧羽目板張りのディスプレイウォールと桧フローリングの床、置式の什器類にはエスウッドと呼ばれる桧チップの木質ボードを用いている。国産桧づくし。
上の写真は27日のオープン時の状況。セレモニーにはワンガリ・マータイ氏も訪れた。想像していたよりも小柄で、笑顔や仕草の可愛らしい方だった。
工場制作に2週間、現場制作に3日間と工期が極めて短く、引き渡し前は相当にハラハラしたが、出来上がりはほぼ満足の行くものとなった。『studio graphia』に引き続き施工を担当して下さったのはCAリーディングさん。いい仕事でした。感謝。
4/27。新丸ビルのグランドオープンの日。love the lifeがインテリアデザインを手がけた『studio graphia』もようやくお披露目となった。
愛知出張から夕方に東京駅へ戻って地下通路から新丸ビルへ。久しぶりに体験するもの凄い人出。特に『studio graphia』のある4Fは細々としたテナントが多い上に通路が狭いため、ほとんど立ち止まることもできない。この日は視察か見物の人がほとんどだろうけど、店内も大混雑状態。
右側通路に面したギャラリーでは森本美由紀氏の原画を展示中。じっと覗き込む人多数。ほんの小さなスペースにしては、想像以上に有効なスペースとして機能しそうだ。
前から欲しかったKnirpsの折り畳み傘を購入し、マークス・阿部さんと篠崎さんにご挨拶してひとまず退散。それにしても、小物アイテム数の多い店とは言え商品の密集具合が甚だしいことが気にかかる。悪く言えば脈絡を欠いたヴィレッジバンガードのような状態。せっかくいいものをたくさん置いているのに、商品に見合ったディスプレイであるとは言い難い。勿体ないことだ。おそらく煩がられるだろうが、今後も折りを見て様子を伺いに行こう。
そんなわけで、今後への課題はあるものの、中身はとてもユニークなデザイン雑貨店なので、ぜひたくさんの方に訪れていただければ幸いです。個人的には時計とレザーバッグがお薦め。
studio graphia 丸の内店/東京都千代田区丸の内1-5-1新丸ビル4F
03-3211-5301/11:00-21:00(日祝-20:00)/無休
4/12。翌日からの商品搬入を控え、ほぼ完成となった新丸ビル『studio graphia』へ。入場の仕方やビル内の動線が工事時からかなり変更されていて、若干ウロウロと迷いながら4F現場に到着。
ディベロッパー側の工事も一段落。前回依頼した補修工事の具合も概ね良好で、ここに来てようやく整った状態で店舗全体を見ることがかなった。仕上がり的には万全とは行かないが、許容範囲内、と言って良いだろう。CAリーディングさんの粘りとラストスパートに感謝。
ファサードのコーナー部分にブルーの差し色が入った。
ショーウィンドウ什器上にあるメインの店名サインが点灯(上の写真左)。ディベロッパー工事もこれで完了か、と思いきや、排煙スイッチが棚什器に被さっている箇所があった(上の写真右/小さな2個のボックスはエアコン用のセンサー)。打合せに無かった部分なので、移設・補修を依頼。せっかくきれいに仕上がった壁に傷みが生じそうでか気がかり。
ショーケース内にはグレーの特注色を施したディスプレイライト(上の写真左)。MAXRAY・宮野さんにお願いして特急で作っていただいた。上の写真右は店舗右側に並ぶ棚什器のアップ。店内に商品が並ぶとステンレス鏡面の仕上が生きてくるだろう。
一通りのチェックが終わった頃に、偶然にも隣の店舗区画『Idea Seventh Sense』をチェック中だった形見さんと北見さんにご挨拶。お二人にお会いするのは1年ぶりくらいで、ようやく元浅草に引っ越してからの名刺を手渡すことができた。Kataでは7F『丸の内ハウス』をはじめ、新丸ビル内でいくつかのプロジェクトを手がけられているとのこと。
形見さんの隣でlove the lifeが仕事をする機会なんて、きっとこれが最初で最後だろう。
4/5。16:00過ぎに丸の内へ。studio graphiaの工事完了チェックと、CAリーディングさんからオーナーへの一応の現場引き渡し。
少し遅れて着いてみると、現場はまだクリーニングの途中だった。あらま。
養生が無くなって、モルタル打ちの床の状態を初めてちゃんと確認することが出来たが、なかなかいい具合にラフな仕上がりで一安心。
クリーニング作業と平行して、マークスの皆さんを含め工事完了チェック。主に塗装工事に関わる細かな修繕を除いて大きな問題無く終了。懸案だった区画右側のビル環境造作と店舗造作の見切りの問題については結局現状のままとすることになった。良かったような、ちょっと残念なような。
ギザギザの意匠パイプにも無事スポットライトが当たった。不思議な存在感が増大。
そんなわけで、空間そのものはどうにか許容範囲の仕上がりにはなった。ひとまずCAリーディングの皆さんに感謝。しかしディベロッパー側工事の作業はまだしばらく続く模様で、天井の点検口はまだあちこち開いたまま。うーむ。どうにもなかなかスッキリしない現場だなこりゃ。
3/28。14:00からディベロッパー側工事の仮引き渡し。ビル内の冷温水供給が遅れていることなどから、まだ空調は完全に稼働していないが、電気設備や防災設備の工事は概ね終了。通路側正面の店名サインの照明が点かないことを除けばほぼ問題無し。
今回はベース照明に久しぶりにCDM(コンパクトな放電管。明るく、消費電力が小さい。少々高価なことと、調光ができないのがタマに傷。)を使うことができた。クリアでメリハリの効いた光がなかなかいい感じ。
ようやく照明が点灯したことに伴って、15:00から引き続きテナント側工事の仕上がりチェック。レジ台後ろのダークグレーの壁の塗装ムラと、通路側正面の白い垂壁に若干浮き出たボードの継目ラインの補修をCAリーディング・米澤さんと田代さんに依頼。
それにしても、まだ一度もクリーニングを入れていないにせよ、現場がやたらとほこりまみれなのが気に入らない。監理の行き届いた現場は工事中でも自ずとそこそこ片付いているもの。汚い現場は三流の現場だ。お二人に注意はしておいたが、果たして真意が伝わったかどうかは分からない。
細かな不満を数えはじめればきりないが、ともあれ、明暗の厳しく対峙する空間はほぼ当初からのデザイン意図通りのものとなった。奇麗になった状態を早く見てみたい。
2/23。夕刻、新丸ビル内『studio graphia』現場へ。内装造作・家具工事がほぼ完了したことに伴う中間チェック。クライアントのマークス・高城会長と阿部さんも立ち会い。
いちおう什器類は図面通りに並べられたものの、ディベロッパー側工事の遅れのため、照明やコンセントの電源は相変わらず供給されないままの状態。エアコンのパネルもまだ付かないまま。
モノトーンで整理された空間に微妙なノイズをもたらす鋭角的造形、というテーマがイメージ通りに達成されたことだけは確認することができた。
造形としては上手く行った四角錐の什器だが、ガラス棚がどうにもグラグラし過ぎる。こりゃ作り直しかな。ショーケース内に仕込んだホワイトのスポットライトは、高城会長の希望でグレーカラーのものを特注製作して付け直すことに。
もうひとつ「これはマズいよね」と高城会長がおっしゃったのが区画右側のフロア環境工事部分とテナント工事部分の見切。白いテナント工事壁に茶色い環境工事垂壁が無理矢理入り込んでいるように見える。設計時に調整期間が全く無かったため止むなくそのままにしておいた箇所だが、たしかに妙ちくりんな納まりには違いない。一同腕組みして、どうしたもんか、と唸る。
設計者が変更の要望を出したところで「退去時に現状復帰するならテナント工事で変更していいですよ」とマニュアル通りの対応をされるのがオチなので、マークス・阿部さんからディベロッパー営業サイドを通して話しをしてもらうことに。
幸か不幸か、4月27日のオープンまで時間はたっぷりある。
この現場、あと一波乱、いや、二波乱くらいありそうだ。
2/20。代官山から丸の内へ移動。『studio graphia』現場へ。
懸案だった下がり天井の作り直しが終わり(写真で見ると先日とほとんど変わらないが)、再度塗装工事の仕上げが行われているところ。
棚什器側の天井にはギザギザの意匠パイプが取付られていた。自分でデザインしといてこう言うのもなんだが、唐突な存在感が面白い。しかし奇麗に付いたものだと感心。
区画右側には共用通路に面した大きなガラス面が出来ていた。ガラス面に平行するスライディングウォールの設置も終わって、主要な工事はこれでほぼ完了。しかし細かな手直しはまだけっこう残っている。
それにしてもディベロッパー側工事の遅れが心配だ。いったい照明はいつになったら点灯できるようになるんだろうか?エアコンのカバーパネルも付いてないし。
2/15。夕刻、丸の内『studio graphia』現場へ。
一通りの塗装仕上が終わり、ちょうど主な什器類の搬入作業が進行中だった。
オフホワイトとダークグレーに塗り分けられた空間はいよいよ明快さを帯びてきた。しかし本来ぴったりと合っていなくてはならない下がり天井のラインと通路側の正面ショーケース什器の設置ラインに20mmほどのズレがあることが発覚。どうやら天井の下地LGSが部分的にきちんと垂直になっていなかったようだ。施工担当のCAリーディング・田代さんは「一度天井を落として作り直します」とのこと。その意気や良し。
続々と到着する什器類をひとつひとつチェック。そのうちいくつかは一旦工場に引き揚げて加工し直すことに。
壁際スリット内のダウンスポット(上の写真左)は、ディベロッパー側の業者さんに上手く納まりが伝わっていなかったらしく、これまた要修正。上の写真右は腰高のショーケース什器下台。この上に後日ガラスケースが取付けられる。
サインが取付けられて少しだけ店らしい外観に(上の写真左)。下の写真右の四角錐も什器のひとつ。唐突な感じはイメージ通り。
2/9。午後に丸の内『studio graphia』現場へ。塗装の下地工程が進行中だった。
床のモルタル打ちが完了し、フロアは段プラで養生(作業で汚れたりしないようカバーしておくこと)されていた。壁際にずらりと並ぶ棚什器の設置はほぼ完了。内装造作は全面パテとヤスリがけでフラット化され、白い空間ボリュームが出現。
天井面と床面とを繋ぐギザギザの金属パイプ造作も取付けられていた。溶接とメッキの仕上がりがなかなかいい感じ。
塗装下地の状態も見たところ悪くない(照明が点灯するまでは安心できないが)。ディベロッパー側工事の照明器具や空調設備などの穴あけは、ほぼ図面通りの完璧な配置。大きな心配事がひとつ減った。
店内最奥の壁を覆うナラ材の棚什器が到着。デカい。棚什器下の引出収納には一部ステンレスロッドの取手が取付けられていた。全ての取付が終わると、マップケースがずらりと並ぶようなビジュアルになる予定。
引き締まった空間にはなって来たが、造作パイプの強度、什器のメラミン化粧板の仕上がりなど細かいところが気になりはじめた。
この現場もいろいろありそうだ(って毎度書いているような)。
1/30。午前中に丸の内『studio graphia』現場へ。軽量鉄骨(LGS)組と石膏ボード貼の作業がほぼ終わり、全体の空間ボリュームが把握できる状況になった。
上の写真は前面通路からテナント区画を見たところ。塗装業者さんがボードの突き合わせ部分に白いコーナー材の貼り付け作業中。今後さらに造作全面に寒冷紗とパテが施され、本格的な下地作りがスタートする。
新丸ビルでは、電気や空調、防災設備などの工事は全てディベロッパー側で行われる。必ずしも内装側の意図を汲み取りながら作業をしてもらえるとは限らないので、要所で入念なチェックをする必要がある。この日は天井面の設備点検口の位置が数センチほどズレている箇所を発見。設備業者さんに修正の要望を伝えていただけるよう、シーエーリーディング・田代さんにお願いする。
2時間ほど現場に居た後、退出間際に内装仕上げの塗装色サンプルを確認。基本はオフホワイトとダークグレーで、什器類に使用するメラミン化粧板との色合わせ。こちらも要修正。
今回もデザインがシンプルなだけに、フラットな面の仕上がりと各要素の間合いとが、空間の質をほぼ決定してしまう。さて、どの辺までもって行けるか。
1/16。11月から急ピッチで設計を進めていたデザイン雑貨店『studio graphia』の工事がはじまった。場所は先日ボヤ騒ぎがあった新丸の内ビルディング内。4/27のオープンに向けて、現在ビル環境部分も含め工事の追い込みが進んでいる。『studio graphia』のテナント区画は4Fの53平米。同じフロアには物販を中心に30ほどの店舗が軒を連ねる。ビル全体の店舗数は150以上。
1/19。工事開始後最初の現場打合せ。墨出しが終わって、区画内には軽量鉄骨や石膏ボードが山と積まれていた。本格的な作業開始を控えた空間に、静かなエネルギーが充満しているように感じられる。下の写真右側はモルタル打ち前の床下配管が分電盤の位置まで延びた様子。
施工担当はシーエーリーディングの米澤さん・藤倉さんと田代さん・菅根さん。現場寸法と墨出しの状況を確認後、現場向かいのDEAN & DELICAで造作細部についての打合せ。皆さんの年齢が自分たちよりも一回り以上若いことを知って思わずガックリ。
love the lifeの作品「Itsutsuya」のページを更新しました(Aug. 31, 2012)。Worksからご覧下さい。フォトグラファーは佐藤振一さん。
小田原市内では近年新しい駅ビルや郊外型の大型商業施設の完成に伴い旧市街地の空洞化が進行している。「井筒屋」があるのはその旧市街地のちょうど真ん中、小田原駅東口から海に向かって延びるメインストリートに面したビルの地上階だ。
私たちが念頭に置いたのは、通りと一体となって機能し、地域を訪れた人々の回遊を活性化するような場所をデザインすることだった。フロアに高さのある中央什器を置かないこと、エリアごとに異なる形態の什器を作り付けることをルールとしてプランニングは進められた。
什器とその上部の天井造作には高低差をつけ、店内を移動するにつれて変化のあるパースペクティブが感じられるようにした。各エリアの造作はそれぞれに特徴的な「地」となり、商品を「図」として浮かび上がらせる。全体の様子がどこからも見渡せるレイアウトは、時節ごとの自由なディスプレイや商品構成の変化に対応する。シンプルなボリュームの構成はいかにも明朗でニュートラルだが、こうしたデザイン手法には書院の基本的な概念に通じるところがある。
エントランス正面のテーブル什器の上にある天井造作には、城下町の記号でありクライアントの家紋でもある梅の模様をパターン抜きし、内側に紅梅を思わせるピンクをあしらった。スチールパイプのパーティションは、動線をさりげなく制御すると同時に、天気雨のようなきらめきを感じさせる。ちいさな店は「街に開かれた書院」として機能する。
9/6。『井筒屋』の完成写真撮影。フォトグラファー・佐藤振一さんの車に同乗して小田原へ。
器や箱物などこまごまとした商品が無数に並ぶハウスウェアショップの撮影は準備が整うまでが大変だ。売場としては問題が無くても、写真的にはどうしても商品ボリュームをある程度減らさないことには絵にならない。商品を減らせば自ずとレイアウトも調整せざるを得なくなるわけで、ますます時間がかかる。
午後一番からセッティングをはじめて、撮影が本格的にはじまったのは16:00頃から。この日は天気が悪く、辺りは夜のように暗くなったり、かと思えば急に明るくなったりを繰り返し、なかなかシャッターを切ることが出来ない。
エントランスサインの照明が赤いのは蛍光灯ダウンライトに撮影用のフィルターを被せたため。
私たちはと言えばこの日に限って間抜けなことにカメラを持ってくるのを忘れてしまい、佐藤さんのコンパクトデジカメをお借りして、いつものように撮影現場の撮影。
最終的に『井筒屋』の店内は、69.4平米ほどのフロアに、それぞれつくりの大きく異なる売場が小箱のように詰まった空間となった。クロームメッキのスチールパイプを配置したパーティションは、思った以上に視覚に効いているかもしれない。こちらは別の角度からの写真。
OSBを多用した接客エリアはマッシブな表情に。デジカメの発色がイマイチでなんだか黄ばんだ感じの写真になってしまったのが残念。
撮影はハロゲンとエースラインの照明を交互に付け消ししつつ、同時にカラーフィルターを使い分けて多重露光する方式で進められた。終わったのは夜中の1:00頃。いやはや、お疲れさまでした。苦労した分、仕上がりが楽しみだ。
8/31。小田原『井筒屋』の商品ディスプレイ2日目。この日も11:00過ぎに到着。店内は先日棚から間引いた商品や梱包材が片付いて、すでにずいぶんすっきりした状態。あとは若干の整理と飾り付けをすれば売場は完成だ。intewarrior・山下さんの指示で早速作業開始。
先日届いた箸什器やカトラリー什器、接客テーブルのセッティングが進み、ここに来てようやく図面に描いた全ての要素がフロアに揃った。ウィンドウディスプレイ用のステンレスの円形台も到着。根来塗の重箱が飾られた。
店先では小林ガーデンさんが植栽の作業。自然石の小振りなプランターが置かれて、エントランスの雰囲気が一気に良くなった。ありがたや。
17:00頃に一通りの作業が完了。これで無事オープンを迎えられます、と満面の笑顔の岡部さんご夫妻に見送られながら引き上げた。
翌9/1。うるしと和の生活具・小田原『井筒屋』はリニューアルオープンを迎えた。お近くにお越しの際はぜひお発ち寄りを。漆器を見る目が変わること請け合い。
井筒屋/神奈川県小田原市本町2-1-39/0465-22-3049
10:00-18:30/水休
8/25。小田原『井筒屋』の商品ディスプレイ1日目。11:00過ぎにintewarrior・山下真太郎さんと小田原駅で待ち合わせ。
先日から新商品が到着し始めた店内はいい感じにごった返していた。商品の特徴やエリアごとの見せ方について相談し終わると、早速山下さんは商品陳列を開始。
一口に商品ディスプレイと言ってもいろんなやり方があるのだとは思うが、ここでは山下さんは、どこにどんな商品を置くと一番効果的か、を重視しながら、先ずは1つのエリアごとにざっくりと構成してゆく方法をとっていた。その手際は実に鮮やかで、理にかなっていて、独創的だ。細かな並べ方や飾り付けによるディスプレイではなく、売場そのものをつくるディスプレイ。
数時間もすると、各エリアがそれぞれに与えられたテーマを主張し始めた。
やはりプロの技は違うなあ。カッコいいぞ山下さん。
『井筒屋』の主力商品は漆器と寄木細工と陶器。こうして見るとどれもそれぞれに魅力的だが、中でも漆器の洗練性と色っぽさは抜群だ。
途中、植木屋さんとの打合せを挟んだりしつつ、19:00頃にこの日の作業は終了。31日にもう一度訪れて、最終調整を行うことに。
8/10。小田原『井筒屋』の完成/引き渡し。
オーナーの岡部さんご夫妻、イカハタ・清原さん、現場担当の重本さんと仕上がり具合をチェック。とは言え、昨日の今日なのでまだ直っていない箇所は多い。
エントランスのサインは取付け完了。スタンドサインのほうはまだ下地の状態が完全ではないためまた後日に。
全員ですみずみまで入念にチェック。補修の必要な箇所には青いマスキングテープを貼る。思わずそこら中真っ青にしてしまいそうになるが、ぐっとこらえておく。
次週またあらためて最後の仕上工事を行うことに。引き渡しからオープンまで日数があったので助かった。肝心の岡部さんには気に入っていただけた様子で一安心。
小田原『井筒屋』のオープンは9/1。追加什器や小物、ディスプレイなどの作業が今月一杯続く。いろいろ急がないと。
8/9。台風一過の小田原へ。完成直前の『井筒屋』現場をチェック。
下の写真は既存のテントを洗浄中のクリーニング屋さん。
強風と雨のおかげでサイン(看板・表示など)の取付は延期。この写真は取付け前の切文字。
内装は細かな部分を除いてほぼ完成。先端の曲がっていた特注ペンダントライトも、MAXRAY・宮野さんと川口さんの汗だくの作業のおかげでなんとか修復。お疲れさまです。
内装全体の仕上がりはまあ許容範囲と言ったところ。パっと見は文句無しだが、細部がもうひとつ。それでも工事予算に余裕の無い中、イカハタさんや職人さんは頑張って下さったと思う。できれば今後もう何度か仕事をご一緒して、さらに質の高いチームワークを目指したいものだ。
オフホワイトとOSBによるボリュームの構成にピンクとクロームメッキの差し色。あえて大味にまとめたことが功を奏して、ちょっと見たことの無い空間になった。これについては大いに満足。今後の運営とメンテナンスがうまくゆけば、love the lifeで手がけた物販店としては代表的な作品のひとつになるだろう。こちらはその他のディテール。
夜まで現場に立ち会って、照明の具合を確認。何分コストダウンのため照明器具を減らせるだけ減らしてしまったのが不安だった。シャッターを上げ、歩道から十分に明るい店内を見て一安心。良かった。これなら大丈夫。
8/7。前日に床仕上げ工事を終えた小田原『井筒屋』現場へ。
あちこちで最後の細かな取付や仕上げの作業をおこなう職人さんで現場はごったがえしていた。遅れて製作されたラッピンングカウンターも無事到着。
電気工事もほぼ最終段階。ダウンライトの一部はすでに点灯。
養生シートや什器の合間にちらほらとしか見えなかったが、床を覆ったブルーグレーのリノリウムシートもなかなかいい風合いだ。ここに来てようやく空間全体の完成形がおぼろげに姿を現しはじめた。
コンセントやスイッチプレートの最終的な配置を確認し、追加の小物什器や仕上がりに問題のあった箇所などについてイカハタ・清原さんと打合せ。工事の完了は8/10を予定。残り数日でどこまでのクオリティに持っていけるか。
8/4。小田原『井筒屋』の現場へ。塗装工事が一通り終わり、この日は照明器具や什器パーツの取付が行われていた。
上の写真左は組み立て前の什器の上にダウンライトがずらりと並べられた状態。写真右は接客スペースの壁面。丸窓が姿を現した。
OSBの什器がほぼ組み上がると、大きな雛壇が出現。先日取付けられた飾り垂壁に負けずとも劣らぬ迫力。
特注ペンダントも取付け完了。なかなかいい感じなんだけど、よく見るとLEDの組み込まれた先端部が少し曲がっている。吊り元のパーツの一部には色の剥がれが。どうやら輸送中に変な力が加わったようだ。
取付けに立ち会って下さっていたMAXRAY・宮野さんと相談。9日に工具を持ち込み、現場で修理していただくことになった。
大物造作はこれであらかた姿を現した。オフホワイトとさし色のピンク、OSBの質感が共鳴し合い、ある種独特なバランスが生まれつつある。
8/2のつづき。小田原から東京に戻って竜泉にある照明器具工場へ。MAXRAYの宮野さんと待ち合わせて、『井筒屋』のために一灯だけ製作することにした特注ペンダントライトの仕上がりをチェック。
ピンク色のパイプの先端に白色の高輝度LEDを付けたシンプルな照明器具。中央通りの歩道からよく見える位置の什器上に設置する予定。
LEDの光色は蛍光灯の光に比べてもはっきりと区別がつく。『井筒屋』の照明は全て電球色だからより一層際立つことだろう。
この時点では出来は上々、と思われたが、後日現場での取付け時に思わぬトラブルが。
8/2。いよいよ追い込みに入った小田原『井筒屋』現場へ。
壁際の什器や造作の設置がほぼ完了し、塗装工事が中盤戦。壁面や天井面の下地塗りがほぼ完了しつつあった。
天井には2カ所の飾り垂壁は取付けられた。かなりのボリューム感。計算通り、この店を象徴する存在になってくれそう。造作の仕上がりに何カ所か問題のある箇所が見つかったため、携帯電話で写真を撮ってイカハタ・清原さんにメール。
外装工事は塗装の仕上げを残してほぼ完了。ローコストな工事ながら、改装前とは打って変わったまとまり感が。
7/28。小田原『井筒屋』の現場チェックと打合せ。前回来た時の予感が的中し、工程に遅れが生じていた。造作の状態にあまり変わりはなく、予定されていた塗装工事はまだはじまっていない。
その代わり外装の工事はかなり進行。欄間と腰の部分に白く染色した檜材が短冊状に並び、残りのガラス面には強力な西日を遮るための紫外線カットフィルムが貼られた。
もともとアンバー色だったアルミサッシの方立は白い塩ビシートで覆われ、予想以上にずいぶんと印象が変わった(上の写真左)。外装と同時に檜材の突き出し看板もほぼ出来上がりつつあった(上の写真右)。
自動ドアは床センサー式から上部人感センサー式に変更。床センサーの埋まっていた部分はモルタルで埋めることに(上の写真左)。店内のパーティションを取付ける部分にはベースとなるスチールプレートが埋め込まれていた(上の写真右)。
チェックの合間に有線放送の打合せ。さらにしばらくしてから地元の植木屋さんと既存のプランターへの植え込みについての打合せ。スラリとした体型に作業服と地下足袋をしゃきっと身に付けた植木屋さんはきびきびとした動作が印象的。しかも話が通じるのが実に早い。いい仕事をして下さりそうな予感。
今後の工程を現場担当の重本さんに確認してから東京へ戻る。
7/21。小田原『井筒屋』の現場チェックと打合せ。
LGS(ライトゲージスタッド/軽量鉄骨)による骨組みと内装下地のPB(プラスターボード/石膏ボード)貼がほぼ完了。一部仕上げ材として用いるOSB(オリエンテッドストランドボード)貼の作業が進行中。
天井のPBには照明器具や設備取付のための穴開けが行われていた。左の職人さんは枠無しの点検口を取り付けているところ。
OSB貼りのコーナー部分はトメ納まり(板材の端を45度の角度でカットして突き合わせる)にしてみた。さて、凶と出るか吉と出るか。上の写真右はパーティションのベースプレートを床下に仕込むためにモルタルを少し削った部分。
翌週は塗装工事と家具の取り付け工事の予定。しかしこの時点でまだ勝野は家具図面を描いてる最中だったりする。
7/9。この半年ほどの間打合せを重ねて来た小田原の店舗物件がようやく着工を迎えた。昭和初期創業の漆器店『井筒屋』。区画は25年前に建てられた中央通り沿いにある鉄骨ALC3階建ての自社ビル1F。解体・墨出しがほぼ完了した7/11に現場打合せ。
予算の都合上、当初は既存の什器を生かしたプランも考えた。しかし機能的な問題が大き過ぎる上に、どう配置し直してもまともなプランにならないため、思い切って内装はきれいさっぱり解体してしまうことに。おかげで外装にはほとんど手をつけることができなかったけど、店が生まれかわるには先ず売場が変わることが第一だ。
サッシまわりの実寸に図面とのズレがあったり、部材取りの関係で仕上げ材として用いるOSBの割り付けに変更が生じたことなどに伴って、造作寸法や照明器具配置を調整。梁間ブレースが思わぬ位置にあったため、エアコンの取付場所も変更。今回は現場が遠いだけに素早い判断が必要だ。しばらくは神経戦が続くことになる。
love the lifeの作品「DCB」のページを更新しました(Sep. 01, 2012)。Worksからご覧下さい。フォトグラファーは佐藤振一さん。
「DCB」 は代官山駅そばのちいさな古いビルの中にある。細い階段でのアプローチしか無いオフィス仕様の地下2階にバーを設えるには、設備設計や資材搬入の面で工夫が必要だった。目に見えない部分で膨らむことが予想される工事費用に折り合いをつけるため、私たちは機能要素だけで成立する単純な空間を考えることにした。
バーカウンターの天板は、現場溶接での一体化が可能な人工大理石を用いることで、薄く平滑な面に仕上げた。その真上には対象形の吊り天井が配置されている。カウンター前後の壁に穿った凹みの空間には、それぞれテーブル席とバックバーを割り当てた。これらの造作はほぼ同色のマットなオフホワイトに仕上げ、残った部分は黒に近い濃紺で全て塗り潰した。 間接光と小型スポットライトによる控えめな照明とそれらの反射光が、白い面だけをぼんやり浮かび上がらせると、まるで月光の下のような、立体感を欠いた眺めが現れる。バックバーの壁面には店のマスターである櫻岡氏の要望で、液晶プロジェクターから の映像の投影と、プログラム調光可能な LEDライティングが施された。薄色に染まったモノクロの映像が店内の印象をより一層非現実的にする。
直線とフラットな面だけで構成した空間の最奥に、私たちはひとつだけゆるやかなカーブを描くステンレスパイプを置くことにした。その造形はたしか月を暗喩したものだったように記憶しているが、あまり定かではない。 カウンターと吊り天井を繋ぐ細いラインは、上下ふたつの面に重力から切り離されたような浮遊感を与えている。
4/20。先月オープンした代官山のバー『dcb』の完成写真撮影。『谷の家』に引き続き、この日もフォトグラファーが佐藤振一さん、アシスタントが大瀧格さんという超豪華な布陣。ありがたや。
小さな空間なのでカット数は5つほど。それでもセッティングを含めて5時間たっぷり。最後はオーナーの櫻岡さんのご協力でLEDライティングの色違いカットもいくつか撮影することができた(LEDライティングの調整には専用ソフトウェアを操作する必要があるのだ)。感謝です。
で、4/21の夜に早速ポジの受け渡し。仕上がりはもう言うこと無しの想像以上で嬉しい限り。佐藤さんのセンスと腕前はお世辞抜きに世界一だと思う。
『dcb』の完成写真は25日(火)辺りに公開できる予定。どうぞお楽しみに。
dcb・祝オープン(Mar. 21, 2006)
Love the Life の作品、「House of the Valley」のページを更新しました(Sep. 04, 2012)。Worksからご覧下さい。フォトグラファーは佐藤振一さん。
「谷の家」は東京都港区の住宅街にある。地上3階、地下1階のフロアには、クリエイティブプロダクション代表の住まいとアトリエ、ミーティングスペースと収蔵庫が含まれる。限られた予算内に多くの要素を盛り込むデザインが求められた。
私たちはまず必要な機能と動線を可能な限り整理し、建物本体をガルバリウム鋼板の単純な直方体にまとめた。敷地の残りを道路境界線に沿って高さ7mのルーバーで囲うと、建物との間にまるで谷底のような空間が現れた。
私たちは建物の南側全面を開口部とし、さらに各フロアから「谷」へ張り出すようにして小さな庭やテラスを設けた。また、来客用とプライベート用のエントランスを別にする必要があったため、ルーバーの中央にRC造の階段室を嵌め込み、2階のプライベート用エントランスへとブリッジを繋げた。こうして「谷」は様々な生活シーンが重層し、交差する場となった。
「谷」からは、さながらショーケースの前を歩くようにして、各フロアの特徴的なインテリアを様々な視点で伺うことができる。屋内から「谷」への眺めは、時間や天候とともに刻々とその表情を変えてゆく。「谷」とインテリアの狭間にあって、建物の印象は極めて希薄なものとなる。陽のうつろいと人の営みだけが、この家の風景を豊かに構成する。
3/30夜から4/1午後にかけて3年越しの住宅プロジェクトの完成写真撮影。工事が引越の直前ギリギリまで押してしまったため十分な時間を確保することはできなかったものの、幸い天候には恵まれた。
RCの壁と大きなガラス窓に挟まれた谷間のような庭がようやく全貌を現した。
ブリッジや階段、各階テラスからの様々な眺めはなかなか楽しいものになったんじゃないかと思う。
SHIZENさんに植えていただいた地下1Fから地上2Fまで立ち上がるドラセナがこの庭の中心となった。陽の進行に従って移動する影が建物を表情豊かなものにしてくれる。
最後の最後まで細部調整の続いたインテリアも結果的にはなかなかの仕上がりに。上は2Fの写真(1Fの写真/3Fの写真)。
4/3にはクライアントを含めた最終チェックが行われ、後日施工の大同ハウジングさんとの間で引き渡し手続をしていただくことに。
店舗と違って住宅の寿命はずいぶんと長い。しかし何分プライベートな空間なので、店舗のようにしょっちゅう訪れるわけにも行かない。おそらく、長い間手塩にかけたこの建物の様子を今後私たちが見に来る機会はそれほど無いのだ、と思うと急に寂しい気持ちになるが、ひとまずこれでお別れ。
写真の出来上がりが楽しみだ。
3/28。来月初頭の引き渡しを控えて、内外装の各所で同時進行している仕上工事の追い込みがいよいよ厳しい状況になってきた。ここ一ヶ月ほどの間、職人さんは土日も残業も関係無し。文字通り一刻を争う緊迫した工程の中、私たちも細部の指示に追われてほとんど睡眠のとれない日々が続いている。眠い。しかし仕事が終わらない。それにしても眠い。
植栽は結局予算の関係でとりあえず2本の木を植えるのみとなった。ドラセナとミモザ。他に手が回らなかったのはまあ残念だけど、地下1階から地上3階まで建物と入れ子状に積層された庭とテラスは、この家の生活空間を豊かにするものとしてすでに十二分に効果を発揮しているようだ。
1Fではエントランスホールの壁面がそろそろ仕上がりの段階に。各個室のインテリアもほぼ完成。
2Fのインテリアも細部を残してほぼ完成。夜にはオリジナルのペンダントライトが取付けられた。
デカくていい感じ。光の印象も申し分無い。
3Fのインテリアはもうすっかり仕上がった。和室に畳が入るのが楽しみだ。
檜と珪藻土の組み合わせをなんとかクールにまとめることができたかな。
3/17。前日にカウンターバック壁面の再工事が完了し、プレオープン3日目を迎えた『Bar dcb』へ。
問題の箇所には下地のビスがかすかに浮かび上がった部分は見られるものの、一番の問題だった横ラインは完全に消えていた。これならなんとか許容範囲と言って良いだろう。良かった。
これにて晴れて『Bar dcb』は完成。早速クライアントでマスターの櫻岡さんにお酒をいただいた。この日は共同経営者の古谷田さんも一緒。しばらく4人で談笑。
櫻岡さんのカクテルとスマートなサービスはお世辞抜きで素晴らしい。上の写真左は特製のカルア・ミルク。楽しい&美味しい。この日お薦めのラムはハイチ産のバルバンクール。こちらは実に香り高く上品なキレ味。櫻岡さんとこの店のイメージにピッタリだ。
その後、22:00を過ぎた辺りから一見のお客さんが次々と訪れ、あっという間にフロアは満席に。年齢層は30〜50代くらいか。しかもほとんどの人がつまみもそこそこにカクテルをガンガン注文する様子には驚いた。代官山にもこんな客層がまだ健在だったのかと思うとなんだか感慨深い。
こうして手が離れた状態で『Bar dcb』を客観的に見ると、今時珍しく抑制の利いた雰囲気を持つ実にクールで大人っぽい店だ。酒飲みにとってまたと無い貴重な場所となるだろう。
現場での細かな注文に粘り強く応えつつ、クオリティの高い施工をして下さったイカハタ・清原さんと谷川さんに感謝。そして何より誰より、プロジェクトの要所で常に的確に大きな決断をして下さった櫻岡さんと古谷田さんに最大の敬意を。
『Bar dcb』は本日3/21からいよいよ正式オープン。皆様、ぜひご利用下さい。
息の長い店になりますように。
bar dcb/東京都渋谷区猿楽町23-5-B2F
03-3770-0919/18:00-2:00/不定休
3/17。外構の足場がほぼ全て取り除かれた。
木塀の四角い開口部にはガラスがはめ込まれた。東側から見上げるとまるで空が切り取られたような不思議な眺め。庭では造園に備えて片付けが進行中。
一番遅れていた2Fの家具造作もほぼ塗装を残すのみ。かなり重厚な仕上がり。
3Fは左官も乾いて内装は完成。
照明器具が取付けられ、床の養生が剥がれるまであと少し。
3/14。壁の左官工事が本格的に始まった。薄塗りの珪藻土。手際よく、大面積を一気に仕上げる左官屋さん。すごいテクニックと集中力。
外構では最後の木塀のかたちがほぼ出来上がった。ここに来て模型でイメージしていた状態に急激に接近。
下の写真左は足場に上がりその場ではみ出した木材をのこぎりでカットする大工の鈴木さん。右は足場がほぼ片付いて全貌が明らかになりつつある庭。
1Fでは塗装工事と床の大理石貼が同時に進行中。ダークブラウンと明るいベージュのコントラストが浮かび上がりつつある。
3Fでは先日の縦格子とお揃いの引戸が完成。開けても閉めてもいい感じ。
3/13。意匠パイプがようやく取付けられた。
金物業者さんが現場に着いて作業が始まったのは18:00頃。一部ネジの規格を間違っていたところがあって少々手間取ったものの、最終的には見事ピッタリとおさまってくれた。ホッと一息。
画竜点睛。カウンター天板と、その上に面対称に浮かぶ吊天井とが細く鈍い光沢を放つステンレスパイプの弧で繋がる。本当に控えめな造作だけど、これがあると無いとではぜんぜん違うのだ。
以上で晴れて工事完了、と言いたいところなんだけど、LEDを点灯すると先日補修してもらった壁の継ぎ目がまだかすかに残ってしまっているのがわかる。もはや簡単な補修じゃあ直りそうにない。これ以上の仕上がりを望むとなると、現在の壁の上に横の継ぎ目が出ないように一枚プラスターボードを貼って、パテと塗装を最初からやり直すしかないだろう。
曲がりなりにもようやくきれいに完成した内装に再び手を入れるのは忍びないが、ここは納得行くまでやってみよう、と言う事に。
カウンターバック壁面の再工事は16日に決定。
『Bar dcb』のオープンは3/21。
3/11。壁面にどうしても下地の継目が出てしまう箇所があるため、塗装屋さんに補修してもらう。
その間、LEDライティングとビデオプロジェクターの点灯テストを行った。真っ白なカウンターバックは全面がスクリーンとなるようデザインされている。
何度もパテと塗装をくり返してもらうが、LEDの光があまりにクリアなせいか、なかなか横ラインが消えてくれない。少しは良くなった気はするんだけど、うーむ、どうしたものか。。。ひとまず手を尽くして、あとは完全に乾燥が終わるまで様子を見る事に。
作業の間にバースツールが到着。カウンターの腰に合わせた総ブラックと、テーブル席に合わせた総ホワイトの2種類。何れも既製品に特注色を施しただけなんだけど、あつらえたように見事ハマってくれた。
細部の補修・調整を残してこれで工事はほぼ完了。あとはカウンター天板と吊天井を繋ぐ意匠パイプの取付を待つのみ。
3/6。前々日に床の墨入モルタル打ちが完了。この日現場に着くとカウンター上の吊天井が取付けられていた。厨房機器の設置もほぼ問題無く完了。
照明器具の取付など、電気工事の仕上げが行われる中、午後過ぎからハイマックスの工事がはじまった。
この現場は比較的狭い階段でのアプローチしかない地下フロアなので、あまり大きな部材は搬入することができない。カウンタートップは幅5000×奥行700mmのサイズ。普通に無垢板や集成材などのカウンターを持ち込もうとすると3つくらいに分割するしかない。
今回カウンタートップとテーブルトップにはハイマックスを使用。天然石と合成樹脂で出来た人工大理石。ハイマックスと言うのは商品名で、技術的にはトップトーンやコーリアンなどとほぼ同じもの。現場での接合が可能なので、一枚もののカウンタートップが実現する。上の写真右は3分割で設置したカウンタートップをくっつけているところ。
その後1時間ほどおいて、接合部を研磨して仕上げる。上の写真は研磨作業中の風景。
3/9。スチール製のテーブル脚が搬入された。
早速先日届いたハイマックスのテーブルトップをジョイント。カウンターと高さを揃えたハイテーブルとした。
大きな工事がほぼすべて完了してきれいに片付いた現場は極めてフラットでニュートラルな質感にまとまった。なんだかまるでCGのようだ。
3/3。塗装工事の終了を待って代官山の現場へ。
現場用の照明で見る限りでは塗装の仕上がりはなかなか良さそう。壁と天井は黒に近いブルーグレーとホワイトにくっきりフラットに塗り分けられ、見違えるように整った空間が現れつつある。
おかげで天井に重々しく鎮座するエアコンもぐっと控えめな印象に。少し安心はしたが、まだライティングとの調整が付いていないのが気がかりだ。
週明けには家具造作や厨房機器などの搬入が一気に行われる予定。勝負はまだこれから。
2/28。資材搬入のためずっと後回しになっていた外装の木塀の工事がついに始まっていた。
これが完成すると建物本体のファサードはほとんど外から見えなくなる。
2Fではダイニングの飾り棚が出来上がりつつあった。
格子の部分は檜の分厚い無垢板を組み上げている。重厚&贅沢。エラいことだ。工事規模の大きな物件ならではの思わぬオプション。
3F階段室には檜角材をランダムなピッチで並べた縦格子が完成。なかなかいい感じの透け具合。
2/24。ビデオプロジェクター用のSケーブルを届けるため20:00過ぎに代官山へ。とっくにこの日の作業は終わってるだろうと思ってたんだけど、現場ではイカハタ・谷川さんが一人奮闘中だった。前日に出来た床組に一部きしみがあるので補修して下さっているとの事。工期が短く予算の限られた現場ではこんな風に現場監督さんが自ら作業を行わざるを得ない場面が発生する事もある。お疲れさまです。
内装造作下地のLGS(ライトゲージスタッド/軽量鉄骨)が檻のように立ち並ぶ。
週が明けて2/27。この日でPB(プラスターボード/石膏ボード)貼がほぼ完了。夕方現場に着くと、職人さんがコーナー材を貼り付けているところだった。
壁や天井がかたち作られ、なんとなく空間ボリュームが想像できる状態に。吊天井の下地金物もすでに取付が終わっていた。移設した既存のエアコンとのスキ間が予想以上に小さく見える。どうやら照明器具の取付けに工夫が必要となりそうだ。むむー。
2/23。前日に既存のWCなどが解体され、この日から本格的に工事がスタート。
先ずは配管工事。そしてキッチンと新しく作るWCの床組工事が同時に進行。
上の写真左は換気扇の配管を行う空調屋さん。右の写真は銀色の被覆を巻かれたレンジフード用配管が既存の排気ダクトに接続された様子。こいつが想像を上回るゴツさだった。この下に冷凍冷蔵庫を置く予定だったんだけど、どう見ても高さ的に無理。止むなく一部プラン変更することに。
床組が一通り終了し、コンパネの上に墨出しを行うイカハタ・谷川さんと清原さん。
2/20。昨年10月からデザインを進めていたバー物件がようやく着工。場所は代官山の駅からすぐ。この日は各工事業者さんによる現場ミーティングと、墨出しが行われた。
それにしてもここに到るまでがずいぶんと長かったように感じる。店舗区画の建築的条件から、現実的なレベルにまで施工金額を近づけてゆく事が非常に難しく、おそらくlove the lifeのキャリアの中でも最も予算調整に手間取ったかも。まだ若干の不確定要素が残っているのでしばらくは予断を許さない状況が続きそうだが、クライアントがデザインを気に入って下さったおかげで、どうにかこうにかもう一息のところまで来た。
内装の施工はSHIPSなどの店舗を数多く手がけているイカハタさん。予算の関係であちこち分離発注することになってしまったにもかかわらず、とても親身に対応して下さっている。ありがたや。担当の清原さんと谷川さんはかなりのお洒落さん。
店名は『Bar dcb』(ディーシービー)。オープンは3/21の予定。楽しい現場になるといいな。
2/8。木造作工事もそろそろ後半戦。
建物本体の外装はルーバーも付いてほぼ完成しつつある(上の写真左)。木ごころさんの担当していた1Fの内装造作工事はすでに完了。上の写真右は塗装工事を待つ1Fゲート造作のひとつ。
B1Fの光庭から2Fテラスの手摺の高さまで立ち上がる壁は全面檜で覆われた。なかなかの壮観。
3Fのテラスにウッドデッキが敷かれた。手摺上のプランターボックスも取付け完了。さて、何を植えようか。
2/2。ガーデニングをお願いするSHIZENの島田さんと現場打合せ。
何度もしつこく載せ過ぎのようだけれども、3Fの檜羽目板貼はやはり美しい(上の写真左)。2Fの造作工事もこの一週間で随分進んだ(上の写真右)。
3Fテラスの手摺の上にプランターボックスが取付けられた(上の写真左)。2Fテラスは檜大和張りのフェンスで囲われつつある(上の写真右)。四角い窓がいい感じ。
1/24。木造作工事は引き続き急ピッチで進行中。
3Fリビングルームの天井の檜羽目板貼はほぼ終了。テラスには手摺が取付けられた。
和室の天井がほぼ完成。上の写真右は作業中の大工の鈴木さん。
屋外のデッキや階段にも手摺のスチールフレームが取付けられた(上の写真左)。屋内の階段にも少し前に手摺が取付けられて、この日は塗装の下塗り中の状態(上の写真右)。
1/17。各階の木造作工事が進行中。
3Fの壁面に檜の羽目板が貼られていた。木目が素晴らしく美しい。
3Fテラスでは手摺用の木材の塗装が行われていた(下の写真左)。工事が一番遅れていた2Fも一週間の間にずいぶん様子が変わって来た(下の写真右)。
1Fの造作工事はすでに8割方終了。
壁面に十字形の飾り棚が取付けられた。
B1Fはウッドフローリングの施工待ち。
4フロア4様の空間が徐々に姿を現しつつある。
1/10。今年最初の現場定例会。
木ごころさんが内装施工を担当している1Fに家具造作が続々と運び込まれていた(上の写真左)。壁と天井のラワン合板張りはほぼ完了(上の写真右)。
建物の外では足場を残して徐々に防音シートが剥がれ、角波ガルバリウム鋼板張りのシンプルな直方体が姿をのぞかせつつある。
Love the Lifeの作品「Yumegumi Shin-matsudo」のページを更新しました(Sep. 05, 2012)。Worksからご覧下さい。フォトグラファーは佐藤振一さん。
このプリン専門店はJR新松戸駅そばの古いビジネスホテルの地上階にあった。ホテルとは言うが低層階にはインターネットカフェやダイニングバー、中国整体、ゴルフ練習場などが入居しており、ほぼ雑居ビルの様相だ。駅前ロータリーにはけやき通りと呼ばれる整備道と新坂川、さらには流山電鉄の線路がろくに信号も無い状態で交錯し、周辺の往来はいつでも混沌としている。店舗区画はもともとビルの共用階段下だったところを賃貸できるようにしたもので、以前は銀行ATMとして使用されていた。
とにかく予算も時間も無いプロジェクトだったため、私たちは網入りガラスのサッシ、金庫のようなステンレスの扉、自動ドア、ボーダー型の行灯看板やエアコンなどをATMからそのまま引き継ぐことにした。あとは冷蔵ショーケースを置けば店はほとんど完成に近い。
私たちがデザインしたのは最低限の間仕切りと造作、そして店内に25ミリ幅で描かれた赤いラインくらいなものだ。2本のラインは互いに空間の2点で直交するよう単純に配置した。2、3人も訪れれば満員の小さな店は、夕刻になるとまるでリボンの掛かった透明なギフトボックスのような姿を雑踏に浮かび上がらせる。
写真を撮るヒマも無い怒濤の年末進行。
日付は一気に12/20へ。
後回しになっていた2Fの内装工事が本格開始。
キッチンカウンター周りの下地が組み上がりつつある状況。
JAXSONの大きな円形バスタブがやって来た。わりとこぢんまりして見えるのはバスルームが広いから。
12/8。引き続き木下地組が進行中。
1Fの下地はほぼ完成。このフロアの内装は木ごころさんが担当する。上の写真奥は電機屋さんと打ち合わせ中の飛澤さん。
構造用合板の天井面に空調用の開口が奇麗にならんだ。ここに到るまでになんだかずいぶんと設備配置の調整に苦労したなあ。やれやれ。
他のフロアも内装工事まであと一息。大工の鈴木さんの腕が本当に素晴らしいものであることは下地を見るほどに良くわかる。鉄骨よりも丈夫な木下地。
今後は鈴木さんと飛澤さんの共演が楽しみだ。
12/7。松戸のプリン屋さん『夢組』の完成写真撮影に立ち会い。14:00過ぎに現場入りして商品や小物をディスプレイ。
15:00過ぎにフォトグラファー・佐藤振一さん登場。先ずは全ての蛍光灯(ビルのダウンライトにまで!)に色調補正のためのフィルターが巻かれる。いつものことながらこれが結構大変な作業。
日没(16:30頃)ちょうどくらいから本格的に撮影開始。小さな店ながら5、6カットを撮っていただくことが出来た。
通りがかりの人が何度も店の前に立ってはしげしげと眺めてゆくため、その度撮影は中断。冷蔵ショーケース内に積まれたプリンの吸引力は抜群だ。20時前に終了&撤収。
そして翌日12/8に『夢組新松戸』オープン。宣伝らしいことはまったくしなかったにもかかわらず、売り上げはなかなか好調の様子。良かった。
お店の全景写真は後日あらためてアップします。
12/6。松戸のプリン屋さん『夢組』の工事も残りあとわずか。この日は冷蔵ショーケースの搬入・設置と一部照明器具の取付け工事が平行して行われた。
冷蔵ショーケースはダイヤ冷ケース・大熊さんに特注した幅1400の小さなもの。しかしながらこの店に置けるギリギリのサイズ。自動ドアの開口とのスキ間はほとんど無く、搬入は冷や汗もの。
上の写真は全ての工事が終わった後の店内。小泉産業・鈴木さんに超特急で作っていただいた特注のペンダントライト(フランジ部分がダウンライトっぽく埋込式になっているのがミソ)もご覧の通りなかなかいい感じにハマった。
翌日はいよいよ完成写真の撮影日。
12/5。新松戸駅前の『夢組』現場へ。冷蔵ショーケースの設置とダウンライトの取付けだけを残して、工事はこの日でほぼ終了。16:00過ぎに到着すると、ちょうどクリーニングを終えた木ごころ・本城さんと山口さんが帰り支度をしているところだった。
施工状態のチェックを済ませ、鍵を受け取って、お二人を見送った後で再度じっくりと現場を見回しつつ写真を撮った。空間を十文字に分割する赤いラインが予想以上の視覚効果を発揮している。良かった。一安心。
点灯可能な照明は蛍光灯の間接照明だけなので、実際のライティングとはだいぶ異なるが、これはこれでなかなかいい感じ。
デザインから完成までがこれだけ短期間だと、なんだか店を作った気がしない。1/1の模型を見るような感覚とでも言うべきか。
看板を点灯させると道行く人々がかなり頻繁に立ち止まる。時折「おいしいプリンだって!」と言う声も聞こえて来た。オープンまであと数日。松戸の皆さん、もうしばらくお待ち下さいね。
12/1。前々月末にスタートしたプリン屋さんの新装プロジェクト『夢組新松戸』。その後あっという間にデザインが決まり、施工の段取りも整って、工事がはじまった。こんなにスピーディーな進行はlove the lifeとしては極めて異例。極小店舗だからなせる技。
11/20に木ごころさんとクライアント・廣瀬さんとの施工契約が交わされ、11/24に着工。その後一週間足らずで下地組やボード貼りなどの大工仕事は順調に完了し、この日は塗装工事2日目。3坪のうち倉庫部分を除けば店舗面積は実質2坪を切る狭さなので、同時に作業できるのはせいぜい1、2人。夕方現場に着くと、塗装屋さんが一人で頑張って下さっていた。
すでに床は貼り終わり、電気工事も照明の取り付けを残すのみ。現場にはこの店のためにデザインして小泉産業・鈴木さんに超特急で作っていただいた特注の小さなペンダントライトがすでに届いていた(写真右)。実際に取付けた様子はまた後ほど。
11/22。二週見ないうちに現場の様相はずいぶんと変わった。
床、壁、天井の木下地組が急ピッチで進行中。
今回はフロアの大部分にイゼナの床暖房システムを導入。根太に沿って水の入った真空パックがずらりと並べられてゆく。上の3枚の写真は1Fの様子。
こちらは3F。右の写真は和室の天井の間接照明部分の下地組。
屋外ではコンクリート型枠が全て撤去され、庭を取り囲む木柵の工事のための足場が組まれつつある。右の写真は2Fテラスのウッドデッキの下地の下地。
写真左はアプローチのブリッジを見上げたところ。
B1Fでは倉庫壁の下地モルタル塗りが進行中。
11/1。遅れに遅れていた木工事がB1Fからようやくスタート。
写真手前はRC梁に設備配管用の貫通穴を空ける職人さん。カッコいいです。
大工さんは15:00の休憩中。
10/25。遅れていたサッシの取付け工事がようやくはじまっていた。
結局コストダウンのため高級なサッシは使用せず、普通のアルミサッシ(グレーメタリック)に。仕様については妥協した訳だが、各フロアの庭やデッキに面した開口部のサイズとデザインは死守することができた。実際に取付けられた様子を見ると図面から想像していた以上のダイナミックさ。これは相当に開放感のある建物に仕上がりそうだ。
外構の型枠工事は依然進行中。コンクリートを流し込むための足場が3F天井辺りの高さに仮構されていた。
上の写真左は型枠の内部を見上げたところ。建物本体の内部では設備配管工事が追い込み中。温水・冷水配管が床スラブ上に鮮やかなオレンジとブルーのラインを描く(上の写真右)。
10/22。新プロジェクトの打診をいただいた廣瀬さんにお会いするため午後過ぎに北松戸へ。駅に着いて西口のデッキを降りたところで、クルマで迎えに来て下さった廣瀬さんと初のご対面。早速お店へ。
北松戸のプリン屋さん『夢組』はスーパーのマルエツのそばの低層マンション1Fにある。小さな冷蔵ショーケースを路面にひとつ置いて、廣瀬さんと奥さんの二人だけて経営する簡素で可愛らしい店だ。白いテントの看板にはアルファベットで“YUMEGUMI”とだけ書かれている。
商品は7種類のプリンのみ。通販は行わず対面販売のみにこだわる。何から何まで実に潔い。オープンからおよそ一年の間そこそこ好調に販売を伸ばして来たが、松戸市内でのさらなる拡がりを図り2駅先の新松戸に新店を構えることが決まった。
一通りのリサーチが終わり、廣瀬さんのクルマで新松戸へ。車中で看板商品の『夢組ロイヤル』をいただく。なんという濃厚さと滑らかさ。プリンに求められるものを全て踏襲しながら、プリンの概念を逸脱する新鮮な味覚に驚いた。
新店の場所は駅前ロータリーすぐそばの川沿いにあるビジネスホテル1F。以前はATMだったという区画はその外装を残してリフォームされた状態。その面積、わずか10平米(3坪)。ビルエントランス脇を入ったところはインターネット&コミックカフェ。
近隣には流通経済大学のキャンパスとダイエーの大型店があり、高層マンションが建築ラッシュの様相を呈している。往来の年齢層は若く、そのボリュームたるや北松戸とは比べようの無いほど多い(当たり前か)。こりゃひょっとするとブレイクするな。むしろ生産が追いつくかどうかが心配だ。
現場調査後、廣瀬さんにデザイン契約についてご説明したところ、その場で初回入金日を確約していただいた。これで事実上プロジェクトはキックオフされたも同然。オープンまで一緒に頑張りましょう。
『夢組』新松戸は北松戸同様カウンターのみの対面販売店となる。面積は小さいし、プランは簡単。しかし予算条件は極めて厳しい。love the life史上最小にして最低予算の店舗。そしてオープン予定日は12/5(!)。おそらく一発勝負のデザインが求められることになるだろう。はてさて、どうなることやら。乞うご期待。
10/21。図面作成が遅れて現場打ち合わせを夕方にズラしてもらった。
2Fレベルで庭を横切るブリッジの床スラブができた。
夕暮れの現場はまるで舞台裏のようだ。
10/12。外構の型枠工事がさらに進行中。
B1Fレベルの光庭、外部階段、2Fレベルのテラスやブリッジなど立体的な“庭”を構成する要素が徐々に揃って、現場は俄然ダイナミックな様相を呈しつつある。
一方、B1Fでは基礎工事後に急遽追加が決まったトイレのための汚水タンクの設置工事が進行中。下の写真左が10/11の状況。削岩機の音が激しく響く中、タンクの横腹が現場用照明に照らされていた。下の写真右がこの日(10/12)の様子。まるで巨大な爆弾が埋まってるみたいだ。
10/4。外構のコンクリート型枠工事が進行中。
壁の両面を成形する型枠と型枠の間には鉄筋と設備用の空配管。電気配線用のチューブがところどころで海洋生物のような姿を見せる。
住戸部分では床スラブに描かれた間仕切造作の墨出し(上の写真左)の状況を確認しつつ、同時に給排水管の立ち上げ位置の最終打ち合わせ(上の写真右)。
1Fでは外壁のコンクリートブロック積が進行中(上の写真左)。先週行われていた地下室のコンクリートブロック積は一通り終了(上の写真右)。
9/27。地下室間仕切の工事が始まった。
主要な部分の下地はコンクリートブロック。
最終的にはこのワイルドな質感を生かすかたちで仕上げる予定。
9/20。定例の現場打ち合わせ。大工さんに内装工事の概要を説明。ガレージ用シャッターの仕様を決定。
上の写真は先日下地ができた屋根の様子。この上からFRP防水を施す。手摺の無い足場を上ってなんとか撮影。こ、こえ〜。3枚ほど撮ったら慌てて退散。
玄関まわりやガレージなど、建築本体とは切り離された構造となる部分の基礎工事が始まった。大工さんとコンクリートミキサー車のオペレーター(兼運転手)さんとの連携作業。
9/13。午前中から現場打ち合わせ。いまだ決まっていなかったサッシの仕様について、ここに来てようやく踏ん切りを付けられるだけの資料が揃った。半ばストップしていた現場もこれで動き出すだろう。
それにしてもなぜ国内サッシメーカーはどこも揃って住宅用アルミサッシのラインアップからアルミシルバー色を外してしまったのか。アルミはアルミらしい色である方が美しいのに。
また、ビル用サッシは住宅用サッシに比べて同等かそれ以上の強度があるはずなのに、使用建築物の高さに関わらず住宅用よりも小さなサイズまでしかメーカー保証されないのはどういうわけか。矛盾も甚だしい、と言うか杓子定規にも程があるってもんだ。言い訳は既にあちこちでさんざん聞いたが、聞けば聞くほど大手業者による消費者不在のなし崩しを痛感するばかり。
現場では屋根の下地工事が終わり、壁胴縁の溶接が進行中。建物は白と緑のシートに包まれた状態に。
1Fでは午後からの上棟式に備えたセッティングが行われていた。ベニヤと角材が養生シートにくるまれてテーブルとベンチに早変わり。
15時から上棟式。たくさんの職人さんとはじめてご挨拶をさせていただき、酒を酌み交わしつつ、宴は夜20時頃まで続いた。戦いはこれからが本番だ。
9/6。このところ毎週恒例の現場打ち合わせ。床スラブコンクリートの打設が終わり、屋根工事が進行中。地下フロアはこの間まですごい密度で林立していたサポートが撤去され、ようやく歩き回れる状態となっていた。
午後一番から始まった打ち合わせが終わる頃にはもうすっかり夕方。暗い階段を足下に注意しながら上がり、各フロアの空間ボリュームを確認。
南側の庭に向かって大きく開かれた開口部は、当初の狙い通りかなり気持ちのよいものになりそうだ。
9/3にlove the lifeがプロデュースするプロダクトレーベル『勝野屋』のホームページを全面リニューアルしました。現在の取り扱い製品は照明器具、ラグ、手拭の3種類。計12品目がラインナップされています。国内工場での生産にこだわり、ほとんどコスト度外視でクオリティを追求した製品は全て『勝野屋』のオリジナル。love the life、押本祐二さん、spiralgraphixが勢いとノリと心意気でデザインを手がけています。
簡易なシステムで恐縮ではありますが、web通販も可能です。少しくらい高くても本当にユニークなものを、と言う方にぜひご覧いただきたいです。アクセスしてね。
8/30。2F、3F床スラブ下地の施行が進行中。
ピカピカの銀色と赤い錆止塗装とのコントラストが美しい。最終的な空間ボリュームがだいぶしっかりと確認できる状態になって来た。
下の写真にちらりと写っている鉄骨工事の彼は見事なアフロヘアだった。どうやってヘルメットをかぶるんだろうか?工事には何の関係もないけど、なんだかすごく気になる。
今度会ったら直接聞いてみようかな。
8/22。地下階のRC打設が終わり、地上階の鉄骨建方工事が進行中。隣地ギリギリの場所に鉄骨部材を運搬するクレーンの美しい動作に思わず感嘆。
1階床スラブの型枠を支えるため、地下階はとりあえずこんな状態。林立するスチールパイプの間を縫うように移動しながら施工の状態を確認。
その後、また現場近くのファミレスへ移動して打ち合わせ。
8/2。着工後では最もハードな打ち合わせ。現場近くのファミレスで4時間あまり。今度は主に水仕舞の部分で色々と問題発覚。うーん、ここに来て問題発覚してる場合じゃないんだが。なんとかデザイン的に処理する方法をひねり出す。
そうこうしている間にも工事は着々と進行中。地下室の型枠と配筋が出来上がりつつある。
7/20。現場で打ち合わせ。この日の打ち合わせテーブルは脚立に乗せたスタイロフォーム板。地下室の梁貫通スリーブのレイアウトとサイズなどを最終決定。
地下の床スラブが打ち終わり、RC壁の鉄筋が立ち上がりつつある状況。
土留に囲われた空間に広がるフラットなコンクリート。スカッシュでもやりたくなる感じ。
7/9。先日地鎮祭の終わった戸建て住宅工事の現場で軽トラの荷台を囲んで打ち合わせ。
地面から4、5メートルほど下にある関東ローム層に乗っかるようなかたちでRCの基礎と地下室フロアを施工するため、現場の地面は戸建て住宅の工事とはちょっと思えないくらいに深くまで掘り起こされていた。
打ち合わせの内容は主に地下フロアの設備配管と照明のレイアウト、設備メーターの設置位置など。その後アゴラ建築設計・喜田さんと、特注サッシのサイズなどについて少し相談。工事費用の削減にあたって木製サッシをアルミに変更した段階で、仕様上の無理が生じたようだ。うーむ、こりゃデザインの根本に関わって来るなあ。。。
とまあそんなわけで、工事が始まってからもいろいろと悩ましい事態は発生するものだ。緊張の日々が来年初頭まで続く。
6/7朝。二年越しのプロジェクトがようやく地鎮祭を迎えた。設計者代表として勝野も鎌を振らせていただくことに。下の写真は準備中の神主さん。
神事のセッティングには研ぎすまされた美しさを感じる。いい家が建ちますように。そしてクライアントの家族が楽しい暮らしを送られますように。
6/1。田園調布アトリエの解体工事。元浅草の工事と合わせて、こちらも木ごころさんのご協力をいただいた。渡辺さんと柳沢さんの手で内装がどんどん剥がされ、残材が2tトラックの荷台に積み上げられてゆく。意外なくらいに大量のOSBの切れ端が発生し、荷台は午後には目一杯になった。
6/4。15時に元浅草アトリエへキッチンカウンターとワークテーブルが到着。ベランダにはエアコン室外機の背中を隠すための木製カバーが取り付けられた。木ごころさんの工事作業はこの日限りなので、本庄さんと柳沢さんにバスルームのミラーやタオルハンガーの取り付けなど、ついでにやってもらえそうなことをいろいろとお願いする。途中引っ越し荷物の運び込みなどを挟みつつ、21時くらいまでかかってやっと全ての作業が終了。お疲れさまでした。
元浅草での生活が始まってから5日目にしてようやく仕事のできそうな環境が整ってきた。
6/6。市川平さんとwoodwork・青山さんのご協力をいただいて、この日ようやく田園調布からの荷物の運び込みが終了。部屋の中は堆く積み上げられた段ボールで満杯。全く見通しの利かない状態に。。。
6/7。がらんどうになった田園調布アトリエを軽く掃除。管理会社さんに鍵を返して、田園調布を後にした。さよなら『under construction』。楽しい5年間をありがとう。
5/31。いよいよ仕上工事。朝からパテ&塗装の作業が急ピッチで進行。その間にインターネット用光ファイバーが開通。さらに冷蔵庫やドラム式洗濯乾燥機の設置も。家電とベッドの配送・設置はMovingがやってくれたんだけど、現場の状況(下の写真)にビビった様子でベッドを組み立てずに帰ってしまった。梱包材は引き取ってくれたのでまあ組み立て料金を返せとまでは言わないが、なんだか根性ねーな。
そして、塗装とブラインドの取付などなどの工事作業は夕方には滞り無く終了し、養生シート、フィルムの撤去が始まった。これにて内装工事はほぼ完了。木ごころ・服巻さん、柳沢さん、連日お疲れさまでした。
既存の条件を読み取り、最低限の造作を配置して空間の整理を行うことで、室内には収納力だけでなく、かえって広がりが与えられるものだが、その点今回は床を全面明るい桧材に張り替えたことが想像以上の効果を生んだように思う。あとは家具の設置なんだけど、予算が足りなくてとりあえずワークテーブルとキッチンカウンターのみを発注することにした。はてさて、完成と呼べる日が来るのはいつのことやら。。。
そんなわけで、この夜から元浅草での生活が始まった。パソコンはひとまずちゃぶ台の上に設置(笑)。電話もFAXも繋がって、なんとかかんとか仕事ができそうな状況に。しかしまだ荷物の1/3は田園調布に置いたまま。6/4、5には荷物の運び込み第二弾が行われる予定。
メールをいただいた皆様にはお返事が遅れてしまい大変申し訳ありません。近日中にお返事させていただきますので、今しばらくの間ご容赦いただけましたら幸いです。
5/28。恐れ多くも田園調布でご近所の市川平さんにご協力をいただきつつ、プチ改装工事が追い込み中の元浅草へ、荷物の運び込み第一弾を敢行。
床工事は終了し、現在は室内洗濯機置場などの造作工事が佳境を迎えている。
吊り戸棚のラインを揃えたり小壁を作ったりと、空間的には本当に最低限の整理をしただけなんだけど、一気にまとまった感じになってきた。クライアントの家が奇麗になるのは見慣れているが、今回ここに住むのは自分たちなわけで、なんだかいつもと違った感慨があるなあ。
室内洗濯機置場ほぼ完成(上の写真左)。いい感じの玄関照明取付完了(上の写真右)。
本日(5/29)は荷物の運び込み第二弾。数日間、電話やメールでのレスポンスが悪くなると思いますので、お急ぎの方は携帯電話までご連絡ください。
5/25。朝9時半頃現場に着くと、東京電力さんと東京ガスさんが待っていた。電気容量アップに伴う分電盤メインスイッチの交換とガスの開栓に立ち会い。
そして、前日の床解体+電気配線に続いて、この日から新たな床張り工事に突入。木ごころ・服巻さんが手際良くウッドフローリングを施行中。すでにDK部分の1/3以上の面積が仕上がっていた。
加藤木材産業さんの無垢フローリング。節有り木曽桧蜜蝋ワックス塗り。厚さは15ミリ。素地のように見えるけど、この状態で仕上げ済み。柔らかく、暖かい表面の質感が心地よい。現場にたちこめる桧の香りを満喫しつつ、室内洗濯機置場の新設に伴う水道工事の打ち合わせ。
うまく床下で水道配管が分岐できれば良かったんだけど、残念ながら既存の状態では無理があるようだ。止むなく露出配管で対応することに。下の写真左は家具製作図作成用の採寸を行う飛澤さんと、床張り中の服巻さん。写真右は既存のキッチンカウンターを一旦取り外し中の飛澤さんと水道屋さん。お疲れさまです。
引っ越し準備進行中。
5/24。love the life元浅草アトリエの引っ越し前プチ改装工事が始まった。新しく借りたアトリエ兼住まいは合板フローリングの部屋が2つと畳敷の部屋が1つの2DK。板間の2室を一体的に使おうと思ったんだけど、既存の合板フローリングの色が違ったり少し段差があったりしたため、大家さんにお願いして床を張り替えることに。
この日の作業は既存の床の解体。木ごころ・飛澤さんと照明・コンセント回路などの打ち合わせをしている間に服巻さんと柳さんがみるみるうちに六畳間の合板フローリングと下地コンパネを剥がしてゆく。
同日、コンセントの増設などにともなう電気配線工事が行われた。配線のうち大半は床下に這わせることが出来るので、天井や壁にはほとんど手を加える必要は無い。今時珍しい塗装仕上げの壁、露出した木部材など、既存の内装のいい部分を生かしながら、築35年のマンションの一室に新しい空気を呼び込んでみたい。
4/4。あの中村欣嗣さんのご案内で秋葉原・ダイナミックオーディオ5555に初入店、というなんとも贅沢な体験をさせていただいた。おそらく個人的には一生縁のないであろうハイエンドオーディオの世界。
リスニングルームの施工状況をチェックしつつ、音響調整用の建築部材やオーディオラックなどについての解説を拝聴。こういうのは下手に突き詰めるとデザインとは無縁の世界に突入してしまうことを改めて痛感した。さて、どうつき合うべきか。
ダイナミックオーディオ5555/東京都千代田区外神田3-1-18
03-3253-5555/11:00-20:00/無休
12/20。クライアント宅で『庭と発電機と私(仮)』の打ち合わせ。この日の中心的話題は1Fの庭に面したミーティングルーム。暮らしと仕事とが明確な区切り無く連続するクライアントが様々な人々と会って過ごすための、小さなホテルのロビーのような開放的空間。
住宅物件では敢えて視覚的なアイデンティティとなるようなものを設けず空間構成そのもので勝負することの多いlove the lifeとしてはちょっと珍しい濃ゆめのデザイン。その他には電柱移設や測量、地盤調査の中間報告など。
12/7。現在進行中の戸建て住宅物件『庭と発電機と私』の途中経過を説明にクライアント宅へ。平面プランの微調整、電柱移設に関する東京電力との打ち合わせ、地盤調査と測量の実施日程、などなどについて報告と確認。この日のミーティングで最も重要な課題だったのは庭。スケッチと模型、植栽のイメージ写真などを並べて概要を説明。これまで住宅部分のプランニングについては何度となく打ち合わせして来たけど、庭について具体的なイメージを見せるのは初めて。実はこのプロジェクトのキモは庭だったりする。
箱が積み重なったような外観はもうちょいかわいらしくデザインを調整する予定。ガーデニングがやけにショボいのはとりあえず、ってことでどうぞご勘弁を(求む教育的指導)。。。
1Fと2Fの両方にメインエントランスがあったり、ブリッジあり、ルーフテラスもあり、と、けっこう盛りだくさんな構成のわりにスッキリした庭になりそうで良かった。いや、むしろスッキリし過ぎだろうか?そんなこんなで、細かい部分を中心にまだまだ悩み中。もう一息のところまでは来てる気がするんだが。
とは言え、そろそろ悩んでる場合じゃないので年末年始は休み無しで頑張る予定。
以前からの懸案だった自家発電設備については、いろんなシステムを研究した結果どうにもこうにも減価償却できそうにない(発電の性能に比べてイニシャルコストが高過ぎる)ため残念ながら中止の方向に。発電機が無くなるってことはプロジェクト名も変更しなくては。
11/12。進行中の戸建て住宅物件『庭と発電機と私』の作業中間報告にクライアント宅へ。図面と外観スケッチとスタディ模型を持参。このプロジェクトでは3層の住居ボックスと前面道路との狭間に駐車場、ルーフテラス、屋外階段などの機能を持ったボックスを積み重ねることによって立体的な庭を構成し、地域環境との関係性をかたちづくる、と言うプログラムに基づいて最終的なデザインを進めてゆくことにした。それぞれ微妙に仕上げの異なるボックスが一見ランダムにポコポコと積み上げられた状態は、けっこう可愛らしいものになるんじゃないかと思う。これからの作業が楽しみだ。
7/28。15時に青山の『森の壁』現場へ。
ほぼ完成したインテリアをクライアントにチェックしていただく。毎度けっこう緊張する場面(住宅物件の場合は特にそうだ)なんだけど、終止和やかな雰囲気のまま、何事も無く終了。気に入っていただけたみたいで心底ホッとした。木ごころさんに30日のお引っ越しまでの最終作業工程を確認して退散。
それから『シボネ』青山で『森の壁』用のソファ・ベッドの仕様と納期を確認。さらに『Libro』で2冊購入『東京生活』(吉祥寺・西荻窪特集)と『商店建築』(8月号から佐藤振一さんの新連載『ShopScape』が始まっている。これは必見。商業行為の原点を見つめる目からウロコの見開き写真)。
そうこうしてるうちに夜になって、田園都市線でたまプラーザへ。改札を出たところの『セガフレード』で古井ちゃん&諏訪さん(スペイン&イタリア帰り)と合流。『simpatica』で土産話の会。味もサービスも気に入ってもらえたみたいで、それは何より嬉しいことなんだけど、デザインについては「いいですねえ」と一言。ホントに良かったんだろうか?と不安になった。いっそ厳しいことを言ってほしかった、、、なんて思ったりしつつ終電で帰宅。
7/23。午後遅くに青山の『森の壁』現場へ。塗装工事が完了して、いよいよ全工程が仕上段階に。照明器具やエアコンなどの取付と、家具の最終組み立て、及びその辺の作業に伴う内装各部の細かな加工。
日光の差し込む中でラワン板の仕上がりを見ると、実にいい発色具合。濃いんだけど明るさを感じる微妙なブラウン。何度も何度もサンプルを作っていただいた甲斐があった。前に見に来た時は、オフホワイトのAEP(アクリルエマルジョンペイント)はまだ下地もほとんど出来ていない状態だったんだけど、さすがアメカワさん、言うこと無しのフラットな仕上がり。
ダークブラウンの床が養生シートの下に隠れているので、まだ空間全体のカラーバランスを確認することはできない。全貌が明らかになるのが楽しみ。
内装造作自体や家具などの仕上がりも今回はすこぶる付きに良好。ここまで来ると、あとはライティングがイメージ通りになるかどうかが最も気になるポイントだ。
間接照明の納まりを確認し、木ごころさんに細かな変更を二つ三つお願いして退散。
Love the Lifeの作品「Simpatica」のページを更新しました(Sep. 07, 2012)。Worksからご覧下さい。フォトグラファーは佐藤振一さん。
渋谷から急行で20分ほどの距離にあるたまプラーザ駅の周辺は、駅名から想像されるほど晴れがましい場所ではない。東急田園都市線の開通以来40年近くを経た今では、ここを故郷とする人も多いごく普通の住宅街だ。
「シンパティカ」は駅近くの小さな商店街に面した中層マンションの1Fにある。通り沿いに古くからあった商店の多くもまた一様にマンションへと建て替わり、その地上階テナントとしてリニューアルされつつある。ここはニュータウンに到来した新たな変化の最前線だ。テレビ番組のセットのような白々しい風景に支配されたこの街の日常に、私たちはリアルな生活の場を提供したいと考えた。
このスペインバルのインテリアは、暗い紫色に塗装されたナラ材の水平面(床と天井)と、マットなシルバーに吹き付け塗装された垂直面(壁)で構成されている。水平面はさらに1m角のグリッドで等分され、36のエリアそれぞれにオリジナルのペンダントライトがひとつずつ配置された。天井から斜め下方に突き出した灯体のデザインは、ブラックオリーブのピンチョスから素直に連想されたものだ。このイメージは壁やパーティション、椅子の背やサインなど、主要な造作に繰り返し現れる。デリケースを備えたカウンターは、人通りを自然に受け止めるよう、商店街に対して直角に据えた。これを手がかりにして、客席やキッチンの配置も自ずと決定された。
明快なモチーフと機能性を備え、都市住民のアクティビティを大らかに受容する店として、「シンパティカ」は連日賑わいを見せている。
7/13。この日は九州旅行から帰った翌日。昼過ぎまでぐったり。夕方になってから青山に『森の壁』の現場状況を確認しに行った。塗装工事初日。
家具の取付はほぼ完了していて、大きくかたちに関わる部分はすべて施工済み。現場ではいつも木ごころさん経由で塗装工事をお願いしているアメカワさんが、ラワン板部分にOS(オイルステイン)を施しているところだった。AEP(アクリルエマルジョンペイント)仕上となる部分の下地作りも同時進行中。アメカワさんと細かな塗り分けについての打ち合せ。
今回の現場ではリビングルームの壁のうち一面がラワン板の短冊張りで埋め尽くされる。で、そこにOSを施してみたところ、一部にライン状の塗装ムラがどうしても生じてしまう箇所があった。どうやら搬入の時か貼り付け工事の時に、ラワン板の表面を少々傷めてしまっていたらしい。こういうのって、色を付けてみるまで気がつかないことが多いんだよね。急いで木ごころさんに連絡。早速翌日にラワン板を新品に貼り直していただくことになった。
さらにオフィスに戻ってから家具の配線穴の仕様、キッチンの取手品番などを木ごころさんにメール。さて、こちらもいよいよ大詰めになって来た。
6/30。午後過ぎに青山のリスマチックへ。『simpatica』のトイレに飾るオシモトさんのグラフィック作品の仕上がりを確認。ついでに予約席表示カードのパウチ加工を発注。出来上がるまでの間『森の壁』工事現場の様子を確認しに行った。
現場では木ごころ・渡辺さんが一人で奮闘中。間仕切り家具が8割くらい完成して、空間のボリュームがますますリアルに実感できるようになって来た。リビングルームの梁を覆うかたちで作られた下がり天井がかなりの大迫力。上の写真右はキッチンの壁上部に収納家具を取り付けているところ。素晴らしい手際の良さ。つくづく、大工さんはアーティストだなあ。
そしてリスマチックに戻って、オシモトさん作品と予約席表示カードを受け取り、たまプラーザへ向かう。この日は『simpatica』の正式オープン日。
17時過ぎに到着すると、中村さんと岡田さんと勅使川原さんが来て下さっていた。軽くご挨拶して、この日はそれぞれリラックスしながら食事を楽しむことに。おっと、その前にオシモトさん作品をトイレの壁に取り付けなくちゃ。最初は勅使川原さんにお願いしようかと思ったんだけど、作業をはじめたらものの20分ほどで取付完了。エンビジョンさんに作っていただいたステンレス製のopen&closedプレートをエントランスに下げて、さあ、食うぞ。
『simpatica』の料理はご覧のような感じのフレッシュな食材とオリーブオイルとビネガーをふんだんに使ったタパス(スペイン風小皿料理)がメイン。一皿のボリュームは少ないけど、値段は200円以下から。シンプルかつ可愛い盛りつけ。そして何度も言うがお世辞抜きに旨い。酒飲みにはかなりたまらない味付け。さらに素晴らしいことに立呑カウンターだと料金は10%オフ(太っ腹)。
上の写真左上はスペインオムレツ。他は忘失(スミマセン)。下の写真左は大好評のハモンセラーノ(スペイン風生ハム)を盛りつけ中の池田さん。
そんなわけで、ようやく皆さんに足を運んでいただけるようになりました『simpatica』。ちょい呑みにもしっかり食事にも使えるところなので、横浜周辺&田園都市線沿線にお住まいの方はぜひ気軽に使って下さい。
simpatica(シンパティカ)/横浜市青葉区美しが丘2-17-12/045-903-5010
17:00-1:00(土日は昼間もやる予定)/月休
全ての工事関係者の皆さんに心から感謝します。おかげさまでいいものが出来ました。オーナー・池田さんご夫妻がきっとながーくこの店を続けて下さると思うので、love the lifeともどもこれからも面倒見て下さいね。
6/27と28は『simpatica』のプレオープンイベント、と言うか、関係者を招いて実際のオペレーションを練習してみる日。私たちは28日に参加。
本当は早めに着いて工事関係者で反省会を、と言うことになってたんだけど、なんと、すっかり寝過ごしてしまった。がーん。『simpatica』に着いたのは予定時刻の1時間過ぎ。お待たせしてしまった丹青TDCの皆さんにご挨拶して、反省会はまた後日、と言うことにしていただく。恐縮至極です。。。
それから20時まで喫茶店と書店で時間調整。『東京五つ星の手みやげ』(岸朝子監修)と『東京人』7月号(特集:東京笑いの系譜/エノケンからSMAPまで)を購入。で、たまプラーザの駅でオシモトさんとsamohungの皆さんを出迎えて『simpatica』に戻る。
店内の巨大黒板にはワインリストがずらり。バーカウンターに埋め込まれたデリケースにはカラフルな料理が並べられている。そして客席に人が入った状態を見て、初めてやっと完成したな、と思う。
練習のお役に立たなくてはならないので、オシモトさんご一行に内外装デザインの解説をしつつ、ドリンクやフードをガンガン注文(今日は無料!)。ハモンセラーノ、エンパナディージャ、モロッコ風豚肉の串焼き、いか墨の薄焼きパン、などなどなど。手間のかかった品をスクエアなプレートにシンプルに盛りつけた料理はどれもお世辞抜きに旨い。ワインの進む味付け。
さらにいわしのマリネ、オリーブの盛り合わせ、ピクルス、チーズなどのおつまみ系フードを追加注文して0時近くまで談笑。
皆さんに気に入ってもらえた様子で池田さんも私たちも一安心。あとは30日のオープンを待つばかり。
6/26。コンランショップで『simpatica』用に取り寄せをお願いしていたカードホルダーを受け取ってからたまプラーザへ。20時頃に『simpatica』に着くと、勅使川原さんが私たちを待って下さっていた。
この日の作業でほぼ全ての残工事が片付いた。一番気になっていた天井の目地の仕上がりも無事改善。ここに来てようやく空間全体が一気にバシっとまとまった気がした。客用チェアのうちの一台を職人さんが現場作業に使ってしまった様子で、座面がコーキングと塗料で汚れてしまっていたのでレザーの張り替えをお願いして、これにて一先ず内外装工事完了。22時過ぎに勅使川原さんと握手で別れて、私たちは備品の片付けと拭き掃除の仕上。
この日、ディスプレイ台に申明銀さんのプードル(マルチプル)を置かせていただいた。これを置くことは最後の最後に思いついたんだけど、この店のアクセントとして上手くハマってくれそうだ。
6/25。朝方まで仕事してたおかげで日中は丸つぶれ。夕方になって、買い込んだ備品を届けに『simpatica』へ。店内はようやくかなり片付いて、厨房では27、28日のプレオープンに向けて仕込み作業が進行中。
上の写真右の女性が『simpatica』のシェフ・三好さん。真ん中のカメラ目線の彼は誰だっけか?
23日に確認できなかった看板の工事はほぼ問題無く完了していた。ロゴデザインはもちろんオシモトユウジさん。今回はトイレの表示までデザインしていただきました。
最終的な残工事項目を洗い出したりBGMの配線をしたりしているうちにあっと言う間に時間は過ぎて、21時くらいにオーナー・池田さんのお知り合いが何人かやって来た。そして池田さんが皆さんにドリンクを出してバーのシミュレーション。ちょうど居合わせた私たちも何杯かご馳走になった。ラ・ヒターナ(シェリー)は初めて飲んだんだけど、実にきりっとしていて旨い。おつまみにいただいたチーズやチョリソ(これがイベリコ種の豚肉を使ったもので食感&風味最高)もバッチリ。スタンディングカウンターの居心地の良さも実感できて満足(それはデザインよりもカウンターの中に立つ池田さんの人柄に寄る部分が大きい)。結局終電近くまで和んでしまった。
『simpatica』、ホントにいい店になりそうだ。何分、口コミに頼らざるを得ない住宅街・たまプラーザという場所柄立ち上がりには時間がかかるだろうけど、流行って欲しいと心から思う。
6/24。『simpatica』のトイレに飾るグラフィックアート(オシモトユウジさん作)を出力してもらうために午後過ぎから青山へ。キャンバス地っぽいクロスにプリントしたかったので、その辺の作例がホームページに載っていたVANFUに行ってみた。しかし最初に応対してくれた人があまりにもぶっきらぼうかつ無知だったのでいきなり不安になる。幸い2番目に応対してくれた人はとてもしっかりしていて、その手のプリントはペインティング作品の複製とかに使うものなんです、と教えてくれた。あらま、そうでしたか。イメージに近いプリントの方法を教えてもらったんだけど、青山店ではサンプルを見ることが出来ないとのことだったので保留。続いてリスマチックに行ってみた。ここはいつもながら素晴らしい応対。仕上がりまで一人の担当の方が面倒見てくれそうだったので安心。しかもグラフィックデータのクロスへのプリントから特注サイズの木枠へ張り込みまでやってくれるとのことだったので即発注。30日の正式オープン日にはなんとか間に合うかも。良かった。
そして渋谷の東急ハンズでまたまた『simpatica』関連備品の買い出し。コンパクトかつデザイン的にもなんとか許せるほうき&ちりとりセットなどをゲット。気づけば例によってこの日も朝から何も食べていなかったので急激にパワーダウン。その辺で何か食べようよ、と言うことで、東急本店近くの有名スペイン料理店『サン・イシドロ』に視察がてら行ってみた。こぢんまりとした2フロアの店内はお客さんで一杯。ラッキーなことにちょうどいいタイミングで2人組のお客さんが出るところ。店主・おおつきちひろ氏と思しき方に2F席へ案内していただいた。で、一気に食いまくり。どれも旨い。特に生ハムとチーズの盛り合わせの中にあったかえでの葉っぱに包まれたブルーチーズ、土鍋で炒めたマッシュルームは最高。ご飯に適度な芯の残ったいか墨のパエリヤは今まで食べたパエリヤの中でも一番美味しかったかも。常温で供されるスペイン家庭料理の王者・オムレツも印象的。2Fからだと追加注文がし辛いことを除けば言うこと無しのいいお店だった。今度はガスパチョと赤ピーマンの詰めものが食べてみたいなあ。
サン・イシドロ/東京都渋谷区宇田川町34-6/03-3780-3146
18:00-22:20LO(日祝17:00-21:20LO)/不定休
で、帰って仕事。
6/23。午後過ぎに『simpatica』現場へ。やっとインテリアの工事が片付いたと思ったら、今度は厨房&運営資材がわんさかやって来て、現場はまたしても修羅場状態になっていた。
下の写真左はハモン・セラーノ(スペイン産生ハム)。まだラップされてるけど、すでに存在感抜群。ワインのおつまみに最高なんだこれが。
そしてこの日は看板の取付工事。店に看板が付くとなんだかホッとする。ホントは下の写真右以外にもかわいい看板が2種類あるんだけど、時間がなくて工事が終わるまで立ち会うことが出来なかった。後日一揃いでお見せします。
オフィスに戻ってしばらくした頃に野井成正さんが到着。love the lifeで製作させていただいた野井さんのオフィシャルホームページ(トップページのFlashデザインはrin君)についての打ち合せ、のはずだったんだけど、ほとんど近況報告、と言う感じで細かな話しは一切無し。出来については果たして気に入って下さっているのだろうか(恐くて聞けない)?
それから自由が丘にタクシーで移動して『勇山亭』へ。ソイ刺最高。南海ホークスと近鉄バッファローズのこととか、岡山伸也氏(野井さんよりさらに上の世代の大阪のインテリアデザインマイスター)のこととか、大学や専門学校での講義のこととか、落語のこととか、円山応挙の襖絵をバイクをかっとばして見に行かれたこととか、デザインに関係のあることも無いことも含めて4時間くらい談笑。こういう何気ない会話の中にこそ、野井さんのデザインに対する厳しさをはっきり感じ取ることができる。
枝雀師匠の生前のエピソードなどをからめながら、野井さんは「落語と言うのは生き様ですな」とおっしゃった。私たちが先日談志師匠の落語を見て書いた感想と、ほとんど言葉だったのが嬉しかった。とは言え、感じ方の深みは全く違うんだろうなあ。
作品を生き様そのものだと言えるインテリアデザイナーはおそらく一握りに満たないだろう。野井さんは間違いなくその一人だ。そのことを伝えたかったけど、あまりにおこがましい気がして止めた。
ホームページの方は、シンプルで見やすい、と、評判は概ね上々とのこと。良かった。。。
6/20。丹青TDC社からオーナーの池田さんへの『simpatica』現場の引き渡し。
まだ看板の取付をはじめ未完成なところはけっこう残ってるんだけど、ひとまず全体をクリーニングしてキッチンや家具を使える状況に。しばらくの間は残工事と店の運営シミュレーションとが同時進行する。池田さんと丹青TDC営業の中村さんはいろいろと書類のやりとり。私たちは勅使川原さんと残工事項目のチェック。
そんなこんなで夕方近くまで現場に居て、それから渋谷へ移動。セルリアンタワーの『in Touch』で牧かほりさんの展覧会を見た後でハンズに移動。買い出しの続きを敢行。閉店間際までねばって疲れ果てたので『ヴォルール・ドゥ・フルール』でお茶。フルール・グラッセと水出しの冷たいミルクティー。旨い。で、少し元気が出たので新宿ルミネの無印良品(ここは22時までやっている)へ。シンプルなパッケージのトイレ用消臭剤をついに発見。これなら『simpatica』のトイレに置いといてもなんとかOKだろう。
連日の疲労がピークに達してもうぐったりな状態で帰宅。それでもがんばって夕食を作ろうと思って近所のコンビニで豆腐を買ったら、賞味期限ギリギリのお弁当やおにぎりをどっさりいただいた。感謝しつつ食べて寝ようと思ったらアメリカGPの放送時間。佐藤琢磨選手、本当におめでとう。しかしBARホンダのピット戦略は相変わらず理解に苦しむなあ。
21日は台風。雨と風の音がとても気持ち良くて、一日中寝てしまいました。ごめんなさい。
6/19。『simpatica』現場にチェアとテーブルとベンチが到着。
特注のベンチは黒いビニールレザー張。壁と床に固定。固めのクッションと直立気味の背。どちらもイメージ通りで満足。テーブルは天板をナラ集成材で特注。脚は既製品。チェアは既製品をベースにレザーをベンチとお揃いにしてフレームはオリーブブラックの指定色にペイントしてもらった。さらに背にスチール製のピンをグサっと。これで雰囲気は完全に特別あつらえになった。ピンを工場じゃなくて現場で取付けてるのを見てちょっとハラハラしたけど、仕上がりは完璧。高野さんお疲れさまでした。
大きな作業はかなり片付いて、養生が剥がれ、インテリアはかなり完成形に近づいた。黒いピンのモチーフがあちこちにしつこく繰り返されている。どっちを向いてもまるまるのグサグサ。オリジナリティは抜群だ。見たこと無いよこんなの。思わずにんまり。
しかし昼間に見ると天井の目地の仕上がりのラフさと仮釘の跡がかなり目立つ。うーん、これはなんとかならないか。対処の方法について勅使川原さんと相談。
そしてこの日は午後から池田さんご夫妻と備品買い出し。たくさんの荷物を車のトランクに詰め込みつつ都内を移動。22時前に解散。
『simpatica』の工事追い込みでバッタバタの毎日。
下の写真は6/17の現場の状況。
壁のシルバー塗装は結局ほとんどやり直すことになって、そこかしこに養生シートが貼られている。図面を何度も変更してるうちにレジがバーカウンターの中に微妙に収まり切らなくなっていたことが発覚して、ちょいと現場加工が必要になった。照明の取付はほぼ完了している。
トイレもほぼ完成していたけど、荷物を掛けるためのフックの位置を修正してもらったり、エアコン吹き出し口が無かったので設置をお願いしたり、紙巻器がイメージと違ったので交換してもらうことにしたり(余った紙巻器はウチで買い取り)。
そしてこの日の大仕事は厨房機器の設置。キッチン内部のコンセントの位置調整がうまく行っていなかったり、電子レンジ台のサイズが違っていたり、と言った些細な問題はあったけど概ね問題無く完了。
そして6/18はシルバーの壁の再塗装。夕方に確認しに行くと、完璧とは行かないまでも十分許容できるくらいの仕上がりにはなった。
この日は昼間に保健所のチェックがあった。横浜市の保健所には『fit』の時にかなりの迷惑を被ったことがある。今回もすでに池田さんが事前に保健所へ図面を見せに行った時に「キッチンの天井を明るい色にしろ」とか、「バーカウンターの天板が黒いのは良くない」とか、衛生面にはほとんど無関係としか思えないようなことを言われ、結局バーカウンターはオリーブブラックのままにしたけどキッチンの天井は渋々白に変更している。
で、この日は「バーカウンターの上の間接照明にホコリが溜まりそうだからなんとかしろ」とのこと。その上「バーカウンターの上の天井も白くしろ」なんてことも言ってたらしい。その辺にあるスケルトン天井の飲食店なんかと比べると断然清潔な作りの店だと思うんですが。常日頃こうした理にかなわない上に一貫性を欠く思いつきの対応ばっかしてるからあなた方は世間にナメられるのだ、と言ってあげたいが、そんなことをしてもヒステリーを誘発するだけだ。その場に居なくて正解だった(居たらキレてそう)。とりあえず営業許可はもらったので一安心。
皆さんも横浜市の保健所には気をつけましょう。
6/15。14時半に青山の『森の壁』現場へ。まだまだ間仕切り家具製作の真っ最中。
持って来たカラーサンプルを拡げてクライアントと少し打ち合わせ。1時間弱でサクっと終了。
そしてたまプラーザに移動。『simpatica』の現場へ。
天井にナラの突板がグリッド状に貼られて、特注のペンダントライトの取付が一部完了。客席部分の壁のコートフックとカウンターバックの壁の装飾金物も取付が終わっていた。ようやく空間が引き締まって来た、と言うか、密度が高まって来た感じ。濃ゆい店になりそうだ。クライアントへの引き渡しまで残すところあと5日。
6/11。午前中に『森の壁』のカラーサンプルが到着。ブラウンのラワン染色が3種類、オフホワイトのPB(プラスターボード)+AEP(アクリルエマルジョンペイント)、それからオフホワイトのシナOP(油性ペイント)。さらに『simpatica』の食器の追加サンプルも到着。早く届いて良かった。すぐに池田さんに見せなくちゃ。
と言うわけで、15時前にたまプラーザの『simpatica』工事現場へ。壁面のシルバー塗装がほぼ塗り終わっている。
光沢感と落ち着きが同居した実にいい感じの仕上がりに満足。しかし若干下地の状態の悪いところがあったので、一部塗り直しをお願いした。壁面に対して間接照明を多用する予定なだけに、現時点で肉眼で確認できる表面の荒れがあるようではデザイン上致命傷になりかねない。ちゃんと直るかどうか心配だ。食器サンプルは勅使川原さんに預けておくことに。
それからすぐに青山の『森の壁』現場へ。
今回使用した断熱+防音材は木ごころ・飛澤さんから教えてもらったセルロースファイバー(上の写真右上)。高性能かつ新聞紙のリサイクルの優れもの。さらにこの上に防音フローリングを貼った。防音フローリングと言うのはろくな見た目のものが無いので使いたくなかったんだけど、階下の人が少々神経質なだけに重装備にせざるを得なかった。壁や天井の下地組はほぼ終了。壁や家具の中に隠蔽するエアコン配管もすでに完了。
現場では木ごころ・渡辺さんが間仕切家具を製作中。この物件は間仕切りと言う間仕切りがほとんど作り付け家具。今後は細かな作業が延々と続く。木ごころさん、よろしくお願いします。
そしてタクシーで渋谷の東急ハンズへ。『simpatica』関係備品の買い出し。自宅用のタッパーも購入しようと思ったんだけど、ピンと来るのが見つからなくて渋谷東急プラザの『台所屋雑貨店』へ。工房アイザワのステンレス製目盛付角容器(ポリエチレン蓋)をいくつか購入。下の写真はその店内で撮ったもの。おたま以外にもやかんとかざるとかがいっぱい天井にぶら下がってて楽しい。
めずらしく時間が早かったので、ついでに東横のれん街の『DEAN&DELUCA』に寄ってみる。日本のお店は山本宇一さんのプロデュースとあってさすがに良く出来ている。購買意欲そそりまくり。同時に思ったのは、カフェブーム以降の東京的デリ&カフェ系空間デザインはここに極まったな、と言うこと。これ以上の完成度やバリエーションを求めても、もはや意味は無いだろう。
多摩川に戻ってオフィスでひと休みしてから『田園』で焼肉。今日の豚トロは旨かった。帰って少し仕事して寝る。
6/9。オフィスで作業の一日。19時過ぎに勅使川原さんが『simpatica』用の黒板塗装のサンプルを持って来てくれた。
『simpatica』ではシルバーとともに黒に近い濃いパープル(オリーブブラックと呼んでいる)をインテリアの塗装面にたくさん使う。で、店内にはでっかい黒板があるんだけど、できればそこも普通の黒い塗装じゃなくてオリーブブラックにして違和感の無いものにしたかった。ところが、どうも黒板用の塗料というのはけっこう特殊なものらしい。塗料メーカーでは黒と緑しか作っていなくて(海外には赤、青、黄もある)、調色は一切やってもらえない。なので、塗装屋さんに無理を言って、既成の黒板塗料に別の塗料を混ぜて調色したものをいくつか作ってもらって実験。チョークでサンプルに文字を書いたり消したり。幸い予想以上にイメージに近い色が出て、しかも黒板としての使い勝手も良好な手法が見つかった。おおー、素晴らしい!作ってもらった甲斐があったよー。
そんなこんなで1時間ほど打ち合せ。そのあとはまたひたすらデスクワーク。疲れたのでそろそろ寝ます。
6/6,7はオフィスで図面作業。6/8は17時過ぎにたまプラーザの『simpatica』現場へ。
エントランスに三枚引のアルミサッシが取り付けられて、床の下地がほぼ完成。アルミサッシの引手、トイレのミラー、収納家具周りのディテールなどについて勅使川原さんと打ち合せ。
それから田園調布に戻って、ちょこっと整体に寄ってから帰宅。20時過ぎに『simpatica』クライアントの池田さんが車に食器サンプルを積んで到着。テーブルの上に全種類を並べてイメージを確認。ラインナップを最終決定。どれも既製品とは言え、なかなか面白い感じになりそうだ。
打ち合せ後、D&DEPARTMENTでお茶。ショップの方にホウトク60シリーズが並んでいたのでチェアの座り心地などをチェック。やすらぎ2型の方がやすらぎ5型よりも断然座り心地がいいっす。GマークのTシャツが面白かったのでネタとして購入。
で、0時過ぎに解散。帰って『simpatica』のグラフィックデザインを依頼中のオシモトさんへ、リーフレットの詳細についてご相談のメール。などなど少し仕事してから寝る。なんだか疲れが溜まって来た。
6/5。商業調査のヒトに起こされて、そのまま午前中から仕事。15時過ぎに青山の『森の壁』現場へ。マンション一室の全面リノベ。5/31に既存のインテリアがほとんど全てぶっ壊されて、現在新たに下地組の真っ最中。こちらは『simpatica』と違って木軸なので、現場はまるで川俣正な感じ。
すでに空間のボリュームバランスや動線については想像がつく状態。劇的に住みやすい部屋になることは間違いないな、と確信が湧いて、なんだかわくわくして来た。リノベーションのプロジェクトは工事中が一番楽しい。木ごころ・飛澤さんと渡辺さん、そして電気屋さんと細かな納まりについて打ち合せ。
6/4。例によって前日からずーっと図面描き。気がつくと昼過ぎ。慌てて電車に乗って横浜市営地下鉄の蒔田駅近くにある『横浜ステンドグラス工房』へ。『simpatica』の特注食器についての打ち合せ。今回はまだちゃんとお願いできるかどうか分からないんだけど、大村さんと丸山さんから勉強になるお話をたくさんお伺いすることが出来た。感謝です。
それからたまプラーザの『simpatica』現場へ。
先日見たLGSの上にPB(プラスターボード/石膏ボード)が貼られ、床の下地も出来上がりつつある。そしてこの期に及んで照明の位置を変更したり、間仕切り造作の補強工事を追加したり。今回はデザイン的にいろいろとチャレンジが多くて、作りながらじゃないと分からない部分が多いのだ。ごめんよ勅使川原さん。
で、近所の串揚げ屋さんで食事して帰宅。いろいろ宿題はあるんだけど、とりあえず寝ます。すみません。
5/29から6/1までのあれこれ。
29日午後2時頃、オフィスに『simpatica』オーナー・池田さんご夫妻が到着。素材サンプルをまとめて見てもらったり、家具詳細について相談したり、リーフレットの内容やデザインについて話し合ったりしてるうちに店内に置く電話などの備品類の話しになって、それじゃあ実際に見に行きますか、と言う事で、タクシーで自由が丘へ。いくつかお店を巡った中で、この日一番収穫があったのは『six』。テーブルメニューに使えそうないい感じのファイリンググッズなどを発見。それから電車で恵比寿に移動して、『立呑』→『松下』の黄金コース。12時過ぎまで飲んだ後、帰って仕事。朝方まで頑張る。しかしここのところ頑張り過ぎだったみたいで、30日は思い切り爆睡しておしまい。
そのまま31日に突入して深夜からひたすら仕事。午後からたまプラーザへ。池田さん、川田さんと打ち合せ後、『simpatica』現場へ。勅使川原さんと打ち合せ。
現場は水道やガス、空調機器の配管がほぼ終わって、壁や天井の下地組が出来上がりつつ有るところ。写真にあるシルバー色の細いフレームがその下地。LGS(ライトゲージスタッド)とか軽鉄(軽量鉄骨)などと呼ぶんだよ。豆知識。それから東急百貨店5Fの『かつ味』(ここのインテリアはなかなか良く出来ている)でとんかつを食べて、帰って寝る。
1日も深夜から図面作業。14時頃に青山・SPIRALで池田さんご夫妻と待ち合わせ。VICTORYの木村さんと食器の打ち合せ。白山陶器もチェック。それから『蔦珈琲店』でひと休み。思いのほか盛況。奥のカウンター席ふたつと二人掛けテーブルになんとか収まる。強さと洗練性とを同時に備えたこの店の珈琲は、いつ味わっても静かに、深いインパクトを残す。やはり私たちにとって、この味が珈琲の基準である事を再確認。この日は庭の緑も格別美しかった。
蔦珈琲店/東京都港区南青山5-11-20/03-3498-6888
10:00-22:00/土祝12:00-20:00/日休
さらに電車で自由が丘へ。『カフェ・トレボ』でまたもやお茶。無印良品の前にあるワーゲンワゴンの屋台カフェ。ここもプランターの緑がわさわさ茂ってていい感じ。車の内外装の作り込みも、オーナー・門倉さんの朗らか&機敏なオペレーションも、相変わらず素晴らしい。しかもエスプレッソが驚くほど旨い。
カフェ・トレボ/世田谷区奥沢5-26-9無印良品前/070-5458-0889
11:00-20:00/月・雨天休
さらにさらに、タクシーで駒沢の『pancow』へ。いい食器とか雑貨が予想以上にたくさん見つかった。そこから『bowery kitchen』まで歩いて食事。相変わらず納得の旨さ&リーズナブルさ。オープンしてからかれこれ6年くらいになるけど、この調子だと最強の『東京の食堂』としての地位は当分安泰だ。リスペクト。
bowery kitchen/東京都世田谷区駒沢5-18-7/03-3704-9880
9:00-4:00/無休
で、帰ってちょこっと仕事して寝る。
5/25。昼過ぎからひたすら仕事。『simpatica』と『森の壁』の詳細図面をがんがん描く。夕方からCONFORT不定期連載『伝説のインテリアデザイン』vol.6の追加イラストに着手。20時頃、ようやく調子が出て来たところで丹青TDCの勅使川原さんから『simpatica』の施工図がどっさりFAXで届いて、さらにその内容に関する電話攻撃。そうこうしてるうちに21時過ぎになって、CONFORT・佃さんがイラストを引き取りに到着。まあ麦茶でも、と世間話をしたり電動消しゴムについて解説したりしながらイラストを完成させて、先日描いた滝内高志氏作品の見所マップの文字修正などなど。結局23時頃までおつきあいいただいて、イラスト原稿を手に佃さんは編集部へ戻る。その直後にCONFORT・藁科さんから電話とメール。本文テキストが添付ファイルで送られて来た。しかし前日から辛ラーメン(袋)とカロリーメイト(フルーツ味)しか食べていなくて、極度にパワーダウンしていたため、とりあえず食事。
で、『simpatica』の図面をさらに進めつつ、『伝説のインテリアデザイン』本文テキストの確認・変更作業。集中してるとあっという間に時間は過ぎて、もう26日の朝11時。ようやくテキストをメールで返送。これにて今回の最終入稿。あとは頼んだぞ藁科さん。
そして『simpatica』と『森の壁』の図面作業はまだまだつづくのだ。
5/18。たまプラーザ『sinmatica』がついに着工。タパスとワインがメインメニューのレストラン物件。
14時過ぎに勝野ひとりでたまプラーザへ。TO THE HERBSでクライアントの池田さん、ビールメーカーの人と3者打ち合せ。ビアサーバーの種類や機器構成、専用グラスの寸法などを確認。
打ち合せ後、いったん池田さんと分かれて、ちらっと現場を覗いてから現場近くのカフェで細かな建具納まりを考える。現場では墨出が進行中。こんな風に壁や造作のラインを床面に描いてゆく作業。
17時に現場で池田さんと再度合流。動線の広さやカウンターの奥行きを実寸で確認&微調整。
それから田園調布でバキっと整体してもらってオフィスに戻る。ヤギが留守番している間に丹青TDCの勅使川原さんが素材サンプルをどっさり届けてくれていた。
『simpatica』の主な配色はブラックオリーブ色とマットなシルバー。シルバーはほとんど水性塗装だけなんだけど、ブラックオリーブ色は水性塗装、スチールの焼付塗装、木工家具の染色、床材の染色などいろんなところで使うことになる。しかもPANTONEやDICではイメージに合う色が無い。ひとまず色調の近いカラーチップをDICで選んで、それをもとに濃さの異なる3種類ずつのサンプルをそれぞれの素材ごとに製作してもらった。
幸いサンプルの出来は予想以上。ほぼイメージに通り。床材のサンプルだけどうも色調が合わなかったので、再度製作してもらうことにする。
そうこうしている間にヤギは『森の壁』の実施設計図をひたすら描く。日が変わってもまだまだ作業は続き、19日の10時前にようやく詳細図などを除く一通りの図面が完成。メールにPDFデータを添付して木ごころ・飛澤さんに送信。
そしてまだまだ仕事は続くのだ。
5/14。14時から港区のクライアント宅で『森の壁』の打ち合せ。マンション一室の全面リノベ。つい先日、概算見積が出たんだけど、案の定最初に聞いてた予算を軽く越えているが、単価を見るとどの項目も恐ろしく安い。うーむ、さすが木ごころさん。
ひとつ予想外だったのは解体撤去の費用が高かったこと。最近は産廃処理の費用が高騰しているのだ。まあ、バスルーム、トイレ、キッチンも含めて全部とっぱらったら嫌でもこうなる、と言うこと。キッチンカウンターを現状のまま使う、などの変更を加えて若干の減額は図ったものの「やっぱこれくらいはやらないと意味無いよね」と言うことで、8割方そのままの内容でゴー。
打ち合せ後、クライアントと木ごころ・飛澤さんと一緒に現場まで歩いて移動。床と天井の一部を壊して、以前の現場調査では分からなかった正確な有効高さを計測。スラブ間で2450mmほど。ものすごく低い。どうりで全室にダサダサの蛍光灯シーリングライトがついてたわけだ。それに、あらためて見ると間取りもホントにヒドくて、現状のインテリアは全く使い物にならないことを再確認。やれやれ。
クライアントの英断に応えて、永く快適に使えるものを仕上げなくては。
5/2。15時過ぎに御徒町のスタバでCGデザイナーでフォトグラファーの福間晴耕さんと待ち合わせ。この日は『三筋亭』の完成写真撮影。マンションのLDKとバルコニーのみの小規模リノベーション。
16時頃に現場到着。住まい手のタロヲ君と麻沙美さんがあらかじめものすごく綺麗に片付けておいてくれたおかげでほとんどセッティングの必要無くスムーズに撮影開始。今回は小さい上に入り組んだ空間なので果たしてどうやって撮ってくれるのかな?と思っていたんだけど、福間さんが用意していた中判カメラ用の魚眼レンズが大活躍。すげー。全景が入っちゃうよ。画の周辺が歪むのもまた面白い。調子に乗っていっぱい撮ってもらっているうちにもう21時過ぎ。
下の写真は私たちがデジカメで撮影したもの。広角レンズを付けてもイマイチ全貌が分からないくらい引きのとれない空間なのだ。来週辺りに福間さんに撮ってもらった写真をworksにアップするのでお楽しみに。
麻沙美さんに総菜パンをご馳走になって、23時過ぎに撤収。で、帰って仕事。
三筋亭のスナップ写真を2枚。
引き続き仕事三昧の日々。
24、25、26日とオフィスにこもりきりで作業。27日の16時過ぎにたまプラーザのカフェで『simpatica』クライアントの池田さんと待ち合わせ。ドリンクを注文し、4人掛けのテーブルに資料を拡げて打ち合せ開始。ガラス越しに通りからよく目につく場所なので、営業妨害になってるんじゃないかとちょっと心配になったり。
17時過ぎにホシザキの川田さんが合流。厨房機器についての打ち合せ。テーブルの上は完全に仕事場の様相に。川田さんは自社商品のことも他社製品のことも実に良く把握した人で、それぞれのメリット・デメリットを包み隠さず的確に教えてくれる。おかげでとても内容の濃い、有意義な打ち合せになった。いいものが出来そうな予感がますます強まる。
19時過ぎに場所を変えて食事。池田さんに連れられてたまプラーザ駅南口の住宅街の中にある『Troubadour』と言うお店へ。リンク先の写真を見るとなんだかハリボテっぽいが、実際に行ってみるとこれがなかなか良く出来ている。落ち着いた雰囲気のケイジャン&クレオール系アメリカンダイナー。客層が大人っぽくて居心地がいい。この場所でもう10年くらい営業しているらしい。ステーキ、ハンバーガーなどメニューは驚くほど豊富で旨い。感激して「こんなお店がたくさんあるんならアメリカにしばらく行きたいなあ」、と池田さんに言うと、「そんなことは無いのでやめた方がいいです」と言われた。
このお店で何より素晴らしいのはスタッフの方々のカジュアルかつ丁寧な応対。先日の『茶の葉』に続いてたまプラーザの名店リスト入り決定。また行かねば。
食事の後、その場でコストダウンの方法などについての打ち合せ。23時過ぎに話しがまとまって、「これで行きましょう」、となる。工事に入る前の最大の山場はこれで乗り越えた。引き続きガンガン細かい図面を描いてゆかなくては。
で、帰ってまた仕事。
4/18。予定の14時を40分ほど過ぎて三筋亭(居酒屋とかではなくタロヲ君と麻沙美さんの家のこと)に到着。寝過ごしました。スミマセン。家具の補修について相談した後、座布団の生地サンプル(上の写真)を見せてどれで発注するかを決めてもらう。
続いて家具&雑貨店めぐりに出発。まずは青山に移動して、白山ショップで食器を物色。詳しいスタッフの方に商品解説していただいたり、ぜんぜん関係の無い志田の印判について教わったりしつつ長居。青山の、しかもフロムファーストでこうしたお店を維持して行くのは大変だろうけど、これからもこうしたゆとりを持って器に接することの出来る場所であって欲しいと思う。湯のみを一揃い、などいろいろ購入。
それから自由が丘に移動。先ずはタクシーでTIME&STYLEへ。ソファとか食器とかmutechの電話とかを一通り見てもらう。で、駅方面に戻ってWASALABYへ。小泉誠氏がインテリアをデザインした和食器店。黒田泰蔵氏の作品や山桜を削り出したテーブルウェアをたくさん見る。で、そのすぐそばにあるCIBONEへ。オリジナルのソファ(これが実に安くてモノがいい)をじっくり検討。CIBONEにしては珍しく対応の素晴らしいスタッフの方が居たおかげで助かった。さらにJ.に移動して、この辺が手頃なラインですよ、と言うのを見てもらう。それから『とんき』でサクっと晩ご飯を食べて、タクシーで九品仏のD&DEPARTMENTへ。安いソファだとこんな感じですよ、と言うのを体感してもらいつつお茶したり雑貨を見て盛り上がったり(相変わらずここの品揃えは面白い)して23時過ぎに全行程終了。
で、帰って仕事。
4/16。早朝から快調に仕事、という珍しい生活パターン。15時に施工業者さんが来て、たまプラーザの飲食店プロジェクトの打ち合せ。今回のデザインはディテールやマテリアルなどいろんな面で新しいチャレンジが多く、施工のプロと知恵を出し合いながら進めることが重要。
シルバーの塗装サンプルを3種類いただく。施工性の高い水性塗料でマットな光沢感を出すのはけっこう難しいんだけど、かなりいい感じに仕上がりそうだ。
そんなこんなで、打てば響くようなやり取りの中でプランがみるみるブラッシュアップされて、サクっと2時間で打ち合わせ終了。
4/1。18時頃に三筋亭現場へ。ちょうど工具類の片付けがほぼ終わって全貌がスッキリと現れたところ。キッチン垂壁の下に取り付けたグラスラックの納まりがちょっと気になった(図面通りなんだけど)ので、ちょっとズラしてもらう。スミマセン。若干の塗装補修とクリ−ニングもお願いして19時過ぎに木ごころさんは撤収。ご苦労様でした!次(早速来月にあるんだなこれが)もどうぞよろしくです。
それからタロヲ君にお茶をいただいたりオーディオの仮セッティングをしたりして、20時頃にひとまず作業終了。あとはテーブルとか座布団を用意しなくては。そんなわけで、完成形となるのは今月半ばくらいかな?
日比谷線で移動。地下鉄のロゴが一斉に東京メトロのものに入れ替わってたけど、改めて街の中で見るとエラくへなちょこだなあ。ファンシー化する東京の風景。
六本木の駅でタロヲ君と分かれて私たちは恵比寿へ。『九十九ラーメン』で腹ごしらえをして、タリーズで口直しをしてからCONFORT編集部へ。藁科さんと『伝説のインテリアデザイン』のページ構成などについての打ち合せ。勝野スケッチ用の図面をいただいて、雨の中24時過ぎに帰宅。で、仕事。
31日は17時頃に細川邸(今後は『三筋亭』と呼ぶことにする)の現場へ。ホントはこの日で工事は終わるはずだったんだけど、現場はまだまだ大変な状態。先日の変更が響いて工期は明日一杯まで延長。
キッチン周りの家具造作や天井吊りの収納などの取付がほぼ終了した状態を見ると、白いクロス貼りの室内に茶色い帯がとぐろを巻いているような印象。小さな空間にしてはずいぶんとダイナミックな効果が生まれているのが興味深い。細部の納まりも上々で、全体的になかなか質感の高い空間に仕上がりそうだ。
しかしここのところ戸建て住宅の全面リノベーションや建築物件なども手がけているせいか、部分改装では手がつけられない既存箇所がどうも気になってしまう。「建具の位置や仕様を変えたかったな」とか「キッチンの中も新しくしたかったな」とか「床も貼り替えたかったな」とか。空間の全てが整合した時だけにやって来るあのシビれるような心地よい感覚はここには無い。その代わり、こうした未完成な作品では、デザインの力(ちから)の在り処がよりクリアに暴かれる。それはそれで面白い。
ここは修行の場だ。デザインする側にとっても、生活する側にとっても。
ともあれ、ラワン材をシンプルに用いたローコストリノベーション物件としては、この作品が私たちの気持ちの上でのひとつの区切りになりそうだ。次はもっとスゴいのやろう(>三筋亭のご両人)。
3/29。細川邸の工事初日。朝9時に現場に行く予定だったんだけど、前日までの徹夜が響いて目が覚めたらもう8時。とりあえず皆様にごめんなさいの電話連絡。
と言っても私たちが張り切って現場に行ったところで何が出来るわけでもなく、私たちが着いた頃にはもう工事はガンガン進行中。キッチンの垂れ壁の下地がもう出来上がっていた。
この物件はマンションLDKのみの小規模なリノベーション。マンションに限らず、最近できた住宅を改装する際には、もとの建築工事のいい加減さに起因する問題が必ず発生するものだが、ここでも早速出た。照明器具を新しく取り替えるため既存のダウンライト(天井面に埋め込むタイプの照明器具)を外してみたところ、スラブ(建築の構造体)と天井面との間が70mmくらいしか無い。一体どうやってダウンライトが納まってたのかと思って取り付け箇所を覗いてみると、なんとコンクリートスラブの一部を削り取って無理矢理埋め込んでいた事が分かった。
あらら、これじゃあダウンライトの交換どころか移設すら出来ないよ。と言うわけで、急遽既存の天井を撤去して、少し下げたところに新しく天井を作る事にした。ちょうど窓際に梁を避けるための50mmほどの段差があったので、そのラインに合わせて完全にフラットな天井に。これで作り付け家具の納まりもずいぶんスッキリする。けがの功名。
懸案事項だった間接照明ボックス内のスピーカーの納まりと、エアコン室外機の納まりについては、木ごころ・飛澤さんと相談してその場で決定。と言ったところでお昼ご飯の時間になったので、お邪魔にならないよう退散。
それから一路たまプラーザの飲食店現場へ。店舗区画の実測。建築図面はあるものの、やはり自分でメジャーを持って計っておかないと安心して実施設計には取りかかれない。暗くなる前になんとか採寸を終えて、二子玉川へ。無印良品で生活物資を少々補充。レジの前にワゴンが置いてあって、『特大輪切りバウム』が山積みになっていた。たまらず購入。見事に無印の術中にハマっている勝野。
で、帰って仕事。
月曜日(16日)、新プロジェクト候補地の視察に行って来た。まだ正式にデザイン契約が済んでいないので、今後クライアントと物別れになる可能性も無くはないが、無事ことが運べば5月頃のオープンに向けてlove the lifeとしては久方ぶりに飲食店のアートディレクションを手がけることになる。
私たちがデザインやアートディレクションを手がけた飲食店はどこもことごとく閉店してしまったりオーナーが替わってしまったりで原形をとどめているものがひとつも無い。物販店についても満足な状態で残っているのは片手で数えられるくらいだろうか。
ひとつひとつの作品に過剰に入れ込んでしまう(まあ要領が悪いわけだ)がゆえに寡作な私たちにとって、作品が無くなってしまうことによって受ける精神的なダメージはかなり大きい。私たちは2年や3年で無くなってしまうことを前提に店舗のデザインをやっているわけではないし、正直言ってそんな店は作りたくない。
もちろん店舗のオーナーだって最初から早々に閉めるつもりでやってるはずはない。しかしながら、テナントとしてビルに入居する店舗(大都市ではほとんどがそうだ)にとって、ビルやフロア全体のリニューアルに伴って追い出されたり(あるいはビル内で移動させられたり)、地域開発によってビル自体が無くなってしまったり、なんてのは日常茶飯事だ。つまり現実的には経営状態の良し悪しに関わらず、不動産事情によって閉店を余儀なくされるケースが多々あると言う事。さらに言えば、当たり前だがビルや土地を維持してゆく側にもそれなりの都合がある(会社経営とか地価とか固定資産税とか)。結局のところ、現代の大都市には激しくスクラップ&ビルドを繰り返さざるを得ないシステムが最初からインストールされているわけだ。周到に話題作りを行い、短期の間に一気に客を集め、投資に見合った収益を上げたらハイさよなら。そんな“企業による集客装置”としての店舗ばかりが目につくようになるのはごく自然な流れだろう。個人オーナーがその哲学を維持しながら店舗を長く存続させてゆくことは、実はものすごく難しい。
店舗インテリア専門のデザイン事務所として活動をはじめたlove the lifeだが、最近は住宅や建築に関する仕事が増え、店舗デザインの割合は全プロジェクトの半数くらいだ。店舗に比べると住宅や建築は概して計画スパンが長く、デザインの寿命も長い。こうした状況は私たちにとって随分と精神衛生上都合がいい。もともとデザイン上目新しいマテリアルや奇抜な形態を用いる事にほとんど執着が無く、入り組んだ要件をシンプルな方法で解決するプログラミングの技を信条としている私たちには、もしかして店舗よりも住宅や建築の方が向いていたのかもしれない。
が、しかし、それでも、これからもずっと私たちは店舗の仕事を大切にしてゆきたい。密集して暮らすがゆえに個々の生活機能を店舗としてうまく市中に分散させる、というやり方は何百年も昔から培われた都市生活者の最も重要な知恵であり、文化だったはずだ。そうした知恵や文化のエッセンスは今もやはり店舗デザインの中にあるに違いない。店舗は文化そのものであり、そのオーナーもデザイナーや施工者も訪れる客もみんな等しく文化の担い手なんだと思う。商業やビジネスにどっぷり浸かった仕事をしている私たちだが、だからと言って金儲けのためのハコを作っているつもりは毛頭無いのだ。他の建築家やインテリアデザイナーがどんなつもりでやってるのかは知らないが。
新プロジェクトの店舗区画は、東急のたまプラーザ駅にほど近い商店街に面したマンションの一階にある。横浜からも東京からも少し離れてるけど、そこがまたいいじゃないか。クライアントは「ここで最低でも10年はやる」と言っている。前のテナントが引き払ってスケルトンの状態になった店舗区画の中を歩きながら「これはウチにとってとても大事な作品になるかもしれないな」と思った。
Love the Lifeの作品「Fit」のページを更新しました(Sep. 09, 2012)。Worksからご覧下さい。フォトグラファーは佐藤振一さん。
反町駅改札の鼻先に横たわる国道一号線と、それに平行する旧反町川跡の整備道との間には、大小の集合住宅や店舗が混在する雑然とした市街地がボーダー状に拡がっている。それらを貫き北上する東急東横線の高架に面した角地の中層マンション一階に「フィット」があった。
まだ立地が決まる前の段階から、宮川明氏は自身がオーナーとして運営するふたつめの店となるこの美容室のテーマカラーとして、水を連想させるブルーを想定していた。私たちはそこからイメージを膨らませ、水面に映る自分の姿を眺める様子をデザイン化したいと考えた。
ここでは店の中央に並んだ3つの大きなドー ナツ状の造作がさながら水盤に、そこに嵌め込まれたミラーが水面にあたる。ミラーの直径とその取付け高さは原寸でのシミュレーションをもとに厳密に決定された。南側の掃き出し窓の外にはウッドデッキを置き、プランターボックスに野の草花を植え込んだ。気候が良ければサッシを開け放ち、店内とひと続きに利用することもできる。
横浜市神奈川区では反町駅の地下化工事に伴い付近の高架を撤去し、跡地を緑道とする整備計画が検討されている。ガード下然としていた周辺の雰囲気も、それらが完成する頃には一変するに違いない。川跡にもほど近いこの場所に、こんな美容室が出来たことは、おそらく偶然ではないのだろう。
Love the Lifeの作品「Tsukasa Clinic」のページを更新しました(Sep. 10, 2012)。Worksからご覧下さい。フォトグラファーは佐藤振一さん。
北島町は徳島市のベッドタウンとして開発の著しい場所だ。元来は吉野川河口の広大な湿地帯であり、複雑な川筋とあぜ道とが絡み合うのどかな田園だった。近年、その風景はシネマコンプレックスを備えた大型ショッピングセンターの出店や集合住宅の増加によって急速に変貌しつつある。今後の市街地化の展開を正確に予測することは難しい。
「つかさクリニック」はこの町の中央を真っ直ぐ南北に切り裂く整備道に面した不整形な敷地にある。周辺には耕作地と住宅地とがモザイク状にひろがっている。敷地の三方は農地または空地に面し、日照と風通しは申し分ない。北西側の一角にはちいさな墓地がぽつんと取り残されている。ここではオンタイムもオフタイムも、生者も死者も、まるで当然のように隣り合わせている。こうした場所にある診療所は、日常から適度に切り離されていたほうが良いだろう。 その役割はある種の聖域のようなものかもしれない。
私たちは各室を中廊下で接続するベーシックな計画手法をもとに、建物全体の形態が極力単純なものとなるようデザインを進めた。フレームは県産杉の集成材によるSE造とした。外装には火山灰を骨材とする左官を施し、櫛引きの柔らかな表情を与えることにした。開口は南北面に広く確保し、大型の木製ルーバーと中庭を設けることで視線を制御した。内装の要所はやはり県産杉の表情豊かな間伐材で仕上げた。
こうして現れたのは、白く角張ったボリュームに四方から木の質感を貫入させたような建物だった。その静かな佇まいは、周辺の混沌とした環境と相まって、まるでちらし寿司の中に置かれた豆腐のように唐突で、ユーモラスで、少しばかりミステリアスだ。
Love the Lifeの作品「Masters Craft Prince Hotel Shinagawa」のページを更新しました(Sep. 10, 2012)。Worksからご覧下さい。フォトグラファーは佐藤振一さん。
品川駅の西側に第一京浜国道を挟んで対面するホテルの敷地内に、2002年に新しい複合施設棟が建設された。「マスターズクラフト」はその地上階ショッピングモールの奥にある小さな和雑貨店だ。工事に際してテナントにはディベロッパーから素っ気無いオフィスのような場所があらかじめ与えられ、その仕様に大きな変更を加えることは許可されなかった。既存の容器内に造作や什器をなるべく単純に後付けすることによって、効果的なディスプレイを実現するデザインが必要だった。
岩綿吸音板の天井には蛍光灯が等間隔に埋め込まれていたが、私たちは新しく設置した数台のスポットライトと壁沿いの棚什器内にある間接照明だけで十分な照度が賄えるようにした。会計カウンターの背景には木製ルーバーによる光壁を設置し、その上部にオリジナルのスタンドライト7台を並べた。フロアの外周沿いに設置されたステージ什器にも同型のスタンドライトを組み込んだ。インテリアを構成する要素はこれらの控えめな造作と照明だけだ。店内と共用通路を隔てるサッシのガラス面には半透明のマーキングフィルムで簾を思わせる格子状のパターンが描かれた。
スタンドライトのセードは白磁製で、制作はクライアントである陶磁器メーカー「マスターズクラフト」が手掛けた。その概形は日本人にとってなじみの深い蕎麦猪口を拡大したものだ。セードの表面に施されたプリーツ状の筋目が、透過光に柔らかな質感を与えている。
Love the Lifeの作品「Under Construction」のページを更新しました(Sep. 11, 2011)。Worksからご覧下さい。フォトグラファーは輿水進さん。
田園調布は都内有数の高級住宅地として名高いが、東急の線路によって隔てられた対照的な二つのエリアの総称であることはあまり知られていない。片側は周知の通りの高級住宅地、反対側は極めて庶民的な工場労働者と小規模商店の街だ。
この木造2階建の小さな建物は田園調布庶民サイドの寂れた商店街に面する店鋪付賃貸住宅だ。私たちはここで、カナダ産のOSBと下地用のツガ角材、2x6のパイン材を用いて、セルフビルドによる即興的な改装を行った。1Fの店鋪スペースは道路側をギャラリー、奥側をオフィスとし、その境をツガ材のルーバーで曖昧に区切った。ギャラリーには照明器具やラグのプロトタイプ、日本手拭などを展示し、オフィスには私たち二人のワークテーブルとパーソナルコンピュータを置いた。入口は通行人に開放され、誰でも自由に展示物を手に取ったり購入できるようにした。ギャラリーは展示物や私たちの気分の変化に応じて改装されるため、常時「アンダーコンストラクション」だ。
ここではプライベートスペースとワークスペースの区別はほとんど存在しない。ワークテーブルは来客時にはミーティングテーブルとなり、夜にはダイニングテーブルとしても使用された。2Fは道路側の和室に壁付のディスプレイ棚を取り付け、輸送用の木箱を腰高に積み上げたことを除けば、ほぼ既存のままの状態とした。アナログレコードとガラス器のコレクションが保管されたこの部屋はクライアントとの商談室でもあり、時にはパーティールームにもなった。省スペースのためオフィスにコピー機は無いが、必要があれば近所のコンビニエンスストアにあるゼロックスの最新機種を24時間年中無休で利用できた。街とひと続きに機能するこの場所は、SOHOにありがちな侘びしさとはまるで縁が無かった。
Love the Lifeの作品「Aquira Hair Designs」のページを更新しました(Sep. 13, 2012)。Worksからご覧下さい。フォトグラファーは佐藤振一さん。
1997年に見よう見まねで設えた自作のホームページを経由して、インテリアデザインの依頼をメールで受けた最初のプロジェクトがこのヘアサロンだ。狭い専用階段を上がった先にある計画地は決して広くはないが、大きなガラス窓を駅前ショッピングセンターに面している。横浜市近郊の住宅街で、若いヘアデザイナーが一歩を踏み出すには十分な可能性が感じられた。
私たちはこの店が地域の人々を巻き込みながら繰り広げるストーリーを頭に描きながら、その冒頭を暗示するような場所をデザインしたいと考えた。鮮やかなオレンジで彩られた小屋型のフレームをフロア中央に連ね、それぞれにオリジナルのペンダントライトを取り付けると、印象的なシンメトリーの店構えが表れる。6台のスタイリングチェアのうち3台は、先代の理容室から引き継がれた。
以下には専門誌に寄せた記事をそのまま転載しておく。
主人公はヘアデザイナーの中井さん。場所は京急金沢文庫駅から徒歩2分のちいさな雑居ビルの2階。彼はお父様から受け継いだ理容室を美容室に改装するべく思案中だった。
ある日、お店に天使「HALO」が舞い降りその周りにはオレンジ色に縁取られたカット ブースが現れた。お客さんが訪れるとあーら不思議。ボーイもガールもおじちゃんもおば ちゃんもみんなワイルド&キュートなヘアに大変身してすっかりハッピーな気分!そう、中井さんは魔法使いなっちゃったのさ!
そして物語はここからはじまる。
初出:商店建築 1999年6月号
Love the Lifeの作品「Kranz Akasaka」のページを更新しました(Sep. 14, 2012)。Worksからご覧下さい。フォトグラファーは佐藤振一さん。
ベーカリー&カフェ「クランツ」赤坂はTBS放送センターにほど近い古びた雑居ビルの1階にあった。周辺のオフィス街には大小の建物が入り混じって密集し、細い前面道路を挟んで店の向かいにある高層ビルの足下にわずかな緑地が設けられていた。乾いた谷底のようなこの一帯に、私たちは幅広い客層を受け入れるとともに親密な雰囲気を備えた場所を提供したいと考えた。
店内は前面道路に対して垂直に配置したパイン材のカウンターによって二つのエリアに分け、片方にはエントランスとキッチン、もう片方には客席を割り当てた。客席側の壁際にはベンチシートを配置し、その背後から頭上にかけて円弧を描く天井を設えた。緩やかな曲面はスリット状の間接照明とともに奥へと続き、終点のミラーがさらに向こう側へと客席を増幅する。ミラー面にはマットなマーキングフィルムによるロゴマークをパターン状に散りばめ、フロア最奥の壁面には100mm角ほどのキューブ形の木造作とともにグリーンのビール瓶を20個配置した。カウンターが大樹を、それを取り巻く造作の全てが木漏れ日を暗示する。
客席の道路側には両開きの折戸を設け、正面の緑地に呼応する開放的な店構えとした。その居心地は街とひとつながりのちいさな庭のようだった。
Love the Lifeの作品「Nandeyanen」のページを更新しました(Sep. 14, 2012)。Worksからご覧下さい。フォトグラファーは佐藤振一さん。
「なんでやねん」は六本木通りにほど近い日赤通り沿いにあるちいさなビルの2階に計画された。バジェットは少なく、しかもデザインの開始からオープンまでの期間は2ヶ月弱。手間という手間をとことん削り、工期と工賃を抑え込まないことにはどうにも立ち行かない。こうしたプロジェクトを手がける上で、設備そのものがデザインとなるような一石二鳥の手法を考え出すことは、数少ない有効な手段のひとつであり正攻法と言っても良いだろう。
ここでは客席照度の大部分がディスプレイと品書きを兼ねた27か所の間接照明パネルで賄われている。天井吊りのパネルは空調配管をカバーし、ペンダントライトを縁取るとともに電灯配線のためのケーブルラックを兼ねる。これらはすべてクリアウレタン塗装のシナ合板を丸く切り抜いただけの極めてシンプルな造作だ。切り口にはその形状を強調するよう赤いペイントを施した。照明や椅子の座面、座布団などにも繰り返し表れる丸いかたちは、看板メニューであるお好み焼きやたこ焼きから至って単純に連想されたものだ。
こうして半ば即興的に完成された店内は、溢れ出さんばかりのエネルギッシュな雰囲気に満ちていた。その非日常性は、東京の都心で関西の定番メニューを食する、というシチュエーションにいかにもふさわしい。